高水準のコロナ感染確認者続く−真逆の「コロナ禍対策」に対抗する「政策連合」形成急務(12日の感染確認者数など加筆)

昨日7月11日は全国で386人の新型コロナ感染者が確認され、うち首都圏1都3県でのこの日の感染者数は289人(東京都206人)だった。政府=安倍晋三政権が「休業補償」の財政措置を拒み、移動の自由を含む経済活動の全面的再開という支離滅裂な対策を行っているため、首都圏から全国に感染が拡大している形だ。本格的な第二波であれば、秋に想定されている「解散・総選挙」は不可能なはずだが、「自分ファースト」の安倍首相のことだから、その可能性は高い。盛り上がらなかった7月5日の東京都知事選挙について、立教大学の金子勝特任教授の総括を検討しながら、改めて「政策連合」形成が急務であることを指摘したい。

朝日デジタルが2020年7月11日23時53分の段階で投稿した「全国で386人が新たに感染 神奈川は宣言解除後最多」の記事によると、「新型コロナウイルスの感染者は11日、東京都で新たに206人が確認され、東京都では9日の224人、10日の243人に続き初めて3日連続で200人を超えた。神奈川県では、緊急事態宣言解除後で1日当たりの人数が最多となる35人が確認されるなど、全国の新たな感染者は午後11時時点で386人に上った。このほか埼玉県で35人、千葉県では13人の感染が判明し、首都圏1都3県でのこの日の感染者数は289人だった」ということである。
※NHKによると7月12日午後15時39分現在で、12日は206人の新規感染者が確認された。また、朝日デジタルが12日午後22時08分に投稿した「全国で409人感染、東京帰りの地方の人も 大阪黄信号」と題する記事によると、「新型コロナウイルスの国内感染者は12日、午後9時現在で新たに409人確認された。東京都では206人の感染がわかり、4日連続で200人を超えた。千葉県では31人の感染が確認され、4月18日以来の30人超となった。32人の感染が判明した大阪府は同日、府の独自基準『大阪モデル』に基づいて警戒を呼びかける『黄信号』を点灯させた」。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県の首都圏から「首都圏型ウイルス」が全国に拡散している可能性が高いと思われる。

なお、各種のメディアでは沖縄県の米軍基地でも新型コロナ感染者が急増しているが、ドイツなど米軍が駐留している他国の「地位協定」に比べても類例のない「日米地位協定」が結ばれていることから、日本の米軍基地は「治外法権」地帯になっている。このため、沖縄の米軍基地での感染者(米軍の「公式発表」では12日午後3時46分段階で累計66人)を始め、日本各地の米軍基地での感染者の詳細は不明である。本来は日本国内で感染した感染者は国籍の如何を問わず、日本での感染確認者に加えるべきだが、そうはなっていない。「公表統計」では、正しい新型ウイルス感染情報を把握するのは困難だ。

政府=安倍政権や小池百合子東京都知事がやり玉に上げる東京・新宿区歌舞伎町の「夜の街」関連だけでなく、確かに、感染経路が不明な感染確認者の比率が高まっている。PCR検査数に占める陽性率も高まっていることから、市中感染が拡大していることは明らかだ。感染症拡大防止対策の基本は「検査と隔離」だ。しかし、政府=安倍政権は6月19日に「営業活動の再開」を全面的に解禁し、「GO TOキャンペーン」の前倒し(8月上旬から7月22日)という真逆の「コロナ禍対策」を強行、小池都知事率いる東京都も朝令暮改の「東京アラート制度」の廃止を行うなど、支離滅列な「コロナ禍対策」を止めない。

植草一秀氏の指摘だが、これでは「Go to Hell(地獄に落ちろ)」政策である。実質的にはよく解釈しても「集団免疫獲得路線」に変更したことになる。しかし、集団免疫路線を採用した東京都と人口がさほど変わりないスウエーデンでは人口1000万人程度の仲、感染確認者7万4898人、死亡者5526人、人口100万人当たりの死亡者数547人と非常に高く、北欧諸国から入国拒否が続いたままだ。特に、持病のある方や高齢者の方が、新型コロナウイルスの攻撃を防ぐことが出来る免疫力をつけることが難しいためだ。もし、日本の新型コロナウイルスが「首都圏型」のものに変異しており、毒性が進んでいくなら、スウエーデンの二の舞になる。

市中感染の拡大で、「夜の街」だけではなく「職場」や「学校」、「医療機関や介護施設」でも再び感染者が増えてきている。また、感染者再拡大の当初は30代以下の若年者が多かったが、無症状上の患者による感染で40代以上の国民にも感染者が増えている。

新型コロナウイルス感染症は単なる風邪とは全く異なる。「新型コロナはそこまでのものか」と国民に対して警戒を緩める発言を行うマスコミ登場の「識者」も多い。また、従来の専門家会議が解体され、「専門家分科会」が設置されたが、「ワクチン開発幻想」を警戒している東京大学医科学研究所感染症国際研所の河岡義裕センター長ら、政府=安倍政権の意向に沿わない専門家は「分科会」への移行を拒否された。政府系・都知事系の「専門家」には騙されてはいけない。

東大先端科学研究センターの児玉龍彦名誉教授による

コロナ禍対策の基本は十分な予算措置を講じて、①赤字に陥っている医療機関の再生を図り、防疫体制を充実強化する②首都圏を中心に「健康診断」を利用して職場や学校、地方自治体、各種介護施設で大規模な抗原、抗体、PCR検査を実施する②国民の居住地域の近場で、簡単に検査できる実質的な体制をを整える③抗原、抗体検査、PCR検査を最適に組み合わせ、陽性患者を正しく突き止めて、症状に応じて適切な「医療機関」で処置する④テレワーク体制の強化など、仕事の再開には十分な対策を講じる⑤営業業務などテレワークが困難な業務に対しては、労災認定を簡便に行い、認定者の自己負担をなくす−などの措置が必要だ。

さて、そうは言っても、弱肉強食主義の政府=安倍政権ではこうしたコロナ禍対策は行わないだろう。政権交代か、それが新型コロナウイルスの再拡大で不可能ならば、臨時国会を開かせ(日本国憲法の上では何れかの議員で4分の1以上の国会議員の開催要求があれば、政府は臨時国会を召集しなければならない。沖縄県那覇市の地裁でも臨時国会を開かなかった安倍政権を牽制する判決が出た)、少しでもまともな「コロナ禍」対策をさせることが必要だ。

ただし、自民党内での党内政局が活発化していることもあり、9月解散10月総選挙の公算はかなり大きい。経済活動再開も考慮に入れた「コロナ禍対策」を最大の争点に、解散・総選挙に対応すべきだ。その際に、たいへん参考になるのが、7月5日に行われた東京都知事選挙の総括だ。これについて、デモクラシータイムスがYoutubeで開いた立教大学の金子勝教授へのインタビューが参考になる。

概ね、意見は一致するが、令和新選組の山本太郎代表の選挙公約については、意見が異なる。そのことも明らかにしながら、次期総選挙の争点と対策を低減させて頂きたい。結論としては、従来型の「理念なき野合の野党共闘」は最早何の役にも立たなくなっており、財源の裏付けのある正しいコロナ禍対策と大打撃を被っている日本の経済社会再建のための政策で一致した「政策」連合の形成が急務だということである。

まず、先般の都知事選挙で現職の小池候補が圧勝した理由だ。これは、①テレビへの露出や都税を使ったTVコマーシャルで事実上の「ステルス選挙」を行うとともに、約1兆円の財政調整基金を使って「協力金」を供与し、都民の固形現職候補の「コロナ禍対策」への評価を高めることに成功した②利権企業とテレビメディアと組んで、テレビ(1%の視聴率で100万人が視聴する)での公開討論会を開かせず、小池都政4年間の総括(公約達成ゼロ)をさせなかった③二階俊博幹事長に頼み込んで、自民党の軍門に下り、自公両党と連合東京の固い組織票を手に入れた−ことが挙げられる。

なお、小池現職候補のコロナ禍対策は支離滅裂だった。このため、第二波を予想させる現状のコロナウイルス感染対策に対して、実質的に何の手も打ち出せなくなっている。

このほか、テレビ討論会を開催させなかったことにより、「公約達成実質ゼロ」、「学歴詐称疑惑」という重大な問題点を表面化せさせないことに成功した。ただし、日本共産党の田村智子政策委員長の10日の記者会見によると、政府=安倍政権も現下のコロナ再拡大に対して積極的な対策は講じることができないようだ。

次に、政策協議による反小池陣営の一本化が早期になされなかったが、これは「小池圧勝」の理由だが、宇都宮健児候補にも問題点があった。

特に、東京都の新型コロナ感染症対策の「専門家会議」の実質的な責任者である東京都の新型コロナ対策のアドバイザーも務める国立国際医療研究センター・国際感染症センターのトップ、大曲貴夫医師の「見識」の問題点を指摘できなかった。大曲医師は「PCR検査を沢山すれば医療体制が崩壊する」旨の発言を行い、検査と隔離が原則の感染症対策と真逆のことを発言し、PCR検査抑制策の先頭に立つた。

実際のところは、政府とともにオリンピック開催を最優先させ、感染者数を少なく見せかけるため小池都政はPCR検査を抑制してきた。このことがかえって急を要する感染者の拡大を爆発させ、都内の都立病院や公社病院、中核病院の院内感染を引き起こし、都内の医療崩壊を招いたが、小池現職都知事は院内感染の情報については詳しく公開することを嫌った。例えば、豊島区の中核病院である永寿総合病院では血液内科の入院患者(骨髄の障害で起こる白血病や再生不良性貧血)40人のうち半数を占める20人もの方がコロナで重篤化し、亡くなられたが、端的な例だ。

このことは、宇都宮候補の新型コロナウイルス感染症に対する認識が甘かった証拠だ。選挙戦で語るべき内容は、検査と隔離が感染症の基本対策であり、それが経済活動本格再開の前提だ。専門家会議は絶対に必要だが、その刷新と完全な議事録の公開を訴えるべきだった。また、今回のコロナ禍対策の財源措置も、一般会計予算の組み換えを主張するだけで、考え方が古く、パンチの効いたものではなかった。今回のコロナ禍対策には膨大な財政措置が必要だ。その認識が見られなかった。

曖昧な立憲と日本共産党、社民党などの組織票に頼るだけでは、政治に絶望し、無関心になっている「無党派層」の支持は得られない。

次に、れいわ新選組の山本太郎代表への批判だ。これには若干の誤解があると思う。まずは、金子特任教授の主張を下図に示す。

まず、今年2020年の1月に立憲民主党の長妻昭代表が「山本太郎代表を統一候補に」と発言したが、金子特任教授はこの提案に乗らなかったことで、山本候補を批判している。しかし、山本代表の出馬会見では、①山本氏と宇都宮氏は3月5日と25日に会談し、山本氏は5日には政策協議のうえで反小池陣営の候補を一本化する可能性を感じたため、25日に再度宇都宮候補に会いに行ったがその際、宇都宮氏がはっきりと候補者統一を拒否した②立憲側もれいわ新選組を都知事選の確認団体(推薦政党でも確認団体になれば一定の程度、政党のポスターやパンフレットを配布できる)にすることを拒んだ③立憲側に候補統一の前提として、解散・総選挙の際の「野党共闘」の前提としてれいわ新選組が「消費税率の5%の引き下げ」を文書で確約することを求めたが、実質的に立憲側が拒んだ−と経緯を説明している。

立憲側がいまだに消費税減税については明確にしていないことからも、山本候補が記者会見で語ったことが真実のように思われる。山本候補が一方的に反小池陣営の候補の一本化を拒んだというのは言いすぎだろうと思う。なお、金子特任教授が消費税減税を否定しているのも、山本候補を批判する大きな理由だ。これは、消費税率の引き下げ(消費税減税)が、デフレ不況スパイラルを加速するうえ、納税義務者である企業、特に中小零細企業にとって大きな負担になるという理由からだ。しかし、消費税減税の最大の狙いは、新自由主義に基づく財政再建路線で緊縮財政が行われ、国民特に非正規労働者を中心とする「下級国民」などと言われる国民(日本国憲法にはそんな言葉はない。全て国民は法の下に平等であり、生存権を保証されている)の実質賃金の大幅な低下に対抗することが狙いだ。

非常に多くなっている年収200万円以下の非正規労働者にとって、消費税率10%ではひと月当たりの勤労収入をまるまる「ひったくられる」ことになり、まさに「酷税」である。最終的にはこの酷税をなくして勤労者の収入・所得を嵩上げし、デフレ・ギャップの解消に役立たせるというのがその狙いであり、立憲や国民、日本共産党、社民党にも消費税減税を支持する国会議員も少なからずいる。現代貨幣理論(MMT)も、消費税は悪税としており、自民党にもMMTに基づいて消費税の廃止を求める議員が多数存在する。

消費税減税が物価を引き下げることは確かだ。しかし、①国民の収入・所得が底上げされ、消費が増える(実際、昨年10月からの消費税率の8%から10%への引き上げで、10-12月期の実質国内総生産増加率は年率換算で7.1%も下落した)②消費税率の引き下げで悪影響を受ける中小零細企業に対しては、金子特任教授も主張している納税の猶予・免除などで適宜、対処するというのが筋だ。特に、前年に代理納税した消費税額に応じて、4期数期に分けて消費税を分納予定納税させるという制度があるが、これは直ちに廃止すべきだ。

次に、山本氏がMMTに基づいて、財源を確保しようなどと考えている訳ではないことは金子特任教授もご存知のはずだ。狙いは、東京都知事になった場合、全国の知事と連携して政府=安倍政権に対して、MMTに基く積極財政への転換を行わせることにある。この図表は、誤解を招く。

地方自治体では実質公債費比率(大雑把に言えば、一般会計に占める公債費の割合だが、公債費負担比率ではない)で18%が独自の地方債発行の制約になるが、東京都の場合は、山本候補が選挙中に主張したように1.5%であり、地方債の発行規模と利子率は金融機関との交渉で調整できる。特に、日銀は現在、ゼロ金利を凌ぐ量的金融緩和政策をとっているので、国債を購入してもうまみはなく、地方銀行などは非常に経営状況が悪化している。条件によっては、15兆円程度の地方債の発行は可能だろう。

平成30年度の東京都財務局の公開資料(東京都年次財務報告書の概要)によると、公債負担比率(一般会計に占める公債費の割合)は6.8%になるが、実質公債費比率は1.5%である。上図はhttps://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/08/30/documents/02_01a.pdfを引用したものだ。

金子特任教授は、公債費負担率をもとに議論を進めているが、これは違うのではないか。また、地方債の各付けも議論しているが、これも適切ではないと思う。また、山本代表は、新型コロナウイルス感染を災害基本法に定義する「災害」に含めるよう求めていて、そのことが可能な根拠として改正新型インフル特別措置法が災害対策基本法を援用していることを挙げている。

また、「バラマキのポピュリズム」と批判される10万円の給付は、収入・所得制約をつけると給付に時間がかかるためで、何よりもスピードを重視したものだ。生活に全く困っていない都民(こういう言葉は使いたくないが、あえて言えば「上級都民」)に対しては、地元での消費に使うよう依頼しており、地域経済の振興も狙いにある。これは、十分に可能ではないか。なお、れいわ新選組は情報工学(IT)にかなり精通していると思われる。旧来型の火力発電所に戻るとかの復古主義ではないはずだ。

MMTの提唱者の一人・ランダル・レイ(https://38news.jp/economy/14467より)

これらのことから、金子特任教授のご批判は必ずしも当を得ていないと思われる。その根底には、MMTに対する見解の相違があると思われる。MMTはケインズの理解に基づいて貨幣の本質を歴史的・実務的に明らかにし、ケインズ理論(利子・雇用・所得の一般理論)を正しく発展させようというものだ。

細部に詰めきれていない部分があるとされているが、現代貨幣理論(MMT)は、新自由主義を正当化した正統派経済学=新古典派経済学に代替可能な理論であると感じている。れいわ新選組は大西恒樹発言の対応に追われているが、今の日本を根本的に転換する内容を持っていると推察している。これに関連するが、金子特任教授はインタビューの最後に、次の対策を示している。

今の「理念と政策なき野合の野党共闘」では、いくら内閣の支持率が低下しても、政権交代には限界がある。民主党が瓦解したのは、正しい理念と政策がなかったからだ。同党が内部から瓦解したことによって、国民の野党に対する不信感が著しく増した。金子特任教授が提唱されているこれらの内容は、れいわ新選組を良識ある国民の手で育てていくことによって、可能になるというのも一つの見方なのではないだろうか。

そうして、理念に共生主義を据え、①プライマリーバランス論(国債費を除く一般的政策経費を税収の範囲に収めることを目標)による緊縮財政政策と決別、大胆な積極財政に転換する②欧州諸国が付加価値税率を引き下げたように消費税減税を実施する③安保法制廃止し、外交による国際紛争解決に注力する④憲法に「非常事態条項」を盛り込むことを柱にした「憲法改悪」を阻止する⑤廃棄物を処理できない原発は稼働を即停止する−を共通政策を中心に、「理念と政策なき野合の野党共闘」を廃し、心ある野党側議員を結集して、「政策連合」を形成することが急務になる。

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