聖火リレー開始で3月21日に首都圏「緊急事態宣言」解除、解除後新規感染者は急増か

政府=菅義偉政権は、コロナ新規感染者数が増加に転じている中、3月18日にも首都圏内1都3県での緊急事態宣言を解除する見通しだ。表向きは「医療体制ひっ迫状況が緩和された」ということだが、3月25日に福島県から開始される予定の聖火リレーのためだろう。しかし、コロナ禍対策の抜本転換をしない限り、➀季節要因②変異株要因③人口移動要因ーから現在の増加傾向が続く可能性が極めて濃厚だ。東京オリンピック/パラリンピックを強行開催して、解散総選挙に持ち込むという菅首相にとって「最善のシナリオ」は瓦解する可能性が極めて強い。

3月17日水曜日コロナ感染状況
複数のメディアによると本日3月17日水曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の3月10日水曜日の340人から69人増加して409人だった。7日移動平均では前日の298.9人になり前週水曜日比で112.7%になった模様。東京都基準の重症者数は16日より1人減少して41人だった。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は298.9人、前週水曜日比率は112.7%だった模様(東京都は前週比率を発表しなくなった)。PCR検査・抗原検査人数は6809.6人。陽性率は東京都独自の計算方式(7日間移動平均での7日間移動平均での新規感染者数を、同じく7日間移動平均の検査人数で除したもの)は3.5%。感染経路不明率は48.31%。
全国では午後23時59分の時点で1535人が新規感染、43人の死亡、重症者は前日比2人減の335人が確認されている。
【参考】東洋経済ONLINEhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、315日時点の実効再生産数は全国が前日比0.01人増の1.08人、東京都は同じ15日時点で前日比0.02人増の1.09人だった。簡易計算だが実効再生産数で見る限り、感染が再拡大しつつある。

コロナ感染状況についての追記

3月17日の新規感染者は2月18日以来、400人を超えた。コロナ感染第4波が襲来している可能性は否定できない。しかし、政府=菅義偉政権は聖火リレーが3月25日開始の予定であることから、コロナ禍対策を抜本転換しないまま、効果のなかった限定的「緊急事態宣言」の不発に終わった根本的な総括もしないで、3月21日に解除する意向だ(NHKWebサイト3月17日午後19時22分公開報道「首都圏1都3県の緊急事態宣言 21日解除へ あす正式決定 菅首相」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210317/k10012920521000.html)。

朝日デジタルでは「17日午後に開かれた厚生労働省の専門家組織(アドバイザリーボード)では、リバウンドがすでに起きているという指摘がある中で宣言を解除することに懸念の声が出た」(https://digital.asahi.com/articles/ASP3K6JG3P3KUTFK010.html?iref=comtop_7_03)という。

コロナ感染者数シミュレーション

コロナ感染者数シミュレーション

【全国と東京都の実効再生産数の推移(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)】

投稿記事本文

新型コロナウイルスの新規感染者は昨日16日まで、8日間前週の同じ曜日に比べて増加した。より正確には7日間の移動平均での前週比を見るべきだが、東京都では3月7日から上昇傾向に転じており、3月11日から16日までは6日間連続で前週の同じ曜日を上回っている。なお、PCR検査では厚生労働省が自治体に対する通達で、結果の判定に重大な影響を与える「カットオフ値(CT値)(http://www.momotaro-net.com/column/48.html#:~:text=Ct%E5%80%A4%E3%81%AB%E3%81%AF%E5%9B%BD%E9%9A%9B,%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82)」を引き下げ(40から35に変更した模様)、「陽性判定」者数を引き下げるようにしたという情報もある(参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000725744.pdfhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00214.htmlからたどり着ける)。検査の連続例が失われることになるが、それでも新規感染者数が前週の同じ曜日に比べて増えていることは重要だ。

「医療ひっ迫体制」が多少緩和されたとしても、新規感染者が増加していけば、再び「医療体制」は逼迫していく。要するに、飲食店を狙い撃ちにした限定的な「緊急事態宣言」は効果がなかったということだ。本来なら緊急自他宣言解除よりも、コロナ禍対策の抜本的転換が必要だ。下図は日曜日から土曜日までの一週間を横一行に配置。

東京都のコロナ感染者数の推移

東京都のコロナ感染者数の推移

 

コロナ感染場所

コロナ感染場所

政府=菅政権は、Go To トラベルで首都圏から全国に新規感染者が拡大・急増したが当初は、新規感染者の拡大・急増にもかかわらずGo To トラベルを強行していた。しかし、12月下旬以降、東京都での新規感染者が急増するとあわてて東京発のGo To トラベルを中止し、次いで12月28日に取り敢えず、東京発も含めて完全停止した。その後、1月に入って首都圏を中心に感染爆発が起こったため、首都圏1都3県からの「緊急事態宣言」発令要請に応えざるを得なくなり、2月7日までの第二次「緊急事態宣言」を発令した。

その後、2月7日でも緊急事態宣言を解除できずに延長、10都府県で3月7日まで再延長された。首都圏以外では3月7日を待たずに解除されたが、首都圏では3月7日の解除宣言もできず、3月21日まで延長されることになった。しかし、宣言解除予定間際になって首都圏とくに全国の感染震源地になっている東京都では、感染者が再拡大(リバウンド)している。繰り返させていただきたいが、新規感染者が増加していけば、再び「医療体制」は逼迫していく。

今回、緊急事態宣言後に新規感染者が減少に転じたのは、季節的要因の影響が大きく、これに国民が不要不急の活動を「自粛」したことが大きい。飲食店をターゲットにした限定的な「緊急事態宣言」の効果というよりも、「緊急事態宣言」発令の「アナウンスメント」効果が大きかったと言えよう。しかし、「自粛」効果は薄れつつある。アップル社が公開している日本での人の移動指数がこのところ、基準時点の昨年2020年1月13日時点を上待っていることに示されている(注3月12日は未公表)。

米国アップル社が提供している日本での人の移動指数

米国アップル社が提供している日本での人の移動指数

 

新型コロナ感染の波

新型コロナ感染の波

 

この表からすると、2月中旬ころから人の移動指数はほぼ上昇している。人の移動指数は約3週間後に新規感染者数に影響してくる。季節要因から大局的には新規感染者数が減少に転じたものと見られるが、最近のリバウンドは、コロナの変異株への市中感染と人の移動指数が上昇してきたことにあると見られる。人の移動指数では、3月4日以降は2020年1月13日の基準時点を上回っている。

新型コロナ感染の波

新型コロナ感染の波

なお、共同通信社が2月16日早朝配信した記事によると、世界全体では2月に入ってリバウンドが起こりつつある。東京新聞者のWebサイトは、「コロナ感染者、1億2千万人超 全世界、減少から再び増加」と題して共同電を次のように伝えた(https://www.tokyo-np.co.jp/article/91742?rct=main)。

米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、新型コロナウイルスの感染者が15日、世界全体で1億2千万人を超えた。1週間当たりの新規感染者数は2月下旬に下げ止まってから再び増加に転じており、世界保健機関(WHO)は警戒継続を呼び掛けている。死者は265万人を上回っている。

新規感染者が増加していけば、再び「医療体制」は逼迫していく。「医療体制」のひっ迫状況が薄れてきたことを理由に、「緊急事態宣言」を解除するというのも納得の行かない話だ。やはり、3月25日に聖火リレーが始まることを踏まえての判断だろう(参考:3月17日早朝公開の「1都3県の緊急事態宣言 政府内で21日に解除の意見強まる」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210317/k10012918571000.html)。政府=菅政権としては首都圏での「緊急事態宣言」解呪の際に、新型インフル特措法に盛り込まれた「まん延防止策」を講じるなどの措置を取るつもりだろうが、姑息な手段であることは免れない。

NPO法人・医療ガバナンス研究所の上昌広理事長・医師は日刊ゲンダイ3月16日号から連載が開始された「どうする・どうなる日本の医」と題する連載の第1回目で、日本は「感染者が世界の各国に比べて少ないのに、経済的打撃が深刻ーカギはPCR検査」だとして、日本のコロナ禍対策を厳しく批判している(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/286482)。

まずは日本だ。2020年の人口10万人当たりの感染者は186人、GDP対前年比はマイナス4・8%だった。前年の2019年のGDPは0・3%の増加だったから、差し引きマイナス5・1%の影響とみなすことができる。本稿では、この値を「GDP変化率」と定義する。

諸外国はどうだろうか。政府は「日本型モデルの成功」などと自画自賛してきた。たしかに、欧米と比べ、日本の感染者は少ない。人口10万人当たりの感染者数は、米6033人、仏4102人、英3677人、伊3485人、独2101人だ。日本の11・3~32・4倍であるコロナ対策の主たる目的は感染者を減らし、経済活動を維持することだ。人口当たりの感染者数と国内総生産(GDP)を用いれば国際比較が可能になる。

欧米は経済ダメージも深刻だ。「GDP変化率」は英マイナス11・4%、仏マイナス9・6%、伊マイナス9・2%、米マイナス5・7%、独マイナス5・5%だ。このようなデータを見る限り、日本のコロナ対策は成功と言ってよさそうだ。しかし果たして、本当にそうだろうか。

アジア諸国と比較すると、日本の評価は一変する。人口10万人当たりの感染者数は、多い順に日本186人、韓国120人、中国7人、台湾3人となる。「GDP変化率」は、日本マイナス5・1%、韓国マイナス3・0%、中国マイナス3・7%、台湾0・0%だ。日本は感染者数、経済ダメージとも最悪である。(以下、略)

東アジア諸国は世界の中でも新型コロナ感染者が少ない。これは、➀人種的遺伝要因②コロナ型ウイルスに対する交差免疫力の保持交差免疫力の保持③東アジア諸国が主として※を主食とする文化圏ーなどが、その理由として挙げられている。その東アジア諸国の中で、日本はコロナ禍対策で最悪のパフォーマンスを示している。このことは、本サイトで繰り返し、述べさせていただいてきたところだ。

NPO法人・医療ガバナンス研究所上昌広理事長・医師の懸念

NPO法人・医療ガバナンス研究所上昌広理事長・医師の懸念

やはり、日本のコロナ禍対策に根本問題があったことを示している。これは、東京オリンピック/パラリンピックの開催を至上目的として、PCR検査を抑制してきたからだ。政府=菅政権としては、東京オリンピック/パラリンピックを強行開催(有観客の可能性も出ている)し、それによって政権の浮揚力をつけ、解散・総選挙に持ち込む戦略を描いている。しかし、このシナリオは瓦解する可能性が濃厚だ。

繰り返させていただくが、➀大きな波としては夏場にかけてコロナが活性化するという季節的要因が働く②変異株の出現とその消滅がコロナの波動を形成する③東大先端研の児玉龍彦東大名誉教授によると、コロナウイルス(の特に変異株)には自壊作用があるが、最後の段階で感染力、致死力ともに強い「狂暴な株」が出現する➃GWもあり春には、日本全国で人の移動が活発化するーなどの理由による。

やはり、コロナ禍対策の基本としては、次の投稿記事を参照いただきたい。

要点は、インフレ率の制御を中心とした「健全な財政政策」によって国民の「生活・生業」を補償することを前提に、➀指定感染症Ⅱ類相当とした新型コロナウイルス感染症の区分を柔軟に見直す②ステルス・スプレッダーの早期発見・隔離・治療のために、感染震源地(エピセンター)でのPCR検査、抗体検査の徹底検査体制(希望者全員に対するPCR検査・抗体検査の実施体制)の確立と「誰でも、いつでも、どこでも、何回でも」安心して検査を受けられる体制の確立する②簡易医療施設の設営を含む医療体制の抜本的強化(コロナが収束しているわけではないから、新規感染者が少ないうちに医療体制の抜本的強化を図る)③厚生労働省医系技官を頂点とした感染症対策部隊だけに頼るのではなく、大学との連携を深める(厚労省と文科相の連携)➃ワクチンに対しては安全性・有効性・持続性に加え、副作用について徹底的な情報公開を行い、死亡を含む健康被害に遭った場合には政府の責任で救済措置を速やかに行うーことが必要だろう。


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