産経新聞社がWebサイトで9月28日午後21時04分に公開した「立民・枝野代表 2年間の消費税0%『選択肢』」と題する記事で、立憲民主党の枝野幸男代表は「新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策として2年間限定で消費税率をゼロに引き下げることも選択肢の一つだとの考えを示した」と報道。野党共闘の共通公約として掲げることも「否定しない」と述べたという。消費税が悪税の最たるものであることを理解してはいないが、野党内の消費税廃止を中心とした税制抜本改革、積極財政派の包囲網が狭まってきたことの表れと思う。れいわ新選組も含む野党の消費税廃止を中心とした税制抜本改革、積極財政派は、これらの経済政策を総選挙での目玉公約として掲げ、枝野代表が経済政策に対する無知・無策を変えなければ、枝野氏を代表の座から引きずり下ろせば良い。
◎追記:9月29日の新型コロナ感染者数は、東京都で午後15時時点で26日以来200人超の212人。重症者は3人減って23人。20代〜30代の感染者は91人。それ以外の世代は57%。やはり、曜日による変化が激しい。下図はhttps://www.fnn.jp/articles/-/61484による。東京都のモニターサイトhttps://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/を見ても、減少傾向に歯止めがかかってきている模様で、感染者の世代も若者中心から全世代へと確認しているようだ。全国では30日午前0時の時点で532人、7人の方が亡くなられた。27日には速報値で1日に8330件のPCR検査が行われており、推測瞬間陽性率は6.4%。世界保健機関(WHO)は最大5%を感染の拡大がある程度抑えられている数値としている。
菅義偉首相は「問題ない」というワン・フレーズで安倍晋三前首相の不祥事を隠してきた最大の「功労者」であるうえ、政権の側近は警察官僚で固められている。しかも、首相官邸人事局を最大限利用して首相に逆らう官僚は排除すると明言。さらに、経済政策のブレーンに小泉純一郎首相(当時、以下同じ)とともに新自由主義政策に基づく緊縮財政路線、利権「構造改革」路線を推し進めてきた学商兼政商の竹中平蔵パソナ会長をブレーンに起用していると見られることから、安倍前首相以上に冷酷非情な日本国憲法と日本経済社会を破壊する政策を強行するだろう(れいわの山本太郎代表が28日夜、後楽園で行った次のゲリラ街宣動画を参照して下さい。https://www.youtube.com/watch?v=m1_dqo6Uy5cの2時間03分頃から)。
安倍善首相が行ってきた以下の悪政策をさらに悪化させた政策を強行するだろう。
このため、財政再建と称する緊縮財政路線で国民の生存権を奪い、日本の経済社会を崩壊させてきた小泉・安倍・菅と続いてきた自公与党政権は、日本国民としては何としても政権交代させなければならない政権である。そのためには野党第一党・立憲の党首である枝野代表が消費税廃止を中心とした税制抜本改革、積極財政路線を鮮明にし、野党共闘の柱にならなければならない。
しかし、過去の民主党時代(当時)に菅直人、野田佳彦政権を支え、消費税率の10%の引き上げや、外資(米国系多国籍企業)に日本を売り渡す環太平洋パートナーシップ(TPP)の成立に「大役」を買ってきたことに対する深い反省がなく、国民が最も願っている生活の再建に必要な経済政策に対しても無知・無策だ。しかし、立憲内部のベテラン、中堅、若手国会議員や日本共産党、社民党、れいわ新選組のほか、市民連合、反主流派の経済専門家たちがが消費税廃止を中心とした税制抜本改革、積極財政路線を強く主張していることから、その包囲網が狭まってきていると見られ、産経新聞社との今回のインタビュー発言になったものと思われる。
インタビュー記事を引用させて頂く。
===========================================================
立憲民主党の枝野幸男代表は28日、産経新聞のインタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策として2年間限定で消費税率をゼロに引き下げることも選択肢の一つだとの考えを示した。「一種のショック療法なので、選択肢としては否定すべきではない。せいぜい2年までだ」と述べた。消費税減税をめぐっては、野党内で次期衆院選の共通公約に掲げるべきだとの主張がある。枝野氏は「掲げること自体、否定しないが、国民にとってもメインのテーマにはなり得ないのではないか」と述べた。消費喚起策としては、年収1千万円以下の中間層に対する時限的な所得税減税の方が有効だとも主張した。
===========================================================
消費税増税の強行は、①コストプッシュ・インフレーションを引き起こし、国民の実質賃金を大幅に低下させてきた②国内総生産の6割を占める民間家計消費支出を冷え込ませたことから、設備投資にも展望がなくなり、設備投資をも冷え込ませてきた②代理納税者である中小企業は、赤字企業でも納税しなければならず、多くの中小企業の重荷になり、消費税滞納倒産も引き起こしてきた③非正規労働者の中核である派遣労働者の労働サービスは代理納税すべき消費税額の控除対象になるので、正規社員を減少させる役割を果たしてきた④20年間に及ぶ長期デフレ不況を引き起こし、名目ならびに実質の経済成長をストップさせてきたーことなど、最悪の事態をもたらした。
なお、社会保障の財源と宣伝されてきた消費税は主として、①富裕層の所得・資産税減税②法人税減税③国債費ーに使われ、社会保障はむしろ超少子・超高齢化の今日、必要不可欠だが、何の対策も取られないまま伸び率が抑制されてきた。
こうした事情に、枝野代表は民主党政権時代の失政を反省しないため、無知でいるか、あるいは目をそらし、国民が求めている経済政策には無頓着を続けてきたと思われる。ただし、既に述べたように、消費税廃止を中心とした税制抜本改革、積極財政路線派の力が強まり、その包囲網が狭まってきていると見られ、既に信用させて頂いた産経新聞社とのインタビュー発言になったものと思われる。
消費税廃止を中心とした税制抜本改革、積極財政路線派の中心人物はれいわの山本代表であるが、枝野代表の本気度が疑われ、また、れいわからの衆院議員の当選を抑制する狙いがあるとしても、菅政権がこのまま続けば、日本が悲惨な状態に陥ることは必至だ。山本代表は心の底流においては信念を貫きつつも、政治の駆け引きにも長けるべきだ。なお、山本代表がゲリラ街宣演説で訴える国債(新発赤字国債、建設国債)の発行には、2020年度に特例公債発行法が切れることから、2021年度以降は新たな国債発行案の制定・成立が必要になる。しかし、参院議院は自公与党が制しているため、なかなか難しい面がある。
これに対しては、日銀に引き受けさせることができる割引国債の一種である国庫短期負担証券(償還期限の最長は1年)がある。これを使えば良いだろう。ただし、新発国債であることには変わりがない。新発国債の発行に当たっては、インフレ率のコントロールが極めて重要な課題になる。また、日本の外貨準備高はなお世界第二位の水準だが、為替相場は究極的には各国のインフレ率によって定まる。この点については、中央政府と日銀を合わせた統合政府による通貨発行権について、現代貨幣理論(MMT)に基づいて、さらに突っ込んだ解説を行っていくつもりです。
なお、菅政権は、①新型コロナウイルス感染推進に舵を切ったことから、10月に入ってコロナ第3派が襲ってくれば、解散・総選挙戦略に狂いが生じる公算が出てくる②自らの国家像を持たず、ワンフレーズ発言しかできない菅首相では国会での野党の論戦での追及をかわせるか、不安がつきまとう③警察官僚を側近に置いており、輸出相手国として需要な中国・韓国との包括的平和外交を推進する能力がない。ロシア・北朝鮮との外交交渉にも不安が残り、政権のスポンサーである日本経団連(経済産業省を支配。日本の外交は対米隷属の外務省と金儲けのために全方位外交を狙う経済産業省とが二元外交を行っている)との間に摩擦が生じる可能性がある(https://www.youtube.com/watch?v=vwM-oViW4goでの元外務省国債情報局長、イラン大使を歴任された外交評論家の孫崎受東アジア共同体研究所理事長の発言を参照)ーなどが不安視されている。
なお、菅首相が上川陽子元法相を法相に再起用、記者会見時に上川法相が「検察官人事法案の再提出」を表明したのは、首相の腹心である河井克行元法相の公判との関連がある(林真琴検事総長=法務省刑事局長時に法務次官への就任を上川法相(当時)に止めさせられた=に圧力をかける狙いがある)と見られている。河井被告は弁護団を全員解任している。選挙民に香典を配った問題で経産相を辞任しその後、不起訴処分になったため、検察審査会で審査中の菅原一秀衆院議員も菅官房長官(当時)人事だと言われている。。