新型ワクチンが最後の「生命づな」になった政府=菅政権
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大手メディアの世論調査で内閣支持率が激落する中、政府の御用メディアの産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)は1月23、24両日に行った合同世論調査で、菅義偉内閣の支持率は52.3%で、不支持率45.0%を上回ったという異常な調査結果を発表した。御用メディアとして知られているメディア・グループだが、その根拠は「新型ワクチン」だ。新型ワクチンについての情報を改めて紹介したい。

1月27日水曜日コロナ感染状況

本日1月27日水曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の1月20日水曜日の1274人から301人減少して973人になり、死亡者は18人、重症者は前日から2人増えて159人になった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は1045.6人、PCR検査人数は9308.6人だから、瞬間陽性率は11.23%。東京都独自の計算方式では8.4%。感染者のうち感染経路不明率は53.68%だった。
全国では、午後23時59分の時点で新規感染者数は3970人、死亡者数は90人が確認されている。重症者は前日比47人増の1043人。東京都、大阪府の死亡者数はそれぞれ18人、23人だった。大半は重症者が亡くなられたと推定される。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1月26日時点の実効再生産数は全国が前日比0.04人減の0.81人、東京都は前日比0.03人減の0.78人となっている。このところ、簡易実効再生産数は低下傾向が続いているが、下げ止まりの時点を注視することが大事だ。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

【追記15時】世界のコロナ感染者は1億人を突破して日本時間の14時29分時点で1億83万7646人、死亡者数は7286万4912人となった。死亡率は2.15%(https://www.worldometers.info/coronavirus/)。

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査の結果は、こちらのサイト(https://www.sankei.com/politics/news/210125/plt2101250011-n1.html)に掲載されている。政府=菅義偉政権の期待通りの「調査結果」だ。菅政権側の「秘密警察」を使った「やらせ」の感が強い。ただし、投稿記事に調査母集団が明確でないうえ、末尾に「産経新聞社とFNNは、データの不正入力で休止していた合同世論調査を今月から再開しました。原則毎月1回実施する予定で、不正防止策を徹底してまいります」と記しているが、調査方法を含めて、どの程度の「不正防止策」を行ったか不明だ。

これについて、ニュース・サイトのJ-Castニュースが調べており、ヤフー・ニュースに配信している(https://news.yahoo.co.jp/articles/3f041364e55d0f13ec400e38d09d25d5337b0b9b?page=1)。「重ね聞き」という手法で、支持・不支持が不明瞭な調査対象者を支持または反支持に誘導するという手法が取られているという。ただし、調査対象者(母数)は1000人程度らしく、少ないと思われる。れいわ新選組が昨夏の東京都知事選挙の際に、民間調査会社に委託して行った世論調査では、山本太郎代表によると3000人の東京都民に対して調査を行ったという。大手メディアの世論調査はせめて。無作為抽出により、その程度の人数の国民に対して調査を行って欲しいところだ。なお、最近ではインターネットでのSNSの発信が影響を与えているから、ネット調査と組み合わせたハイブリッド調査を真剣に考えるべきだ。

それはさておき、フジ・サンケイグループの世論調査の要(かなめ)は新型ワクチンに対する国民の期待だ。J-CASTは次のように指摘している。

1月25日付の産経紙面で報じられた内閣支持率は52.3%で、不支持率は45.0%だった。「政府の新型コロナウイルス対策を評価するか」との問いには、「評価する」33.6%に対して「評価しない」65.6%だった。

一方、産経と同じ時期にあたる1月23~24日に朝日新聞社が行った世論調査では、内閣支持率は20年12月の前回調査よりも6ポイント低い33%で、不支持率は10ポイント高い45%だった。一方、「新型コロナウイルスを巡るこれまでの政府の対応を評価しますか」という問いには、「評価する」が前回より8ポイント低い25%、「評価しない」が7ポイント高い63%だった。

コロナ禍対策での支持率、不支持率にあまり相違がないが、内閣の支持率は決定的に異なっている。その理由は、政府が計画している「ワクチン接種」だ。政府=菅政権が最後の「生命づな」としている新型ワクチンに対する回答を見ると、同じ時期に行った朝日新聞(25日付)の世論調査では次のようになっている。

新型ワクチンについて無料で接種できるようになったら、「すぐに受けたい」は21%にとどまり、「しばらく様子を見たい」が70%、「受けたくない」が8%だった。特に女性は73%が「様子見」で、「すぐに」は16%だった。「すぐに」は年代が上がるほど多いが、70歳以上でも29%だった。

これに対して、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査なるものでは、次の「調査結果」になっている(https://www.fnn.jp/articles/-/135262)。

今後への期待を込めて、ぎりぎり菅政権を支持すると答えた人がそれなりに存在することが読み取れます。そしてその期待の背景なんですけれども、コロナ禍での生活について、『苦しくなった』という人が29%いた一方、『変わらない』という人が69%を占めています。そして、ワクチンへの期待、さらにワクチン担当に起用された河野大臣(行革相・新型ワクチン接種担当相)への期待が77%となっていまして、こうした期待が菅内閣への支持を下支えしているとみられます。ただ、ワクチンに対しては、29%の人が、自らは接種しないというふうに答えていまして、副反応など、安全性に不安を覚えている人が多いことがわかります。ワクチンへの期待というのは、今後に混乱が生じた場合には失望に変わりかねない、そして政権の支持率にも影響しかねないだけに、非常に難しい課題になるといえそうです。

朝日新聞社のワクチンに対する世論調査の結果は辻褄(つじつま)が合うが、河野太郎行革相がコロナ担当相になったというだけで、ワクチンへの将来的な期待が高まったというのは理屈が合わない。また、接種しないが29%と朝日新聞社の調査よりもはるかに高いのに、国民が将来的に新型ワクチンに期待しているというのは理解に苦しむ。政府は新型ワクチン接種をマイナンバー(カードの可能性もある)と紐付けるなど、新型ワクチン接種に躍起になっているが、各種の世論調査でも明らかになっているように、政府=菅政権の「コロナ禍対策」は支離滅裂、後手後手で国民の信頼は得られていないから、コロナ禍対策を抜本的に変更せず、新型ワクチンの接種を急いでも、国民に疑問はつきまとう。

前置きが長くなった新型ワクチンだが、ある程度信頼性の高い公益社団法人・日本経済研究センターのサイトで公開されたワクチンに詳しい馬場園明九州大学教授の資料が参考になる(https://www.jcer.or.jp/blog/babazonoakira20210113.html)。

馬場教授によると、ワクチンの類型としては、従来型の➀ウイルスの毒性を弱めたものが原材料になる生ワクチン②ウイルスの感染能力を失わせたものが原材料になる不活性化ワクチンに加えて、③ウイルスの遺伝子から免疫効果を誘導する遺伝子配列を探し、その遺伝子配列をもとにワクチン用遺伝子を設計したmRNA型ワクチン(米国のファイザー社とドイツのベンチャー企業のビオンテック社が共同開発したワクチンと米国のモデルナ社が開発したワクチン)➃チンパンジー由来の風邪のアデノウイルスが複製できないように処理をし、それを利用して新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク蛋白を形成する遺伝子を身体に入れ、スパイク蛋白への免疫を身体につけることによって、コロナウイルスの感染の防御を狙うウイルスベクタ型ーワクチン(英国のアストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同で開発したワクチン、https://www.astrazeneca.co.jp/media/othernews/initiative.html)。

後のニ類型のワクチンは、新型コロナ感染症(Covid-19)をもたらすウイルス(SARS-CoV-2)を入手し、その遺伝子配列からヒトを攻撃しないように遺伝子工学を使って「改良」したもので、いずれも新種のワクチンだから新型ワクチンと呼ばれる。取り敢えず、多数の人に接種して効果・安全性を確かめる第3相の治験を通過したとして、米国や英国で緊急承認されてはいる。4類型のいずれの類型のワクチンも本物のウイルスを弱毒化して接種し、抗体(中和抗体)をヒトの体内に産生させるもので、有効性と安全性、持続性を確認するため、通常はワクチンの開発から承認までには数年から10年程度かかる。

今回の2類型はCovid-19の急激な蔓延により、米国や英国で緊急承認されたものであるから、第3相の治験を通過したと言っても、天然痘ワクチンのように安心して接種を受けられるものではない。このことから、馬場教授の資料では次のように述べている。

最大の問題は、ワクチン接種にどのような副反応(副作用)が存在し、どれだけのリスクがあるか現時点では分からないことだろう。米ファイザーと独ビオンテック、米モデルナの両ワクチンの治験でも、疼痛、発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛の症状は多数報告された。

新型ワクチン
新型ワクチン

イギリスやアメリカではワクチン接種後、強いアレルギー反応であるアナフィラキシ―ショックが発生したとの報道もあるが、これは生命にかかわる問題である。アナフィラキシ―ショックの既往症がある人にはワクチンを接種しないとの指示も出ているが、アナフィラキシーショックは完全に予見できず、一定数の発生は避けられない。

アナフィラキシーショックのほかにも、抗体依存性感染増強 (ADE) が発生する可能性が指摘されている。これは、ウイルス粒子とある抗体が結合すると、宿主細胞への侵入が促進され、ワクチン接種をきっかけに、より重篤な症状が引き起こされる現象である。

新型コロナの感染拡大により、医療の現場は疲弊し、多くの国民が経済的に困窮している。しかしながら、ワクチンの効果がどれだけ持続するのか、その普及が集団免疫を形成できるのかは明確でない。政府はワクチン接種で発生した障害を補償するとの報道もあるが、健康や生命が損なわれれば、取り返しはつかないだろう。

日経メディカルOnlineと日経バイオテクが2020年11月20日~12月2日に実施した新型コロナワクチンに関するアンケート調査によれば、医師6830人のうち2019人(29.6%)が「早期にワクチン接種を受けたくない」と回答。このうち1441人は回答理由に「安全性が十分に検証されていないから」を挙げている。(以下、略)

なお、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はRNA型のウイルスであるため、自己複製・自己増殖の際に失敗(遺伝子構造のコピーに失敗)しやすく、変異型が多数存在する。問題になっているのは、英国政府が感染力が1.7倍、症状悪化率が1.3倍強いと発表した英国変異種と南アフリカで発見された南ア型だ。いずれも、日本での市中感染が確認されている。これらのほかにもミラノ型、スペイン型、ブラジル型など多数の変異種が存在する。

遺伝子工学に詳しい東大先端研究所の児玉龍彦東大名誉教授も、日本の東京都・埼玉県で変異した日本首都圏型も日本に強く残っている(https://www.youtube.com/watch?v=4kHcPm6b5lI)。政府=菅政権は、厚生労働省のミスでファイザー社やモデルナ社が開発したワクチンの入手が予想より遅れるため、アストラゼネカ社のワクチン接種から始めるようだ。

ワクチンの接種とその効果については、YoutubeのMeaaチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=M3ENLho-QHU)が参考情報を伝えている。それによると、ファイザー社製の新型ワクチンは英国型ウイルスには効果があるようだが、南ア型には効かないようだ。これは、多くのメディアが伝えている。モデルナ社も改良・改造を表明している。この番組では接種国の摂取状況も伝えている(下段に出所が明記されている)。

英国型には効果があると伝えられたファイザー社製の新型ワクチン
英国型には効果があると伝えられたファイザー社製の新型ワクチン
南ア型には効かない新型ワクチン
南ア型には効かない新型ワクチン
世界各国のワクチン接種状況
世界各国のワクチン接種状況

イスラエルの接種率(32%)が最も高いから、厚労省は「同盟国」と言われている米国経由でイスラエルから情報の提供を受けるべきだろう。なお、英国では新規感染者の急拡大が報じられたが、このところ落ち着きつつあるようだ。ただし、アストラゼネカ社のワクチン接種が効いてきたのか、それとも強力な都市封鎖(ロックダウン)によるものなのかは、現在のところ不明だ。また、ファイザー社、モデルナ社のワクチンについては、米国民の不満が高まっているようだ(https://parstoday.com/ja/news/world-i70312)。

アメリカ製薬大手モデルナ、ファイザー両社が製造したコロナワクチン接種による犠牲者数の増加にともない、これらのワクチンによりコロナに勝てるというアメリカ市民の期待感が、より客観的さらには悲観的ななものに変わってきています。

米NBCニュースによりますと、モデルナ・ファイザー両社製のコロナワクチンがアメリカやそのほかの国に分配され、接種が行われた数日後、接種後の強い副作用や一部の死亡例に対する抗議件数が増加しています。

VAERS米ワクチン副作用報告システム(Vaccine Adverse Events Reporting System) に届出のあった報告によりますと、これまでに、アメリカでは、この両社のいずれかのワクチンの接種後に55人が死亡し、数百人に生死にかかわる重大な副反応が出ているということです。

アメリカのほか、そのほかの複数国でもこれまでにファイザー社製ワクチン接種による副反応の出た例が報告されています(以下、略)。

これが事実なら、非常に重要である。なお、米国の黒人層に新型ワクチン接種を呼びかけるため5日、大リーガーで歴代2番目のホームラン数を記録した本塁打王ハンク・アーロン氏(86)が「自ら志願して」モデルナ社のワクチンを接種したが、22日に死亡した。米国メディアの報道によると、ワクチン接種が原因ではなく、高齢のための自然死(突然死)ということになっているが、ホワイトハウスの公式見解なのか、定かでない。このため、黒人層に新型ワクチン接種への忌避傾向が出ているという(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/284428)。

厚労省は事実関係を把握し、国民に情報公開すべきだ。政府=菅政権では河野太郎行革相がワクチン担当相になっているが何故、田村憲久厚生労働相は蚊帳の外なのか。そもそも、政府のコロナ対策の実務上の総責任者が田村厚労相ではなく西村康稔経済再生担当大臣なのか、理解に苦しむ。河野行革相は単刀直入に言って菅首相の「子分(子飼い)」と言われ、ワクチン接種が仮りに成功した場合は、自民党の党内権力争いで優位に立つ。つまり、河野行革相より年上で、権力争いを行っている他の自民党幹部に対する強い牽制になる。このことが、新型ワクチン担当相を河野行革担当相に起用した理由だろう。

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厚生労働相は新型ワクチン接種の手続きサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00218.html)は公開しているが、各国のワクチン接種状況については情報を公開していないようだ。また、新型ワクチンにより健康被害が出た場合の損害賠償(死亡した場合は5000万円超)の手続きのページ(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/kenkouhigai_kyusai/)も設けているが、端的に言って健康被害の挙証責任は接種を受けた国民本人側になる(厚労省から同意書が用意されている)。また、基礎地方自治体を通して損害賠償を申請した場合に、迅速に受理されて、賠償が可能かどうか極めて不透明だ。

国民の生命と生業(なりわい)を守るという政府の最大の仕事が念頭にない現在の政府=菅政権の権力・税金の私物化、利権主義から言って、賠償が迅速に行われるか、非常に怪しい。昨秋の臨時国会での予防接種法の改正の際には、新型ワクチンを開発した「大手製薬会社に対する免責事項」を追加しているのも問題だ。サイト管理者(筆者)は、コロナ禍対策の抜本転換を行ったうえで、真に有効かつ安全なワクチン接種による集団免疫の獲得(日本国民の6割が接種を受ける必要がある)が、今回の新型コロナウイルス禍の収束の道と考えている。政府=菅政権のもとではそういう事態が来るとは思われない。

なお、大規模検査による無症状感染者の早期発見と治療によって、集団免疫を獲得する道も残されている。新規感染者数が減少に転じた時点で、大規模な社会的検査を行えば良い。


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