事実上の次期首相の菅官房長官、将来の消費税増税を明言ー野党は最低「消費税凍結」で対抗を

次期首相が確定的な菅義偉内閣官房長官は10日夜のテレビ東京の番組で将来の消費税増税を明言した。消費税の強行増税が日本を30年にわたるデフレ不況にしている最大の原因である。立憲民衆党の枝野幸男代表は「市民連合」の呼びかけなどを待たなくても野党第一党の責任政党の党首として、少なくとも「消費税ゼロ%ないし凍結」で同党内をまとめ、れいわ新選組も引き入れて、野党共闘の旗印にすべきだ。

◎追記:9月11日の新型コロナ新規感染者は、東京都で4日連続100人超えの187人で1人が死亡。と基準の重症者は1人増えて24人。感染経路不明者は49%。東京都は、最も深刻な「感染が拡大している」との現在の評価から、深刻度が2番目の「感染の再拡大に警戒が必要」に引き下げる。全国では645人が感染し、9人が死亡。9日には速報値で1日に1万8040件のPCR検査が行われたため、推測瞬間陽性率は3.6%。

安倍晋三首相は2019年10月の消費税増税強行前後に、「少なくとも10年は消費税を増税することはない」と言い続けてきた。その安倍政治を継承するという次期総裁・総理が確実な菅官房長官は、10日夜の政府系のテレビ東京で「『消費税は将来的に10%より上げる必要がある』との質問に『〇』と回答。『将来的なことを考えたら行政改革は徹底して行った上で、国民の皆さんにお願いして消費税というのは引き上げざるをえない』と話した」(プルームバーグ、https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-10/QGGNTNT1UM0W01)。

テレビ東京の番組で消費税増税を明言する事実上の次期首相・菅義偉官房長官
テレビ東京の番組で消費税増税を明言する事実上の次期首相・菅義偉官房長官

一応、将来の社会保障財源に不可欠という「税と社会保障の一体的改革」が大義名分だが、社会保障支出などのプログラム支出は弱肉強食新自由主義の「自己責則・政府無責任原則」に基づいて財務省が巧妙に切り捨てており、①富裕層や大企業を優遇するための財源②米国の軍事兵器の在庫一層セールに合わせた爆買いーなどに使用されており、医療機関の増強や介護施設の整備など社会保障費はむしろ切り捨てられている。消費税増税の強行という「逆噴射政策」が、日本の経済を長期にわたるデフレ不況(失われた30年)の根本的な原因であることは明らかだ。

消費税は高所得者層と大企業の減税財源
消費税は高所得者層と大企業の減税財源

上図はお馴染みの図だが、上図のうちの下図はデモクラシータイムスで紹介された「消費税への誤解」ではなく、「消費税の正しい姿」だ。

次の図はハーバー・ビジネスのサイトによる、消費税増税の景気に対する悪影響の図だ(https://hbol.jp/182323)。縦軸は消費者物価上昇率。

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経済の主力エンジンは家計最終消費支出であるが、消費税増税の度重なる増税という逆噴射政策によって、家計最終消費支出は腰を折られてきた。また、法人税増税をいくら行っても、日本の産業構造の転換はままならず、企業の国際競争力はかえって衰退してきている。また、日本の国内総生産(GDP)の6割以上を占める家計最終章消費支出が消費税の度重なる増税によって冷え込む一方だから、内需向けの整備投資も増加する展望はない。消費税増税は長期デフレ不況の元凶であることははっきりしている。

立憲民主党の枝野幸男代表を始め、福山哲郎幹事長(従前)、安住淳国会対策委員長(従前)は経済政策に弱い。「新自由主義からの脱却」、「社会保障の充実」などを謳っても、新自由主義に基づく「緊縮財政路線」と似非「税と社会保障政策」の一体的改革による「消費税増税路線」と完全に決別するには、経済政策の抜本転換が必要だ。この点、国民民主党から新党の立憲民主党に移った馬淵澄夫衆院議員、泉健太衆院議員など国民と立憲のベテラン、中堅、若手議員の中には経済政策に明るい国会議員が多数、存在する。彼らは、「異次元の積極財政」を主張する山本太郎代表率いるれいわ新選組との共闘を望んでいる。

枝野代表はれいわに議席を奪われるなどとケチなことを言わず、野党第一党の「風格」を持って、「市民連合」などに「タマ」を回すなどと無責任なことを言わず、山本代表と虚心坦懐に会談し、野党共闘に加えるべきだ。そうしなければ、枝野代表も総選挙敗北の責任を取って辞任するか、次の代表戦で間違いなく敗退するだろう。

なお、菅官房長官は8日のTBSの人民党総裁選の番組で、「自衛隊の立ち位置というのが、憲法の中で否定をされている」と述べた」。しかし、内閣法制局の憲法解釈では、自衛隊については憲法9条2項で禁じられた戦争を遂行する能力がある「軍隊」ではなく、合憲の存在との立場である。憲法9条2項を破壊して、国防軍=軍医を創設したいのだろが、おそまつな議論だ。決して、政策に秀でているわけではない。

また、現在公判中の河井克行前法相は菅氏の子分格。元法務大臣である鳩山邦夫が設立した派閥横断型の勉強会である「きさらぎ会」の幹事長を務めていたが、菅氏はその顧問。統合型リゾート(IR)の誘致をめぐり、贈収賄容疑で逮捕されている秋元司参院議員も菅氏のお仲間。菅グループは自民党の中でも非常に小さなグループでしかなく、党内基盤も弱い。一方で、日本維新の会と公明党とのパイプは太いと伝えられている。要するに、自民党内での党内基盤は極めで脆弱である。しかも、71歳で高齢だ。自民党内での人気はすぐに下がるだろう。政権奪取を本気で目指す「野党共闘」が確立され、確かな理念と政策を打ち出せば、安倍・菅政治は打倒できるはずだ。



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