日本は米国(ディープステイト)と中国の股裂き状態にー菅政権では対処不可

2021年は内政面で今秋までの菅義偉政権の崩壊が予想されるが、これに拍車をかけるのがディープステート(闇の国家、軍産複合体と国際金融資本)に支配された米国民主党バイデン政権と、ともかくもコロナ禍を抑え込み、経済が上昇基調に戻ってきている中国との米中対立だ。日本は両国の股裂き状態に陥り、菅首相を含む自民党政権がが忠誠を誓ってきた対米隷属外交が根底から崩壊するようになる。

1月3日のコロナ感染状況
本日2021年01月03日日曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の12月27日日曜日の708人より108人多い日曜日としては過去最多の816人になった。重症者は7人増えて101人になり緊急事態宣言語では初めての100人超えの過去最多になった(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210102/k10012794291000.htmlhttps://www.fnn.jp/articles/-/61484)。
当日の新規感染者数は3日前のPCR検査結果が反映されると言われているが、東京新聞3日付によると2日の814人の新規感染者数は12月30日のPCR検査の結果を反映していると想定されるが、この日のPCR検査検査結果は3816件で陽性率は単純計算で21.33%の異常な数値になっている。1週間前の新規感染者数919人が確認された際の12月23日の3日前のPCR検査件数は9989件で、単純計算の陽性率は9.20%。感染率(陽性率)が急激に上昇していく可能性が考えられる。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は861.6人、PCR検査人数は6875.7人だから、瞬間陽性率は12.52%。東京都独自の計算方式でも10.2%。感染者のうち感染経路不明率は66.97%だった。PCR検査人数。陽性率はこのところ変化がない。ステージ3/4の陽性率は10%だが、世界保健機構(WHO)では各国に対して5%以下に抑えることを要請している。陽性率は10%超え、感染経路不明率も上昇する一方で、営業自粛強化などを行っても効果はどうか。ある程度出てくるとしても、通常国会召集後(18日以降)だろう。ただし、最も重要な無症状感染者が把握できるわけではない。
全国では、午後23時59分時点で新規感染者数は3158人、死亡者は60人、重症者は前日比3人増の714人が確認されている。
【参考】東洋経済ONLINEhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1月2日時点の実効再生産数は全国が前日比0.05人減の1.06人、東京都は前日比0.06人減の1.13人となっている。

米国は昨年11月の大統領選挙での混乱が長引き、やっとのことで民主党のジョー・バイデン候補が勝利を収めたことになり、今年1月20日から次期大統領になることが確定した。しかし、バイデン次期政権が安定した政権運営を行うためには相互に関連したふたつの条件が必要である。

ひとつの条件は、今年1月5日に行われるジョージア州での上院議員選挙である。米国の上院議院は日本の参院議院などと異なり、米国政権の外交政策や閣僚人事の承認権を持っている。米国の上院議員は人口によらず各州から2人選出され、任期は6年だが2年ごとに3分の1が改選される。昨年の大統領選挙の際にも3分の1が改選され、ジョージア州を除く全米各州では上院議員選挙の結果が確定している。

ところが、ジョージア州だけは異なる。同州では、ジョニー・アイザクソン氏(共和)が任期を2年残して引退したため、取り敢えずブライアン・ケンプ同州知事は暫定的にケリー・ロフラー氏を上院議員に任命していた。このため、同州の上院議員選挙は補欠選挙で現職ケリー・ロフラー氏と民主党のラファエル・ウォーノック氏の決選投票、3分の1改選では共和党現職のデービッド・パーデュー氏と民主党のジョン・オソフ氏の対決が行われたが、いずれも当選に必要な50%の得票率を確保できなかった(四候補以外が出馬したか、棄権票、無効票多数などによると思われる)。

このため、ジョージア州法の規定により、今年の1月5日に本来の3分の1改選のための上院議員の選挙と補欠選挙の決選投票が行われる。昨年11月の大統領選挙では上院では共和党が50議席を獲得し、民主党は48議席と過半数には至っていない。ジョージア州選挙では民主党の2候補が勝利すれば、上院は50議席対50議席の同数になる。閣僚人事や外交政策の承認案件で賛否同数になれば、民主党の副大統領に投票権が与えられるから、民主党は大統領を確保し、上院、下院を制することになるから、「トリプル・ブルー」が成立することになり、内政・外交とも圧倒的に有利になる。

ただし、バイデン陣営は大統領選挙時にトランプ陣営の4倍の選挙資金を確保したが、これは米国を支配してきたディープステート(闇の国家、軍産複合体と国際金融資本)によるもの(外務省出身で防衛大学を歴任した外交評論家の孫崎享氏による。https://www.youtube.com/watch?v=25cm5QJ09HI&t=2s)であり、バイデン次期大統領がディープステートの強い影響力を受けている、極端な言い方をすればその支配下にあることは間違いない。

戦後、ディープステートは民主党も共和党にも強い影響力、支配力を持っており、事実上、日本のマスコミとは比べ物にならない米国のマスコミ界さえも牛耳っているとされる。ディープステートの影響を受けてはいるが、その支配下にない大統領としては、カトリック教徒だったジョン・ケネディ大統領とドナルド・トランプ大統領が挙げられるが、ケネディ大統領は謎の暗殺を見舞われた。その後、副大統領だったリンドン・ジョンソン氏が大統領に就いたが、ベトナム戦争は激化し、結局敗退してしまった。ディープステートの影響によるものと思われる。

トランプ大統領はディープステートの支配を受けない大統領として期待されたが、対中輸入品に高額関税を課すなど、打ち出した「米国ファースト」政策は間違った政策だった。そもそも、「米国ファースト」ではなく「自分ファースト」に過ぎなかったとも揶揄されている。ただし、大統領選挙では共和党候補としては最高の7100万票を獲得した。また、下院民主党も7議席失った。トランプ氏が「大統領不正選挙」を主張しているのは、次期大統領選に出馬する意思の表れであると理解されている。

このため、ジョージア州の上院議員選挙は、民主党が黒人層を60万人新有権者として登録することに成功(米国では選挙前に有権者登録が必要)し、民主党にも2議席独占の可能性が高まったとされているが、トランプ氏支持の共和党員が総力を挙げるため、大接戦になることは間違いない。1月20日の大統領就任式の日までには上院の議席は確定しないとの見方もある。

仮に、民主党側が2議席独占できなければ、トランプ氏とトランプ党と化した共和党、トランプ支持層の影響力は強いものになる。その場合は、ディープステートはあらゆる手段を講じて、トランプ氏の抹殺に取り組むことになる。もっとも、トリプル・ブルーになっても、ディープステートがトランプ氏の抹殺に着手することは間違いない。ただし、米国では「東部エスタブリッシュメント」(ディープステートを象徴した言葉)に対する不満が、若者や低所得層の間に広がっている。米国の分断は深まる一方で、ディープステートの影響、支配を受けたバイデン政権は、「人権外交」などを柱に対中、対北朝鮮、対イラン政策で巧妙に強硬姿勢を取ってくる可能性が高い。

これらのことは、すべて米国の分断と中国と拮抗しつつある経済力ひいては世界最大の軍事力に強い悪影響を及ぼす。


少し脇道にそれるが、日本ではディープステートの存在は全くと言って良いほど知られていない。第二次大戦を連合国側の勝利に導いたアイゼンハワー大統領が離任時に、「軍産複合体」の存在を指摘するようになったことが知られているに過ぎない。その後、米国から金融業界を中心に多国籍企業が現れ、軍産複合体と癒着するようになったと思われる。Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E7%94%A3%E8%A4%87%E5%90%88%E4%BD%93)から引用する。

軍産複合体(ぐんさんふくごうたい、Military-industrial complex, MIC)とは、軍需産業を中心とした私企業と軍隊、および政府機関が形成する政治的・経済的・軍事的な勢力の連合体を指す概念である。

この概念は特にアメリカ合衆国に言及する際に用いられ、1961年1月、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領が退任演説[1] において、軍産複合体の存在を指摘し、それが国家・社会に過剰な影響力を行使する可能性、議会・政府の政治的・経済的・軍事的な決定に影響を与える可能性を告発したことにより、一般的に認識されるようになった。アメリカでの軍産複合体は、軍需産業と国防総省、議会が形成する経済的・軍事的・政治的な連合体である。

軍産複合体という概念を初めて公式に用いたのは、1914年8月5日のイギリスのチャールズ・トレヴェルヤンらが結成した民主的統制連合だった。彼らの平和主義の4つのマニフェストの第4項では「国家の軍隊は共同による合意により制限され、また軍備企業の国営化と兵器貿易の管理によって軍産複合体の圧力は調整されるべきである」と記された。

軍産複合体の概念を広く知らしめたアイゼンハワーの退任演説は1961年1月17日に行われた。なお、演説の最終から2番目の草案では、アイゼンハワーは最初に「Military–industrial-congressional complex(MICC)、軍産議会複合体」という概念を用いて、アメリカ合衆国議会が軍需産業の普及で演じる重要な役割を指摘していたが、アイゼンハワーは議会という語を連邦政府の立法府のメンバーを宥めるために削除した、とされている。議会を含めた概念の実際の作者は、アイゼンハワーの演説作家のラルフ・ウィリアムズとマルコム・ムースだった。

ベトナム戦争期の活動家セイモア・メルマンはこの概念に度々言及した。1990年代にジェームズ・カースは「1980年代中頃までに、この概念は一般の議論の対象になった…冷戦の間の武器入手に関する軍産複合体の影響に対する議論の力がどうであれ、彼らは現在の時代にはそれほど関連しない。」と主張した。

現在では軍と産業に加え大学などの研究機関が加わり、軍産学複合体と呼ぶように変化してきている。この背景には軍から大学の研究費が出されるようになり、研究資金の出資元として軍が大きな割合を占めるようになってきているためである。

ディープステートは、ロナルド・レーガン大統領時代にソ連との冷戦に勝利し、対ソ包囲戦略から「対テロ戦争」を起こし始めた。経済的にはミルトン・フリードマンを元祖とする新古典派経済学を使い、「グローバリズム」と称して各国の国有資産(国民資産)を奪取する新自由主義政策を推進してきた。日本では、2000年代に入って竹中平蔵現パソナ会長(東洋大学教授、慶応大学名誉教授)がレント・シーカー(民間企業などが政府や官僚組織へ働きかけを行い、法制度や政治政策の変更を行うことで、自らに都合よく規制を設定したり、または都合よく規制の緩和をさせるなどして、超過利潤=レント=を得るための活動を行う人)としてディープ・ステートの「手先」になり、「民で出来ることは民に」とのスローガンの下、郵政民営化など民営化路線を推進してきた。

その竹中平蔵パソナ会長を、安倍晋三前首相が設置した経産省よりの未来投資会議を廃して、新たに設立した成長戦略会議(議長・加藤勝信内閣官房長官)の民間議員の要職(事実上の議長)につけて、「(悪)知恵」を借りているのが、菅首相である。菅首相はは小泉純一郎政権を受け継ぎ同時に、杉田和博官房副長官、北村滋国家安全保障局長・内閣特別顧問、中村格(いたる)警察庁刑事局長らを側近とした秘密警察組織を設置し、デジタル庁を設置して日本国憲法が保障する基本的人権を抹殺しようとしている。

ただし、コロナ禍に対して無為無策、「コロナ感染拡大と経済悪化の両立」を驀進しているから、思惑通りにはいかないだろう。

バイデン次期米大統領と習近平主席
バイデン次期米大統領と習近平主席

長くなったが話を元に戻すと、ディープステートとトランプ氏およびトランプ支持層、バイデン政権から排除された民主党のパーニー・サンダース上院議員、エリザベス・うオーレン上院議員ら民主党内リベラル派、低所得者層の間で深刻な対立が起こり、米国の政治力、経済力、軍事力は衰えてくるのは避けられない。これに代わって国際舞台に登場して来ているのは中国だ。2028年には為替市場で決まる実際のレートで計った中国の国内総生産(GDP)は米国を追い抜くとの試算結果が出ている(購買力平価では既に中国が世界第一)が、もっと早まる可能性がある。中国は科学技術立国大国を目指し、内需喚起(超低所得層の撲滅)とともに、特に電気自動車の大衆化に全力を挙げているからだ。

アジア諸国と対米・対中貿易では、対中貿易のほうが多くなっている。

近年では、GAFAM(Google、Amazon、Facebook, Apple、Microsoft)などディープステートの枠外の多国籍企業が力を持ってきており、ディープステートとの対立が激しくなってきている。将来の経済力のカギを握るITやAI、脱炭素化(象徴は、ガソリン車から電気自動車への転換)、再生エネルギーでは、ディープステートはかなわないからだ。米国では電気自動車で台頭しているテスラなどの企業も出てきた。テスラは上海に生産拠点を持ち、高級車、中級車、普及車を全世界に輸出する目論見がある。Appleも電気自動車を開発しており、iPhoneの生産拠点を中国に持っていることも強みだ。ガソリン車はハイブリッド車を含めて世界各国から禁止される(https://www.youtube.com/watch?v=cGpc80jdX34)。

ガソリン車、ハイブリッド車はお断り
ガソリン車、ハイブリッド車はお断り

また余談に入るが、日本のトヨタと日産では電気自動車の核となる電池仕様の共通化がなされていない。トヨタは水素、日産はリチウム電池で、値段も500万円と異常に高い。これでは、ガソリンスタンド、EVスタンド、水素ステーションが乱立することになるとともに、現在のガソリンスタンドは斜陽業界になる。日本の内燃機関による自動車(ガソリン車)産業の裾野は広いから、ガソリン車、ハイブリッド車が世界各国から拒否されて売れなくなると、日本の産業界は崩壊する。経済産業省が調整しなければならないが、菅政権は経産省を政策決定の場から排除している。

話を元に戻すと、中国では普及型の電気自動車を開発し、補助金もつけて販売しているため150万円程度だ。北京市では普及型の電気自動車や乗合バスが急増している。もちろん、人口大国だから、超低所得層の撲滅と低所得層の所得引き上げを中心に内需振興にも相当、力を注ぐ。このため、中国全体としての購買力は今後、増してくるだろう。アジア諸国も対米輸出額よりも対中輸出額が増えていてる。

中国の発展にとって最大の障害は、強権的な共産党独裁体制を敷いていることだ。一国ニ制度を公約してきた香港の民主化運動を弾圧し、民主派を最も罪の重い犯罪者を収容する監獄送りをしていることに象徴される。中国の香港支配は次のようなものだ。

中国の香港に対する国家安全維持法
中国の香港に対する国家安全維持法

ただし、中国が香港を弾圧するのは、中国の経済発展に取って香港がもはや中国の経済発展にとって不要になったこともある。日本政府は中国に対して人権弾圧を抗議し、日本や日本を通して海外諸国への亡命を支援するという手立ても講じていかなければならない。なお、中国は環太平洋連携協定(TPP)に参加するとも言い出している。

これまでの外務省による対米隷属外交と経済産業省による対中貿易・投資外交に摩擦が生じてくるのは確実だ。「米中股裂き外交」を強要されることになる。対米隷属外交を進める菅首相は「媚中派」と揶揄される自民党の二階俊博幹事長をいずれは切り捨てたいと思っている。これに、菅首相は日本国憲法違反の創価学会幹部と直接交渉している(憲法破壊は朝飯前)と言われるが、創価学会婦人部の「何でも首相に賛成の公明党」に対する抵抗が加わる。800年間続いてきた西洋文明は限界点に到達し、終焉の時を迎えている。それを加速しているのかコロナ禍だ。中世のペストは欧州の近代化を促進した。主権者国民は、政府=菅政権の崩壊を見越し、叡智を結集していかねばならない。



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