11月15日日曜日段階の首都圏のコロナ感染状況と強力な「野党共闘体制」の必要性ーRCEP参加国署名

厚生労働省が定めた新型コロナウイルスの感染状況については、4つのステージに分かれる。その中でステージ3は「感染者急増」、4は「爆発的感染急増」の段階だ。東京新聞では毎日、東京を中心に首都圏のコロナ感染状況を厚労省の基準を基にまとめているが、病床使用率、重症者用病床使用率、10万人当たり療養者数ではステージ3の段階、感染経路不明率ではステージ4の都県が出てきている。全国の新規感染者が連日過去最多を記録している状況下では、ステージ3の段階で対象都道府県を除外すべきだ(サイト管理者(筆者)はGo To トラベル自体を廃止すべきと思う)ところだが、コロナ対策の政府の実務上の責任者である西村康稔経済再生相はGo To トラベルの利用は国民の判断として、菅義偉政権はすべて「自己責任原則を繰り返すだけで、政府としての責任を果たしていない。「ウイズコロナ政策」と呼ばれる「政策」は政策の名に値しない。

11月15日日曜日コロナ感染状況

本日1115日日曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では午後15時の速報値で新規感染確認者は1週間前の8日日曜日の189人より66人多い255人(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)、重症者は3人減の38人だった。日曜日、月曜日はPCR検査検査数が減少する関係からかなり減少する傾向が続いていたが、本日は250人を超えた。東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は305.9人、PCR検査人数は4583.9人だから、陽性率は6.67%。東京都独自の計算方式でも5.7%。感染者のうち感染経路不明率は55.77%だった。7移動平均では300人を超えた。
全国では午後23時59分の段階で1441人の新規感染者(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/?utm_int=detail_contents_news-link_002)と7人の死亡者が確認されている。このうち、大阪府は過去2番目の266人だった。
東洋ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、11月14日時点の実効再生産数は全国が前日比0.01人増加して1.39人、東京都でも前日比0.01人減少して1.37人になった。明日16日は月曜日だが、毎週月曜日は3日前のPCR検査が少ないため、週のうちでも感染者が最も少なくなる曜日だ。

【追記:11月15日午後15時】東アジア地域包括的経済連携(Regional Comprehensive Economic Partnership、略称:RCEP、アールセップ、域内包括的経済連携)が日本時間11月15日交渉参加交渉国の間で署名された。RCEPは、ASEAN加盟10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)とそのFTAパートナー5カ国(オーストラリア、中国、日本、ニュージーランド、韓国)の間で提案されているアジア太平洋地域の自由貿易協定で、世界人口の3割、総国内生産でも3割を占める自由貿易圏。ASEAN10カ国が主導し、連携協定の締結が模索されていた。15カ国の交渉参加国は連携協定の内容で合意し、署名式が行われた。参加国では条約としての国会(議会)での批准が必要になる。

名称からして米国の入る余地はないが、バイデン陣営の対応は現在、不明。新しい時代の幕開けの象徴になる可能性がある。なお、TPPの規模が小さいのは米国が参加していないため。トランプ政権は日米FTA(2国間自由貿易協定)でTPP以上に厳しい協定の締結を要求してきたが、軍産複合体と多多国籍企業を権力の背後に持つバイデン氏が正式に大統領に就任した場合でも、日本に対する締め付けは普遍だ。

各種メディアの報道によると、立憲民主党の枝野幸男代表は仙台市で14日、記者団に対して西村経済担当相の発言に怒りを込めて、「完全に政府の役割と責任を放棄した発言だ。責任を果たすつもりがないなら、一刻も早く政権をこちらの手に渡してほしい」と述べた。それはある程度妥当な発言であるが、日本学術会議会員任命拒否問題に象徴されるように、菅義偉首相の意向に逆らうものは許さないという、秘密警察を使った独裁的全体主義国家の樹立を目指す菅政権の不当性を糾弾する発言としては弱い。本サイトでいつも述べていることだが、立憲民主党は日本共産党やれいわ新選組、社民党(党首1人になったが、各種世論調査での支持率は安定している)とともに強力な「野党共闘体制」を構築し、➀共生主義の明確な理念の提示②消費税率の引き下げ、積極財政を中心とした新自由主義とは真逆の政策体系(異次元の積極財政政策が柱になる)③明確な野党連合政権構想ーを打ち出すべきだ。下図は東京Web(https://www.tokyo-np.co.jp/article/68417/)による。

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さて、厚生労働省が発表しているコロナ感染状況のステージは下図の通りだが、数値が明確でない。数値を明確にしたステージはその下に図示している。

これに対して、東京新聞が15日付で報道した首都圏のコロナ感染状況は次のようになっている。数値は曜日ごとに変動するから、1週間前の5、6、7日と比較している。背景色が青の数値はステージ3、太線の赤色はステージ4。

14日
感染者数
病床使用率 重症者
病床使用率
経路感染
不明率
療養者数
(10万人)
週間感染者数
(10万人)
陽性率
東 京 352人 34%(7日)

45%(14日)
24%27% 57%56% 14.2人↑19.0人 9.6人↑14.8人 6日4.6%

13日5.7人
神奈川 147人 42%(6日)

51%(13日)
33%41% 44%↑52% 6.5人↑9.5人 5.2人↑8.4人 5日4.5%

12日6.5%
埼 玉 104人 27%(6日)

38%(13日)
7%↑9% 31%↑41% 6.8人↑9.6人 3.4人↑7.3人 5日2.6%

13日3.7%
千 葉 88人 27%(6日)

34%(13日)
15%→15% 43%↑48% 5.6人↑6.1人 4.0人↑7.9人 4日3.7%

11日5.2%

これを見ると、首都圏の病床使用率は首都圏すべてでステージ3の段階。重症者の病床使用率も東京都、神奈川県でステージ3。感染経路不明者は東京都、神奈川県でステージ4。各都道府県では人口、医療供給体制に差があるから、地方自治体ごとにステージが異なる。しかし、首都圏はおおむね、厚労省の基準に従った方が実態をつかみやすい。陽性率に関しては、日本のPCR検査人数(件数)が世界ランキングて150位ほどのレベルに属しているから、実態はこれより悪い可能性が濃厚だ。PCR検査数(件)が少ないため、感染者が少なく、陽性率も低くなりすぎている感が強い。Go To トラベル政策はもう止め、そのための予算は医療機関体制強化に回すべきだ。

また、東京都や神奈川県で感染経路不明者の割合が東京都や神奈川県でステージ4に達しているため、従来の点から線をたどる「クラスター対策」では限界だ。感染震源地帯(エピセンター)ごとに全員検査(面での検査)を行い、感染拡大の温床になっている無症状感染者を早期に発見し、保護・隔離・適切な「医療体制が整った場所」で適切な医療措置を受けられるようにすべきだ。感染爆発(オーバーシュート)の段階になってから、Go To トラベルを止めても意味がない。

また、この図表には最も重要な実効再生産数(1人の無症状感染者が感染を拡大する人数)が示されていない。これについては、東洋経済ONLINEが全国の都道府県のデータを下に、簡易的な実行再生産数を調べている(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)。都道府県のデータの制約のために、1日前のデータが最新のデータになるが、11月13日の実効再生産数は次のように1.42人になっている。

実効再生産数が1.0以上であると、感染者数は指数関数的に増えていく。11月13日時点では、1.42だ。その徴候が連日の全国の感染者数の最多更新だ。放置しておけば、完全に指数関数的に増加してしまう。しかも、夏から秋にかけての第2波の場合は、比較的重症化しにくい20代〜30代の若者だったが、今回は50代または60代以上の高齢者の割合が多くなっている。それに伴って、コロナ感染患者の重症化、死亡化の割合が高くなることが予想される。

日本医師会では東京都の今後の感染状況をかなり厳しく見ている(https://www.news24.jp/articles/2020/11/10/07758970.html)。また、政府系の機関紙とも揶揄される産経新聞系のフジテレビ(実態はその逆)は4週間後には東京都の感染者は1千人を超えるとの報道を行い出している(https://www.fnn.jp/articles/-/106816)。コロナ感染者の拡大が濃厚になっていることについては実効再生産が1.4を上回っていることから、その公算は大きいと思う。

東京都町
東京都町

しかし、東京都などでこれを防止する対策は何もしない。相変わらず点と線を追跡する「クラスター対策」で凝り固まっている。東京都医師会の危機意識は別として、何もしないで「集団免疫獲得路線」を採っているとの噂もある。現時点でのコロナ感染者の死亡率は1.61%。集団免疫獲得路線を採用するとした場合は、日本の人口の50%が感染しなければならないから、少なくとも12000万人×50%×1.61%=96万6千人と100万人近くの犠牲者を覚悟しなければならなくなる。また、政府=菅政権はコロナに対するワクチンにすがっているような面もあるが、これにも過大な期待は禁物だ。東京新聞も11月12日付2面大きく取り扱っている。本サイトの次の記事を参考にして下さい。

コロナ感染によ健康被害と経済への悪影響を阻止するためには、「ウイズコロナ対策」では事態の悪循環を招くだけだ。有効な抗ウイルス薬の開発に対して政府が十分な財政支援を行うとともに、十分な第3相の治験を行い、まずは安全性を最優先しながら有効性の確認の取れた対コロナワクチンの開発が必要だ(ただし、開発は極めて難しいとされる)。取りあえずはPCR検査、抗体検査を徹底して実行しない政府=菅政権の「クラスター対策」という名の感染拡大には役に立たないコロナ禍対策を抜本的に転換し、大規模検査を徹底的に実施し、十分な休業補償を行う「ウイザウトコロナ」対策への抜本転換が必要だ。

PCR検査がまともに行われていないことを示す日本共産党の志位和夫委員長
PCR検査がまともに行われていないことを示す日本共産党の志位和夫委員長

なお、次の問題も考慮しなければならない。

  1. 政府=菅政権が生半可なワクチンに期待しているのは東京オリンピックの強行開催のためである。菅首相は「無観客」でも東京オリンピックを強行開催するとのことだが、そんなことが可能なのか。また、東京オリンピックの大会出場権を得た選手・団体は50%程度であり、欧米ではコロナ第二波のための予選大会さえ実施できない競技種目もある。予選大会とオリンピック大会出場のためには数カ月のアスリートの調整が居る。また、文部科学相から偏差値が高く有名な某私立大学では来夏のオリンピックのためのボランティア=学徒動員のためのカリキュラムを変更しても良いという指示を受けたとの情報も出ている。本日15日にトーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)が来日し、菅首相らと懇談する予定だが、「オリンピックの中止」については議題にしないとしている。これは問題ではないか。
  2. 日本学術会議任命拒否問題については、国民の間に危機感の共有が見られなくなってきた。なってきた。ドイツのマルティン・ニーメラー牧師の次の言葉「ナチスが共産主義者を攻撃し始めたとき、私は声をあげなかった。なぜなら私は共産主義者ではなかったから。次に社会民主主義者が投獄されたとき、私はやはり抗議しなかった。なぜなら私は社会民主主義者ではなかったから。労働組合員たちが攻撃されたときも、私は沈黙していた。だって労働組合員ではなかったから。そして、彼らが私を攻撃したとき、私のために声をあげる人は一人もいなかった」を共有する必要がある。それとともに、時事通信社の最新の世論調査(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020111300810&g=pol)では、任命拒否については「妥当だ」25.3%、「妥当ではない」36.7%で、「どちらとも言えない・分からない」38.0%となっているから、日本学術会議側が政府=すが政権に対して徹底的に抗戦するという点で、腹がすわっていない、または、腰が引けている艦は否めない。




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