東京オリ/パラ強行開催の真の理由は安倍前首相が強制捜査・起訴を避けるためか(コロナ・米国・麻生氏重要追記)

安倍晋三前首相が河井克行元法相・案里元参院議員買収事件の黒幕だった可能性が極めて濃厚であり、安倍氏が対立している菅義偉首相の「支持」を表明したのは、林真琴検事総長率いる検察庁の強制捜査・逮捕・起訴を避けるためと見られる。東京オリンピック/パラリンピックの強行開催で検察側に強制捜査・逮捕・起訴のすきを与えないためだ。しかし、朝日新聞社出身でジャーナリストの佐藤章氏によると、林検事総長はオリ/パラ強行開催でも安倍前首相を含め安倍陣営側の強制捜査・逮捕・起訴を行う強い意向を有しているという。世論の後押しがあれば十分に「Xデー」が到来する可能性がある。

5月24日コロナ感染状況(追記:東京都は本日5月24日から当日の感染状況公表時刻を午後16時3045分に変更)

5月24日コロナ感染状況
複数のメディアによると5月24日月曜日の東京都の新型コロナウイルスの感染者数は前週月曜日比79人減の340人、東京都基準の重症患者は68人になった。7日移動平均では638.1人になり、前週比81.3%になった。300人台は4月12日(306人)以来だが、7日移動平均の前週比では2日連続で前日を上回った。世代別では20歳代が92人で最多。東京都が参考として発表した23日の検査件数は1665件で普段の平日よりも少なく、23日までの3日間の平均検査件数は5283.3件。東京都医師会が緊急事態宣言解除の要件としている新規感染者を7日移動平均で100人以下に抑え込むのは極めて困難だと思われる。
全国では23時59分の時点で、新規感染者数は2712人、死亡者85人、重症者は1300人。大阪府は新規感染者が216人、死亡者35人。

【追記:午後23時00分】毎日新聞Webサイトによると、政府=菅政権は緊急事態宣言を6月20日まで延長する方向で調整しているというhttps://mainichi.jp/articles/20210524/k00/00m/010/314000chttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20210525/k10013049201000.html)。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

 

日刊ゲンダイ5月25日号(24日発行)によると、感染力が英国の1.5倍で、日本人の6割が持つ型(白血球抗原:HLA-A24)の白血球の免疫力を無効化し、ワクチン接種の効果も危ぶまれているインドで発見された二重変異株の市中感染が徐々に広がっているようだ(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/289557)。3月28日から5月7日の41日間で空港検疫で見つかったインド株感染者は160人。

空港検疫以外の国内感染例も次々と確認されている。厚労省によると17日時点で11人。日刊ゲンダイが報道を基に18日以降の確認分も含めて独自に集計すると、23日までに(インド渡航歴のある者とない者の合計で)東京5人、埼玉1人、神奈川3人、千葉6人、静岡5人、大阪2人、兵庫2人、鹿児島3人の計8都府県27人に上る。

中には(上記のうち)市中感染の疑いも。東京4人、埼玉1人、千葉4人、大阪1人は海外渡航歴がなかった。大阪の吉村知事は「大阪で市中感染が生じている可能性がある」と警戒している。

まずは、島津製作所と伊藤忠商事の子会社iLACが共同開発した最先端のPCR検査技術などで簡易的に変異株を検査し、東京大学医科学研究所とiLACのゲノム解析が必要なところだが、ゲノム解析能力が劣る国立感染研究所にゲノム解析を独占させている「感染症法」の改正が必要になるようだ。

なお、新型コロナによる被害が比較的軽微だった東アジア・太平洋地域で、日本の政府=安倍、菅政権のコロナ対策の成績が最悪であることを無視して、コロナの新規感染者数や死亡者数は「さざなみ」程度、日本の「緊急事態宣言」は欧米諸国などの「都市封鎖(ロックダウン)」に比べて「屁」のようなものだと発言した高橋洋一内閣官房参与は、ツイッターでの批判を受け、本日5月24日付で辞任した(https://digital.asahi.com/articles/ASP5S5JTNP5SUTFK00W.html)。

高橋氏は窃盗罪の刑事犯の経歴を持ち、政府=菅政権の経済政策の司令塔である「経済財政諮問会議」が下部組織として持つ「成長戦略会議」の竹中平蔵委員(慶応大学名誉教授・パソナ会長=学商・政商)の「部下」的存在。ツイッターでの批判で辞任したとのことだから、政府=菅政権に自浄能力がないことと政権の国民無視の姿勢が改めて明らかになった。

可愛夫妻事案と安倍晋三前首相

本投稿記事は5月23日夜公開されたYoutubeの「一月万冊」(読書家・清水有高)に出演した佐藤氏の調べに基づくものです(https://www.youtube.com/watch?v=Vm02k4yd7Qk)。なお、次の投稿記事の続編です。

河井克行元法相の東京地裁での公判は、4月30日に行われた検察側の諭告(懲役4年の実刑求刑)と5月18日になされた弁護側の最終弁論(執行猶予を要求)に基づいて、6月に東京地裁で判決が言い渡され一審が終わる。もっとも、河井克行元法相・案里元参院議員の公判の結果(案里氏はすでに執行猶予付きの1年4カ月の懲役で確定、河井被告は執行猶予がつけば検察側は控訴する可能性が高い)だけでは、本買収事件は終わりにならない。本買収事件の全容解明のためには第一に、当時の溝手顕正候補(前参院議員)の10倍もの1億5千万円の資金提供は誰が決めたのか、第二に1億5千万円の資金の使途の双方が明らかにされて初めて、全容が解明される。

自民党側は、第一の詳細については明らかにしておらず、第二については選挙資金収支報告書など関係書類が検察側に押収されているので、現段階では明らかにできないとしている。しかし、敏腕検事として知られた郷原信郎弁護士は、自身のブログで自民党の主張に反論している(https://nobuogohara.com/2021/05/23/%e8%87%aa%e6%b0%91%e5%85%9a%e9%87%8d%e9%8e%ae%e3%80%8c%e9%96%a2%e4%b8%8e%e5%90%a6%e5%ae%9a%e3%80%8d%e7%99%ba%e8%a8%80%e3%81%8b%e3%82%89%e6%98%8e%e3%82%89%e3%81%8b%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%81%a3%e3%81%9f/)。一部引用させていただきたい。

克行氏が公判で供述しているように「自民党の党勢拡大、憲法改正の発議のため」だけだったのか、安倍晋三前首相が「溝手氏への私怨」から同氏の落選を狙ったのか、或いは、菅義偉氏、二階氏らが、総裁選を見据えて、安倍首相の後継の自民党総裁の有力候補だった岸田氏の大番頭の溝手氏落選を狙ったのかなど、様々な見方がある。

いすれにせよ、1億5000万円の資金提供を決定した人物は、10倍もの資金提供の理由について説明責任を負うことになる。

一方、(2)の点は、資金提供の違法性、不当性に関連する。

結果的に、買収原資に充てられたというだけでも、その政治的・社会的責任は重大だ。もし、資金提供が、「案里氏を当選させる目的で」買収原資に充てられることを認識した上で行われたのであれば、公選法の買収目的交付罪に該当する可能性もある(【検察は“ルビコン川”を渡った~河井夫妻と自民党本部は一蓮托生】)

上記は本買収事案が重大な刑事犯罪になり得ることを明らかにしたもの。次に、郷原氏は自民党の「関係資料は検察側に押収されているので、1億5千万円の使途は明らかにすることはできない」という論法の詭弁性について、次のように反論している。

河井夫妻の公判の状況からすれば、現時点では、その「言い訳」は全く通用しない。1億5000万円の使途を明らかにする関連書類の入手はすぐにも可能だ。

証拠物の押収というのは、捜査や公判立証のために行われるものであり、原則として、当該事件の裁判が終わるまでは押収物は返還されないが、刑訴法上、「押収物は、所有者、所持者、保管者又は差出人の請求により、決定で仮にこれを還付することができる。」(222条1項、123条2項)とされ、「仮還付」が認められている(仮還付を受けた者はその物を、証拠価値を変動させないように保管する義務を負う)。

案里氏の公判は終了して判決が確定し、克行氏の公判は、既に、検察官立証も論告弁論も終了し、判決を待つだけの状況になっている。関係書類の押収を継続する必要が全くなくなったとは言えないとしても、仮還付が行えない理由は考えられない。党本部が「任意提出」し「領置」(捜査機関が任意提出で証拠物を取得すること)されている関連書類については、党本部が仮還付を求めれば、すぐに仮還付されるだろう。また、克行氏が捜索の際に押収された資料は、克行氏自身が検察に仮還付を求めなくてはならないが、党本部が、克行氏に、総務省への報告のために必要だとして関係書類の仮還付を検察官に請求するよう要請すれば、克行氏が拒むことはできないはずだ。克行氏がその理由で仮還付を求めれば、検察官も仮還付を拒む理由はない。

ということで、河井克行被告、自民党ともに可愛案里氏の「選挙活動収支報告書」を含む関係書類の「仮還付」を受けることができずはずだし、本買収事件が広島県はもちろん、全国に及ぼした影響の大きさから言っても当然、1億5千万円の使途を公表しなければならないはずだ。それをしないのは、自民党首脳部が本事案については、首脳部が刑事罰に触れる重大な問題があることを認識しているということだろう。これに関して、郷原氏は次のように重大な点を指摘している。

「首相動静」によれば、この合計1億5000万円の党本部からの資金提供が行われた前後に、(河井)克行氏と当時の安倍首相(自民党総裁)とは頻繁に単独面談を行っている。案里氏を公認した3月13日の前後の2月28日と3月20日、党本部から案里氏代表を務める政党支部に1500万円を振り込んだ2日後の4月17日、3000万円を振り込んだ3日後の5月23日に安倍氏と克行氏とが単独で面会しており、6月10日に案里氏政党支部に3000万円、克行氏政党支部に4500万円が振り込まれた10日後の20日にも安倍氏と克行氏とが単独で面会し、その一週間後の同月27日に克行の政党支部に3000万円が振り込まれている。

 

世界各国の首脳は忙しい。日本でもそうだ。面会者が訪れてもせいぜい数分で面会終了になる場合が圧倒的に多い。その中で、安倍首相と河井克行衆院議員は異例の長時間にわたって1対1の面談を行っているのである。佐藤氏はその経緯を次のようにまとめている。

 

安倍晋三首相と河井克行氏の首相官邸での面談の履歴
安倍晋三首相と河井克行氏の首相官邸での面談の履歴

 

この内容は、河井克行氏が安倍首相の支持を受けて「選挙活動」に臨んだことを示唆している。河井陣営が広島県基礎自治体の首長や市町村議らを買収した金額は3000万円程度だ。血税が原資になっている政党助成金1億2千万円を含む1億5千万円のうち、1億2千万円の使途が不明だ。これは日本国憲法第83条「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」が定める財政民主主義に明らかに違反する。

佐藤氏によると、1億2千万円のうち大半は安倍首相にわたり、菅義偉官房長官(当時)が管理していた官房機密費の約1億円と併せて河井案里氏の選挙活動費用に使われたとのことだ。この選挙を通して河井案里氏を当選させれば、➀安倍氏の政敵であった溝手顕正氏が1997年7月の参院選で当選すれば自民党四役の一人である参院幹事長に就任するはずだった。その溝手氏を落選させれば、国政から失脚させることができる②溝手氏は宏池会(憲法擁護派)の重鎮であり、その伝統を受け継ぐ岸田派(岸田文雄前政調会長領袖)の自民党内基盤を弱体化させることができるーことになり、安倍氏の最大の政治目的である「憲法改正=壊憲」を実現することができる。

佐藤氏によると、官房機密費が今回の参院選に使われたことを立証するのは容易ではない。ただし、官房長官経験者とその周辺が、官房機密費を選挙活動やメディア、ジャーナリストの買収などに使用したことを漏らすことはよくあった。

しかし、1億5千万円のうち安倍陣営側に渡ったと見られる1億円程度の資金の使途については、検察側は既に解明を終えているという。岸田文雄氏が5月12日、実質的に二階俊博幹事長に対して「1億5千万円」の使途を明らかにするよう公式文書を送ったのは、その情報を知り得たからだと見られる。

以上が、林真琴率いる検察側が安倍陣営側を強制捜査・逮捕・起訴に持ち込もうとする理由だが、ふたつの壁がある。

今後の政治スケジュール
今後の政治スケジュール

 

上図のように、6月から7月にかけては国政レベル並の東京都議選がある。この時期に安倍陣営側を強制捜査・逮捕すれば、選挙妨害とみなされる。また、東京オリンピック/パラリンピック開催中に強制捜査・逮捕すれば、世界中から報道陣が終結していることから、日本の一大不名誉を世界に発信されてしまうことになる。しかし、オリ/パラ終了後は、検察庁の人事異動が発令されており、河井夫妻事案の担当検察官は異動している。

 

検察庁の入り口
検察庁の入り口

 

こうした政治的配慮は必要ではある。しかし、佐藤氏によると黒川弘務事件もあり、使命感とバランス感覚の間でオリ/パラ開催前か開催中でも安倍陣営側の強制捜査・逮捕に踏み切ることを決意したようである(http://www.kensatsu.go.jp/qa/qa5.htm)。ただし、政権におもねる検察官とそうでない検察官はやはり、存在する。

東京オリンピック/パラリンピックについては米紙「ニューヨーク・タイムズ」が指摘しているように「一大感染イベント」になることはほとんど確実だ。政治経済評論家の植草一秀氏がメールマガジンの第2939号「銭ゲバIOCと菅内閣を国外追放」で「コロナ感染抑制に最も高い優先順位を与えている局面で、変異株流入と感染拡大をもたらす恐れがきわめて高い五輪開催を見送るべきだ」と主張している。

また、植草氏はオリンピック憲章は無視して、営利目的の「一大商業イベント」と化した現在のオリンピックは「中止」ではなく「廃止が望ましい」と指摘しているが、もっともだ。なお、共同電によると国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、オリンピック開催のため「われわれは犠牲を払わなければならない」と発言したという(https://jp.rwwiki.cn/sports/172085.html)。コーツ副会長の「緊急事態宣言下でもオリンピックは開催しなければならない」という発言の「火に油を注いだ」。IOCが「銭ゲバ」(植草氏)であることを改めて示した。

世界の感染症対策専門家も日本国民も80%は同じ考え方だ。加えて、➀ひっ迫状態にある日本の医療体制が毀損される②ワクチンを接種しても、厚生労働省の公式見解は新型コロナウイルス感染症の発症を防ぐことはできるが、感染そのものを抑制できるかは不明ということだから、ワクチンの接種を受けた者がスプレッダーになる可能性がある③「安全かつ安心」(菅首相)を目指せば目指す(実際には物理的に不可能だ)ほど、多額の費用がかかり、これらはすべて国民の血税で賄われるーなどの問題がある。これらのことを考えれば、日本の国民も検察側の安倍陣営側の強制捜査・逮捕を強く支持するだろう。

【重要追記】NHKのWebサイト(5月25日午前4時55分)によると、米国は日本に関して、新型コロナウイルスの感染状況を受けて4段階で最も厳しい「渡航の中止を求める勧告」に引き上げたと公表したようだhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20210525/k10013049601000.html

日本に関して4段階の渡航勧告のレベルのうちこれまでの2番目に厳しい「渡航の再検討を求める」から最も厳しい「渡航の中止を求める勧告」に引き上げました。その理由について国務省はアメリカCDC=疾病対策センターが日本での新型コロナウイルスの感染状況を受けて出した最新の渡航情報を反映したとしています。CDCは24日、日本に関する渡航情報で「すべての旅行を避けるべきだ」としたうえで「現在の日本の状況ではワクチンの接種が完了した旅行者であっても、変異したウイルスに感染したり、拡散させたりする危険にさらされる可能性がある」としています。

これについてブルームバーグ通信は「オリンピックの開催に向けて日本の国民や国際社会を納得させることに苦労している国に新たな打撃だ」と伝えています。

 

 

東京オリンピック/パラリンピック開催中の混乱を防ぐため、都議選投開票後の6月5日以降オリンピック開催前の22日までに、検察側は安倍陣営の強制捜査・逮捕に踏み切るべきだろう。ただし、大会開催中であってもやむを得ない。また、政府=菅政権が「指揮権発動」を行う可能性はある。林真琴率いる検察側はあらかじめメディアにリークしておく必要があるだろう。いずれにしても、東京オリンピック大会前後が、日本の戦後政治の分水嶺になる。

【追記】佐藤氏によると、検察庁は安倍氏のほか麻生太郎副総理兼財務相(下関北九州忖度道路疑惑、北九州響中風量発電疑惑など)、甘利明税制調査会長(2013年都市再生機構=UR=贈賄疑惑)らを強制捜査の視野に入れているという。二階俊博幹事長にも特許庁システム改築にかかわる疑惑がある(https://twitter.com/bsm2tc2coikwrlm/status/1207961565657350147)。いずれも黒川弘務元東京高等検察庁検事が法務大臣官房長、法務事務次官時代に事件を握りつぶしたという(https://www.youtube.com/watch?v=JH8u2quoYtw&t=13s)。安倍氏、麻生氏、甘利氏(3A)は「守護神」の黒川東京高検検事長(当時)を検事総長にすること(検察庁への人事介入)に失敗、本来は対立する菅首相に擦り寄らざるを得なくなっているという。二階氏も大きな不正疑惑がある。検察の動きに神経を尖らせているようだ。次の投稿記事も参照されて下さい。




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