自民二階幹事長「オリ/パラ中止発言、軌道修正」、菅首相は「対中軍事同盟先鋒強化約束」でワクチン入手も

昨日4月15日の自民党の二階俊博幹事長の変異株によるコロナ感染拡大を考慮しての東京オリンピック/パラリンピック発言は波紋を呼んだが結局、「東京オリンピック/パラリンピック強行開催」に軌道修正されたようだ。その前提として、菅義偉首相とバイデン米大統領との間で、米国ファイザー社の最高経営責任者の了解のもと、同社製のmRNA型ワクチン対日供給支援の約束が交わされるようだ。ただし、日本はその代償として経済関係が深くなった中国に対して、「対中軍事同盟の先鋒」に立つことを約束する(させられる)。日本時間17日未明の日米首脳会談が日本の分水嶺になりそうだ。

4月17日金曜日コロナ感染状況
複数のメディアによると本日4月16日金曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の4月9日金曜日の537人から130人増加して667人になった。7日移動平均では542.0人になった。前週金曜日比では122.9%になった。年代別では、20代が人と200人最多が続いている。20歳未満は62人だった。東京都基準の重症者は43人になった。
全国では、23時59分の時点で4532人が新規感染、死亡者は46人、重症者670人になっている。東京都の死亡者数は8人。大阪府は新規感染者数が過去最多を更新して、4日連続の1000人超えの1209人になった。死亡者は16人だった。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、4月15日時点の実効再生産数は全国が前日と同じ1.19人、東京都は同じく4月15日時点で前日比0.03人増の1.16人だった。前日比上昇、下落を繰り返しているが基調的には上昇傾向のようだ。ただし、1.10人は超えているので指数関数的に増加していくことが懸念される。

二階自民幹事長の「東京オリンピック/パラリンピック」中止発言の軌道修正

自民党の二階幹事長は昨日4月16日の午前のTBSのCS番組の収録で、変異株が主役の新型コロナ感染拡大の第4波が今後、厳しくなることを念頭に、「「これ以上とても無理だということだったらこれはもうスパッとやめなきゃいけない。オリンピックでたくさん蔓延(まんえん)させたということになったらなんのためのオリンピックかわからない」と政権連立与党首脳としては初めて、オリ/パラ中止発言を行った(1分程度の動画)

 

 

この動画インタビューでの二階幹事長には覇気が感じられない。二階幹事長は1939年2月17日(昭和14年)うさぎ年生まれの満82歳。加齢に伴い「政治家」としての巧みな発言ができず、司会者の何気なしの質問に対して、ホンネを語った可能性がある。朝日新聞記者を経て現在、フリージャーナリストの佐藤章氏によると、4月上旬から中旬にかけて二階グループ所属の国会議員が地元に帰郷した際、後援会の支援者から、「コロナ第4波のもとで(貴重な医療資源を国民よりも国際オリンピック委員会=IOC=のスポンサーの招待客に優先的に回す)東京オリンピック/パラリンピックが開催できるのか」と詰め寄られたという。

こうしたことから、二階幹事長もホンネではオリ/パラ開催強行は不可能だと思っていて、ホンネ通りの発言を行ったのではないか。二階氏は時々、そうしたホンネないし事実を何気なしにしゃべることがある。問題は菅義偉首相だ。東京オリンピック/パラリンピックはもともと、清和会(細田派)所属の森喜朗オリ/パラ大会組織委員会前会長や安倍晋三前首相ら、同会関連者で進められてきた経緯がある。

このことからすれば、菅首相グループや二階グループにはそれほど、「オリンピック利権」は転がってこない。また、森組織委会長(当時)の「女性蔑視発言」や東北新社の総務省接待問題で菅首相の長男・菅正剛氏が事実上の接待の「主役」になっていたことがあからさまになった。そのうえ、総務省が東北新社に便宜を図っていた事実、東北新社の子会社「東北新社メディアサービス」が外資法違反=放送法では衛星放送事業者に対する外国資本の議決権比率を20%未満と規定している=の事実を知りながら、CS衛星放送の認可申請を行い、許認可を受けていたため、5月1日から衛星放送事業の認可取り消し処分を受けることが確定している。総務省を「天領」とした菅首相には、こうした不祥事が枚挙にいとまがなかった。

佐藤氏らによると、菅首相も一時は「オリ/パラ中止論」に傾いていたようだ。しかし、菅首相には奇策があった。新型mRNAワクチンは、感染症の専門家、ワクチン専門家からの評価は高い。しかし、日本では入手のスケジュール(メド)が立っていない。医療従事者480万人に接種することから始める予定だったが、現状では厚生労働省の交渉ミスでファイザー社製ワクチンの入手のめどが経たずまだ、80万人程度の医療従事者にしか接種できていない。

ファイザー社製のワクチン入手支援を日米首脳会談で直談判出来るかも知れないー菅首相がそう思った(あるいは、側近からそういう提案を受けた)と考えても不思議ではないだろう。株式市場ではそうした噂が流れている。別の投稿記事で述べたが、再掲させていただきたい。

次のロイター電は「首相訪米でワクチン大量確保の成果も 早期解散・株高へ」と題する株式アナリストのコラムを流している(https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-japan-vaccines-idJPKBN2BW02K)。

バイデン大統領は対面で会う初めての外国首脳として菅首相を選んだ。菅氏を厚遇で迎え、場合によっては日本への大量のワクチン優先提供に応じる可能性もありうる。

訪米の成果が首相の支持率回復につながれば、世論次第で解散に踏み切る現実味も増す。その場合、日経平均は3万3000円に上昇する大きな株高インパクトが期待できそうだ。今月16日(注:日本時間17日夜)にワシントンで行われる日米首脳会談は、新型コロナウイルスへの対応などで支持率が伸び悩んでいる菅義偉首相にとって、さまざまな追い風が吹き始める契機になるだろう。(以下、略)

ワクチンを大量に入手し、オリンピック選手団と国際オリンピック委員会(IOC)スポンサー企業の招待客用に準備しておければ、表向きは「東京オリンピック/パラリンピック開催には、安全に開催できるという科学的証拠が必要」というバイデン大統領の発言にも適合するし、医療従事者や高齢者をはじめ国民の不満も抑えられる。こう考えることもできよう。このワクチン入手には布石があった。日米豪印による対中ワクチン・軍事・経済包囲網(QUAD)の形成することで、ワクチンの入手を確かなものにすることだ。

こうしたことから、二階幹事長は結局のところ、「東京オリンピック/パラリンピック中止」発言の釈明文書を公表せざるを得なかったようだ(https://www.tokyo-np.co.jp/article/98290?rct=politics)。

自民党の二階俊博幹事長は15日、新型コロナウイルス感染がさらに拡大した場合、東京五輪・パラリンピックの開催中止も選択肢とした自身の発言について「ぜひ成功させたいという思いだ。何が何でも開催するのかと問われれば、それは違うという意味で発言した」と釈明する文書を発表した。

日米豪印(QUAD)による対中ワクチン・経済・軍事同盟

今年2021年3月13日に日米豪印首脳テレビ会議が持たれた(https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/nsp/page1_000939.html)。その結論は次のようなものだ。

  1. 4か国の首脳は、日米豪印は基本的価値を共有し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の強化にコミットしており、4か国の協力を一層強化していくこと、また、法の支配、航行及び上空飛行の自由、紛争の平和的解決、民主的価値、領土の一体性といった原則を支持することで一致しました。
  2. 「自由で開かれたインド太平洋」につき、菅総理大臣から、このビジョンは、ASEANや欧州を含む国際社会に浸透しており、その実現に向け、より多くの国々と連携していくことが必要である旨指摘し、4か国の首脳は、様々なパートナーと協力していくことで一致しました。また、4か国の首脳は、ASEANの主体的な取組である「インド太平洋に関するASEANアウトルック」や、ASEANの一体性及び中心性に対する強い支持を確認しました。
  3. 4か国の首脳は、日米豪印の下、質の高いインフラ、海洋安全保障、テロ対策、サイバー・セキュリティ、人道支援・災害救援を始め、様々な分野で実践的な協力が進展していることを歓迎するとともに、ワクチン、重要・新興技術、気候変動について、それぞれ作業部会を立ち上げることで一致しました。
  4. 東シナ海、南シナ海情勢について、菅総理大臣から、一方的な現状変更の試みに強く反対する、中国の海警法についても、国際法との整合性の観点からも問題がある規定が含まれており、深刻に懸念している旨述べました。4か国の首脳は、東シナ海及び南シナ海における、国連海洋法条約を含む国際法を始めとするルールに基づく海洋秩序への挑戦に対応するため連携していくことで一致しました。また、香港の選挙制度に関する全人代の決定につき、菅総理大臣から、重大な懸念を強めている旨表明し、新疆ウイグル自治区に関する人権状況についても深刻な懸念を表明しました。
  5. 北朝鮮情勢について、4か国の首脳は、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認するとともに、菅総理大臣から政権の最重要課題である拉致問題の早期解決に向けた各国の理解と協力を求め、各国から支持を得ました。

日米豪印(QUAD)連携体制が、事実上の対中経済・軍事同盟であることは言うを待たないが、「ワクチン、重要・新興技術、気候変動について、それぞれ作業部会を立ち上げることで一致しました」とある。実は、ファイザー社製のワクチンはインドの巨大製造工場でも生産されている(https://www.youtube.com/watch?v=o1kPn64x8oA)。

 

 

日本は、対中国向けに中長距離ミサイルを配備する(ことを約束する)とともに、「ワクチン供給作業部会」などに対して「資金」を提供する。そして、対中包囲網の「先鋒」になる。このことを日米首脳会談で約束すれば、本格化してきた「米中覇権争い」で米国に恭順の意を示すことでファイザー社からワクチンの大量提供を受けられる。その「土産」を持ち帰り、頃合いを見て解散・総選挙に打って出るというのが、菅首相と最側近の描く基本シナリオだろう。NHKのWebサイトも16日午前4時9分に次のように報道している。

また、両首脳は安全保障や気候変動、新型コロナウイルス対策、デジタルなど幅広い分野で緊密な2国間の協力を促進し日米同盟の一層の強化を確認する見通しです。(中略)

一方、政府は新型コロナウイルスのワクチンの日本への円滑な供給に向けて、菅総理大臣の訪問中にアメリカの製薬大手、ファイザーのブーラCEOとの間で電話会談を行う方向で調整を進めています。

菅首相のシナリオの落とし穴

ただし、菅首相のシナリオには落とし穴がある。第一は、経済産業省が進めてきた対中経済外交が頓挫し、経済的には切っても切れない日中関係が分断されることである。日本は「股裂き状態」になる。また、「媚中派」と揶揄される二階幹事長ら二階グループ、党内親中派グループが一掃され、党内政局が起きることだ。自民党内が不安定になることが考えられる。また、中国から報復を受けることは確実で、併せて日本の経済情勢も不安定になる。

第二は、変異株による日本でのコロナ第4波が小康状態を迎える時があるかということだ。佐藤氏によると、感染症などに詳しいNPO法人・医療ガバナンス研究所の上昌広理事長・医師は、季節要因から夏場が変異株を含む新型コロナの活性期であり、(注:括弧内はサイト管理者=筆者=の補強です。仮にmRNA型ワクチンが有効だとしても、入手の遅れ・接種準備の遅れから、ワクチン接種が十分に浸透せず)、第4波がそのまま第5波につながっていく可能性もあるとのことだ。この場合は、解散・総選挙の時期が制約される可能性が濃厚だ。

なお、複数のマスコミの報道によると、第4波は20歳代以下の低年齢層にも感染が拡大しているほか、基礎疾患のない40歳代、50歳代の国民も続々重症化しており、「ワクチン一本足打法」で乗り切るのはやはり、困難な状況だ。抗ウイルス剤の開発・申請・承認をいたずらに抑制するのは医療体制の崩壊を加速するだけだ。

第三は、米国のファイザー社やモデルナ社が開発したmRNA型のワクチンが、変異株に対しても本当に安全で有効性があるかどうか、不明なことだ。これに関連して、日本で基礎疾患もなく高齢者でもないのに、ワクチン接種後に女性の医療従事者が脳出血で亡くなられたということである(https://www.yomiuri.co.jp/national/20210414-OYT1T50205/)。欧州では英国のアストラゼネカ社とオックスフォード大学が開発したワクチンで、脳血管に血栓が生じて、多数の方が亡くなられ、欧州各国の政府・国民の間で、アストラゼネカ社製のウイスル・ベクター型のワクチンに対する不信感が高まっている。

日本では、厚生労働省がワクチン接種と死亡を含む接種事故との因果関係を認めない。フクシマ第一原発の際に、子どもたちの甲状腺がんが急増したが、政府は因果関係は認めなかった。因果関係は、厚労省によって「人為的に作成される」。本来は、客観的に判断できる時系列的関係を、基本的には最重視すべきだ。そして、時系列的関係を基準に、死亡を含む接種事故に対して、財政的支援措置を行うべきだが、その体制が築かれていない。第四に、ワクチン接種だけが優先されていて、抗ウイルス薬の承認が厚労省によって意図的に抑えられている可能性があることだ。

野党側はこうした情勢を踏まえ、緊急に党首会談を開き、コロナ禍対策の整合的で体系的なコロナ禍対策抜本転換策を示すべきだ。主な内容として、次の内容を挙げさせていただきたい。

  1. 国民の生活や企業の存続を補償・保障する抜本的な国庫負担による財政支援策を講じる。
  2. 医療供給体制を再構築(国庫負担による医療機関の減収補填と国立病院や独立行政法人地域医療推進機構などでのコロナ重症患者の受け入れ体制の確立)し、感染震源地(エピセンター)での全員検査体制を確立する。
  3. 「いつでも、どこでも、誰でも、安心して」社会的検査が受けられるような検査体制を構築する。
  4. 検査陽性判定者は速やかに保護・隔離・アビガンなどの抗ウイルス剤を使い、重症化しないように治療を開始する。
  5. 政府新型コロナ感染症対策本部分科会は廃止して、感染症学、遺伝子工学、情報工学、感染症関係法令などの専門家からなり、科学的知見に基づいてのみ感染症対策を提言する日本版感染症予防対策機構=CDC、Centers for Disease Control and Prevention=を創設する(構成員は同機構が研究業績に基づいて決定し、内閣総理大臣は形式的任命のみ行う。内閣総理大臣は機構が決定した人事に異を唱えることは許されない)。
  6. 厚生労働省の医系技官に対しては、国家公務員試験を行うとともに、臨床医としての経験を求める。
  7. ウイルスによる感染症に対して、抗ウイルス剤の研究開発生産を国庫で支援する。
  8. ワクチン接種事故については「因果関係」よりも、「時系列的関係」を重視して、死亡を含む接種事故に対して、補償金の迅速な支給など即応できる体制を確立する。
  9. 国民主権を守るため保護・隔離中のコロナ感染者の選挙権が失われないように、法的措置を講じる。

 

なお、神津里季生会長率いる日本労働組合総連合会(連合)とその傘下にある国民民主党は、立憲民主党と日本共産党、れいわ新選組を分断する自公与党政権の「別働隊」である。次のYoutubeも参考にして下さい(https://www.youtube.com/watch?v=Cxg4TDWeEeY)。立憲は神津会長にひれ伏すべきではない。


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