日銀7月短観大幅悪化、コロナ禍再燃で先行きも不透明−量的緩和よりMMT応用せよ

日銀が7月1日発表した短期経済観測調査(日銀短観)で大企業、中堅企業、中小企業とも景況感が大幅悪化したことが判明した。代表的な指数とされる大企業・製造業の業況判断指数(DI)は、前回の3月調査から26ポイント悪化し、マイナス34となった。悪化は6四半期連続で、リーマン・ショック後の2009年6月(マイナス48)以来、11年ぶりの低水準になった。先行きは7ポイント改善のマイナス27だが、現下のコロナウイルス感染者の拡大状況によっては、再悪化する可能性もある。

同時に発表された大企業非製造業も、マイナス17で、前回から25ポイント悪化した。マイナス圏は東日本大震災後の11年6月調査(マイナス5)以来。悪化幅は、統計を比較できる1983年以降で最大となった。先行きは3ポイント改善だがなおマイナス14。中堅企業、中小企業も現状は大幅悪化、先行きもさらに悪化になっている。ただし、調査は6月時点のため、政府=安倍晋三<center></center>政権や小池百合子現職東京都知事が「自粛」から「自衛」へと自己責任原則を押し付けて以降、1日の感染確認者が首都圏を中心に増加傾向にあることは盛り込まれていない。


日本銀行(ダイヤモンドオンライン=https://diamond.jp/articles/-/231345)から。

日銀7月短観

ブルームバーグより(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-01/QCOLN0DWRGG601)

新型コロナウイルスは遺伝子がDNAを含まないRNA型のため、変異しやすく毒性も強くなりかねない。また、呼吸器系だけでなく消化器系からも感染するため、季節にかかわらず感染は続く。加えて、本格的な水害、台風災害の季節に入るため、先行きの見通しも定かではない。

コロナ禍対策で政府=安倍政権、小池都知事率いる東京都など多くの地方自治体が新型コロナウイルス感染症拡大防止政策を「財政難」を理由に「自衛」策に転換、放棄したため、コロナ禍対策を抜本的に改めない限り、「二兎」とも失う公算が大きい。


リフレ派に席巻された日銀は、https://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921b.pdfで、「2013 年4月に「量的・質的金融緩和」を導入してから3年余りが経過した。この間に、わが国の経済・物価は大きく好転し、『物価が持続的に下落する』という意味でのデフレではなくなった。一方で、大規模な緩和によっても『物価安定の目標』である消費者物価前年比2%は実現できていない」として、マネタリーベースを無理やり増加させて、インフレ率2%を達成するという目標が達成できなかったことの弁明を行っている。

日銀が「量的・質的金融緩和」政策の誤りを認め、現代貨幣理論(MMT)の観点から戦前の高橋是清蔵相(軍事費を抑えようとしたため軍部のテロ=2・26事件=で惨殺された)の「高橋財政」を正当に評価しない限り、日銀の復権は不可能だろう。

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