NHKや朝日デジタルによると7月9日午後3時ころの段階で、過去最多の224人の新型コロナウイルス感染確認者が発生している。9日は全国で356人の感染者が確認された。専門家の中には、新型コロナウイルスはRNA型のウイルスで変異しやすく、武漢型、欧州型ではなく、東京・首都圏型の新型コロナウイルスが発生・感染拡大をしている可能性があるとの指摘が出ている。
朝日デジタルが2020年7月9日14時54分に投稿した「東京都内で新規感染者224人確認 1日あたり過去最多」と題する記事によると、「東京内で9日、新型コロナウイルスの感染者を新たに224人を確認したことが都への取材でわかった。200人を超えるのは4月17日(206人)以来で、都内での1日あたりの感染者数としては過去最多となる」という。
NHKのサイトでも、15時39分に投稿した記事で「東京都の関係者によりますと、9日、都内で新たに224人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたということです。都内で1日に確認される数としては、ことし4月17日の206人を上回り、これまでで最も多くなります」としている。
また、NHKが2020年7月9日20時09分に投稿した「【国内感染】新たに351人確認 300人以上は5月2日以来」と題する投稿記事によると、「9日はこれまでに東京都で224人、大阪府で30人、神奈川県で25人、空港の検疫で5人など全国で合わせて351人の感染が発表されています。感染者が300人に達するのは5月2日以来です。国内で感染が確認された人は、▽空港の検疫などを含め2万0764人、▽クルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせて2万1476人となっています。亡くなった人は▽国内で感染した人が982人、▽クルーズ船の乗船者が13人の合わせて995人となっています」という状態。
なお、朝日デジタルが2020年7月10日0時49分に投稿した「東京都内で新規感染者224人確認 1日あたり過去最多」と題する記事によると、9日の全国の感染者は356人。また
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専門家による分析では、市中感染の広がりを判断する感染状況の評価について、深刻度が4段階で上から2番目の「感染が拡大しつつあると思われる」との前週の評価を維持した。ただ、直近1週間の感染者数については「40代、50代の感染者の増加がみられる」「感染経路は接待を伴う飲食店などだけでなく、同居人や、職場、会食など多岐にわたる」と指摘し、感染源がより広範囲に及んでいると現状を分析した。
(中略)
一方、医療提供体制の評価では、深刻度に応じた4段階のうち、前週の「強化の準備が必要であると思われる」から、上から2番目の「強化が必要であると思われる」に1段階引き上げた。
重症患者は8日時点で6人にとどまるが、検査の陽性率が2週連続で上昇し、前週の3・4%から5・6%に高くなっていることに加え、入院患者数が前週の271人から444人に増加し、重症化のリスクが高い年齢層の入院が増えていることなどを踏まえたという。都は13日までに、病床確保数を現在の1千床から2800床に増やすよう、医療機関に要請した。
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ただし、深刻度については判断期間に9日は含まれていないため、前週の判断を踏襲する形になっている。
クルーズ船内での死亡者を含めれば、英国人など外国人も含まれるが、クルーズ船は沖縄県那覇港で入国手続きをしており、本来は国内線扱いとするべきで、船内での感染で重症化し、亡くなられた方も国内での死亡者扱いとすべきと思われる。懸念されるが、千人突破の状況になっている。総務省統計局によると今年6月1日あたりの概算人口は1億2593万人だから、釣果死亡者のうち新型コロナウイス感染によって引き起こされた新型肺炎死亡者を考慮すれば、人口100万人当たりの死亡者数は995人÷125.93=7.90人≒8人となる。
新型コロナウイルスに感染することを風邪にかかるようなものだと言う識者や国民が多くなっているが、この考え方は危険だ。特に若者が中心の無症状患者が持病を持たれる国民や高齢者に感染を拡大させる徴候が出てきており、警戒を要する。
※「サイトカインストームが起きると、サイトカイン(細胞から出るタンパク質。インターフェロンが代表例)による影響が過剰に起こります。(そうなると)先述したように発熱や倦怠感、凝固異常が過剰に起こることになり、全身状態の悪化や血栓形成に繋がります」(専門家のサイトより)。
新型コロナウイルス感染調査サイトhttps://www.worldometers.info/coronavirus/で国別の感染者数、死亡者数を調べると、人口100万人当たりの死亡者数は東アジア地域が最も少ないが、その中で日本はインドネシアの12人に次ぐ8人となっており、ワースト2位になっている。続いて韓国6人、シンガポール・ベトナム4人となっており、最も死亡者の少ない国は台湾の0.3人。日本のコロナ禍対策は東アジア諸国の中で、最悪のレベルに属するというのが現実だ。安倍首相の自画自賛は事実誤認も甚だしい。
政府や小池百合子東京都知事は「検査を受けている都民が多いので、確認者が多くなるのは当然」と、はっきり言って何の対策も打てない状況。一応、9日午後5時ころからの記者会見では、①30代以下の若者の感染者の比率が多くなっているため、高齢者や持病を持たれている方に感染させないよう行動を注意する②医療機関の救済を柱に総額3100億円程度の補正予算を組む−などを発表した。しかし、感染経路の不明な市中感染の拡大も増えていることを明らかにしており、「自粛」から「自衛」に転換と言っても具体的な内容は説明のないままで、都民としては対応のしようがないというのも確かだ。
なお、8日の衆院内閣委員会では野党側が、「最近の全国のPCR検査数は1日ごとのばらつきが大きく、検査数と感染者数の増加は比例していない」(東京新聞9日付1麺トップ記事)として、政府=安倍政権や東京都が検査人数の多さを感染者増加の基本的な原因としていることに対して反論。そのうえで、安倍政権や東京都が、新型コロナウイルスの感染状況を掴むことができないまま、医療機関の支援は行うけれども、基本的には経済活動再開を最優先していることに対して批判をしている。
東京大学先端化科学センターの児玉龍彦名誉教授ら非政府系の専門家によると、が新型コロナウイルスは変異しやすく、武漢型、欧州型はある程度収まったものの、東京や埼玉など首都圏で「首都圏型」とも言うべき新型コロナウイルスが発生し、首都圏から全国に拡大しているとの見方が出ている。また、世界各国の経験でも、安易に警戒を解いたりすると、感染が再拡大しやすく、ウイルスの変異によって、抗ウイルス薬が効かなくなる可能性もあると警告している。
政府=安倍晋三政権の支援で5日の都知事選で選出された二期目の小池都知事は、4日と7日に「不要不急の他県への移動は控えて下さい」との旨の発言をしたが、政府の菅義偉官房長官やコロナ禍対策本部の実質的責任者である西村康稔らから、政府の見解と同じ歩調を取るように「抗議」され、再選に自民党都と連合の支援を受けた小池第二期都知事としては、身動きの取れない状況だ。
東京都知事線での都民の選択に問題はなかったか、今後問われてくることになるだろう。コロナ禍対策での優先順位は、次の通りだろう。
①医療機関の充実を支援し、検査能力の拡大と検査数の大幅拡大、症状に応じた多様な抗ウイルス薬の開発・投与により、新型肺炎などによる死亡者を出来得る限り抑えること②そのためにも、若年者を含め新型コロナウイルス感染拡大を防止すること③経済活動の再開ができない休業中の企業(個人業種、フリーランサー含む)、勤労者には手厚い休業補償を行うこと、失職している人には手厚い雇用保険金を保証することや生活保障(生活保護)制度を簡単に申請、受けられるようにすること⑤就業可能な勤労者に対しては、テレワークができるよう企業に助成金を供与すること⑥仕事上テレワークはできず、フィールドワークしかできない職業の方に対しては危険手当を支給すること−などの順。
日本に国民が存在してこそ、日本の経済社会は再建できる。「自衛」と称して自己責任原則を押し付け、経済活動の本格的な再開を共用することはなんにもならない。「二兎追うものは一途も得ず」の格言が当てはまるだけに終わる。これまでのように、緊縮財政・財政再建路線にしがみついていては、かえって日本の経済社会は重大な局面に見舞われることになる。