安倍首相は明日夕方健康問題で記者会見、玉木新党結成の見込みー守旧派対革新派の幕開けなるか
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複数のメディアの報道によると、健康不安説が噂されている安倍晋三首相は明日28日午後17時前後に健康不安問題について記者会見することが決まっている。健康不安説を一蹴するか、それとも、持病で難病の潰瘍性大腸炎の再発など体調不ろうを明らかにし首相の座を辞することを明らかにするかのいずれかだろう。マスコミ関係者の間では「首相辞任説」が有力になっている。一方、国民民主党の古川元久代行は分党または新党結成に必要な5人以上の国会議員の署名を集め、玉木雄一郎代表に提出、分党を求めた。日本の政界はコロナ禍の中で激動期に入るが、単なる与野党の再編で終わってはならない。真の対決は既得権益を墨守する体制守旧派と体制革新派の闘いだ。後者の勢力は圧倒的に規模が小さいが、戦後日本の総決算・日本一新のための政策・理念を持っている。多数は工作を展開して、日本国憲法を深化させ、真の民主主義政治体制を確立すべきだ。

◎追記:8月28日の新型コロナウイルス新規感染確認者は、NHKのWebサイトによると東京では午後15時点で250人。感染経路不明者の割合は59.6%。重症者数に変化はなかったものの、東京都のモニタリング会議で「直近7日間の平均で225人で、前の週と比較して減少しているものの、依然高い水準」と判断し、高齢者にも感染が拡大していることを憂慮していると伝えた。なお、小池百合子都知事は23区に限り、午後22時までの営業時間短縮要請を来月9月15日まで延期することを都民に公表した。要請に応じた営業店に支給する協力金は月額15万円。全国の感染者数は最終段階で865人、11人が亡くなられた。重症者数は前日比8人減の238人。25日には速報値で1日に1万5191件のPCR検査が行われたため、推測瞬間陽性率は5.7%。世界保健機構(WHO)は5%以下になることが必要だとしている。

下図は日本共産党の志位和夫委員長が示したPCR検査人数と陽性判定者の比較図。上段図が日本で、下段図がニューヨーク。最近の日本での「公式感染確認舎」の減少はPCR検査人数の減少によるものであることが分かる。ニューヨークでは感染者がピークを越してもPCR検査を大規模に行い続けて、新規感染者数を落ち着かせることに成功している。政府=安倍政権は、PCR検査数を調整して新規感染者数をコントロールし、国民が「集団免疫」を獲得することを期待しているようだが、①産生される「抗体」の解明がなされておらず、再感染する事例が報告されている②集団免疫を獲得するには相当数の国民(50%〜70%)が感染しなければならず現状、日本人だけで死亡率は1.89%だから、相当数の死亡者が出ることを覚悟しなければならないーなどの問題がある。

さて、本分に戻ります。明日28日午後17時前後の記者会見は複数のメディアが伝えているが、例えば西日本新聞は同社のWebサイトで昨日27日、「安倍首相、28日の記者会見が確定 自身の健康状態に言及も」と題する記事で次のように伝えている。

「安倍晋三首相は28日、首相官邸で記者会見を開く。自民党の森山裕国対委員長が26日、立憲民主党の安住淳国対委員長に伝えた。会見で首相は新型コロナウイルス対応を説明するとともに、自身の健康状態にも言及するとみられる。首相を巡っては、体調悪化が深刻化しているとの見方が広がっており、健康不安を払ふっ拭しょくできるかが注目される」

選挙演説をする安倍首相
選挙演説をする安倍首相(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/638877/)

安倍首相が体調悪化説を一周して首相を続行するか、それとも、体調悪化説を肯定して「首相辞任」に踏み切るかのいずれかになる。首相の健康状態を認識しているのは、本人に加え菅義偉内閣官房長官、二階俊博自民党幹事長、政調会長、選挙対策委員長などの要職を歴任した首相側近の甘利明衆院議院らの「新5人組」と見られる。

安倍晋三首相
安倍晋三首相(自民党のサイトよりhttps://www.jimin.jp/news/?category=press)

2000年4月に小渕恵三首相が積極財政を批判され(実際は、1990年初からのバブル崩壊不況は小渕氏らが進めた積極財政で1996年ころから回復しつつあった)脳梗塞で倒れた際に、森喜朗幹事長(森派)、青木幹雄内閣官房長官(小渕派)、村上正邦参院議員会長(江藤・亀井派)野中広務幹事長代理(小渕派)、亀井静香政調会長(江藤・亀井派、いずれも当時の肩書き)ら5人組が密室での会談を行い、森幹事長を次期総裁にすることで一致し事実、森幹事長が総裁・総理になった。

ただし、森内閣の寿命は短く2001年2月10日、ハワイ沖で日本の高校生の練習船「えひめ丸」が、米国海軍の原子力潜水艦と衝突して沈没、日本人9名が死亡するという「えひめ丸事故」の第一報が入ったにもかかわらず、ゴルフを続けていたことや同年5月15日、「日本は天皇を中心とした神の国」と発言した「神の国」発言などで内閣支持率が急落、2001年4月6日に閣僚懇談会で辞任を表明。同年4月26日、就任からちょうど1年で首相を退任した。

このため、今回は「新5人組」と呼ばれる。安倍首相は首相辞任後も影響力を残したいたため、重鎮と側近のみに体調状況を伝え、辞任後の内閣・党運営体制づくりに専念していたと見る向きが多い。取りあえずは、麻生太郎副総理兼財務相が首相職を代行する事実上の「総裁選挙管理内閣」を担当し、その下で両院議員総会を開いて菅義偉官房長官を新総裁に選出、「コロナ禍危機管理内閣」を組閣するとの見方が有力だ。

なお、安倍首相が体調不安を一掃しても、今年中には解散・総選挙を行わなければならない。来年2021年になると、来春には東京都議会選挙が行われるため、公明党の意向から春の解散・総選挙は不可能(公明党の基礎票がなければ、自民党は総選挙の際の小選挙区で惨敗する)であり、追い込まれ解散が必至になるからだ。その場合は、総選挙で二階幹事長とともに指揮を取らねばならないが、自民党総裁として行わなければならない応援演説で全国を飛び回ることは、やはり、体調面から不安が残る。

なお、加藤勝信厚生労働相率いる厚労省が大規模PCR検査を行う方針を打ち出していないので、日本型のウイルスに変貌した新型コロナ感染拡大の第二派が一時的にせよ収まるかは不明だ。最近の新規感染確認者はやや減っているが、これはPCR検査などの検査数が相当減少したためと思われる。7月16日に閉会中国会審査で立憲民主党から参考人として招致され、それ以降8月の感染拡大を警告した東京大学先端科学研究センターに所属し、遺伝子工学と抗体型差に詳しく、検査人数を10倍加する「世田谷モデル」を保坂展人区長(社民党副幹事長出身)に助言した児玉龍彦名誉教授は、新規感染者が減少に転じたかに見えるときこそ、PCR検査、抗体検査を大規模に行い、各地方自治体ごとの感染状況を把握するべきことを提唱している(https://www.youtube.com/watch?v=lsoh0kkam-I&t=5s)。

児玉龍彦東大名誉教授による
児玉龍彦東大名誉教授による
児玉龍彦東大名誉教授による
児玉龍彦東大名誉教授による

日本の医療技術のレベルからすれば、100万人/10万人当たりのPCR検査人数が世界150位程度というのは、厚労省が感染の実態を掴むことの意思がないことを示しており、このままでは「ゴー(経済活動の再開・促進)・アンド・ストップ(感染拡大による経済活動の抑制)」の悪循環を繰り返すだけだ。安倍首相が記者会見でコロナ禍対策を転換するとも思えない。なお、予定通りに記者会見を行わなければ、それこそ、体調不良説が確定することになる。いずれにしても、感染拡大防止と経済悪化を食い止めるための臨時国会の召集は待ったなしだ。

一方、野党側は立憲と国民新党の合流問題で多数派工作が活発化している。財政的には立憲の軍資金は限られており、この面では国民の方が50億円を確保しており、有利と見られる。

サイト管理者(筆者)は政府系もはなはだしい産経新聞はあまり信用していないが、夕刊フジとは異なり一応の新聞社の発行する新聞紙である。論説には偏りがあったとしても、事実関係を捏造すれば致命的なことになる。その産経新聞社の昨日27日のWebサイトによれば、「国民民主党の古川元久代表代行は26日、立憲民主党との合流に参加しない議員の受け皿となる新党を設立するため、党所属国会議員5人以上の署名を添え、早期に分党協議を開始するよう玉木雄一郎代表らに申し入れたことを明らかにした。党本部で記者団に語った」という。

立憲、国民両党解党後の新党合流については、全員合流が果たせなかった場合、不参加議員に関しては玉木代表と平野博文幹事長に対応を一任することになっている。新党を結成するためには衆参両院議員合わせて5人の議員が参加することが必要だが、どうやらその基準はクリアしたようだ。玉木代表はユーチューバーであり、玉木チャンネルを持っている。

玉木チャンネルには日本維新の会の国会議員も登場してくるが、党規約を改正したばかりのれいわ新選組の山本太郎代表との対談番組を上下2回に分けてアップロード(公開)している。玉木代表と山本代表の対談番組では、従来、自公政権が採用してきた消費税増税一直線の「緊縮財政」政策を厳しく批判し、インフレ率2%を国債発行の上限とした機能的財政論を下に、「異次元の積極財政政策」で一致している。

山本太郎れいわ新選組代表と玉木新党に移籍すると見られる山尾志桜里議員等らが懇談
山本太郎れいわ新選組代表と玉木新党に移籍すると見られる山尾志桜里議員等らが懇談

玉木代表の唱える「中道改革派論」を自民党や日本維新の会と合理流するための布石と決めつけるのはまだ尚早だろう。19日に玉木新党組と山本太郎代表が懇談しているが、場合によっては、玉木新党とれいわ新選組が統一会派を組むこともあり得る。その意味では、多数派工作を行えるよう、党名は変更したほうがよいだろう。比例区当選者は既存の他党には入党できない。

山本代表は最近、同党のサイトで「コロナ緊急対策と財源」を公開、その中でコロナ禍対策として「異次元の積極財政政策」により「大規模なPCR検査」と休業する必要がある場合は「徹底的な補償付きの休業」政策を両輪の輪とすることを主張している。下図のジェームズ・トービンは新自由主義の元祖となったミルトン・フリードマン(こちらもノーベル経済楽章受賞)らマネタリストと財政・金融政策で論争した経済学者。新自由主義の破綻がコロナ禍で完全に明確になった現在、ケインズ理論の正しい継承・発展が求められる。現代貨幣理論はその第一候補。

れいわ新選組の異次元財政出動政策について
れいわ新選組の異次元財政出動政策について

山本代表は、国債発行の基準として累積国債発行額の名目国内総生産(GDP)に対する比率などではなくて、現代貨幣経済論が提唱している「機能的財政論(インフレ率」」を主張している。コロナ禍で経済の供給能力が蒸発しないようにするため、ソーシャル・ワーカーに対するPCR検査の徹底・複数回検査などの措置も含まれている。

加えて、山本代表は、既成野党も既得権益を守るための体制守旧派とみている。要するに、自民党と社会党の「55年体制」がまだ維持されていると見ているわけだ。この55年体制を破壊し、戦後政治の完全な総決算と日本一新を成し遂げることを最終目標に置いているわけだ。

その意味で、明日夕方17時前後に予定されている安倍首相の記者会計をきっかけに、日本の政局は激動期に入るだろうし、入らなければならないと見る。





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