東京都知事選から理念なき野合の「野党共闘」から「政策連合」に

安倍晋三首相が河井克行前法相と河井案里参院議員の逮捕を受けて窮地に追い込まれている。二階俊博幹事長と元幹事長の石破茂衆院議員が接近、総理・総裁の座を狙っている河野太郎防衛相もトランプ政権の要請を受けたイージス・アショアの秋田県、山口県の配備を断念し、安倍首相に強く進言・認めさせるなど、自民党内で政局が始まっている。第二次安倍政権樹立後、連続しての首相在任期間最長達成(8月)を「花道」とした退陣説も出ている。解散・総選挙も近い。その意味でも、7月5日投開票の東京都知事選は最重要であるが、小池百合子現職候補の人気に陰りが出ているものの、反小池票が分裂しているかに見える。これへの対処が必要だ。

小池陣営には自民党と公明党の支持者に連合東京の組織票が加わる。しかし、大雑把に言って自公を支持するのは全有権者の25%程度であり、安倍政権から確実に「トリクルダウン」を受けられるし、また、期待できる層だ。だから、雨が降ろうが雪が降ろうが槍が降ろうが、なんとしてでも選挙に行く。

新自由主義=自己責任「原則」の残忍な弱肉強食主義を取り続ける安倍政権に怒りを持つ反安倍政権の有権者もほぼ20%は存在し、投票行動に出る確率はかなり高い。その受け皿として、「野党共闘」が喧伝されてきた。しかし、結局のところ、理念なき野合の「野党共闘」でしかなく、①緊縮財政の誤りを理論的に明確にした上での反緊縮・積極財政政策②消費税減税(原則は税率ゼロ%だが譲って5%に下げる)政策②原子力発電所即時停止・新エネルギー移行政策−の3つの基本政策でさえ合意できないから、今の政治に疑問と不信を抱いている有権者からの支持を得られない。

そのため、これらの政治に疑問を抱き、関心を失った有権者たちは無党派層と呼ばれ、大体が棄権する。国民主権を行使できる最大の機会である選挙を放棄するわけだから、最終的には民主主義の否定、事実上の独裁制を通じて実際に独裁政権への移行する。安倍首相がさかんに「憲法改正」を言い出してきたのは、憲法に「緊急事態」条項を盛り込むことで、国権の最高機関である国会を解体し、事実上の独裁制を樹立するためだ。極論になるが、彼らにとっては、コロナ禍はまたとないチャンスでもある。

これが、これまでの国政選挙のパターンだ。地方自治体の首長、議員の選挙にもこの構図が及んでいる。この悪循環の最大の原因は、立憲民主党と国民民主党にある。両党は御用組合の連合の組織票が欲しいため、新自由主義=自己責任の弱肉強食主義の呪縛から逃れられず、立憲の枝野幸男代表が新自由主義との決別を打ち出しても、実態が伴わず、小泉・安倍政治の総決算ができない。れいわ新選組の山本太郎代表が統一候補になる前提として求めた最低限の条件である次期総選挙での「消費税5%の引き下げ」を拒否することはもちろん、れいわ新選組が東京に足場を築くことを極度に恐れる。

東京都知事選挙(平成28年7月31日執行) 開票結果(東京都選挙管理委員会)

候補者名 支持母体 得票数
鳥越俊太郎 「野党共闘」陣営 1,346,103票
増田ひろや 自民党東京都連 1,793,453票
小池百合子 都民ファースト・公明党・無党派層 2,912,628票
総投票数は6,620,407人 総有権者数は11,083,306人 投票率は59.73%

元日弁連会長の宇都宮健児候補は、サラ金・ヤミ金に苦しむ庶民を救ってこられた立派な方だが、こうした政治状況をどう考えておられるのか。小池百合子現職候補に対する批判が強まってきている現状、2016年夏の都知事選挙とは異なり、場合によっては宇都宮候補への投票数と山本候補への投票数を合計すれば、小池票を上回る可能性もあり得る。

今回の都知事選挙の最大の争点はコロナ禍対策の有効性だ。サイト管理者は山本候補の政策の柱であるコロナ禍を災害指定したうえでの大規模な地方債の発行は、現代貨幣理論に基づく積極財政への大転換を見越したより優れたものと評価している。

朝日新聞社による改正インフル特措法に関する全国都道府県知事のアンケート調査

朝日デジタルが2020年6月22日7時00分に掲載した「コロナ特措法、34府県知事『改正必要』 朝日新聞調査」によると、全国の都道府県知事に対するアンケート調査で、「(改正インフル)特措法の改正が『必要』と回答したのは神奈川、愛知、大阪、福岡など34府県の知事。改正内容で『補償規定』に続いて多かったのは、休業要請に応じないパチンコ店などが課題となった『要請・指示に応じない場合の罰則規定』で、25知事が挙げた」という。罰則規定を設けるのなら、十二分の金額の補償措置は当然必要になる。

コロナ禍対策について、宇都宮候補と山本候補が1対1で虚心坦懐に話し合い、最も有効なコロナ禍対策を見出して、候補者を一本化し、降りた側は強力な権限を持った副知事にするということが必要というのが、ひとつの考え方である。サイト管理者もそのように思う。しかし、宇都宮陣営からそうした提案はなされないだろう。

立憲民主党を離党して、山本太郎候補の東京・秋葉原での選挙演説に駆けつけたプロスキューバダイバー出身の須藤元気参院議員(比例区)

まず、宇都宮候補が旋回2016年夏の都知事選挙で鳥越俊太郎氏を野党側の統一候補にするため候補から降りたが、その鳥越氏が過去に女子大学生に対する強制セクシュアル・ハラスメントを暴露され、大敗北を喫したという苦い経験があるからだ。加えて、立憲の枝野代表が候補の一本化を許さないからだ。その象徴が、山本代表を応援するため立憲に離党届を出したプロスキューバダイバー出身の須藤元気参院議員(比例区)に対して、離党届を受理せず、除名処分にしたうえで、議員辞職すべきだとしていることである。

比例区当選でも、参院議員であることは確かで、党の「主流派」との考えが異なってくることもあり得る。比例投票の国会議員でも、国民から選ばれた国会議員だ。立憲の比例候補者名簿に須藤氏の名前があり、個人名での得票数の多さで当選が決まる非拘束名簿式が採用されているから、公職選挙法などに比例区当選の議員が離党した場合、議員辞職までしなければならないと定めてあるとは、サイト管理者は寡聞にして知らない。枝野代表、福山一郎幹事長としては、野党陣営が落ちぶれた自公に勝てば首相の座はオレ(枝野代表)だと思っているから、「野党共闘」の主導権がれいわに奪われることを極度に警戒しているのだろう。

山本代表は兵庫県宝塚市出身で、高校1年生の時に芸能界入りしたため、学歴は中卒である。しかし、山本代表のYoutubeを視聴していると、政策にはかなり通じていることが分かる。自由党時代に、小沢一郎代表や同僚議員から学んだ結果なのかも知れない。また、「野党共闘」が数を頼んだ理念なき「野合」であることも熟知している。それに、宇都宮候補ほど頑なではない。確かな誠実性も見受けられる。山本候補から一本化の話を行ったらいかがか。

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宇都宮陣営が話に乗るはずはないから、宇都宮候補の了解を取り付けて、山本代表が「副知事になることを条件にコロナ禍対策として打ち出した政策を実現し、自分は降りるから反小池陣営の候補者を宇都宮さんに一本化したいと申し出たが、宇都宮さん(宇都宮陣営)が拒否したため、候補の一本化はやはり無理だった」と記者会見で発表すれば良い。そうすれば、反小池の有権者により多くの票が集まるだろう。そして、それは「理念なき野合の野党共闘」から理念と政策を中心にまとまる「政策連合」形成への転換点になるだろう。

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