東京オリ/パラ選手へのワクチン優先接種方針と日米首脳会談でワクチン提供の可能性

共同通信が4月7日、政府=菅義偉政権が東京オリンピック/パラリンピックに「参加予定」の日本人選手団に優先的にコロナ用のワクチンを接種する方針だと発表したことで、政府=菅政権のコロナ禍対策(特に国民の生命・健康を守ること)より「オリ/パラ」優先姿勢にSNSなどで批判が沸騰している。しかし、最終的には方針を貫く可能性が濃厚だ。

4月10日コロナ感染状況
複数のメディアによると本日4月10日土曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の4月3日土曜日の446人から124人増加して、4日連続の500人超えの570人になった。緊急事態宣言語では最多。東京都基準の重症者は前日より6人減って37人になった。7日移動平均では458.6人になり、前週土曜日比119.5%になった。年代別では、20代が162人と最多で10歳未満が18人、10代が36人と20歳未満も54人だった
全国では午後23時59分時点で新規感染者が3697人、死亡者が27人、重症者が前日比28人増えて511人になっている。東京都の死亡者は5人、大阪府の死亡者は7人になった。
変異株感染者が20歳未満の未成年者にも広がり始めており、連れて家庭内での二次感染が拡大することが懸念されることから、首都圏、関西圏を中心に対策が早急に必要だ。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、4月9日時点の実効再生産数は全国が前日比0.01人減の1.20人、東京都は同じく4月9日時点で前日比0.01人増の1.11人だった。このところ、増加・減少傾向なのか識別できない状況が続いているが、新規感染の幾何級数的増加につながる1.0人は超えている。
※グラフにマウスのカーソルを当てると、当日の実行再生産数が表示されます。

共同通信が配信した報道記事は次の内容だ。ヤフーニュースが配信を受け、「政府、五輪、パラ選手への優先接種検討」て伝えている(https://news.yahoo.co.jp/articles/eb8f8d8672affc84f65275534c8ea3fdb405bf5b)。

政府は東京五輪・パラリンピックに出場する日本代表選手を対象に、新型コロナウイルスワクチンの優先接種を可能とする方向で検討に入った。政府関係者が7日、明らかにした。五輪選手については6月下旬までに2回の接種を終わらせる日程を想定している。

ロイター通信も共同電をもとに次のように報道している(https://jp.reuters.com/article/idJP2021040701002613)。

(前略、ヤフーニュースと同じ)近く日本オリンピック委員会(JOC)や日本パラリンピック委員会(JPC)などとの調整を本格化させる見通しだ。政府はワクチンの優先接種の順位を、医療従事者、高齢者、持病のある人と定めている。五輪選手に接種する場合、今月12日から開始する高齢者分が終了する前に接種を開始することになりそうだ。

厚生労働省はコロナ用ワクチンの接種順序として、➀医療従事者等②高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)③高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方➃それ以外の方ーを予定している(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00218.html)。現在、日本で承認されているのは米国のファイザー社がドイツのベンチャー企業・ビオンテック社と共同開発した新型ワクチンのmRNA型ワクチン。

しかし、厚労省がファイザー社の日本子会社と交渉するなどの不手際を行ったことや新型ワクチンひと瓶全量を接種できる注射器がないなどのため現在のところ、入手できるワクチン量が極めて限られている。厚労省が基礎自治体向けに配った4回目の説明資料にはつぎのように入荷見込み状況が説明されている(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000752530.pdf)。

 

これを見ると、「6月末まで高齢者約3600万人の2回接種分を配布できる量を(基礎自治体に)供給(できる)見込み」としか記載されていない。「見込み」としか記載していないため、確定的ではない。医療従事者の接種状況もはっきりしない。田村憲久厚労相は9日の記者会見で6月末までに全高齢者分のワクチンを入手できると語ったが、ワクチン担当大臣は河野太郎行革相。両大臣の「覇権争い」は有名で、今後の状況を見守る必要がある(https://news.yahoo.co.jp/articles/8354849bf1c0928c011bc5400afcb9f0b875c6eb)。

医療従事者へのワクチン接種も完了していない。厚生労働省によると「最初に想定していた370万人の1回目接種分は4月中に供給する見込み(ですが)、対象者が480万人となると見込んでも2回接種分を5月前半に供給を完了する見込み」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_iryoujuujisha.html)だが、朝日デジタルによると「4日までに延べ109万6698人が受けた」(https://digital.asahi.com/articles/ASP4B2SQ7P49ULBJ00X.html?iref=comtop_7_02)段階だ。医師の上昌広氏が理事長を務めるNPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師によると、状況は次のようだ(https://news.yahoo.co.jp/articles/8d5490907f8194a56ef91f2284e817b2cc7ae02f?page=1、AERO dot.の配信記事)。

「実は(私=山本佳奈医師=は)新型コロナウイルスワクチン、接種していないんですよ……」

新型コロナウイルスワクチンを接種するかどうか迷っている患者さんから、「先生は接種されましたか?」と聞かれることが増えてきた今日この頃。まだワクチンを接種できていないこと、接種する予定もまだはっきりしていないことを伝えると、患者さんは皆、目を丸くして驚かれます。

2月17日から接種後の健康状況調査を行う対象となっている、国立病院機構・地域医療機能推進機構(JCHO)・労働者健康安全機構(労災病院)の病院に勤務する医療従事者を対象に新型コロナウイルスワクチンの接種が開始されているものの、どういう順番で配布がなされているかなど、詳細な情報開示は不十分だと言わざるを得ません。また、厚生労働省によると「一般の医療従事者の接種は、3月上旬から順次進められています。ワクチンは3月から5月に段階的に供給され、接種が進められる見込みです」とありますが、クリニックに勤務している私がいつ接種を受けられるのか、全く目処が立っていないというのが現状です。(以下、略)。

山本医師は来院患者さんからワクチン接種の相談を受ける際にいつも、「先生は接種されたのですか」と問われ、答えに困っていると言う。真っ先に接種予定の医療従事者や高齢者の接種スケジュールは決められていない。要するに、ファイザー社製の新型mRNAが安全かつ有効にしても、日本政府=菅政権が入手できる見通しは不透明だ。また、今年2021年6月にも承認予定で、6000万回分の入手を予定している英国のアストラゼネカ社製のウイルス・ベクター型ワクチン(ヒトに対して病原性のない、または弱毒性のウイルスを組み込んだベクター=遺伝子の運び手=を注射器で投与し、ヒトの体内で免疫力を獲得させる抗体を作らせるタイプのワクチン)は、欧州連盟のヨーロッパ医薬品庁=EMA=が、接種後に確認され、少なくない死亡者が出た原因になった血栓との関連性はある、とする調査結果を発表した。

このため、接種を高齢者に限定するなど、欧州諸国ではアストラゼネカ社のワクチンは接種に慎重になっている。欧州諸国の国民としては、アストラゼネカ社のワクチン接種を嫌うようになる可能性が高くなるだろう。同じことは日本でも言える。なお、日本国民にはワクチンの選択権はない。となると、ワクチンの接種スケジュールに大幅な狂いが生じてくることになる。

そこで、日本人のオリンピック選手団にファイザー社製のワクチンを優先して接種することに対して、SNSなどで強い反発が出ていわけだ。朝日デジタルは、4月9日19時25分に投稿・公開した「五輪選手に優先接種報道、広がる批判 政府の反応は?」と題する報道記事(https://digital.asahi.com/articles/ASP49652VP49ULFA01M.html?iref=comtop_7_04)で、次のような意味ありげな報道を行っている。

(前略)スポーツ庁によると、大会に出場する日本人選手は、現時点で五輪が約600人、パラリンピックが約250人と想定されている。一方、ワクチンの接種をめぐっては、確保が難航していることから、接種計画は綱渡りになっている。2月17日から医療従事者(約470万人)向けで始まり、ようやく12日からは65歳以上の高齢者(約3600万人)に対象が広がる。今後、基礎疾患のある人(約1030万人)なども控えており、政府は段階的に対象者を広げていく方針だ。(中略)

翌9日、丸川珠代五輪相は閣議後会見で「こういう報道が出たことは大変不思議」としたうえで、「これから先も具体的な検討を行う予定がない」「今のところワクチンを前提としない大会という準備をしている」などと語った。こちらも「具体的な予定がない」「今のところ」などという言い回しだった。

政府は今後、優先接種を検討しないのか。官邸幹部はこう漏らす。「海外から来る選手と組んずほぐれつする競技もある。そこは配慮してあげてもいいんじゃないか」

「組んず解れつ(くんずほぐれつ)」というのは、柔道などのように取っ組み合ったり離れたりして、激しく争うような競技では避けられない競技方法を意味する。このため、最終的には、オリンピック選手団に6月下旬まで優先接種を行うことに決めているのだろう。抗体ができるまで、2周間程度かかる。東京オリンピック/パラリンピック開催で暗躍している電通の大株主の共同通信が報道したことから、思惑があって世論操作を行っていることも考えられる。

具体的には、4月16日に米国で予定されている日米首脳会談で、バイデン大統領が菅首相に対してファイザー社製の新型mRNAワクチンを大量供給することで、東京オリンピック/パラリンピック開催を「全面的に支持」すると表明することだ。その見返りに、日本は「対中集団安全保障体制」という名の実質的な軍事同盟に参加することを約束する、という内容だ。また、北京での冬季オリンピック大会を実質的にボイコットすることも約束させられる。

そうした約束が交わされた場合は、国内にオリ/パラ開催反対の声が高まっていることを利用し、訪米後の第4波の規模によっては「東京オリンピック/パラリンピック開催の是非を問う」という大義名分で解散・総選挙に打って出るという可能性も考えられる。次のロイター電は「首相訪米でワクチン大量確保の成果も 早期解散・株高へ」と題する株式アナリストのコラムを流している(https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-japan-vaccines-idJPKBN2BW02K)。

バイデン大統領は対面で会う初めての外国首脳として菅首相を選んだ。菅氏を厚遇で迎え、場合によっては日本への大量のワクチン優先提供に応じる可能性もありうる。

訪米の成果が首相の支持率回復につながれば、世論次第で解散に踏み切る現実味も増す。その場合、日経平均は3万3000円に上昇する大きな株高インパクトが期待できそうだ。今月16日にワシントンで行われる日米首脳会談は、新型コロナウイルスへの対応などで支持率が伸び悩んでいる菅義偉首相にとって、さまざまな追い風が吹き始める契機になるだろう。(以下、略)

ただし、ファイザー社製のワクチンが関西圏、首都圏を中心に現在の日本で起こっている変異株(N501Y型やE484K型、その他の変異株)に対して有効かどうかは定かではない。また、変異株による感染が急拡大した場合に、ファイザー社製の新型mRNAワクチンの早期入荷・接種で耐えられるかどうかも不明である。

NHKのWebサイト(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/)では、新型ワクチンの接種が最も進んでいるイスラエルや英国の新規感染者は大幅に減少している。ただし、ドイツやフランス、イタリアなど欧州各国では変異株による新しい波に襲われ、接種率が米国や英国ほど高くはないことも原因とはされているが、都市封鎖(ロックダウン)を余儀なくされている。米国では一時に比べて大幅に減少しているが、やや下げ止まりの兆しも出て来ている。

米国の新型コロナ感染状況

米国の新型コロナ感染状況

在米ジャーナリストの飯塚真紀子氏によると、2021年2月以降、米国西海岸でウエストコースト変異株”(CAL.20C)と呼ばれる感染力と重症化力、ワクチン体制の強い新たな変異株の感染拡大が懸念されているという(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/80235)。東大先端研所属で遺伝子工学に詳しい児玉龍彦東大名誉教授(医学博士)によると、➀新型mRNAワクチンの有効性は非常に高い②変異株は自壊しやすいが最後の段階で「狂暴な変異株」が出現することに警戒が必要だ③変異株のもとになる「幹株」対策を徹底的に行う必要があるーと指摘されている(https://www.youtube.com/watch?v=fRhdKsB2pkM&list=PLtvuS8Y1umY9sfiqMlek4Bg2D_e2naby3)。

変異株と幹株

変異株と幹株

加えて、植草一秀氏がメールマガジン第2888号「コロナ大失政菅内閣にさよなら」で指摘した次の重要な問題提起もある。

今回のコロナワクチンは遺伝子ワクチン。DNA(注:ファイザー社の場合はメッセンジャーRNA)を人に筋肉注射することで筋肉細胞がコロナの抗原を合成する。この抗原に対して白血球が抗体を作成し防御体制の免疫が確立されるというもの。

抗原を接種するのではなく、精製したウィルスの遺伝子を直接接種して、人の体内で抗原と抗体の両方を作らせる方法。体内で合成された抗原が人体に悪影響を及ぼす恐れ。体内に直接、異質の遺伝子を打つことのリスク。これまでDNA・RNAワクチンは承認されてこなかった。初めての種類のワクチンである。人間の遺伝子組み換えにもつながる側面を有している。その安全性は未知の領域。

接種直後だけでなく、数年後の影響をも考慮することが求められる。

現在のところ、ファイザー社製のワクチンには激しいアナフィラキシーショックしか伝えられていない(ただし、2回目の接種の際に高熱や強い倦怠感が生じ、接種休暇が必要とされている)が本来、ワクチンの開発には5年から10年を要すると言われているので、長い目で見る必要はあるだろう。

【追記】「ワクチン接種のメリットはワクチン接種のメリット上回る」と流布されているが、「誰にとって」かという主語が不明だ。基礎疾患を持つ国民や高齢者の方には、新型コロナに感染すると重症化しやすく、亡くなられる場合も少なくない。その意味では、「ワクチン接種のメリットはワクチン接種のメリットを上回る」だろう。ただし、そういう国民の皆様でもかかりつけ医や主治医に相談しなければならない。

しかし、日本では中年以下の国民の死亡率はかなり低いと見られる。新型コロナに感染しても重篤化する確率は極めて低く、保護・隔離・抗ウイルス薬による治療で退院できる確率は高いし、実際に退院された患者も多数存在する。その場合は、ワクチンを接種する合理的な理由は存在しない。英国のアストラゼネカ社がオックスフォード大学と共同で開発したウイルス・ベクター型のワクチンの接種では、比較的若い方に脳に「血栓」が生じて亡くなられた方が少なくない(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210410/k10012966931000.html)。この場合はワクチン接種の合理的な理由が存在しなかったことになる。

主語なしの「ワクチン接種のメリットはワクチン接種のメリット上回る」という文言は、「大多数の国民のワクチン接種で社会が集団免疫を獲得できるメリットが、少数の国民が被るデメリットより大きい」ということを意味するだろう。しかし、「少数の国民が被るデメリット(犠牲)」を無視することはできない。厚労省ではワクチン接種で健康被害に遭った場合には、死亡見舞金や葬式代、死亡にまで至らない健康被害が生じた場合は治療費を支給するとしているが、ワクチン接種現場の医師と厚労省が救済措置発動の決定権を持つ。ワクチン接種の判断は最終的に国民自身に委ねられているから、政府=菅政権(厚労省)は本来なら、正確な情報を周知し、マスコミが正確に報道することが大切だ。

なお、菅首相はディープ・ステート(闇の帝国:軍産複合体と多国籍金融資本)の傘下にあるバイデン大統領が大量のワクチン提供を約束する場合に、対中軍事同盟への深い関与のほか、来年2022年に北京で開催される冬季オリンピックへのボイコットも強要されるだろう。経済レベルでは、韓国と同じように中国経済は日本経済とは切っても切れない関係を持っている。

中国が経済発展を遂げたのは、中国の改革・解放路線に呼応して、日本政府が多額の資金援助などの経済支援を行い、民間でも日本企業が直接投資、技術協力を行ってきたことによるところが大きい。その過程で、日中経済関係は次第に深まっていった。日本が、米国の思惑通りに動けば、中国からの報復も覚悟しなければならない。菅首相の訪米には重大な注意が必要だ。


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