不十分な野党共闘体制では自公維に勝てず政権奪還は不可能ーれいわニューディール掲げ参院選でねじれ現象を(立民重要追記)

「野党共闘体制」を組んで政権選択をかけた第49回総選挙の結果があきらかになった。結果は、立憲民主党の枝野幸男代表が真の野党共闘体制の確立に消極的になったため、小選挙区では善戦したものの自公両党の小選挙区敗北議員の比例復活を許し、自公両党が衆議院のすべての常任委員会の委員長ポストを確保し、かつ、各委員会の過半数を確保する議席数である絶対安定多数の261議席を上回る291議席を確保し(公示前は305議席)を確保した。これに政商・学商であるレント・シーカーの竹中平蔵氏が陰に陽に弱肉強食の新自由主義の「理念」に基づいた政策の原案をさずけている「日本維新の会」が獲得した議席数41議席に日本労働組合総連合会(連合)とともに野党分断工作を展開してきた国民民主党の11議席を合計すると「憲法改正(実質は改悪)に必要な三分の二(310議席)は優に超える。加憲の公明を除いても313議席だ。来夏の参院選が勝負になる。

朝日新聞のサイト(https://www.asahi.com/?iref=pc_gnavi)によると、10月31日から11月1日早朝までに投開票が行われた第49回総選挙の結果は次のようになった。

自民党は大勝、維新躍進、立憲民主党惨敗、れいわ善戦ということだ。投票率は56%程度と「旋風」は起きなかった。形のうえでは、野党側が曲がりなりにも共闘体制を確立したが、立憲民主党は公示前(109議席)よりも議席を減らした(13議席減の96議席)。枝野代表ー福山哲郎幹事長の執行部は責任を取って即刻退陣すべきだ。今回、野党共闘が功を奏しなかったのは、枝野代表が米国のディープステート(闇の帝国:軍産複合体と多国籍金融資本・企業)の指示で連合の野党分断工作に遭い、強力な野党共闘体制の構築に失敗したからだ。【追記:しかも、枝野代表は自公維側の「立憲共産党」攻撃に積極的に反論しなかった】

政策の面でもそれは言える。岩手3区で17回連続当選した小沢一郎立憲民主党議員は残念ながら敗北したが、比例復活では当選した。その小沢氏はかねがね、①公約に掲げた財政出動の規模が小さすぎる②「オリーブの木」構想として野党側の統一名簿を作成し、事実上の二大政党による選挙戦に持ち込むべきだーと主張していた。もともと、旧立憲民主党と旧国民民主党の合併の立役者は小沢氏だった。その小沢氏に対して、枝野代表は立民の要職につけず、しかも、菅義偉首相(当時)を辞任した際、平野博文筆頭代表代行兼選挙対策委員長(大阪11区で敗北、比例復活もならず衆院議員失職)が総選挙の指揮を依頼した際に、枝野代表が圧力をかけて小沢氏が総選挙の指揮を採ることを止めさせた。

枝野代表ー福山幹事長ー安住淳国対委員長の責任は極めて重い。大手マスメディアは本来なら政権交代がかかった今回の総選挙で立民が議席を減らしたのは共闘体制が「ガラス張り細工」だったとして「野党共闘」そのものが無理筋であったような批判を行っているが、野党共闘体制を「ガラス張り(もろい)細工」にしたのは立民の執行部が米国ディープステート指示による連合の野党分断工作にひっかかったためだ。ただし、東京8区では野党統一候補の吉田晴美氏が当選し、元幹事長の石原伸晃氏は比例復活もならなかった。これが、野党共闘の真の姿だ。れいわの山本太郎代表が立民幹部とれいわの間で内定していた野党統一候補としての出馬を取り止め、吉田氏の選挙応援にかけつけたことが大きい。

なお、神奈川13区では自民党幹事長の甘利明氏が敗北した(比例復活で当選はしている)。これも、野党共闘の賜物だ。甘利幹事長は、幹事長職を辞任する意向を岸田文雄総裁に伝えている。選挙の総責任者である幹事長が小選挙区で敗退したとなれば、前代未聞であり、辞任は当然のことだ。しかし、岸田総裁は安倍晋三氏と麻生太郎氏の協力を取り付けるため、遺留に務めなければならないところだ。本気で辞任するつもりなら、朝日新聞出身のフリージャーナリストの佐藤章氏によると高市早苗政調会長、政治経済評論家兼政治活動家の植草一秀氏によると茂木茂外相が幹事長に就任する可能性が高いという。自民党幹事長の人事が焦点だ。【追記:自民幹事長に茂木外相を起用】

 

総選挙投開票日のれいわ・山本太郎代表の記者会見
総選挙投開票日のれいわ・山本太郎代表の記者会見

 

立憲民主党の弱体化に比べ、総選挙に初めて挑戦したれいわ新選組は善戦、比例ブロックから3人の当選者を出した。比例東京ブロックから出馬した山本代表、比例南関東ブロックのたがや亮氏、比例近畿ブロックの大石あき子氏。比例東海ブロックでも一議席を確保できる票は得たが、小選挙区での得票数が少なく、公職選挙法の規定で一議席は得られなかったという(https://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/20211101-OYT1T50172/)。そのれいわの山本太郎代表が昨年夏、東京都知事選で立候補した際に応援に駆けつけた馬淵澄夫氏(奈良一区で当選)は立民の代表選挙を開き、代表に出馬することを表明している(https://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/20211101/2050008833.html)。

枝野代表ら立民執行部は馬渕氏ら現在の執行部に批判的な勢力にその座を譲り、立民を再生させなければならない。そして、日本共産党、れいわ新選組、社民党と本物の野党共闘体制を組まなければならない。真の「野党共闘体制」とは人生を諦め、政治に頼ることはできないと思っている「支持政党なし層(俗に、無党派層)」に投票いただくことのできる「政策体系」を提示し、「山」を動かせるような理念・政策・共闘体制を構築することだ。来夏の参院選まで時間がない。

【追記:10月01日午後23時】自公維の機関紙的役割を担っている産経新聞の記事らしいが、この期に及んで枝野代表は連合の芳野友子会長と会談し、「謝罪」したという(https://news.yahoo.co.jp/articles/ea0d742dce61dfac7e4adf9c83a08a4b63dbc40a)。福山幹事長は辞任の意向だが、枝野代表こそ最初に自ら辞任表明をすべきだ。なお、香川一区で勝ち抜いた立民の小川淳也衆院議員はこともあろうに維新と組もうとしている。こちらも論外だ。朝日出身でフリージャーナリストの佐藤章氏は、立憲民主党とれいわ新選組が合併し(いやな立民議員は維新か自民党に行けば良い)、山本代表が合併新党「れいわ民主党」の新党首になればよいと提案している。立憲民主党はそれくらいの覚悟で臨まなければ来夏の参院選でも大敗し、日本は憲法改正=改悪を経て軍事独裁国家になる。

 

なお、今回の総選挙では維新が大躍進したが、維新の背後には政商・学商で、小泉純一郎首相(当時)とともに日本に本格的に新自由主義を導入した竹中平蔵氏が存在する(https://nichijou825.com/2021/10/24/nihonisinnokaitakenaiheizouneto183/)。竹中氏は維新の選挙対策委員長になったほか、ベーシック・インカムを柱とする政策を提言、維新も受け入れている。基本的には国民年金(基礎年金)を廃止するなど従来の社会保障制度を「改革(実質的には解体)する代わりに、月額6万円から8万円の最低生活保障金額を全国民に給付するというものだ。しかし、所得税と法人税は減税したうえで、プライマリーバランス(政策経費を税収以下に抑える)の黒字化という緊縮財政は当然のこととしている。医療保険や介護保険は6割負担になるとのことだ。基本的には、経済成長による税収増が財源になるが、極めて実現性が乏しい(https://o-ishin.jp/policy/pdf/seisakuteigen20211015_fix.pdf)。

加えて、労働市場への規制を緩和するともしている。れいわの山本代表も10月31日の投票後の記者会見で自民党以上に弱肉強食の新自由(放任)主義を基本理念とする正当であることを訴えている。自公維+国民民主党に打ち勝つためには、れいわ新選組の「グリーン・ニューディール」しかない。ただし、コロナ禍による工場閉鎖(都市封鎖)による供給ショック(生産の減少による物価高)には極めて注意が必要だ。そのような根本的政策を実現できる体制を確立する必要がある。真正野党はそうした政策体系を打ち出す必要がある。それができなくて仮に、来夏の参院選でも野党側が敗北すれば、日本の衰退は決定的になるだろう。

コロナ第六波襲来の予兆

コロナ第六波が襲来する予兆が見えてきた。季節要因で英国、ドイツ、ロシアでは既に第六波が襲来している。デルタ株が変異したデルタ・プラス株が主要感染源のようだ。東京都では8月20日から新規感染者数が前週の同じ曜日から減り続けていたが、総選挙投開票日の10月31日の日曜日に久しぶりに前週の日曜日より増えた。新規感染者数が最も少なくなりやすい月曜日の11月1日は逆に減少した(ただし、東京都の新規感染者漏れは反映されていないです)。若干の増減の変動はここしばらく続くと思われるがこのところ、前週からの減少幅が少なくなっているが、新規感染者の絶対数が極めて減少していることがあるものの(ただし、一人でも感染者が出るとエアロゾル感染=空気感染=を通じて感染が拡大する)、第六波襲来の予兆と見るべきだろう。

感染症対策の根本は大規模検査と隔離・保護・治療だ。空気感染で感染するため「自宅療養」という名の「自宅放置=遺棄」政策は厳禁である。「感染症利権ムラ」は解体して、医療体制の抜本的再編を行わなければならない。岸田政権(岸田首相ー甘利茂木幹事長または岸田首相ー高市幹事長ライン)では、コロナ第六波に対処できない。今回の総選挙で圧勝した河野太郎広報本部長が虎視眈々と総理・総裁の座を狙っている。


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