4回目の緊急事態宣言発出は「感染症利権ムラ」の根本的に間違った「コロナ対策」が原因(上氏追記)

菅義偉首相が7月8日夜、東京都に12日から4回目の「緊急事態宣言」を発出することになった。酒類を提供する「飲食店」が再度、やり玉に挙げられており、小規模な飲食店はともかく中規模以上の飲食店は従業員とともに致命的な打撃を被る。真の責任は「有観客開催」に固執し続けた菅首相にあるというのが一般的な見方だが、真の原因は感染症対策の基本の基本である「検査と隔離」を根本的に否定した厚生労働省の医系技官からなる「感染症利権ムラ(主として厚生労働省健康局結核感染症課を司令塔とする国立感染研究所、地方衛生研究所、基礎自治体保健所などの一連の組織)」にもある。

7月9日東京都のコロナ感染状況

複数のメディアによると、7月9日金曜日の東京都の感染者数は前週金曜日の660人を162人上回る822人だった。2人が死亡された。重症者は62人。7日移動平均では6月30日水曜日以来500人を上回っており9日は686.7人になり、前週金曜日比で127.9%になった。新規感染者を年代でみると、20代から40代の働き盛りの都民が全体感染者の70%を占めているという。オリンピック強行開催前に、新規感染者の急増で医療ひっ迫が生じる可能性は濃厚だ。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

医系技官の「感染症利権ムラ」による「似非コロナ対策」

本サイトで繰り返し述べさせていただいたように、世界的な感染症の爆発による世界的なパンデミックの基本中の基本は「徹底的な検査と保護、隔離」であり、それしかない。しかしながら、感染症対策の司令塔である日本の厚生労働省の医系技官たちはこれを真っ向から否定してきた。医系技官たちはOBも含めて政府の新型コロナ感染症対策本部分科会(前身は専門家会議)や厚労省アドバイザリボードの専門家になり、政府=菅政権に根本的に誤った「コロナ対策」を「進言してきた」。

保健所所長への天下り先を確保することが基本的な利権である「感染症利権ムラ」の似非コロナ対策の失敗の要点は、大きく分けて次の5点にある。

  1. PCR検査の技術革新を考慮しないまま同検査を徹底的に抑制してきた。
  2. 代替案として、PCR検査の権限を行革で削減されてきた保健所に限定的に与えることで天下り先の保健所を守るため、保健所が未公表のコロナ対策病院にPCR検査を依頼して判明した感染者に対して「濃厚積極者」を定義・指定し、濃厚接触者を追跡調査する「積極的疫学調査」を続けてきた。
  3. 飛沫感染によって新型コロナに感染することはあるが、世界の専門家の見方は感染経路の主流は密閉した部屋(航空機の機内など)でのエアロゾル感染(空気感染)であり、エアロゾル感染で新規感染者が大量に発生するというものだが、「感染症利権ムラ」のコロナ対策の失敗を隠蔽するためこれを無視した。
  4. 最大の感染源はクラスターを引き起こした医療機関と高齢者介護施設であり、これらの従事者が家庭に帰宅して家族を感染させるため、統計上は家庭が感染源のトップになっているが、これも隠蔽して「酒類を提供する飲食店」を最大の感染源としてやり玉(生贄)にして、多大な経済的損失を与えている。
  5. 変異株の国内流入を阻止するための「水際対策」に感度が30%と低く、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の抗原検査を用いてきた。

これらについて、「現代の緒方洪庵」と称されるNPO法人の医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は東洋経済ON LINEの論文「飲食店だけを悪者にする日本の作戦に開いた大穴ー空気感染を否定しクラスター対策になおも拘る(2021年5月24日付、https://toyokeizai.net/articles/-/430026?page=1)」などで次のように指摘しておられる。ここでは、この論文の要点を引用させていただきたい。

なお、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長・教授、理化学研究所ゲノム医科学研究センター長、国立がん研究センター研究所長、内閣官房参与などを歴任され、遺伝子レベルでの癌治療でノーベル賞候補とされ、今回の新型コロナ用ワクチンでも癌治療を応用した「ペプチド・ワクチン」の開発を勧めている中村祐輔東京大学名誉教授・シカゴ大学名誉教授も「鳥インフルエンザが発見された養鶏場ではすべての鶏が殺処分されるが、人の場合はそうはいかないから、(パンデミックに対しては)徹底的な検査・保護・隔離が基本」になるとして、「感染症利権ムラ」を強く批判しておられる。上理事長・医師も中村東大名誉教授の業績を高く評価されている(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/287154/2)。

以下、長くなるが上理事長・医師の論考である。下図は2021年2月5日の郷原信郎弁護士(横浜市長線に出馬表明)の「権力を斬る」で上理事長・医師がインタビューに応じ、東京オリンピックが緊急事態宣言下での開催になることを予測されていたインタビュー番組だ(https://www.youtube.com/watch?v=Zcbd3Po9SXY&t=62s)。この時点では、①デルタ株はまだ発見されていなかった②日本の季節要因は三峰(初夏、夏に小流行、冬に大流行)するということが知られていなかったことーなどから「第5波」までは想定されていなかったが、オリンピックが緊急事態宣言下での開催になることを予想されていた。

Youtubeの郷原信郎弁護士の「権力を斬る」に登場した医療ガバナンス研究所の上昌広理事長・医師
Youtubeの郷原信郎弁護士の「権力を斬る」に登場した医療ガバナンス研究所の上昌広理事長・医師

新型コロナウイルス(以下、コロナ)の流行が続いている。政府は緊急事態宣言を発令し、国民に対して、さまざまな規制を課している。本稿では、このような規制の妥当性を科学的見地から検証したい。

まずは、飲食店への規制だ。尾身茂コロナ感染症対策分科会会長は「飲食を介した場のリスクが一番高い(医療崩壊が全ての人にとって「他人事」ではない理由。尾身茂会長が避けたいと願う「最悪のシナリオ」/バズフィードジャパン/2020年12月30日)」、「昼間の飲食が増えている。(中略)社会全体が(宣言に)慣れてきて飲食を介して感染が増えている(「昼間の飲食が増えている」尾身氏、感染者下げ止まりの要因指摘/毎日新聞/3月10日配信)」と一貫して、飲食店での感染を問題視してきた。

彼ら(感染症利権ムラ)が根拠とするのは、昨年11月にアメリカ・スタンフォード大学の研究チームがイギリス『ネイチャー』誌で発表した論文だ。(中略)

しかしながら、コロナ対策が進んだ現在、飲食店が感染拡大に与える影響は限定的だ。例えば、昨年12月、ニューヨーク州での新規感染者の感染経路の4分の3は私的な集まりが原因で、飲食店は1.4%と報告されている。日本でも今年4月27日に厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードへ提出された資料では、4月のクラスター発生463件中、飲食関係は82例と少なくはないが大多数ではない。この82例の中には「飲食店と判断できない事例を含む」と追記されており、実数はさらに少ない。

実は、世界の多くの研究者が飲食店への規制について疑念を抱いている。2月26日、オランダの研究者は、欧州での政府の介入が感染拡大をどれほど防いだか検証した論文を『BMC公衆衛生』誌に発表したが、「イベント禁止と学校閉鎖は有効だが、飲食店の閉鎖の効果は限定的」と結論している。また、3月30日、『ネイチャー』誌は「なぜ、屋内空間はいまだにコロナのホットスポットになるのだろう」という論文を掲載しているが、広く屋内でのコロナ対策を論じており、飲食店だけを特別視していない。

昨年の第1波で多くのクラスターが発生した飲食店は、利用者も減少し、またソーシャル・ディスタンスや換気など、コロナ対策も強化している。第1波を対象としたスタンフォード大学の解析結果を、現状にあてはめるのは慎重でなければならない。

ところが、政府や専門家は「飲食店悪玉説」に固執する。例えば、尾身氏は「家族内での感染が増えていることは大きな問題だが、歓楽街や飲食を介しての感染拡大が原因であって、家族内や院内の感染はその結果として起こっている(昨年12月23日コロナ感染症対策分科会)」と主張し、その後の緊急事態宣言でも飲食店を中心とした規制を支持した。尾身氏たちの主張は、検証されていない仮説に過ぎないのだが、日本の国策となってしまった。

政府が非科学的な政策を強行すれば、割を食うのは国民だ。飲食店経営者や従業員が被った苦痛は改めて言うまでもないだろう。被害者は、これだけではない。介護施設入所者や患者たちだ。政府・専門家は飲食店への規制強化を求める一方、病院や介護施設には十分な検査を提供せず、感染の蔓延を許した。

第3波のピークであった今年1月、961件のクラスターのうち、604件(63%)が医療・介護施設で発生していたし、第4波で感染拡大が深刻な関西では、神戸市内の老健施設で133人が感染し、25人が死亡するクラスター、宝塚市内の介護施設で53人が感染し、7人が死亡するクラスターが発生している。

私の知る限り、いまだに医療・介護施設での感染拡大が止まらない先進国は日本だけだ。海外は、検査を頻回に実施し、さらにワクチン接種や感染歴を考慮して職員を配置することで、集団感染を抑制しようとしている。5月14日、アメリカ・ハーバード大学の研究者たちは、このような対策を講じることで、介護施設の感染を49%減らすことができるという研究をアメリカの『JAMAネットワークオープン』で発表している。

医療・介護施設での感染は政府・専門家の不作為と言っても過言ではない。では、なぜ、彼らは医療・介護施設での感染対策を軽視するのだろうか。それは、病院職員や介護職員を一斉に検査することは、彼らが推進してきたクラスター対策を否定することになるからだ。(中略)

現在、このように主張する専門家は世界にはいない。それは、コロナが空気感染でうつることがわかってきたからだ。イギリス『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』は4月14日に「コロナ空気感染の再定義」、イギリス『ランセット』は5月1日に「コロナが空気感染することを示す10の理由」という「論考」を掲載している。この2誌は世界4大医学誌に数えられ、その「論考」は世界の医学界のコンセンサスを反映する。

空気感染の主体はエアロゾルだ。咳やくしゃみで発生する飛沫の直径は0.02~0.05mm程度だが、エアロゾルの直径はその10分の1。最大で3時間程度、感染性を維持しながら空中を浮遊し、長距離を移動する。検疫のための宿泊施設で、お互いに面識がない人の間で感染が拡大したり、バスや航空機の中で遠く席が離れた人が感染したりするのは空気感染が原因と考えられている。

コロナが空気感染するなら、濃厚接触者に限らず、広く検査しなければならない。「クラスターさえ見つけていれば、ある程度の制御ができる」(押谷仁・東北大学大学院教授、NHKスペシャル『“パンデミック”との闘い~感染拡大は封じ込められるか~』/2020年3月22日)という従来の方針を撤回しなければならなくなる。このことに対しても、政府や専門家は抵抗した。(以下略)

引用が長くなってしまったが、臨床経験のある日本も含む世界の真摯な医学、感染症学の科学的な専門家と異なり、日本の分科会や厚労省アドバイザリーボードの専門家は似非専門家でしかない。これは、日本の大手メディアの不勉強による医学・科学ジャーナリストの質の低下のため、「感染利権ムラ」の「専門家」に反論しなかった、あるいは、出来なかったためだろう。野党側の国会議員の中にも、厚生労働委員会の質疑などで「(分科会会長の)尾身先生」などと呼んで、あがめたてまつるところがある。「PCR検査」を徹底的に抑制してきたことについて、責任を追求すべきだ。なお、感染ん鍾離権ムラ出身の医師が沖縄県立中部病院(うるま市)でのワクチン未摂取の看護師12人を含む集団感染者51人、死者17人という大規模クラスター事件を隠蔽しようとしたのは既に本サイトで伝えたところだ。

安倍晋三首相(当時)でさえ、「PCR検査の徹底」を指示していたが、国会の厚生労働委員会なとなどで「PCR検査が目詰まりを起こしている」と述べざるを得なかった。これは、「感染症利権ムラ」の専門家たちが「PCR検査不要論」を自民党などの政治家やマスコミに垂れ流し、PCR検査を徹底的に抑圧していたからだ。自己の利益の追求が第一で、国民の生命・健康を守ることは二の次、三の次という「感染症利権ムラ」の根本的に誤った「似非コロナ対策」では、国民の生命や健康は守れず、飲食店を中心に東京都内の街は大打撃を被る。

次の図は東京新聞9日付3面(Webではhttps://www.tokyo-np.co.jp/article/115463)に掲載された、「緊急事態宣言」を三度も発出しながらも新型コロナ感染を制御できなかった菅首相の発言の履歴だが、その背景には「専門家」としてはあまりにも不勉強で無能な「感染利権ムラ」の似非専門家の暗躍がある。国民の生命と生業(財産)を守ることは念頭にはなく、コロナ感染の制御・収束には全く無関心と見られる菅首相(及び安倍首相=当時=)の不勉強から来る無知蒙昧さが、「感染症利権ムラ」の跋扈を許してしまった。

CREATOR: gd-jpeg v1.0 (using IJG JPEG v62), quality = 80

加えて、東京オリンピック/パラリンピックの強行開催は絶対に行うべきではない。第一に、オリンピック選手団や国際オリンピック委員会(IOC)委員、IOCに資金を提供する(見返りにアスリートを使って利益を得る)スポンサー(オリンピック貴族)など、外国から8万人から10万人規模のオリンピック関係者が訪日するが事実上、「水際対策」をしない。まず、本来は隔離して一定の期間、感度の高いPCR検査を行わなければならないが、検査は制度の低い「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の抗原検査である。

また、「例外的に」オリンピック開催のための緊急の仕事がある場合、東京オリンピック/パラリンピック組織委員会に申請することによって隔離は免れることができるなどの「特例=恒常」措置がある。組織委は、英文で隔離を逃れることができるようにするための申請書の書き方を英文で示しているから、外国の報道陣を始めとする大会関係者がコピー・ペーストすれば隔離を免れることができる。これでは、「水際対策」にはならない。結果として、感染力の強さと重症化力、ワクチン耐性力からデルタ株より恐ろしいと言われ、南米(コロンビアなど)で急速に市中感染が広まっているラムダ株(F490S変異株)など、あらゆる変異株が日本国内に入ってくることは確実だ。

第二に、東京都での競技を「無観客試合」にするとしても、観戦を拒否するのはチケットを購入した国民に限られており、オリンピック貴族(IOC、日本オリンピック委員会=JOC=関係者、大手メディアを含むスポンサーの役員など)は開幕式、競技を観戦できる。炎天下でコロナに感染の恐れもあるが、「教育の一環として」動員される児童は観戦を強要される。児童の両親は休ませる意向だ。チケット代の返金は、所得税か住民税の血税から賄われる。都民・国民はオリ/パラ組織委、メディアの「オリ/パラ隠語」に騙されてはいけないし、オリ/パラ利権屋のツケは都民・国民の自分たちに回ってくる。東京都以外は知事任せで、菅首相、小池百合子都知事らは責任を回避している。

なお、今上陛下(天皇陛下)は第一回目のワクチンは接種されたが、「抗体」ができるのはオリンピック終了後ころ。科学的(論理・実証的)に思考され、国民への寄り添いを第一とされている陛下は宮内庁長官を通してオリ/パラ中止のお考えを伝えられたが、「右翼」と言われる人々は陛下のお心を拝察されず、開会式に出席される(極論すれば、出席させる)ことを最優先させている。要するに、天皇陛下を自分たちのために利用しようとするのが「右翼」と言われる人々の本質だ。

また、オリンピック大会ボランティアやオリンピック大会に必要な資機材の納入業者、医師・看護師などは外国のオリンピック大会関係者と接触する。「バブル方式」には大きな穴が開いており、上理事長・医師や中村東大・シカゴ大名誉教授は「バブル方式」は感染拡大を阻止する上では、意味をなさないと見ている。

第三に、東京オリンピックが各種の変異株の「変異株祭典」になれば、同一のヒトが複数の変異株に感染し、新たな変異株が出現する可能性がある。また、ワクチンを接種した選手や内外の大会関係者もいるから、接種したワクチンに耐性を持つ変異株も出現する恐れがある(参考:https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/のQ8)。いわゆる、「東京五輪株(ゴジラ株、キングギドラ株)」と呼ばれるものだ。これが、外国から来た選手団やオリンピック貴族などの大会関係者が自国に帰国することで、世界に新たな変異株が拡散され、コロナ・パンデミックの収束に多大な悪影響を与える可能性も否定できない。

なお、厚労省のアドバイザリーボード(専門家会議、座長・脇田隆字国立感染研究所長)が示した東京都での新規感染者見通しは、政府=菅政権にとって都合の良いものになりさがっている。第一に、「デルタ株はアルファ株よ り感染力で1.35倍・病原性で(症状悪化力)1.5倍高い」としているが、6月30日時点では最大で「感染力1.4倍・病原性(症状悪化力)1.4倍」としており、重要な感染力(新規感染者数シミュレーションの重要な仮定指数で、医療体制のひっ迫度にも重要な影響を与える)は低めに仮定されている。世界の専門家の見方では、1.5倍から1.8倍だ。

第二に、「強力な措置」と記載されているが、実際には「緊急事態宣言」発出のことだ。しかし、「緊急事態宣言」発出では、酒類を出す「飲食店」を「生贄」にすることに最大の力点が置かれているだけの感染症学・医学・科学に基づかない対策が講じられるだけで、東京オリンピック強行開催の抜け道もある(バブレストランでの日本人選手などへの「声援」は、時期総選挙のためにオリンピックでの高揚を狙っている政府=菅政権としては、事実上認めざるを得ないか、見てみぬふりをするなど)から、日本人の生命・健康を何よりも最重要視する専門家からは、もはや効果がないとみられている。しかし、「緊急事態宣言」の発出とともに、新規感染者数は急激に減少する見通しになっている。医学・感染症学・科学の論理実証的な議論を最重要視し、国民の生命と健康を第一に考える臨床医としての経験を十分に踏まえた専門家なら、唖然とするシミュレーション(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000803143.pdf、67頁)ではないか。

厚労省アドバイザリーホードのシミュレーション
厚労省アドバイザリーホードのシミュレーション

さて、政府=菅政権が期待しているワクチン接種にも問題がある。世界的にワクチンの需要が増加して、供給量が足りなくなり、日本政府がワクチンを確保できなくなってきたことが第一の問題だが、新型mRNAワクチン自体にも問題がある。ワクチンの接種が進んでいるイスラエルや米国、英国では新規感染者数に相違が出ている。イスラエルでは、重症化率は抑えられているが、新規感染者数は増加している(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210706/k10013122651000.html)との報道がある。

米国では落ち着いているように報道されているが。下記に述べるようにファイザーが同国食品医薬品局(FDA)に対して、mRNAワクチンの3回目のブースター接種を申請する意向を示したことは、大いに気がかりである。なお、米国でもデルタ株が主流になっており(https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-usa-delta-idJPKCN2ED2MZ)、バイデン大統領はワクチン未接種者に対して接種を呼びかけているが、ブースター接種も急ぐようにという意味が込められているかも知れない。

厚労省のサイトでは、新型ワクチンは発症・重症化を防ぐ効果はあると明確に記しているが、感染を予防する効果については次のように記されてるだけで、明確ではない。mRNAワクチンの接種を受けた国民が変異株に感染し、無症状のまま他者に感染を拡大する可能性もあるということだ(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0011.html)。

感染を予防する効果については、ファイザー社、武田/モデルナ社、いずれも承認前の臨床試験では確認されていませんが、現在、多くの国又は地域でこれらのワクチンの接種が進められることでデータが蓄積されつつあります。一部の国で実施された研究では、ワクチンを接種した人の方が、接種していない人よりも感染者(有症者・無症候性感染者のいずれも)の発生が少ないことを示唆する結果が報告されています。

なお、厚労省は7月7日までにワクチン接種後に亡くなられた方が556人に上り、このうちファイザー社製の80歳の高齢女性に対して初めて「因果関係を否定できない」と認めた(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000802338.pdfhttps://news.yahoo.co.jp/articles/e28440920dee925c6bb9f6fa9d76516974580301)。ただし、死亡補償金が遺族に支払われたかどうかは不明だ。本来は、接種後一定期間内に死亡した場合、死亡補償金を支給するように予防接種法を改正すべきだ。

次に、英国ではデルタ株のために新規感染が急増している(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/)。英国のアストラゼネカ社製のウイルス・ベクター型ワクチン(オックスフォード大学と共同開発)は信用がなくなっており、接種は敬遠される場合が少なくない。サイト管理者(筆者)もやむを得ず、ファイザー社製ワクチンの接種を2回受けたが、気のせいかも知れないけれども体内に熱がたまっているような感じを受けている。

NHKWebによる米国の感染状況
NHKWebによる米国の感染状況
NHKWebによる英国の感染状況
NHKWebによる英国の感染状況

ワクチンの効果については未知数のところが多い。油断は大敵だ。実際、米国の大手製薬会社ファイザー社が、ドイツの新興製薬企業ビオンテックの開発したワクチンを大量製造したが、ファイザーは、3回目のブースター接種が必要だとして、米国食品医薬品局(FDA)に許可を求めて申請する意向だ(https://news.yahoo.co.jp/articles/837b56699c6ac0e048d118675f7c2519fdc2583f)。ファイザー社の最高経営責任者(CEO)アルバート・ブーラ氏が自社株を売却したことも、まともに考えるとおかしい。ワクチンの安全性・有効性が確実であれば、自社株を売り抜ける必要はなく、長期保有しておく方が資産価値が大きくなるはずだからだ。しかし、次のロイター電に見るように、少なくともブースター接種を行うというのは、mRNA型ワクチンがデルタ株、ラムダ株など変異株に対して自信のないことの表れだろう。

[ニューヨーク 8日 ロイター] – 米ファイザーのミカエル・ドルステン最高科学責任者は8日、同社が独ビオンテックと開発した新型コロナウイルスワクチンについて、3回目の追加接種(ブースター接種)の許可を来月中に米食品医薬品局(FDA)に申請する方針だと述べた。2回目の接種から半年経過すると再感染リスクが高まる証拠が出てきたことや、感染力の強いインド由来の変異株(デルタ株)の広がりが理由だ。

ドルステン氏は、イスラエルで最近、主に1月ないし2月にワクチン接種を終えた人が再び感染しているため、ワクチンの効果が弱まったとの報告があったと説明した。イスラエル保健省は、6月のファイザー製ワクチンの感染および発症予防効果はともに64%に低下したと発表した。(以下、略)

新型mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンの限界を示すもので、同じタイプの米国製薬大手のモデルナ社も同様の申請に追い込まれるだろう。これは、政府=菅政権の事実上の「ワクチン一本足打法」の限界を明らかにするもので、日本を含む世界各国の国民に対するmRNAワクチンへの不信感を増テクするものだ。自公連立政権に致命的な打撃を与える公算が大きい。なお、中村東大名誉教授によると、①新型コロナウイルスの後遺症②新型mRNAワクチンの中長期的な副作用ーなどから、アフター・コロナの時代は高齢者・ワクチン接種者を中心に世界各国に医療費負担が重くのしかかると見通している(https://www.youtube.com/watch?v=VZIeMddmJII)。

清水有高氏の「一月万冊」でインたヒューに応じた中村祐輔東大名誉教授
清水有高氏の「一月万冊」でインたヒューに応じた中村祐輔東大名誉教授

実は、朝日新聞出身のフリージャーナリストの佐藤章氏がヒトゲノム解析の第一人者である中村東大・シカゴ大学名誉教授に直接取材したところによると、中村名誉教授は同教授が世界に先駆けて開発した癌の遺伝子治療方法を応用した「ペプチド型ワクチン(癌やウイルスなどの病原体に対して、ヒトを免疫化する役割を果たすアミノ酸の複合体を直接産生するワクチン)」開発を考案し、政府機関である国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)に開発・製造支援を依頼した。しかし、ペプチド型ワクチンの画期性を理解できる者が同機構に存在せず、支援却下の通知だけが届いたという。

ただし、外国の医学論文雑誌(英国で発行されている「ネイチャー」)にはペプチド・ワクチンの論文が掲載され、高い評価を受けているようである。なお、中村祐輔 東大名誉教授の研究成果を受けて2001年、癌治療薬、癌治療法の研究開発を目的とする大学発ベンチャー企業のオンコセラピー・サイエンス株式会社が設立されている(https://www.oncotherapy.co.jp/)ため、ペプチド型ワクチンの開発は続行しているとのことだ(https://www.youtube.com/watch?v=VZIeMddmJII)。

恩顧セラピー株式会社サイトのトップページ
恩顧セラピー株式会社サイトのトップページ

政府=菅政権の4回目の「緊急事態宣言」発出と東京オリンピックの強行開催はまず失敗し、菅首相は退陣を余儀なくされるだろう。自民党や公明党内で広がっている反菅勢力は、岸田文雄前政調会長を総裁にし、選挙の顔にして、総選挙に臨む可能性もある。これに、佐藤氏が追及している安倍晋三首相(当時)の「取り敢えず半分(とり半)」疑惑解明のため、林真琴検事総長率いる検察が安倍前首相の強制捜査・逮捕が加われれば、自公連立与党は新総裁選びどころか、壊滅的打撃を被る。

ただし、米国を支配するディープステート(闇の国家:軍産複合体)が安倍陣営の強制捜査・逮捕を妨害する可能性は否定できない。また、これに関連して、政治経済評論家の植草一秀氏のメールマガジン第2976号「次期総選挙で政策連合政権を樹立」によると、立憲民主党の枝野幸男代表が米国のディープステートに屈する可能性もある。

立憲民主党が「革新政党」としての位置付けを明確にし、反自公の野党共闘の中核政党になることが期待されてきた。ところが、その立憲民主党の行動が極めて不明確。背景に日本政治支配を続ける米国支配勢力(注:ディープステート)の意向がある。日本政治を支配し続ける米国の支配勢力。

戦後日本の政治において、日本政治を支配し続ける米国の支配勢力の意向に対抗しようとした政治家はことごとく攻撃を受けてきた。片山哲内閣、芦田均内閣、鳩山一郎内閣、石橋湛山内閣、田中角栄内閣、細川護熙内閣、鳩山由紀夫内閣の系譜だ。この支配勢力は米国の意向に隷従する政治勢力のみを支援する。米国の意向に楯突く勢力をことごとく攻撃してきた。枝野幸男氏はこの勢力に怯んでいるのだと考えられる。

サイト管理者(筆者)は、その可能性は高いと見ているが、その場合は立憲民主党を対米従属派と日本国独立派に分立することが必要で、そうしてこそ戦後史上初めて日本国独立のための政権を樹立することが可能になる。日本独立のための新政権は、コロナ禍対策を抜本的に見直すことも最重要政策のひとつになる。その場合、「感染症利権ムラ」を解体するとともに「日本版疾病予防センター=CDC(Centers for Disease Control and Prevention)=」を組織するとともに、富山大学医学部チームが開発した治療薬「スーパー中和抗体」や中村名誉教授の「ペプチド・ワクチン」などの実用化を積極的に支援すべきである。


この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう