安倍政権、コロナ禍対策「集団免疫路線」に抜本転換か−生命の選別容認か

長崎県長崎市で9日に行われた平和記念式典後の記者会見で安倍晋三政権は、基礎疾患のある方々や高齢者の方々を中心に新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めるとしながらも、あくまでも感染拡大防止と経済活動再開の両立を図るとしたうえで、休業補償とのセットで罰則つきの経済活動の自粛を求めるよう改正新型インフル特措法を改正、「緊急事態宣言」を再発出するべきだとの声が強まっていることに対しては、「感染拡大が収束した後で検討する」と語り、記者たちを驚かせた。感染拡大の勢いは続いている中、政府=安倍政権は「集団免疫路線」に抜本転換したとの見方も出ている。

◎追伸:NHKのWebサイトによると8月11日は、東京都では午後15時の時点で188人の新型コロナウイルスの新規感染者が確認された。全国は午後21時の時点で696人で沖縄県では64人が感染、死亡者は全国で5人出た。ただし、PCR検査人数などの詳細は不明。重要な指標である陽性判定率の動きが掴めにくい。感染が拡大していなければ陽性率は低下するが、全体として上昇傾向にあるようだ(後述)。感染はなお拡大していると推測される。朝日デジタルが2020年8月11日 22時11分投稿した「感染増加、8月のペース高止まり 全国的にリスク広がる」と題する記事によると「厚生労働省によると、4~5月に検査の実施が1万件を超えたのは3日間だけだったが、7月以降、8月9日までの間では21日間に上る。多い日には4万件に迫り、感染確認の数を押し上げている」という。しかし、人口2000万人の米国ニューヨーク州では1日あたり6万7000人が無料で検査を享けることができることに比べると、まだまだ問題がある。PCRセンターなど直接に保健所を遠さなくても検査が可能になっている面はあるが、保健所をスルーしてかかりつけ医やその紹介医療機関でPCR検査などが受けられるようにする必要がある。検査の結果については、オンライン・システムを構築し、保健所や地方自治体にリアルタイムで情報を共有できるようにすべきだ。

朝日デジタルが本日2020年8月11日午前1時23分に公開した「全国で新たに840人感染 各地でクラスター相次ぐ」と題する記事によると、11日は今月3日以来、全国の感染者は千人を下回った。東京都の場合は7月27日以来200人を下回る197人。しかし、東京都では「発表される感染者数はおおむね3日前の検査の結果を反映しているといい、7日の検査件数は速報値で3243件。3~6日は5千件を超えていた。入院者数は10日時点で1682人に上り、都に比較可能な記録が残る5月12日以降、最多となった」という。次の動画で安倍首相の記者会見が公開されている。

東京都が10日夜公開した感染者数に占める陽性判定者の割合は7日移動平均で7.0%。ただし、日々の陽性率の7日移動平均ではなく、分子の陽製本停車、分母の検査数ともにそれぞれが7日の移動平均だ。1日の陽性率自体の移動平均も公開するべきだ。大雑把な推計だが、これからすると7日の新規感染確認者は350人以上のところだ。人口10万人当りでは25人。入院患者も最多の1600人を超えたが、この方々の中から重症者も出てくる確率は小さくない。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が示した数値基準に基づく「感染者急増」と「感染者爆発」の数値基準は次の通りだ。

感染拡大の

感染拡大の

東京都や大阪府、愛知県などは「感染者急増」段階から「感染爆発」の段階に入りかけているのではないか。「感染急増」の段階の数値基準に比べて、東京都では人口10万人当たりの感染確認者が基準数値を上回っている可能性があるし、医療体制(病床)も逼迫している。大阪府では陽性率が高いし、10万に当たりの感染者数も数値基準を超えている可能性がある。「感染爆発段階」時の対処法として、分科会は改正インフル特捜に基づく「緊急事態宣言」の再発出を暗に求めている。

分科会が示した「緊急事態宣言」への対処策

「非常事態宣言」の再発出には、その前に「十分な休業補償」とセットにしたうえでの「罰則措置」もきめ細かに検討する必要がある。そのためには、「休業補償」に触れていない改正インフル特措法の改正が必要で、臨時国会の早急な召集が不可欠だ。その臨時国会の召集を安倍首相は逃げ回っているうえ、「改正インフル特措法の改正は新型コロナ感染が集結してから検討する」と言ってのけたのだから、聞く方も唖然とせざるを得ない。

しかし、安倍首相率いる政府=安倍政権は表向き、感染拡大と経済活動の両立を図ると言っているものの、「感染拡大防止」に感染震源地(エピセンター)を明確にした上でのPCR検査など検査数の大規模な拡大と陽性判定者の保護・隔離・適切な「医療機関」拡大による適切な医療積極的など手段は講じない一方で、感染を全国に拡大する恐れのある「Go To トラベル」の強行実施を見直すことはなく、盆の里帰りも「自己責任」を押し付けている。裏で、「集団免疫獲得路線」に転換したと言われても仕方のない状況だ。

しかし、「集団免疫獲得路線」は有効性には大いに疑問があるほか、犠牲があまりにも大きい。集団免疫の参考サイトは「さいとう内科・循環器クリニック」のサイト(https://saito-heart.com/column/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%81%A8%E9%9B%86%E5%9B%A3%E5%85%8D%E7%96%AB%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6)に紹介がある。集団免疫とは、「ある感染症に対して多くの人が免疫を持っていると、免疫を持たない人に感染が及ばなくなるという考えのことをさす」。しかし、第一に重要なことは確かな免疫力を確保しなければならないことだ。

新型コロナウイルス陽性患者の場合、退院できても退院後の経過が良好でない場合や再び陽性になる事例も報告されている。免疫力が確保できると基本的には中和抗体が産生され、ウイルス抗原を破壊する役割を持つ。しかし、今回の新型コロナウイルスに対する抗体の構造・機能については東大先端科学技術研究所の児玉龍彦東大名誉教授らが詳細な研究を行っているが、既に東アジア諸国で獲得していると見られる交差免疫を持つ抗体が産生される場合もあるが、ワクチンで産生される抗体が場合によっては人体に危害を加えるADE(Antibody Dependent Enhancement)反応を起こすことも知られている。ワクチン開発の段階ではなく、自然にヒトの体内で産生される抗体がADE反応を起こすこともあり得るわけで、一層の研究が必要だ。

交差免疫とワクチン開発を困難にするADE作用

交差免疫とワクチン開発を困難にするADE作用

第二に問題なのは、さいとう内科・循環器クリニックでは、「今コロナウイルスでは1人の感染者が2-3人に感染を伝搬させると言われている(再生産数2-3)。この流行を終息させるためにもし人口の60-70%の人にコロナウイルスの免疫力があれば、1人のひとから1人しか感染者を出すことができないため、やがて流行が終息していくことになる」としていることである。実効再生産数(1人の感染者が何人に感染を拡大するか、その人数のこと。簡易的には今週の感染者数を前週の感染者数で割ったもので、一週間単位の感染者数の増加ペース)にもよるが、集団免疫を確保するには相当の日本の総統の人々が新型コロナに感染する必要が出てくる。現在、感染者の死亡率は、朝日新聞11日付のデータでは2.11%。仮に獲得した免疫がすべて有効であったとしても、全員検査の場合の陽性率を6%と仮定して、1億2000万人×陽性率6.0%×死亡率2.11%=約15万人1億2000万人×集団免疫率60%×死亡率2.11%=約151万人の犠牲が避けられなくなる勘定だ(NHKWebサイト2020年8月4日17時33分公開の「新型コロナ 検査した人の陽性率 全国で上昇 約1か月で4.6倍に」よると「厚生労働省によりますと、7月20日から26日までの1週間に全国で検査を受けた人のうち、陽性となった人の割合は6%でした」参考)。いろいろな仮定が置かれているが、これは完全に人道を踏み外した数字であり、異常ではないか。

もちろん、死亡者のみならず重症者、後遺症を持つ方々の数をも考えると、「集団免疫確保」というのは、総統な犠牲をもたらすことが考えられる。「生命」の選別はするべきではないとサイト管理者(筆者)は考えるが、政府=安倍政権の対応を見ると、①打つ手が考えられなくなっている②集団面秋路線の獲得に抜本転換した−かのいずれとしか考えられない。

これは、極めて危険である。やはり、感染震源地を特定し、大量のPCR検査。抗原検査、抗体検査などの検査を適宜組み合わせて、大規模な検査を行うことが長期的に見てコロナ感染防止対策と経済活動を両立させる最良の道だと考える。

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