新型コロナ新規感染確認者、首都圏を中心に全国的に拡大加速−厚労省クラスター班「今は制御困難」(追記)

7月10日の新型コロナウイルス感染確認者は首都圏中心に全国で拡大しており、東京243人、全国では430人が確認された。全国的に感染拡大のスピードが加速しており、厚労省クラスター班の西浦博・北海道大教授は政府の新たな専門家会議(対策分科会)のメンバーである山中伸弥京都大学院との対談で、「今は制御困難」と発言した。東京都医師会も10日「2週間の休業要請」を求めた。しかし、政府=安倍晋三政権は深刻化しつつある現状の中でも、「Go To トラベルキャンペーン」の前倒し(8月上旬から7月22日)に踏み切る意向だ。現在の状況での最も基本的な対処法としては、「首都圏型」とも言われる現下の首都圏で感染が加速しつつある新規コロナウイルスの遺伝子構造を解明しながら、日本の感染状況を把握し、医療体制を早急に整備すべきだが、実際は基本対策を無視している。

NHKが7月10日21時39分に投稿した記事によると、「東京都は10日、都内で新たに243人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。都内で1日に確認された数としては9日の224人を上回り、これまでで最も多くなりました」という。
※追記NHKが2020年7月11日15時02分に投稿した記事によると、7月11日土曜日に「都内で新たに206人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたということです。都内で1日に確認された数が200人以上となるのは、9日の224人、10日の243人に続き、3日連続です。3日連続で200人を超えるのは初めてです」。

NHKサイト(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200711/k10012510031000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_002)による

朝日デジタルが2020年7月10日i23時53分に投稿した「新型コロナ、全国で430人が感染 7割超が首都圏」と題する記事によると、「新型コロナウイルスの国内の感染者は10日、午後9時半現在で新たに430人が確認された。首都圏の1都3県が331人に上り、7割超を占めた」という。

朝日デジタル(https://digital.asahi.com/articles/ASN7B7DSQN7BUTIL04D.html)による

NHKによると、東京都の感染者は「1歳から80代の男女合わせて243人が、新型コロナウイルスに感染して(おり、中略)43人のうち142人はこれまでに感染が確認された人の濃厚接触者で、101人は今のところ感染経路がわかっていません」。つまり、非政府系の感染症専門家からは新型コロナウイルスが武漢型、欧州型とも異なる「日本首都圏型」に変異しており、首都圏を中心に市中感染が拡大するとともに首都圏から全国に飛び火している可能性が極めて高い。

感染確認者の急拡大が懸念されるが、基本的には感染拡大が加速している新型コロナウイルスの遺伝子の解析が急務であり、そのスピードを掴むため、実行再生産数の出来得る限り早期の把握など、最も基本になるデータを把握するべきところだ。ただし、基本的なデータの収拾には一定の時間かかる。このため、朝日デジタルが2020年7月10日21時32分に投稿した記事によると、「厚労省クラスター班の西浦博・北海道大教授は政府の山中伸弥京都大学院との対談で、『今は制御困難』と発言した」という。

このため、朝日デジタルが2020年7月10日20時00分に投稿した「都医師会『国が2週間の休業要請を』 接待伴う飲食店」と題する記事で、「東京都内での新規感染者の急増を受け、都医師会は10日記者会見を開き、新宿・歌舞伎町や池袋などで接待を伴う飲食店などの感染防止対策を提案した。尾崎治夫会長は『対策を都道府県にまかせるのでなく、国が統一した考えで地域を定めて補償つきの休業要請をし、PCR検査をする態勢を整えるべきだ』などと述べ、国による規制を求めた」という。ただし、「夜の街」というのは感染地帯を矮小化している発言で、市中感染が広がっていることから、①財政措置を講じて検査体制を大幅に拡大し、国民が地域の検査機関で簡便に抗原検査、PCR検査、抗体検査を受けられるようにする②陽性判定者は症状に応じた医療施設(自宅待機は自宅感染の温床になるので原則不可)で経過観察または治療を受ける−などの必要がある。

これらの緊急に講じるべき基本的な対策に対して、政府=安倍政権は基本的に無視している。その端的な例が、コロナ禍収束後に経済を急拡大の軌道に乗せるための措置として2020年度第一次補正予算に盛り込まれた「Go To トラベル」キャンペーンだ。

朝日デジタルが2020年7月10日21時22分に投稿した「観光業界期待のGoTo前倒し 『国は責任ある対応を』」によると、「東京都の新型コロナウイルスの感染者数が過去最多を連日更新するなか、政府は経済活動の再開を加速させている。10日には、大規模なイベント開催の制限を緩和。観光支援策『Go To トラベル』の前倒しも発表した。だが、医療関係者からは、政府に感染拡大の防止策をさらに強めるよう求める声が出ている」。

さらに、「コロナ対応を担う西村康稔経済再生相も同日の閣議後会見で、『重症者数はむしろ減ってきている』と強調。報道陣に対し、重症者数や若い感染者の割合など、内訳も詳しく報じるよう要請した。だが、政府の姿勢を疑問視する声は日に日に高まっている。『Go To』事業の前倒し実施について、九州のある観光業者は『感染が収まる前に急いでキャンペーンをしても遠出をする人が少なくて、地方への恩恵は限定的だろう』と効果を疑問視する」

要するに、政府=安倍政権が「休業要請」や「緊急事態宣言」の再発出をしないのは、財政措置を講じることを拒否しているからだ。これは、最重要の人命より、もともと不適切な新自由主義から導かれる間違った経済政策である「財政均衡路線」「財政再建路線」に固執しているためだ。そして、その支配下にあり、政府の指示に従わざるを得ない東京都などの地方自治体は、基本的に政府の支離滅裂なコロナ禍対策に歩調を合わせざるを得ない。

現状を正しく把握し、抜本的なコロナ禍対策を打ち出すことが急務の情勢になっている。

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