エアロゾル感染=空気感染を主張する正しい感染症専門家への支援が必要

新型コロナ感染の経路について、厚生労働省の医系技官を中心とした「感染症利権ムラ」の飛沫感染・接触感染という判断に対して、エアロゾル感染=空気感染だとの主張が現れ始めた。世界的には、コロナ感染の主要ルートはエアロゾル感染=空気感染ということが常識になっている。こうした世界標準の主張をする感染症専門家の後押し・支援が必要だ。

新型コロナ感染の主要ルートはエアロゾル感染=空気感染

本投稿記事は読書家でユーチューバーの清水有高氏制作の「一月万冊」での同氏と朝日新聞出身で五月書房取締役兼フリージャーナリストの佐藤章氏の対談番組(https://www.youtube.com/watch?v=NluBTR-a5W4)を参考にしたものです。

厚労省の医系技官を中心とした「感染症利権ムラ」はコロナ感染の主要ルートとして飛沫感染・接触感染を主張し、「積極的疫学調査」というコロナ感染者の「濃厚接触者」を追跡調査する「積極的疫学調査」なるものを新型コロナ感染症対策の基本に置いてきた。しかし、世界的には2020年7月、世界保健機関(WHO)が100マイクロメートルの飛沫よりもかなり小さい5マイクロメートルのコロナウイルスを含んだ二酸化炭素中の微粒子であるエアロゾル感染の可能性を指摘し、2021年4月にはコロナ感染の一般的な感染経路と主張した。

これを受けて世界の感染症専門家がその妥当性を検証し同年8月、世界的に権威のある米国科学振興協会 (AAAS) によって発行されている学術誌「サイエンス」がエアロゾル感染をコロナ感染の主要ルートであるとの見解を発表。この発表で、エアロゾル感染=空気感染が新型コロナ感染の主要経路との見解が定着した。

しかし、厚労省の医系技官を中心とした「感染症利権ムラ」は一貫して「飛沫感染・接触感染」を新型コロナ感染の主要ルートとしてきた。さすがに、昨年の中秋以降はエアロゾル=空気感染という感染ルートもあり得るという見解を出さざるを得なかったが、感染の主要ルートとしては認めていない。そのことが、「感染症利権ムラ」の象徴とも言える「国立感染研究所(脇田隆字所長)」が1月23日に発表したオミクロン株についての論文にも当てはまる(25日までに3回修正。https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/10900-sars-cov-2-b-1-1-530.html)。同論文では次のように述べている。

国内の実地疫学調査から得られた情報に基づき、オミクロン株感染例(n=35)の潜伏期間について解析を行った結果、潜伏期間中央値の範囲は2-3日であった(国立感染症研究所. 実地疫学調査により得られた情報に基づいた国内のオミクロン株感染症例に関する暫定的な潜伏期間、家庭内二次感染率、感染経路に関する疫学情報)。国内でも海外からの報告と同様に、オミクロン株感染例では、従来株やデルタ株感染例と比較し潜伏期間が短縮している可能性が示唆された。オミクロン株の家庭内二次感染率は31%-45%と、従来株、デルタ株と比較して高い可能性が示された。また、感染経路として、現段階でエアロゾル感染が疑われる頻度が明らかに増えているわけではなく、従来より認識されていたエアロゾル感染が起こりやすい状況(換気が悪い屋内で、密集した状態で、感染例と長時間空間を共有した場合など)以外では、エアロゾルによる感染が疑われる事例は確認されていない。ただし、上記の結果は、解析に含まれる事例数が十分でないこと、各事例におけるワクチン接種状況、感染対策状況を含む曝露状況を考慮した結果でないことなど、暫定的な結果であり、解釈には注意が必要である。

引用文中、太字の部分は後に批判されないような慎重な言い回しであるが、赤字太字の部分はいまだにエアロゾル感染=空気感染を否定した形だ。エアロゾル感染=空気感染を感染の主要経路として認定すると、「積極的疫学調査」や飲食店をターゲットにした「まん延防止措置」と「緊急事態宣言」が意味をなさなくなり、「感染症利権ムラ」の失敗が明らかになるためだ。このことを問題にした専門家が、国立感染研への公開論文を発表、毎日新聞がこの事案を「感染経路の知見が世界と違う? 専門家8人、国立感染研に質問状」と題して報道した(https://mainichi.jp/articles/20220201/k00/00m/040/145000c)。

新型コロナウイルスの感染経路に関する国立感染症研究所の文書が世界保健機関(WHO)など世界の知見とは異なるとして、感染症や物理学などの専門家8人が1日、感染研に対して公開質問状を提出した。感染研は「感染経路は主に飛沫(ひまつ)感染と接触感染」としているのに対し、専門家はエアロゾル感染(空気感染)が主な感染経路と主張しており、感染研に説明を求めている。

専門家が問題視しているのは、感染研が1月13日に公表した変異株「オミクロン株」に関する第6報。感染研は「現段階でエアロゾル感染を疑う事例の頻度の明らかな増加は確認されず、従来通り感染経路は主に飛沫感染と、接触感染と考えられた」と明記している。(中略)

専門家代表の本堂毅・東北大准教授(科学技術社会論)は「世界では接触感染が起きるのはまれと考えられているのに、感染研は主な感染経路として、いまだに飛沫感染と接触感染を挙げている。国内のコロナ対策は感染研の見解を基に展開されており、このままでは無用な感染拡大を起こしかねない」と話している。

感染症の基本対策は「検査と隔離・保護・治療」だ。「感染症利権ムラ」はPCR検査を徹底的に否定し、隔離・保護・治療のための医療体制の強化を全く怠ってきた。このため、PCR検査の技術革新はなく(欧米では複数の検体を同時に30分〜60分で検査できる装置を開発している)、検査キットは不足、ゲノム解析力(全遺伝子解析)の能力も貧弱なままで、さらに、隔離・保護・治療のための医療体制の強化は全く実現していない。医療体制は事実上、崩壊している。

東京都のモニタリング会議が23日に発表した資料では、国立感染研が論文で認めた家庭が感染の中心・媒介地になっていることを如実に示している(https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/020/964/77/20220203_04.pdf)。

この図が示しているように、会食の割合は4.4%から2.3%に低下しているのに対して、家庭内感染の割合は56.8%から59.5%に増加し、他の感染場所での感染の中継基地になっている。医療体制の強化は必要だが、現実として感染者の「自宅治療」という名の「自宅放置・遺棄」が起こり、医療体制が崩壊している。日刊ゲンダイは「自宅療養者30万人超え、コロナ自宅死2ケタ」と題する記事で、次のように展望している(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/300856)。

26日時点の自宅療養者は26万人。現在は30万人を軽く超えているとみられ、第5波ピークの13万人の3倍に迫る。第5波の昨年8月と9月に自宅で亡くなったコロナ患者は少なくとも202人。“自宅放置政策”が続けば、第5波を上回る自宅死が多発してもおかしくない。

やはり、「自宅治療」を名のあるものにするとともに、家庭内感染や職場(飲食店を含む)などでの感染を避けるために、業務用の換気装置と家庭用の空気清浄機の設置に補助金を出すべきだ。また、真正野党は岸田文雄政権のコロナ対策の間違いを徹底的に追及する必要がある。

オミクロン株の特性も次第に明らかになってきており、特に高齢者が感染すると急激に悪化するようだ(https://www.tokyo-np.co.jp/article/158067)。

◆重症化率はデルタ株の3分の1
「(全国で)ピークに近づいている」。厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は2日、まもなく第6波の頂点が来るとの見方を示した。3日の新規感染者数は10万人を突破。第5波で最多だった8月20日の約2万6000人の約4倍だ。
感染拡大が先行した地域の例から、オミクロン株の重症化率の低さが見えてきた。国が定義する重症者は、集中治療室(ICU)入室中か、人工呼吸器や人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を使う患者。専門家組織に出された広島県のデータでは、60代以上の重症化率は第5波の4.3%に対し、第6波は1.4%。オミクロン株はデルタ株に比べ、感染力は高いが、重症化率は3分の1程度との傾向が読み取れる。

◆高血圧や糖尿病も重症化リスク要因
オミクロン株による病状などの研究も進む。感染研は1月14~24日に、重症か死亡の報告があった81人の患者を調査。担当した鈴木基・感染研感染症疫学センター長は「ゲノム(全遺伝情報)解析で確定していないが、大半がオミクロン株の患者」とみる。年齢の中央値は重症が72歳、死亡は87.5歳と高齢だ。高齢以外の重症化リスク要因は、高血圧や糖尿病、慢性腎臓病が目立った。
感染判明時は発熱やせきなどの軽症が多く、多臓器不全や重い肺炎は1割前後しかない。だが、症状の進行は早い。発症からの日数の中央値は、重症まで4日、死亡までは3日だった。鈴木氏は「数が少なく結論は出せないが、デルタ株より短い印象だ」と話す。

なお、脇田国立感染研所長はワクチン接種を強く勧めているが、ワクチン接種の効果は疑問とする意見や副作用の大きさ(死亡や重症化、2021年の超過死亡者数は平年の6万人)も指摘されている。免疫力を低下させるという指摘も出てきた(https://www.youtube.com/watch?v=v1jgAORsw_4など)。政治経済評論家で政治活動も行っている植草一秀氏はメールマガジン第3142号「メディア・リテラシーが足りない」で次のように指摘しておられる。

(厚生労働省は)「医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていく」と誓ったはずだが、新型コロナウイルスワクチンについて、安全性を確保する最善の努力を重
ねているのか。新型コロナウイルスワクチンは「特例承認」で実際の利用に供されている。しかし、安全性を確保する上で最も重要な第三相治験が省略されている。実際に、ワクチン接種後におびただしい数の人が急死や重篤化していることが報告されている。

1月21日時点での「副反応疑い報告事例数」は
接種後急死者  1444人
接種後重篤化者 6370人
副反応疑い  30714人
恐るべき数の報告がなされている。

季節性インフルエンザワクチンと比較すると、接種人数当たり接種後急死者数は新型コロナワクチンが270倍になっている(2018-19年シーズンの季節性インフルエンザワクチンとの比較)。しかも、この数値は全数でない。医師の判断で「副反応疑い」とされたものだけが報告されている。接種後に急死したのに、医師が「副反応疑い」としなかったものが除外されている。

厚労省が「安全性確保に最善を尽くす」なら、接種後急死者、重篤化者、なんらかの反応が見られる者を全数報告させるべきことは当然。基本的な対応すら取られていない。2021年の日本の死者数が激増した。1月から9月の数値で、前年比で死者が6万人も多い。平年の死者数を上回る死者数を「超過死亡」と呼ぶ。WHOは感染症などの疾病による影響を考察する際に「超過死亡数」を参考にすることを推奨している。

といった具合だ。高齢者や基礎疾患を持っておられる国民の方々は別として、新型mRNAワクチンについての正しい理解が欠かせない。なお、季節的要因とオミクロン株の特性から、2月中に新規感染のピークを迎える可能性もあるが、新型コロナとの戦いが終結するかどうかは不明だ。

1月5日の東京都の新規感染者数

現在、「新規感染者数」はPCR検査をしなくても医師の「患者」の症状に対する「判断」で「新規感染者」の中に入れている。これは、正しい医学的判断ではない。


下図のように2月4日午前11時に最終更新された3日時点の「自宅療養者」8万3727人と「入院・療養等調整中」6万4517人を合計した事実上の自宅放置者は、14万8244人。2月4日午後20時30分に最終更新して公開された4日時点の自宅療養者」7万9343人と「入院・療養等調整中」6万8025人を合計した事実上の自宅放置者は、14万7368人。➀より容態の悪い「入院・療養等調整中」の自宅療養者は増加している②増加した一部の「入院・療養等調整中」の感染者は入院または宿泊療養に移行しているーことがうかがえる。
ただし、4日に判明した新規感染者数1万9798人全員の判明後の状況は反映されているかどうかは不明。「自宅療養」の減少人数は4384人、「入院・療養等調整中」の増加人数は3508人で、4日の新規感染者数1万9798人と比較すれば、合点がいかない面がある。明日5日の午前11時ころに最終更新されると思われるhttps://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)。



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