オウム真理教のサリンによる無差別テロ事件に対して東京高裁が出した判決は最高裁が支持して、宗教法人法第81条の1項、2項に基づく裁判所に対する宗教法人解散命令請求の要件について、裁判所システムによる解釈が確定した。要諦は、宗教法人の代表役員等が、刑法等の実定法規の定める国家による禁止規範又は命令規範に違反して公共の福祉に反する悪質な行為を組織的・継続的に行うことである。要するに、宗教法人の代表役員等が刑事犯罪を犯すことである。しかし、裁判所システムが確定したこの解釈を踏襲していた歴代の自民党主導政権が、昨年夏の安倍晋三元首相の殺害をきっかけにマスコミによる自民党批判の大合唱が渦巻いている中、世界平和統一家庭連合の解散請求要件の中に、10月中旬一夜にして民法の「不法行為」ー民法706条で定められている。不法行為とは、故意(わざと)または過失(不注意)により違法に他人に損害を与えた行為を言い、被害者は加害者に対して、精神的・物質的な損害の金銭による賠償を求めることができる。本質的には、損害賠償規定であり私人間の本来の関係を回復する目的があるーを含めてしまった。支持率低下の窮地にあえいだ岸田文雄首相の独断の可能性が強い。しかし、これは法律の予見性を覆す法治国家としてはあるまじき岸田政権による勝手な法律解釈変更であり、法理論的には裁判で請求が認められるはずがない。しかし、本事案の元になった安倍元首相に対するテロ狙撃射殺事件の背景には、ジャーナリストの田中宇氏や外務省出身の孫崎享氏が指摘するように、ウクライナ戦争をきっかけに本格格した世界の米側陣営と非米側陣営の対立・構想の深刻化という国際情勢の激変という事実があることに注意しておかねばならない。揮毫は同連合の創始者である文鮮明師によるもので、「(宗教者は現実の悲惨さから目を背けてはならない。天国に至る道は)地上天国の創建」の必要があり、それが万民の願いである」という意味と思われる。
東京高裁と最高裁による解散命令請求の要件
極めて有害な毒ガスであるサリンによる無差別テロ殺人事件などによって、オウム真理教は宗教法人の資格を剥奪されたが、その裁判の中で東京高裁は宗教法人法(以下、法という)は法81条の1,2項の解釈について次のように示した(平成7年12月19日)。なお、本投稿記事は解散命令請求のターゲットになっている世界平和統一家庭連合の田中富廣代表の代理弁護人である福本修也弁護士の意見陳述書を参考・引用させていただいている(https://ffwpu.jp/news/4853.html)。
法令に違反して,著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」(一号)・・(中略)・・とは,宗教法人の代表役員等が法人の名の下において取得・集積した財産及びこれを基礎に築いた人的・物的組織等を利用してした行為であって,社会通念に照らして,当該宗教法人の行為であるといえるうえ,刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範に違反するものであって,しかもそれが著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為(である)
高裁判決は、「刑法等の定める禁止規範又は命令規範に違反するもの」と厳格に定めている。これを受けて最高裁も、平成9年7月11日に次のように東京高裁の判決を支持している。
我が国の不法行為に基づく損害賠償制度は,被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し,加害者にこれを賠償させることにより,被害者が被った不利益を補てんして,不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものであり(最高裁昭和63年(オ)第1749号平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁参照),加害者に対する制裁や,将来における同様の行為の抑止,すなわち一般予防を目的とするものではない。もっとも,加害者に対して損害賠償義務を課することによって,結果的に加害者に対する制裁ないし一般予防の効果を生ずることがあるとしても,それは被害者が被った不利益を回復するために加害者に対し損害賠償義務を負わせたことの反射的,副次的な効果にすぎず,加害者に対する制裁及び一般予防を本来的な目的とする懲罰的損害賠償の制度とは本質的に異なるというべきである。我が国においては,加害者(注:刑事犯罪者)に対して制裁を科し,将来の同様の行為を抑止することは,刑事上又は行政上の制裁にゆだねられているのである。
つまり、宗教法人の解散命令請求は、「我が国においては,加害者に対して制裁を科し,将来の同様の行為を抑止することは,刑事上又は行政上の制裁にゆだねられている」のであり、解散命令を裁判所に請求するに当たっては、国家権力が刑法に基づいて加害者の犯罪を厳密に立証する必要があり、損害賠償制度を定めた民法709条に対して妥当か否かは問題にはならないし、憲法で保証された「信教の自由」を厳密に守る上で問題にはしてはならないのである(この点については後述する)。しかし、家庭連合には代表役員等によるこうした刑事犯罪行為事実は皆無である。
この我が国の裁判所システム(本来、違憲立法審査権を持ち、「法の番人」とも呼ばれる)で解決された法解釈を、岸田首相は一夜にして変更させたのである。福本弁護士は時系列的にその経過を表にまとめておられる。
この表によると、岸田首相は昨年10月17日に永岡桂子文科相に対して法78条の2の3項「当該宗教法人について第八十一条第一項第一号から第四号までの一に該当する事由があること」に基づいて「質問権行使」を行うように命じた。この質問権行使には家庭連合に対して、解散命令請求の事由(理由)が明確に存在しなければならない。しかし、翌日の18日には国会でなお、「『法令に違反して』の法令には民法の不法行為=故意又は過失により、他の私人に損害を与えること=は入らない」と繰り返しているのである。恐らく、質問権行使の要件として宗教法人解散命令を請求できる条件が、厳然として存在していなければならないということに気が付かなかったのだろう。
文科省や司法官僚=裏で、裁判所システムをコントロールすると言われている=を含む法務省の官僚からの「意見・注意」を受けて慌てたのだろう、それで、翌日19日には一夜にして、「『法令に違反して』の法令には民法の不法行為も入り得る」と裁判所システムで確立した法律解釈を勝手に変更したのである。これは法の予見性を重要視しなければならない法治国家の根幹から全く外れた答弁である。司法官僚が跋扈してきた日本が真の意味で法治国家かどうか怪しいが、この時点で日本は一段と法治国家ではなくなったのである。
福本弁護士は次のように指摘されておられる。
不法行為は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害(する行為)」(同条)と定義されるが,個々具体的な行為が不法行為に該当する否かは,同条の外にある法秩序が設定した実定法規である禁止規範・命令規範(刑事法規又は行政取締法規)又は「公序と呼ばれる不文の秩序(=社会的相当性)」に照らして評価・判断される。その結果,当該行為が不法行為と評価・判断されれば,同条の「賠償規範」に基づき損害賠償債務発生という私法上の法律効果が生じるのである(以下,これを『不法行為における階層的規範構造』と言う。)。
このように民法第709条は,同条の外にある法秩序が設定した実定法規である禁止規範・命令規範とは区別される「賠償規範」であって,同条自体は禁止規範・命令規範ではない。したがって,東京高裁決定にいう「刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範」に同条は入らず,そもそもにおいて「民法第709条違反」なる概念は存在しない(同条が外部規範と重ねて二重に違反評価をする理由はない)。
また、岸田政権は9月7日に田中会長に対する過料請求を通知したが、その根拠になる法78条2の各項に該当する事実はないから、全くの無効である。岸田首相を始めとして、日本の政府は「不法行為における階層的規範構造」が全く理解できていないのである。このまま暴走して日本を破壊し、歴史に汚点を残すべきではない。さて、損害賠償規範を宗教法人の解散命令請求の要件に入れてはならない宗教上の理由(憲法で保証されており、民主主義国家の根幹である「信教・良心の自由」を厳密に守ること)を指摘しておきたい。
キリスト教に代表される高等宗教の歴史発展の原動力としての革命性
聖書のマタイによる福音書10章34節以下に、次のようにイエスが言われたとある。「わたしが来たのは地上に平和をもたらすためだ、と思ってはならない。平和ではなく、剣をもたらすために来たのだ。わたしは敵対させるために来たからである。人をその父に、娘を母に、嫁をしゅうとめに。こうして、自分の家族の者が敵となる。わたしよりも父や母を愛する者は、わたしにふさわしくない。わたしよりも息子や娘を愛する者も、わたしにふさわしくない」聖徳太子の憲法十七条の「和をもって貴しとなす」の伝統の根強い日本国民からすれば、信じがたい諭しである。解釈はさまざまあると思うが、ヨハネによる福音書14章6節に次のような諭しがある。
イエスは彼に言われた。「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれひとり父のみもとに来ることはありません。
つまり、万民は救い主であり、真理でもあるイエス・キリストにまず帰依することによって、真理の根源である神に至ることができ、そうして始めて人類は親子・兄弟相和し、共生共栄共義の自由で平和な世の中を形成できるということだろう。こうしたことに思いを致すことがなければ、特に一神教系のキリスト教は伝統社会との摩擦を生じやすい。そういう場合には、私人間の現状を回復するための民法706条が役に立つが、だからといって宗教を抹殺してしまえば、社会発展の原動力はなくなる。今、岸田政権がやろうとしていることはまさに、日本の社会から発展の原動力を奪うことだ。
今回の家庭連合の解散命令請求の背後には次のような動きがあった。
4 宗教法人審議会の実態
文科省は,宗教法人審議会の了承を得て質問権等を行使してきたから適法であるなどとしきりに主張してきたが(第7回目の質問回答締切り前日である令和5年8月21日も,文科省担当者は当代理人に対して電話で同様の主張を繰り返していた),家庭連合が問題にしているのは形式的手続ではなく,法律上の実体的行使要件の欠缺であり,上記主張は全く筋違いの反論である。
もっとも,漏れ伝わるところによれば,7回に亘る質問権等行使を諮った宗教法人審議会及び過料通知を諮った同審議会においては,出席した委員からかなりの異論が出されたにもかかわらず,議事を仕切る文化庁次長合田哲雄がそれらの異論を押さえ込んで了承を取り付けたようである。特に,過料について審議した令和5年9月6日の審議会では,当代理人作成の法律意見書について議論がされたにもかかわらず,文科省担当者は,審議会終了後の記者レクで,共同通信社の記者から「審議会では,教団側が出している法律意見書に対する検討がされたのか。そこでは,どういう議論になったのか。」との質問を受けたのに対し,「その件については回答を控える」として逃げた。国においては,当代理人が展開する法律上の主張を克服できない限り過料通知などできるはずがないにもかかわらず,肝心要の議論自体を隠蔽するとは如何なる料簡か。これでは第三者機関である審議会に諮った意味がない。また,これまで宗教法人審議会会長によるコメントが全く出て来なかったことから見ても,審議会の実情が外部に漏れ出ることを極度に警戒する文科省の姿勢が見て取れる。
なお,文科省は,本来,宗教法人審議会に諮る必要のない過料通知の可否につき諮ったが,これは審議会という第三者機関の意見も聴いたという形式を整えることで自らの行為の違法性を糊塗し,過料裁判で敗れた場合の責任逃れをするための布石であると推察される。同省は,近々,法人解散命令請求の可否を同審議会に諮ることを予定しているようであるが,これも同様の意図によるものと推察される。責任を転嫁される審議会委員らにとっては良い迷惑である。
5 文科省の差別的で不公正な姿勢
文科省は,過去,いずれも教団内における「集団リンチ殺人事件」を起こした法友之会,紀元会,空海密教大金龍院及び神慈秀明会に対しては,法人解散請求はおろか,質問権等の行使すらも行わなかったにもかかわらず,教団幹部等による刑事事件が存在しない家庭連合に対しては,執拗に質問権等を行使した上,過料の制裁まで求めて来たものである。かかる文科省の不公正にして差別的な扱いは,突如の法解釈変更という「後出し」による「狙い撃ち」であり,明かに「行政の則」を逸脱している。
文科省は,岸田首相から質問権等行使の指示が出された令和4年10月17日以降,それまでの消極・慎重な姿勢を豹変させ,最高権力者の意向に媚び,家庭連合批判のマスコミ報道に誘導された世論に迎合し,家庭連合に敵対する全国霊感商法対策弁護士連絡会及び脱会した元信者らの声高な主張にばかり耳を傾け,最初から解散命令請求ありきの偏った立場から,違法な質問権等行使を繰り返してきたものである。その姿勢は一事が万事であり,文化庁宗務課長(当時)石﨑宏明は,反対派や元信者等が家庭連合の解散命令請求を求める内容の署名を彼らから直接受け取り,その場にマスコミまで立ち会わせた上,「裁判所でひっくり返されないように証拠を固める」とリップサービスまで行ったのに対し,逆に解散命令請求をしないよう嘆願する家庭連合信者らの署名については,信者側が直接交付を強く要望したにもかかわらず,頑なに直接受け取ることを拒否した。また,フジテレビにおいて,家庭連合が文科省に対して主張している内容(信者に対する拉致監禁棄教強要事件が民事訴訟原告創造の温床となってきたこと)を取材して報道したところ,文化庁次長合田哲雄は,当該報道内容が事実であったにもかかわらず,「旧統一教会の主張を垂れ流す報道姿勢に問題がある」などとして文化庁への出入禁止処分の制裁を加える言論弾圧まで行った。さらに,NHKが,第三者弁護士中山達樹作成に係る文科省宛申入書の内容(家庭連合には組織性,悪質性,継続性が認められないとするレポートを報道し,家庭連合が教団ホームページに同報道事実を掲載したところ,文化庁からNHKに同様の圧力が加えられたという事実も確認されている。ただし,内容的にはNHK報道の方がフジテレビ報道よりも遙かに踏み込んだ内容であったにもかかわらず,奇妙なことにNHKは出入禁止処分まではされなかった。ここには文科省による別な意味の差別が見て取れる。
以上,文科省は,違法な質問権等行使に当たり,行政の中立・公正に著しく反する差別と自らに不都合な言論に対する強権的弾圧を平然と行ってきたのである。
これらの事実関係については、上記家庭連合のサイトで具体的な資料をもって裏付けされている。関心のある方はご覧頂きたい。こうした確信的な家庭連合排除の動きは、国内だけでなく国際的な政治情勢が絡んでいるとサイト管理者(筆者)は見ている。
なお、海外諸国の宗教者から岸田政権の家庭連合に対する宗教弾圧について、非難が起こっている。日本でもコンプライアンスに詳しい検察庁出身の弁護士である郷原信郎氏らが岸田政権の宗教弾圧について批判し始めた
信教の自由及び政治参加の自由の歴史が浅く,人権感覚に乏しい日本では,悲しいかな,巷に溢れ返る一方的な家庭連合叩きの報道やこれに乗せられた世論に疑問を覚えない国民が圧倒的に多いのが実情である。しかしながら,海外の目にはこの日本の現状は実に異常に映っているのである。国際的人権サイト『Bitter Winter』の一連の記事は,イタリアの宗教社会学者・弁護士であるマッシモ・イントロヴィニエ氏が連載した記事であるが,昨夏以降の日本の社会状況に対する客観的で鋭い洞察がなされていることが分かる。また,偏向した魔女狩り報道及びこれに迎合する国や自由民主党による家庭連合に対する差別的対応については,事実を冷静に見つめる国内の有識者からも批判が出ているところである。
そして,令和5年9月26日,オバマ政権時の元国際宗教自由大使スーザン・ジョンソン・クック氏及び米政府諮問機関「米国国際宗教自由委員会(USCIR)」の元委員長カトリーナ・ラントス・スウェット氏は,米政治情報サイト『リアル・クリア・ポリティクス』に『アジアの民主主義国は信教の自由で失敗する危険がある』と題する記事を投稿し,「(民主主義国・人権擁護の象徴であった)日本が信教の自由を踏みにじる考えを示している」,「日本政府は現在,政治的と思われる理由で合法的に構成された宗教団体を解散させようと脅している」,「有罪判決を受けたことのない宗教団体を解散させれば,民主主義の原則を掲げる日本という国のイメージを汚すことになる。民主主義国がメディアによる中傷キャンペーンの地ならしの後に,不人気な宗教的少数派を粛清するような全体主義国家体制の道を決して辿ってはならない。」として,日本政府による家庭連合に対する宗教迫害を痛烈に批判している。
また、カトリック連合アジアニュースでは、「日本統一教会の解散に向けての不可解な動き」と題する記事で「政府(=岸田政権)による家庭連合解散に向けての動きが純粋に法律的な根拠によるものではなく、多分に政治的な動機に基づくものではないか」と疑問視する記事を掲載している(https://www.ucanews.com/news/the-intricate-move-to-disband-japans-unification-church/102826)。
世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会:統一教会)の理念を知るものなら、同家庭連合も時代の流れに応じて自己変革していき、人類の福祉に貢献していくようになる可能性はある。今回の解散命令請求で、その芽を摘み取ってはならない。さて、今回の家庭連合弾圧は、安倍元首相の狙撃テロ事件から始まった。この狙撃テロ事件には背景にウクライナ情勢を通した国際情勢の大きな変化がある。
安倍元首相のテロ狙撃事件の背景にウクライナ情勢を通した国際情勢の激変
外務省の国際情報局長、イラン大使、防衛大学教授出身で現在、東アジア共同体県境所長も務めておられる外構評論家の孫崎享氏は、日本のマスコミは全く報道しないが、安倍元首相がウクライナ戦争の勃発時に英紙エコノミストに次のように語ったことを紹介されておられる。
日本の安倍晋三元首相はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のNATO加盟に関する姿勢とドンバスでの紛争解決の拒否が、ロシア軍による特殊作戦が始まった原因であると表明した。安倍氏は英誌エコノミストとのインタビューで「ゼレンスキー大統領に対して自国がNATOに加盟せず、ウクライナ東部の2つの地方に自治権を与えると約束させることができた場合、軍事行動は回避できただろう」と述べた。
また、孫崎氏は山上徹也被告が安倍狙撃殺人の真犯人ではないことも匂わせている。山上被告が動き回っていた位置からは安倍元首相の致命傷になった狙撃弾を打ち込むことは出来ないとの判断からだ。
つまり、プーチン大統領と何度も合っていた安倍元首相はウクライナ戦争の真実を知っており、ウクライナ戦争を仕掛けた米国ディープ・ステート(DS)にとって都合が悪い存在であったそというわけだ。
また、「隠れ多極派論」で知られる田中宇氏も「安倍殺害の真相 その2」(2022年8月8日)次のように指摘している(https://tanakanews.com/220808abe.htm、無料記事)。
7月8日に安倍晋三元首相が殺されてから1か月が過ぎた。この間に異常なことが2つ起きている。異常さの一つは、日本のマスコミが、安倍や自民党を敵視する傾向の報道を続けていることだ。実行犯の山上が安倍を殺した動機が、安倍など自民党と親しかった統一教会に対する私怨だったことから始まり「山上が、母の資産を奪った統一教会を憎むのは当然だ」「統一教会は極悪な組織だ」「統一教会と親しかった安倍など自民党も極悪だ」「極悪な安倍の葬儀を国葬にするのは良くない」といった理屈の連鎖で「殺した山上よりも、殺された安倍や自民党が悪い」という方向の主張をマスコミは続けている。マスコミは、安倍を殺した側の味方をしている。後述するように、実行犯山上を動かしていた黒幕がいそうなので、日本のマスコミはこの黒幕の傀儡・一味である。
統一教会と安倍ら自民党のつながりは大昔からのもので、日本のマスコミはこの20年以上、統一教会をほとんど批判せず、言及すらしなかった。ところが安倍が殺されるや、マスコミは統一教会と親しかったことを理由に、安倍や自民党を急に猛然と批判し始めた。マスコミのこの展開は、明らかに他意がある。私から見ると日本のマスコミは、これから書くもう一つの異常さである安倍殺害時の状況の不可解さから目をそらすための目くらましとして、統一教会と安倍の関係を喧伝している。
安倍殺害事件に関するもう一つの異常さは、安倍が撃たれた状況について、不可解な矛盾や不確定な曖昧さが解消されず、追加説明がないまま放置されていることだ。どのような銃弾が、どこから撃たれ、どの方向から安倍の体内に入り、どう致命傷になり、銃弾はどうなったか。たとえば警察庁は、撃ち込まれた銃弾が安倍の体内を貫通せず、銃撃時に体外に出ていないことを確認している。銃弾は安倍の体内にあり、延命措置や検死の際に取り出されたはずだが、取り出されたはずの銃弾は残っておらず、紛失した形になっている。日本の当局は、事件に関する最重要の証拠品である銃弾を紛失してしまった。これは過失というより、当局内の誰かかが故意に隠匿した可能性が高いと私には思える。 (【ぼくらの国会・第371回】ニュースの尻尾「消えた銃弾 安倍元総理暗殺」)
(略)
この(注:警察ではない)「他の組織」が、安倍殺害の黒幕であり、その黒幕が安倍の行動予定を把握した上で、山上ともう一人の狙撃犯を用意し、山上の発砲と同時に他の場所からも本格的な銃で安倍を撃って確実に安倍が死ぬように仕組み、その黒幕から頼まれた警察幹部が事件後の病院で安倍の体内から取り出された銃弾を医師から受け取って隠匿し、証拠隠滅を行ったと考えられる。警察の上層部は、誰が銃弾を隠匿したかわかっているはずだが、隠匿者を動かした他の勢力に配慮して真相究明せず、事態を不可解なまま放置している。警察に真相究明を遠慮させるほど大きな力を持った「他の組織」が、安倍殺害の黒幕としていたことはほぼ確実だ。
そもそも、母親が家庭連合に多額の献金をしたからと言って、直ちに安倍元総理(安倍氏が岸信介氏の時代から家庭連合と関係が深かったという報道もあるが、サイト管理者(筆者)には祖父が当時の統一教会と関係が深かったので、ある程度の関係を保っておくのも仕方がないといった程度の関係であったように思われる)を狙撃テロしなければならないという必然性は出てこない。
歴史はキリストと反キリストとの闘争ー現在は米側陣営指導層が反キリストになっている
「歴史はキリストと反キリストとの闘争」と書いたが、世界諸国民に分かりやすく言えば、キリスト陣営とは「自己を犠牲にして他者のために生きる」心の持ち主たちの陣営、「反キリスト陣営」とは「他者を犠牲にして自己のために生きる」精神の持ち主たちの陣営のことである。戦後の米国の歩みを見れば、どうもキリスト教精神を失ってきたとしか言いようがない。世界の至るところに紛争の種をまいて、覇権の維持に努めてきた。しかし、その米側陣営もたそがれに来ているようだ。G7諸国は次第に物価高と不況(インフレーション)にさいなまれつつある。
このため、日本以外の米側陣営諸国では金融引き締め政策(利上げ政策)を採っているが、インフレの原因は対露経済政策による資源・エネルギー・穀物価格の上昇という供給側にあるため不況がひどくなるばかりで、解決への道は閉ざされている。日本は植田日銀が米側陣営諸国に合わせて金融引き締め政策(利上げ政策)を採らないため、円安が放置されている。だから、食料品や工業製品はどんどん上がり、実質賃金は減少。庶民の生活苦は次第にひどくなるばかりだ。日本は米国債保有で世界一だから、米国債を売って得たドルを売却すれば良いが、「トモダチに貸したカネは帰ってこない」のである。米側陣営諸国で最悪の状況は日本だが、岸田政権の世界平和統一家庭連合潰しが状況悪化に拍車をかけている。
なお、米国の経済情勢について田中氏は10月4日に公開した「米国債(10年物)の急騰」と題する論考(https://tanakanews.com/231004rate.php、有料記事)で、同国の10年物国際金利が急上昇していることに注意を促している。
世界の長期金利の大元締めである10年もの米国債の金利が急上昇している。9月初めに4.1%だったものが先週末に4.5%に上がり、10月4日には4.88%まで上がった。
10年米国債は、住宅ローンや社債などすべての長期金利の原点であり、10年米国債の金利上昇は、すべての長期金利の上昇につながる。
米国では商業不動産市場が崩壊しかけており、10月3日にはウィワークが社債の利払いをできず債務不履行(デフォルト)の破綻に向かう流れに入った。米国債の金利上昇は、とどめの一撃となって米不動産市況を崩壊させかねない。
(Ray Dalio Warns of Impending Debt Crisis in US)
(It’s The Beginning Of The End Of This Whole Phony Economy)
逆に今や、中露を盟主とした非米側陣営が優勢なようだ。インドで行われた2023年G20は、一日目に予想外の共同声明を出すなどのハプニングが起こったが、ロシアを非難する共同声明ではなかったし、ゼレンスキー大統領も呼ばなかった。ロシアは経済が崩壊すると言われ続けながら、経済状況は悪くなく、中国も世界の生産基地としての存在感をますます示し、外交的にも中東産油国と関係を深め、サウジ(スンニ派)とイラン(シーア派)との橋渡しを図るなど非米側陣営の盟主となりつつある。ただし、世界が米側陣営と非米側陣営に分かれるのは良くないだろう。世界平和統一家庭連合は、改革を深化させ、米側陣営と非米側陣営の分裂を克服していくべきだろう。