昨日5月8日の日本の新型コロナ感染状況は、全国各地で過去最多になり、第3波時の1月16日以来7000人を超える7249人になった。死亡者は86人、重症者は1131人と極めて厳しい事態になっている。こうした状況は4月25日に発出され、今月末(5月31日)までに延長された「緊急事態宣言」の効果がなかったことを示している。感染力が強く症状悪化力(毒性)の強い英国型変異株「N501Y」の市中感染が全国化したためだが、「N501Y」の上を行くのがマスコミで感染状況の悲惨さが伝えられるインドの「二重変異株」だ。政府=菅義偉政権の「水際対策」が「ざる」のようになっているため、二重変異株は既に日本国内に上陸している。最悪の場合は、米紙「ニューヨーク・タイムス」と「ワシントン・ポスト」が警告しているように、「ぼったくり貴族=銭ゲバ貴族」の正体を表した国際オリンピック委員会(IOC)と結託した「オリンピック利権ムラ」によって、オリ/パラが「一大感染イベント」になることだ。日本の国民とアスリートの生命・健康を守るためには、オリ/パラの中止は当然のことだが、そのカギを握るのは「小池百合子都知事の乱」。だが、その成功の可能性は極めて低い。野党、特に立憲民主党がオリ/パラ中止を党議決定したうえで、小池都知事を支持するという「ウルトラD」の難度の極めて高い「奇策」しかないためだ。ただし、季節要因から5月から6月が第4波のピークになることもあり得るから、野党側はそのことを前提にした「政策連合」を形成する必要もある。
5月9日日曜日のコロナ感染状況
複数のメディアによると5月9日日曜日の東京都の新型コロナウイルスの感染者数は前週日曜日比153人増で今回の緊急事態宣言の日曜日としては初の1000人台の1032人、死亡者数は3人、重症患者は73人となった。7日移動平均では798.4人になり、前週比95.8%になった。
全国では午後23時59分時点で6493人が新規感染、64人が亡くなられ、重症者は1144人と過去最多になっている。
ただし、「現代の緒方洪庵=江戸時代末期の蘭学者=」とも呼ばれるNPO法人・医療ガバナンス研究所の上昌広理事長兼臨床医師によると、緊急事態宣言の効果ではなく季節的要因から、2021年の今年は5月から6月(昨年2020年は7月から8月)にかけてコロナ型ウイルスの感染者は一応のピークをつけて、その後は減少傾向に転じるという(https://www.youtube.com/watch?v=BOch7T-mB3c)。例えば、ワクチン接種が比較的少ないドイツやフランス、新規感染者数がピークから減少傾向に転じている。アジア・中東でもその傾向が出始めている。
コロナ感染の波は、➀季節性要因②変異株要因ーによって基本が定まり、波の振幅は人口移動要因によって定まる。季節性要因が変異株要因を上回れば東京オリンピック/パラリンピックは開催される可能性が強くなる。ただし、【追記】変異株要因が強ければ、第4波が収束しないうちに秋から冬にかけて第5波が起きることも覚悟しておかなければならないから、オリ/パラは中止を余儀なくされる可能性も否定できない。その前にコロナ禍対策を抜本転換しておかなくてはならない(後述)。
インドで発見された「二重変異株」とアジア人の白血球の型
上記を前提にして、変異株要因について述べたい。インドで発見された「二重変異株」がインドで猛威を振るっていることは、各種マスコミで報道されている通りだ。共同通信が配信した記事から引用されていただきたい(https://www.tokyo-np.co.jp/article/102978)。
【ニューデリー共同】インド政府は8日、新型コロナウイルス感染者の1日当たりの死者が4187人になったと発表した。4千人を超えるのはインドでは初めて。1日当たりの感染確認も3日連続で40万人を超え、感染拡大が止まらない。保健当局は5日の記者会見で最近1カ月半の感染状況について、感染力が強いとされる英国型変異株の割合が減少し、インドで最初に見つかった二重変異株が増えていると明らかにした。
インド由来の二重変異株はB.1.617と呼ばれているが、ヤフー・ニュースの次の記事(https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210425-00234435/)に詳しい。
B.1.617には、アミノ酸に変化をもたらす13の変異があります。B.1.617は報道では”二重変異株”と呼ばれています。これは、スパイク蛋白のE484QとL452Rという2つの変異を指すものですが、なぜ二重変異と呼ばれているのでしょうか。「E484Q」はスパイク蛋白の484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からQ(グルタミン)に置き換わったことを指す変異です。
これまでに知られていたスパイク蛋白484番目の変異は「E484K」という「免疫逃避」と呼ばれるものでした。「E484K」は南アフリカ由来の変異株501Y.V2、ブラジル由来の変異株P.1などが持つ変異であり、新型コロナワクチンの有効性の低下、再感染のリスク増加が懸念されています。一方、このB.1.617の持つ「E484Q」に関しては、免疫逃避に関与しているかどうかのエビデンスは限られています。(ただし)実験室レベルでは、新型コロナに感染した人が持つ中和抗体による中和活性(注:ウイルスを攻撃してヒトの正常細胞に害を与えることを阻止する力)が低下したことが報告されています。
もう一つの「L452R」という変異は、カリフォルニア変異株と呼ばれるB.1.429(またはCAL.20C)という変異株などが持つ変異です。この変異は、新型コロナに感染した人が持つ中和抗体の中和活性低下や、実験室でのいくつかのモノクローナル抗体によるウイルスの中和が弱くなることと関連しているとされており、ワクチンの効果低下が懸念されています。また、この「L452R変異」が感染性の増加と関連しているとする報告もあります。
日本人にとっては、この「L452R」という変異に重大な問題が指摘されている。順を追って説明させていただくと、血液の中には白血球があることは周知の通りだ。血液の工場である骨髄(こつずい)中で作られ、 ヒトの細胞を攻撃する細菌、ウイルスを撃退して、ヒトを守る。このメカニズムについては、ヒトの免疫力の研究を行っているユーグレナ ヘルスケア・ラボが運営する次のサイトで分かりやすい説明がなされています(https://www.euglab.jp/column/immunity/000397.html)。
白血球は成人で1マイクロ・リットル当たり8000個ほどあるが、骨髄の中にある白血球を「製造」する幹細胞に異常が起こり、この白血球が異常増殖して逆にヒトの正常細胞を攻撃する病気が「白血病」だ。従来は「不治の病」と呼ばれていたが、化学療法(抗がん剤の点滴投与)や放射線治療のほか根治療法として白血球を「製造」する「骨髄」の移植によって治ることがある。2019年、この白血病にかかった日本の花形競泳選手が、池江璃花子(いけえ・りかこ)選手(現在、日本大学生。ただし、電通の小会社がスポンサーになっている。次のYoutube動画による:https://www.youtube.com/watch?v=XAZ-IJv6-6s)だ。しかし、過酷な闘病生活の末に今夏「開催予定」の東京オリンピック競泳種目への出場権を獲得した。
さて、白血病の根治療法の「骨髄移植」だが、骨髄移植は白血球の型(「白血球抗原=HLA」と呼ばれている)が完全に合わないとできない。HLAは両親から受け継ぐが、両親(父母)と同じ型を受け継ぐ確率は4分の1(http://hla.or.jp/about/hla/)。だから、本人が白血病に罹患した場合、親・兄弟から骨髄移植を受けられる確率は高くて4分の1=25%。骨髄移植が必要な白血病患者は、親兄弟でHLAが一致しなければ、HLAの型が完全に合致するドナー(骨髄幹細胞提供者)が見つかるまで、死を覚悟して待たなければならない。そのために、日本では日本骨髄バンクという組織が結成され、日本国民に対しドナーとしての登録を呼びかけている(https://www.jmdp.or.jp/index.html)。
話を元に戻すと、日本人を含むアジア人のHLAはHLA-A24という型が多い。日本人では国民の約6割がこのHLA-A24タイプの白血球抗原(の白血球)を持つと言われている。ところが、インドで発見された「L452R」という変異株は、HLA-A24タイプの白血球の免疫力を無効化するということが分かってきた。南アジアに属するインドも同じように、HLA-A24タイプの白血球抗原(の白血球)を有している傾向が推測される。このため、インドでのコロナ感染者と死亡者が急増しているものと思われる。
アジア地域、特に東アジア地域では新型コロナの被害が世界の他の国家・地域と比べて軽微だったが、それは東アジアに属する国家・地域に在住する人々のHLAがかなりの程度、新型コロナに対して有効であったためだと思われる。2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長・教授がその要因を「Factor X」と呼び、東大先端研に所属し、遺伝子工学に詳しい児玉龍彦東大名誉教授はアジア人特有の「交差免疫」としたが、その実体はHLA-A24と呼ばれる「白血球抗原」の型の白血球だと推測される。
ところが、インドの二重変異株のうち、「L452R」という変異はこの「Factor X」、「交差免疫」を突破するものとの研究結果が出ている。米国の中でもアジア人の多いカリフォルニア州で問題になっている変異株も、この変異に属するものと予想される。
このインドで発見された二重株は、日本への上陸を許してはならない(水際対策の徹底強化)が、政府=菅政権の水際対策は全く話にならないない。この二重変異株がインドで発見されたのは、今年の3月末のこと。直ちに、水際対策を厳戒態勢にするべきだった。しかし、菅内閣がインドからの入国規制を強化したのは、3回目の緊急事態宣言を発出した4月25日を過ぎてからの5月1日だった。このため、インド型の二重変異株は既に日本の市中で感染が始まっているものと見られる。朝日新聞が5月8日付4面で「インドから入国、10日から検査強化」と題する記事で次のように報道している(https://digital.asahi.com/articles/DA3S14896312.html?iref=pc_ss_date_article)。
変異ウイルス(変異株)の感染拡大のため、政府は7日の新型コロナ対策本部で、流行国に指定されているインドなどからの入国者について、入国前後の検査回数を3回から4回へと増やすことを決めた。実施は10日から。政府は、インドを含む32の変異株の流行国・地域からの入国者に対し、現地からの出国前、日本への入国時、入国後3日目の計3回の検査を求めている。入国後3日間は検疫所が確保する宿泊施設に入る。いずれも陰性なら自宅などに移ることを認めるが、入国後14日間の待機を求めている。
今回は、インド、その隣国のパキスタンを対象に対策を上乗せ。宿泊施設での待機を3日間から6日間に延ばし、6日目に4回目の検査を行う。指定国ではないが、ネパールからの入国者にも同様の対応を取る。外務省の担当者は「インド変異株は重症化リスクなど未知の部分が多いため」と語った。厚生労働省の公表資料を朝日新聞が集計したところ、空港検疫で陽性者と確認された人は3月に172人。うち、インドからの入国者は8人だった。4月は陽性者292人のうち、インドからが80人を占めるようになった。今月の6日間の陽性者94人でみても、26人に達する。
少なくとも4月下旬の段階で、自民党内からも「水際対策は動きが遅く、底が割れた鍋だ」(佐藤正久外交部会長)と対応を求める声が上がっていた。政府によるインドの変異株流行国の指定は4月28日。それまでは指定宿泊施設での待機の必要もなかった。
外務省は「未知の部分が多い」としているらしいが、インドの惨状はインドの日本大使館でも把握しているはず。また、インドの惨状の原因については本来なら、厚生労働省が3月末に分析しておかねばならなかったはずだ。感染症対策では、「疑わしきものは早急に対策を講じる」が鉄則だろう。どう考えても、「(政府の)水際対策は動きが遅く、底が割れた鍋だ」(佐藤正久外交部会長)というのは正論だ。
英国型の変異株「N501Y」に加えて、インド型の二重変異株「E484Q」+「L452R」の対策が急務だ。本来なら、令和3年度第一次補正予算を編成し、国民の生活や生業(なりわい)を補償・保障したうえで、インド型の二重変異株の市中感染が疑われる地域では技術革新の進んだPCR検査や試薬を使って全検体の遺伝子構造を解析して感染の実態を把握し、場合によっては「都市封鎖(ロックダウン)」に近い「緊急事態宣言」を発出するべきだった。東京都では三回目の緊急事態宣言の際に、変異株の市中感染を考慮して「ロックダウン」も検討していたようである(https://digital.asahi.com/articles/ASP585KKCP57UTIL01Z.html?iref=comtop_7_05)。
日本共産党の小池晃書紀局長(参院議員)の指摘するように、コロナ禍対策の抜本転換をしなければ、感染拡大→新たな変異株(新型コロナウイルスはRNA型で自己の複製=コピー=に失敗して、新たな変異株が生じやすい)→感染拡大の悪循環が繰り返されることになる(https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-05-05/2021050502_03_1.html)。
日本共産党の小池晃書記局長は3日夜のBS―TBS「報道1930」で、新型コロナ感染拡大が深刻化する中で東京五輪・パラリンピック開催に固執する菅政権を批判し、「中止する決断をすべきだ」と主張しました。
番組で、インドでの変異株による感染爆発について、世界の1日の感染者数の半分がインドでの感染者になっていると紹介され、司会の松原耕二氏が「感染が拡大する、感染が拡大するとウイルスが変異を重ねてしまう。その結果、変異を重ねてワクチン効果が薄れる。そうするとまた感染が拡大する。こういう負のスパイラルになったのではないか」と指摘しました。
小池氏は、インドでの「負のスパイラル」のきっかけが、3月に行われた世界最大級のヒンズー教の宗教行事である可能性が高いとされていることを指摘。「日本はこれから世界最大級のスポーツ行事である五輪をやろうとしている」「インドのこの経験から学ぶべき教訓は、オリンピック中止の決断をすることではないか」と強調しました。
【追記】一応、ファイザー社とドイツのベンチャービジネス・ビオンテックが開発したワクチンは、ビオンテックのシャヒン最高経営責任者(CEO)によると、インドの変異株にも効果があるとしている(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021042801306&g=int)。インドは今年2月7日の時点で同ワクチンを承認しなかったが、4月13日に緊急使用することにしたという(https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-india-idJPKBN2C101Y)。ワクチン接種に関する参考サイトはこちら:https://wired.jp/2021/05/05/covid-19-april-2021/。
当然、米国の有力紙「ニューヨーク・タイムズ」が「一大感染イベント」になると強く警告した東京オリンピック/パラリンピックは中止すべきだ。そのためには、噂が広まっている「小池百合子都知事の乱」を成功させる必要があるが、その道のりは限りなく険しい。
東京オリンピック/パラリンピック中止への「小池都知事の乱」について
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長やジョン・コーツ副会長兼調整委員長などのぼったくり=法外な料金を力ずくで奪い取ること=男爵(米紙ワシントン・ポスト、Baron Von Ripper-off)らは「新型コロナ感染状況がどのようになっても東京オリンピック/パラリンピックを開催させる」つもりである。これは、米国のテレビ局NBCやスポンサーのオリンピック貴族から放映権、支援金などの膨大な収入を得られるからだ。要するに、IOCは「銭ゲバ」と化している、というより、「銭ゲバ」であることが明らかになった。米国ファイザー社のワクチンを選手団に接種すると言っても、日本に来日するのはアスリートやコーチだけではない。IOCの招待客なども含まれ10万人程度は来日する。
ワクチンの副作用を警戒して接種に同意しないアスリートは排除されるし、選手以外の外国人に対する感染症対策はどうするのか。1万人におよぶ医師や看護士たちを強制徴用すれば、日本の医療体制は崩壊する。また、「特別枠」としても、高齢者はもちろん医療従事者に対してすら、接種は完了にはほど遠く、優先順位は自ずからある。そもそも、厚生労働省の正式見解では、ワクチン接種は「症状の発症、重症化を防ぐ効果」は期待できるが、感染そのものを抑制する効果は不明だ(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000680224.pdfの2頁目に「ただし、ワクチンで感染が防げるかどうかは、この段階では分からない(ワクチンの効果により発症しないが、感染してウイルスを持っている、という可能性も)。」とある)。
また、日本の東京オリンピック/パラリンピック組織委員会では「バブル方式」と言って、外国人に対して厳正な検査を行ったうえで入国させ、日本の国民とは遮断させる方式を採用することにしている。しかし、連休中の5月5日、五輪会場となる東京・海の森水上競技場で開催中のボート・アジア・オセアニア予選では、スリランカのチーム関係者1人がコロナ陽性と判定された(https://news.yahoo.co.jp/articles/b7c09d1067c235eba38adfae1cca39ed50603558)。
日本ボート協会は6日、5日から東京・海の森水上競技場で行われている東京五輪アジア・オセアニア予選に参加しているスリランカのスタッフ1人が新型コロナウイルス検査で陽性となったと発表した。東京五輪出場権を懸けた大会は予定通り行われる。同スタッフは今月1日に空港で行った抗原定量検査で陰性、4日の抗原定性検査で陰性だったが、5日の抗原定性検査で陽性判定。同日のPCR検査でも陽性となり、保健所の指示に基づいて隔離措置が取られた。自覚症状などはないという。
早くも、「バブル方式」の限界が露呈した形だ。東京オリンピック/パラリンピック組織委は選手に対して「原則として毎日抗原検査」を行うとしているが、「抗原検査」は現在の技術革新の進んだPCR検査よりも「感度(検査で陽性者を正しく判定できる程度)」が低い。そのうえ、「原則」としているから、抗原検査さえしない可能性がある。こうしたことから、【追記】新規感染者数に影響を与える変異株要因が季節的要因を大幅に上回り、第4波に一応の収束の傾向が顕著に出ていない限り、収束米紙ニューヨーク・タイムスの指摘したように、オリ/パラが「一大感染イベント」になる可能性は極めて濃厚だ。
既に投稿させていただいたように、東京オリンピック/パラリンピックの中止をIOCに告げることができるのは菅首相と開催都市の首長である小池百合子東京都知事だけだ。菅首相は官房長官の時代から安倍晋三首相(当時)と組んで、オリ/パラの東京都への誘致運動を展開し、今なお、オリ/パラ開催強行を諦めていない。オリ/パラ開催後、国民の「熱気」が冷めないうちに、9月の総裁選や秋までの解散・総選挙で「大勝」するというシナリオを夢見ている。
ただし、自民党内では、菅首相の発言力・発信力に疑問を持った国会議員が多くなっている。このため、東京オリンピック/パラリンピックを強行開催させた後、9月の総裁選で安倍前総理総裁が総裁選に立候補して、三度目の総理・総裁になるとのうわさが広まっている。安倍氏は連休中の5月3日、BSフジの報道番組「プライムニュース」に出演し、菅総理・総裁が自民党総裁を続投すべきだと発言したが、その真意について日刊ゲンダイは次のように分析している。
しかし、菅首相と安倍前首相の間に“隙間風”が吹いているのは周知のことだ。安倍氏が素直に“菅継続”を唱えるはずがない、と自民党関係者は見ている。いったい発言の狙いは何なのか。政界関係者はこう言う。
「あれは国民や自民党内へのメッセージではなく、“安倍離れ”をしていた菅さんへのメッセージでしょう。ズバリ『俺の言うことを聞けよ』『さもないと、どうなるか分からないぞ』という脅しですよ。ちょうどGW前、自民党内では『連休明けに政局が始まる』との声が広がっていた。ついに“菅降ろし勃発か”との臆測が流れていた。そのタイミングで安倍発言です。実際、安倍さんが菅降ろしに動いたら、一気に火がつく可能性がある。<安倍―麻生―竹下―岸田>の4人が手を組めば、<菅・二階連合>を数で圧倒しますからね。逆に、安倍さんが支持している間は、菅降ろしは起きづらい。生殺与奪の権を握られた菅さんは、安倍発言にビビったはずです。安倍さんには“キングメーカー宣言”という意味もあったはずです」
こうしてみると、日本は主権国家で取り敢えずの代表者は菅首相だが、菅首相がオリ/パラ中止を唱えることはない。もうひとりの資格のある人物は、開催都市・東京の首長である小池百合子都知事だ。小池都知事が「東京都ロックダウン構想」を胸に秘めている(https://digital.asahi.com/articles/ASP585KKCP57UTIL01Z.html?iref=comtop_7_05)ことからも、「オリ/パラ中止」を発信する可能性はある(https://www.youtube.com/watch?v=ZeCKNgeixWgでの元朝日新聞記者でジャーナリストの佐藤章氏の発言,https://www.youtube.com/watch?v=idC4nYR9flYでの経済ジャーナリスト・萩原博子氏の発言)。ただしその場合は、自民党を敵に回すことになり、「オリンピック中止発言」が真実でなければ、後ろ盾である二階俊博幹事長を裏切ることにもなる。
しかし、日本中に「オリ/パラ中止」の大合唱が表面化する可能性があり、国民の大きな支持を得ることが出来る可能性はある。そのためには、佐藤氏の指摘するように野党、特に立憲民主党と日本共産党が小池都知事を支持しなければならない。そして、小池都知事の政界進出のゴールである「日本初の女性総理大臣」の夢を満たすことに協力しなければならないだろう。その場合は、立民の枝野幸男代表がオリ/パラ中止を党議決定し、小池都知事と政策協定を結ぶ必要がある。ただし、小池都知事と立民、日本共産党はこれまで、不倶戴天の敵であった。枝野氏、志位和夫委員長の力量次第だが、その道は極めて狭く、実現する可能性はほとんどゼロだ。
実現しない場合は、政治経済学者で政策立案に強い植草一秀氏の指摘するように、「銭ゲバ」と化したIOCと「オリンピック利権ムラ」による、オリンピック憲章から逸脱した正当性のない東京オリンピック/パラリンピック開催強行は「五輪終」をもたらすことになる。しかし、「後手後手・小出し・右往左往」の菅内閣と銭ゲバIOC、オリ/パラ組織委のコラボレーションが最悪の事態も招くことにもなるだろう(メールマガジン2927号「L452R変異株」+銭ゲバIOC=五輪終)。
コロナ禍対策抜本転換の必要性
冒頭に述べたように、季節性要因で第4波が収まり、東京オリンピック/パラリンピックが開催可能になる場合もある。その場合でも秋から冬にかけて第5波が襲来する可能性が濃厚だ。第5波に備えて、インフレ率を2%程度に抑えるという「正しい財政規律」を前提にして、「緊縮財政」から責任ある「積極財政」に転じて財源を確保することを大前提としてコロナ禍対策を抜本転換することが不可欠だ。主な項目を列挙させていただきたい。
- 感染症法を改正して、PCR検査を「感染症利権ムラ」の天下り先になっている「地方衛生研究所」や「保健所」に独占させる(結果的にはPCR検査の抑制につながる)ことなく、国公立私立の附属病院はもちろん民間の医療機関、検査機関でも実施できるようにする。その際、PCR検査システムは最新鋭の機器、試薬を導入し、超高速・高精度で変異株の検査を行えるように、財政支援を行う。「感染症利権ムラ」のPCR検査システムは旧式システムで感染状況に即応できない。
- 財政支援でコロナ禍で大幅な赤字に遭遇していてる民間の医療機関の減収補填を行うとともに、国公立私立の附属病院や日赤、済生会系の病院など特定機能病院がコロナ感染症重症者を受け入れられるよう集中治療室を大規模増設するとともに、民間医療機関との治療行為分業体制を敷いて、医療体制を再建するとともに医療崩壊を防ぐ。
- 安全で有効なワクチンの接種による「集団免疫」の獲得。
- 財政支援により、基礎自治体と保健所、医療機関の共同で感染震源地(エピセンター)での大規模社会検査を実施する。
- 財政支援措置を講じて、PCR検査陽性者が安心して、いつでも、どこでも、何回でも検査を受けられる体制を築き、検査陽性者はたらい回しにされることなく、すぐに抗ウイルス治療を開始できるようにするとともに、生活・生業を補償・保障できる体制を築く。
- 厚生労働省の医系技官制度を見直し、政府コロナ感染症対策本部分科会は解体、その代わりに有力な感染症、遺伝子工学、情報工学の専門家を糾合し、政治から独立した日本版疾病予防センター(CDC=Centers for Disease Control and Prevention=)を設立する。
真正野党は、➀コロナ禍対策の抜本転換で合意する②共生の経済政策で合意する③原発ゼロ社会達成に向けての明確なスケジュール(工程表)を示す➃自民党の壊憲工作を阻止する⑤米国を支配しているディープステート(闇の国家:軍産複合体と多国籍金融資本、企業)の言われるがままに中国と紛争するための「敵基地保有能力(ミサイル基地の建設)」を持つことよりも、日本国憲法の「平和主義」の理念に基づいた言葉の真の意味での積極的平和主義外交を展開するーことで一致し、強力な「政策連合」を結成して、次期総選挙で勝利することを期待したい。