本日4月25日から来月5月11日までの3回目の「緊急事態宣言」が発出されるが、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の来日に備えた超短期間の予定であり、新規感染者数の実質的な減少には役に立たないだろう。政府=菅義偉政権にはコロナ禍に全く無関心であり、コロナ禍から国民の生命と生業を守るという意思がない。このままで行けば、第4波の拡大、5波の襲来が確実になる。最大のコロナ禍対策は菅内閣退陣であり、政権交代しかない。その意味で、本日投開票の北海道2区衆院補選、参院長野選挙区補選、参院広島選挙区補選で3連勝することが最大のカギを握っていたが、大激戦区の参院広島選挙区を含め、野党統一候補の全勝になった。
東京都のコロナ感染者数の推移と4月25日日曜日の全国の状況
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、4月24日時点の実効再生産数は全国が前日比0.02人減の1.16人、東京都は同じく4月24日時点で前日比0.02減の1.18人だった。上昇、下落を繰り返しているが、1.10は超える状況が続いていることに注意が必要だ。
下図は東京都のコロナ感染者数の推移です。
3回目の緊急事態宣言の効果について
本日4月25日から18日間の3回目の「緊急事態宣言」が発出されるが、効果は見込めない。そもそも、5月17日に予定されている国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長の来日に合わせた発出期間だからで、期間としてはあまりにも短すぎる。なお、新型コロナへの感染は、人の移動指数のおよそ3週間後に表面化する。5月11日の感染状況は火曜日の感染状況は、既に過ぎた4月20日火曜日の人の移動指数(公共交通機関で98.18)が反映される。参考までに米国アップル社の人の移動指数(公共交通機関)の推移を下図に示しておきます。2回目の緊急事態宣言時に新規感染者が減少に転じた時期よりは20ポイント以上は高い(https://covid19.apple.com/mobility)。
コロナ第4波は、➀季節要因②変異株要因③人口移動要因ーによって襲来しているものであり、東京オリンピック/パラリンピックが強行開催されれば、「緊急事態宣言下のオリパラ」になる可能性が濃厚だ。その後は秋から冬場に入るから、第4波の波が収まらないうちに第5波が発生する恐れがある。
現在の世界的な新型コロナ感染状況について、NPO法人医療ガバナンス研究所の上昌広理事長・医師は次のように述べている(https://gentosha-go.com/articles/-/33647)。
コロナ感染は世界中で拡大している。4月17日、1日あたりの新規感染者数(7日移動平均)は476万6,000人で過去最高を記録した。図表1は主要先進国(G7)の新規感染者数の推移だ。
英米伊を除き、同時期に感染者が急増している。これは日本での感染拡大が、緊急事態宣言解除後のリバウンドという日本固有の問題だけでなく、世界共通の原因があることを示唆する。
おそらく気候変動だろう。風邪を引き起こす季節性コロナは、冬場だけでなく5-8月にかけても流行することが知られている。新型コロナが、この性質を引き継いでいてもおかしくない。それなら、この季節に感染が拡大することは合理的だ。季節的な流行が感染拡大の理由なら対応はかわるはずだ。
余談だが、G7のワクチン接種数の累計を図表2に示す。英米が突出しているのがわかる。この二国で感染が再燃していないのは、ワクチンにより集団免疫が獲得されつつあるからだろう。独仏加と違い、伊で感染が収束しつつある理由は不明だ。
ただし、強力な都市封鎖(ロックダウン)とワクチン接種を行った英国はさておいて、米国での新規感染者数は下げ止まっている感がある(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/)。
【米国のコロナ感染状況】
NHKのWebサイトでの報道によると、今回の緊急事態宣言では次のような対策が行われる(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210425/k10012996281000.html)。
政府は、変異ウイルスの拡大に最大限の警戒が必要だとして、大型連休に合わせて、短期間に集中的な対策を講じる方針で、酒やカラオケを提供する飲食店などに加え、百貨店やショッピングセンターなどの大規模な施設に休業を要請しています。また、不要不急の外出や感染拡大地域との往来をできるだけ控えるよう求めるとともに、在宅勤務の活用や大型連休中の休暇取得を促し、出勤者の7割削減を目指すとしています。(中略)
【東京都】
東京都は、1000平方メートルを超えるデパートなどの大型商業施設や、酒やカラオケ設備を提供する飲食店などに休業を要請するほか、酒を提供しない飲食店には午後8時までの営業時間の短縮を要請します。また、法律に基づかない依頼として、1000平方メートル以下の劇場や映画館といった施設には休業への協力を求めます(中略)。
【関西3府県】
関西の3府県では具体的に、酒類やカラオケ設備を提供する飲食店に休業を要請するとともに、提供しない場合や、それ以外の飲食店には、営業時間を夜8時までとするよう要請しています。また、生活必需品を販売する小売店などを除き、建物の床面積の合計が1000平方メートルを超え、多くの人が利用する施設には休業を要請しています。イベントは、規模や場所にかかわらず、無観客での開催を要請しています。府県民に対しては、不要不急の外出・移動の自粛や、路上や公園などで集団で飲酒しないことを呼びかけています。さらに公共交通機関には、平日の終電時刻の繰り上げや、土日と祝日の減便、それに主要なターミナルでの検温の実施を依頼しています。
本サイトで繰り返し述べさせていただいているように、生活・生業補償・保障のための大胆な財政出動を前提とした大規模な検査は、はっきり言って行われない。変異株対策もないに等しい。ワクチンが安全かつ有効であるにしても、3回目の長短期の緊急事態宣言では効果は全く望めない。以下、日刊ゲンダイ4月26日号(参考サイト:https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/288397)を参考に、変異株問題について指摘しておきたい。
ファイザー社製のワクチンを製造しているインドでは、ワクチン接種が始まったこともあり、今年2月中旬には1日当たり新規感染者数が1万人ほどに減少したが、3月から感染爆発に見舞われ、22日ころには連日30万人を超えている。コロナ感染者が30倍に増えているわけだ。これは、新型mRNAワクチンの効かない「二重変異株」が出現し、市中感染が広まったことによると見られる。日本でも22日に5件の変異株が発見されたという(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/)。
ところが、インドでは「二重変異株」から変異した「三重変異株」が出現し、4つの州から集めた検体から2件確認されているという。この三重株はさらに感染力、重症化力、ワクチン耐性力が強いと言われている。インドはQUADの一員。東京オリンピック/パラリンピックを強行開催すれば、インドの選手団やIOC招待のVIPに混じって、日本にも上陸する可能性がある。なお、バイデン政権は、事実上の渡航禁止国を拡大し、英国も含めているのに何故か、日本は含めていない。日本を強力に支配下におく狙いが透けて見える。バイデン大統領が、「科学的根拠」なしに、選手団を日本に派遣するかが、東京オリンピック/パラリンピック開催の大きな焦点になる。
今回の「緊急事態宣言」では、変異株対策では無策(保護・隔離・治療施設が必要だが、入院待ちや自宅療養中の感染患者が急増している)だから、もちろん「二重株」、「三重株」対策も考えるはずはないと思われる。さて、関西圏では大阪府、京都府、兵庫県に対して一体的に「緊急事態宣言」を発出するものの、首都圏では東京都のみだ。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県は一体だ。東京都だけにしか緊急事態宣言を発出しないとなると、東京都は一応は自宅待機は要請しているものの、GW中に「コロナ疲れを癒やすため」、東京都から他の首都圏に移る都民が多くなることが考えられる。千葉県浦安市舞浜に所在する東京ディズニーランドはその一例だ。
東京都でも変異株の市中感染が拡大しているから、他の首都圏を通して全国に変異株の市中感染をさらに拡大させる可能性が強く考えられる。このところ、全国的にも感染者が大幅に増えている。こうしたことから、今回の「緊急事態宣言」は新型コロナ変異株の市中感染を全国規模で拡大する素地を作る可能性が濃厚だ。また、東京オリンピック/パラリンピック開催を強行すれば、無観客試合にしたとしても選手団やその関係者、IOCのVIPなど合わせて10万人の外国人の来日が見込まれるため、二重株、三重株はじめ100種類ほどあると言われる変異株が上陸することになるだろう。ニャーヨーク・タイムズが「東京オリンピック/パラリンピックは一大感染イベント」になるとの見通しを伝えたのはこのことだ(https://www.nikkansports.com/general/news/202104130000149.html)。
12日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、日本で新型コロナウイルス感染が収まらずワクチン接種も滞る中で東京五輪を開催するのは「最悪のタイミング」であり、日本と世界にとって「一大感染イベント」になる可能性があると伝えた。
自ら解散・総選挙に言及した菅首相は、東京オリンピック/パラリンピックを強行開催し、その余勢をかって解散・総選挙をいどむつもりのようだが、こうしたことを考えるとシナリオ通りコトが進むとは限らない。むしろ失敗して、自公連立政権で本格的な政局(権力闘争)が勃発する可能性のほうが濃厚だ。参院広島選挙区で実質的に細田派の安倍晋三前首相が応援に乗り出したのはその前兆と言える。コロナ禍対策はもちろん解散・総選挙の行方を大きく握るのは本日の3補選、とりわけ参院広島選挙区での選挙だ。自民党は徹底した企業票の掘り起こし、公明党は創価学会員のテコ入れを創価学会幹部に依頼しているから、激戦になる可能性がある。ただし、投票率(天候の影響が大きい)によっては、予想外の差がつく可能性がある。参院広島選挙区での補選の勝敗の行方が、今後の日本を大きく左右する。
衆院北海道2区補選、参院長野選挙区、参院広島選挙区で野党統一候補勝利
各種メディアによると、衆院北海道2区補選で立憲民主党で野党統一候補の松木謙公氏が 5回目の当選を果たした。参院長野選挙区補選でも立憲民主党で野党統一候補の羽田次郎氏が初めて当選した。激戦が予想された参院広島選挙区では諸派新人で事実上の野党統一候補の宮口治子氏の当選が確実になった。参院広島選挙区では午後20時時点の推定投票率が前回を6.69ポイント下回る21.82%(26日午前1時30分時点では33.61%=https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/434251.pdf=)と近年にない低投票率になったが、支持政党がない有権者が自公連立政権の利権政治を批判、野党統一候補に投票したため、これまでの常識が覆され、自公連立政権に有利に働かなかった。
自公連立政権は有権者から「利権政治(カネのための政治)」とコロナ禍対策の批判を浴びた。その一方で、野党側に対しては明快で強力な経済政策に裏付けられたコロナ禍対策と政権運営能力に対する不安が寄せられた。また、連合による日本共産党分断作戦も問題になっている。
広島県連会長で宏池会岸田派の岸田文雄前政調会長は安倍晋三前首相が影響力を持つ細田派の支援を受けたが、擁立候補が落選したことで総理・総裁の芽はなくなったと見られる。安倍首相ー菅官房長官(当時)の横暴を抑えられなかったことが、失脚の最大原因になる。なお、河井克行元法相・案里氏(いずれも議員辞職)事案の全容はまだ解明されていない。ただし、岸田氏が宏池会の岸田派を中核に、横暴を重ねた細田派、菅・二階グループに対して、反主流派を形成し、巻き返しを図る道が少しは残されているかも知れない。