立憲福山幹事長、れいわ参院議員が首班指名で枝野代表への投票を重く受け止めー試される枝野氏の器量

新・立憲民主党の福山哲郎幹事長が17日の記者会見で、16日の首相指名選挙で参院議院ではれいわ新選組の2人の副代表・船越靖彦議員と木村英子議員が立憲の枝野幸男代表に投票したことに深謝し、(総選挙での)連携を早急に進めたいとの発言を行った。東京都、千葉県の小選挙区でゲリラ的に政治活動(れいわの選挙公約の紹介と公職選挙法を意識した上での立候補予定者の紹介)を行っていることへの見解を問われての発言。一応、立憲にもれいわを野党共闘への参加を要請する意思があることが明らかになった形だが、余談は許されない。

福山幹事長の記者会見は、次のYoutube動画https://www.youtube.com/watch?v=3MGb5auV7cIの27分20秒ころから、次期総選挙でのれいわとの連携についての見解の表明になる。下図は記者会見の模様だが、新型コロナ感染拡大防止のための防護ガラスが立てられているため、防護ガラスに記者会見室の電灯の光が反映している。

新立憲民主党の幹事長として17日、初の記者会見に臨む福山幹事長

新立憲民主党の幹事長として17日、初の記者会見に臨む福山幹事長

れいわの山本太郎代表は解散・総選挙が近いことを予想して、8月に党規約を改正したうえで、その後は、東京都(5区、7区)、千葉県(8区、9区、11区)の小選挙区で総選挙を意識したゲリラ街宣(新型コロナウイルス感染防止対策のため、予告したうえでの街宣はできない)を活発に行ってきている。その際、千葉県小選挙区8区で、れいわからの出馬予定の太田かすみ氏(元衆院議員)を紹介する街宣活動に参加した支持者から、新・立憲との選挙協力はどうするのかとの質問が出た。

これに対して、山本代表は野党が総選挙、参院選で負け続けてきた最大の理由は、財政再建論に縛られて、長期デフレ不況から脱却できる経済政策を打ち出すことができなかったことが最大の原因だと指摘。要するに、長期デフレ不況から脱却できる経済政策を提示することが出来なかったために、野党が国政選挙で惨敗を続けてきたというわけだ。

そのうえで、「新立憲の枝野代表が消費税ゼロ%への引き下げを語ったことがあり、総選挙での選挙協力、野党共闘に(参加できる)期待が出てきたことは歓迎できる。しかし、次期総選挙では参院議院では自公勢力が過半数を制していることから、消費税を争点にするべきではないと発言したこともある。しかし。まずは政権選択選挙である衆院選=総選挙で消費税減税を旗印に挙げることが最も重要だ。この点について、(福山氏などの)幹事長レベルではなく、枝野代表と代表同士で直接話し合わなければならない」と答えた経緯がある。これを受けて今回の福山幹事長の記者会見で、「れいわとの総選挙での選挙協力はどうするのか」との質問が報道陣から出た。

福山幹事長の回答の前に、次の図を示しておきたい。次の図は、財政支出と名目国内総生産(GDP)増加率(名目経済成長率)の相関図で、積極財政を行ってきた国ほど名目経済成長率が高いことを示している。名目経済成長率が高ければ高いほど、それに応じて税収も増加する。長期デフレ不況の場合には、実質GDPとともに名目GDPの動きも重要になる。

財政支出と名目経済成長率の相関図

財政支出と名目経済成長率の相関図

これに対して、福山幹事長は、①参院議員での首班指名選挙で、れいわの船越議員と木村議員から枝野代表に投票していただいたことを、日本共産党と同じように感謝し、重く受け止めている②枝野代表への投票は山本代表の総選挙での立憲との選挙協力に関するメッセージと受け止めている③れいわとの連携については幅広く協議していくーなどと語った。枝野代表が山本代表と直接話し合うかどうかについては、明言しなかった。

昨日17日に投稿した記事をご覧いただきたい。

立憲は、①立憲主義②原発ゼロ社会の1日も早い実現③新自由主義を否定して政府が国民の生存権を守り、国民相互が助け合う共生主義ーを新綱領の柱にしている。そのためにはというか、どんな理念・政策を打ち出してもその実現のためには財源の裏付けが必要である。立憲は経済政策に弱く、財源については、枝野代表が多少の税制改革(富裕層への課税など)を提言しているくらいだが、それでは現在の難局を乗り越えられないことは誰でも分かる。野党不信、政治屋不信の「無党派層」の心を動かすこともできるはずがない。

これに対して、山本代表率いるれいわは財源を明確にし、①消費税廃止②安い家賃の住まいの提供③出生率の低下を食い止め、根本的な少子化対策を行うための奨学金徳政令④全国一律最低賃金1500円⑤保育、介護、障害者介助、事故原発作業員などの公務員化など公務員の増加④食糧危機に備えるための農家など一次産業従事者に対する個別所得補償制度の導入⑥国土強靭化のためのグリーン・ニューディール政策⑦コロナ禍対策やデフレ不況で生活が困窮している国民のための生活支援金の給付⑧抜本的なコロナ禍対策(https://reiwa-shinsengumi.com/reiwanews/4670/)ーなどを提言している。

財源は、通貨発行自主権を中核にした新発国債の大規模発行(異次元積極財政)である。ヒントを得た理論的背景は、「機能的財政論=インフレ率2%を国債発行の限度とする=」を含む現代貨幣理論(MMT)である。政府(財務省)や財務省の御用報道機関になっている大手マスメディア、政府系の御用学者は徹底的に批判してくるだろうが、日本国内にはMMTerも多くなってきた。

インターネットを駆使して、反論を大規模に行う必要があるが、まずは山本代表側と立憲の泉健太政調会長、「消費税減税研究会」、「不公平税制をただす会」の代表を務めた馬淵澄夫衆院議員ら消費税凍結派のベテラン、中堅、若手議員らとが組み、立憲内部を理論的に制圧することが先決だ。枝野代表、福山幹事長、安住選対委員長には経済政策についてしっかりと勉強してもらわなければならない。

なお、安倍前政権・菅後継政権の新自由主義を徹底的に批判する識者の間にも、「財政再建」の必要性を大前提にし、架空のMMTを作り上げて意味のないMMT批判の先頭に立たれる方が少なくない。そうした方に対しても、最初にはまず、①税制の抜本改革(応能原則の徹底化を改革の「錦の御旗」として、消費税廃止と所得税の累進制度の強化・法人諸税に対する累進制度の導入、利子所得税・株式等譲渡益課税の20%から40%以上への引き上げ)②社会保険税への応能原則の徹底化と最低保障年金制度の創設③社会保障費などのプログラム支出の歳出全体に占める割合の上昇と裁量的支出の中の利権支出の廃止など歳出構造の抜本改革③特別会計の全面的公開と抜本改革(全容が不明だから、詳細にわたる改革案の提示は今は可能ではない)ーを行うことが肝要であろう。

各付け会社への財務省の反論

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国債発行の基準についてのトービンの見解

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銀行支援の公的資金注入について

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そのうえで、新古典派経済学の巻き返しにあって経済学の主流派から遠ざけられていたケインズ理論の正当な後継理論として1990年代ころから理論的に体系化されてきた現代貨幣理論(MMT)を正しく発展、応用していくべきだろう。「財政再建が第一」から「国民生活が第一」に世論を正常化させる必要がある。

なお、立憲の新綱領では「健全な日米同盟」を踏まえることになっているが、日本の法体系は最上位に日米地位協定があって、その下に日米安保条約→日本国憲法→条約→法律という構造になっているのが偽らざる現実である。「健全」というのは、日米地位協定のドイツ並みの改定を意味しているのであろうが、それには日米安保条約の破棄を通告するくらいの断固たる決意が必要だ。在日米軍基地は米国の国債軍事戦略の要(かなめ)になっているため、在日米軍基地の閉鎖は米国にとって取り返しのつかない状態になる。そこのところを突くことができる高度な外交力量が必要だ。

デモクラシータイムスの「経産省外交の砂鉄」によると、安倍政権時代は、影の総理と言われた経済産業省出身の今井尚哉(たかや)首相補佐官が中心になって対露、対中外交を進め、北方領土に関しては国後、択捉二島返還は先送りし(事実上は諦め)、歯舞諸島、色丹島の二島返還で北方領土問題をある程度解決する道が出来ていた(https://www.youtube.com/watch?v=J-0Oogvh3Hk)。

安倍政権時代に決裂した北方領土交渉

安倍政権時代に決裂した北方領土交渉

しかし、今井補佐官側とロシア外務省との交渉の中で、ロシア側が「歯舞、色丹」ニ島に米軍基地を建設しないとの約束をトランプ大統領に一筆書いて出して欲しいと言われると、日本側は「それは(日米地位協定=本質は、米国の望む時期と場所に、治外法権地帯としての在日米軍基地を建設することができる、というもの=)のため確約できません」と言わざるを得なかった。このため、ロシア側は怒り、同国の憲法に「領土問題」は存在しないと書き込まれ、北方領土問題は交渉すらできなくなった。

日本の外交は、対米隷属の外務省と多面的外交を追求する経済産業省の二元外交になっており、「新米中露冷戦」が鋭く始まっている現在、二元外交は日本が股咲きになることを意味し、菅政権の最大の弱点になる。同時に、野党政権が仮に出来たとしても股裂きにならないよう、言葉の真の意味での「積極的平和外交」を行っていくことが極めて重要である。

なお、参院議院は現在の与党が制しているため、衆院議院で3分の2の議席を確保しなければ、何も決められなくなる。そこまでは無理かも知れないが、無党派層の琴線に働きかけることの出来る斬新な、財源の裏付けを持った野党連合政権構想を打ち出さない限り、野党側が共闘しても実質的な勝利を収めることは不可能だ。枝野代表率いる立憲首脳部が覚醒しない限り、安倍政権よりも悲惨な事態が続くことになる。菅義偉新首相は、検察・警察を掌握していることが濃厚からだ。

例えば、2015年6月8日、フリージャーナリストの伊藤詩織さんに対する準強姦容疑で、当時の安倍政権に近かったTBSテレビの政治部記者でワシントン支局長であった山口敬之氏に逮捕状が発付されたにもかかわらず、逮捕状の執行直前に警視庁の中村格刑事部長が逮捕状を握り潰した。中村氏はその直前、菅義偉官房長官の秘書官を務めていた。逮捕状の握り潰しは、直接的には現在の菅義偉首相と思われる。安倍首相には森友、加計学園、さくらを見る会前夜祭と多数の刑事事件にすぺき疑惑がある。これらの疑惑を検察疔を動かして握りつぶしてきた人物が当時の菅官房長官、現在の菅首相である。

「夜明け前が一番暗い」と言われるが、そこに突入したようだ。立憲の枝野代表、福山哲郎幹事長が心底、その独裁的体質を反省しない限り、夜が明けることはない。経済政策で一致できない野党では人数だけ膨らませても到底、国民の心には響かない。

※追記:菅義偉新首相の立身出世物語が大手マスコミの話題になり、自民党の支持率が給湯している。総選挙に向けたマスコミの世論操作は既に始まっている。



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