2021年7月23日夜、東京オリンピック/パラリンピック組織委「2020年東京オリンピック」の開会式が行われた。政府=菅義偉政権のコロナ禍対策無策でデルタ株による市中感染が急激に拡大し、ナチスによるユダヤ人ホロコーストを揶揄して実質的に莫大な犠牲者を嘲笑った開会式の演出(総指揮)を行ってきた小林賢太郎氏の解任などさまざまな不祥事がオリ/パラ組織委などで噴出する中での開会式だ。開会式は組織委の橋本聖子会長が起用した女性理事を含む理事20人が簡素化を要望したが、橋本会長と武藤敏郎事務総長が握りつぶし、簡素化されることなく総額180160億円の費用をかけて小林氏の演出内容通りに行われた。菅義偉首相の圧力があったのだと推察される。ただし、開会式の評判はあまり良くない。今回のオリンピックでは選手を含む大会関係者のコロナ感染者が開会式前に既に100人に達しており、「バブル方式」が内部から崩れている。選手村は昨年の「ダイヤモンド・プリンセス号」の二の舞になるとの指摘もあるがもはや、無事には終了しないだろう。菅首相の責任は極めて重く、犯罪的だ。今後はオリ/パラの結末と自民党総裁線・総選挙が日本の命運を決めることになる。もし、真正野党が共生主義の理念と骨太の政策で一致し、シャドウキャビネット(影の内閣)の公表を含む強力な共闘耐性を構築して、国民の政治に対する意識を喚起し、投票率を10%程度引き上げることができれば政権交代は可能だ。しかし、立憲民主党の枝野幸男代表にその気がなければ、権力を国民に取り戻すための政権奪還は困難になり、菅政権(可能性は低いが、もしくは総理・総裁をすげ替えた自公連立政権)が存続することになる。その場合は、名実ともに日本に独裁政権が誕生することになる。
7月24日の東京都のコロナ感染状況
複数のメディアによると、7月24日の東京都の新型コロナ感染者数は前週土曜日に比べて282人減ったものの、1日に1000人を超えるのはこれで5日連続。7日移動平均では20日火曜日から1000人を上回っている。一方、都の基準で集計した24日時点の重症の患者は23日より6人増えて74人。重症患者は今週に入って増加傾向が続いており、70人を超えるのは6月2日以来。死亡者の発表はなかった。7日移動平均での検査陽性率は13.1%だった(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)。7月は昨日23日の金曜日から前週同曜日に比べての増加幅が縮小し、24日は282人の減少になったが、4連休に入りPCR検査人数が少なくなったためと思われる。来週の27日火曜日以降の新規感染者数が重要になる。
東京オリンピック強行開催と独裁政権の誕生
今回の開会式でのただひとつの救いは、日本国憲法第一章第一条「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」で定められている日本国と日本国民統合の象徴である天皇陛下が、「銭ゲバ」と化した国際オリンピック委員会(IOC)によって強制されていた「近代オリンピアードを祝い」という表現を使用されず、「記念する」という言葉を用いられたことだ(https://digital.asahi.com/articles/ASP7R6JRKP7RUHBI019.html、写真はNHKによる。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210723/k10013155501000.html)。
天皇陛下は23日、国立競技場(東京都新宿区)で開かれた東京五輪開会式に出席し、開会宣言で「私は、ここに、第32回近代オリンピアードを記念する、東京大会の開会を宣言します」と述べた。
1964年の東京五輪で昭和天皇が「オリンピアードを祝い」と宣言したのに対し、今大会では「記念する」と表現を変えた。
日本国憲法は前文で、日本国は①基本的人権の尊重②国民主権③平和主義ーを国是とすることをうたっており、天皇はその象徴であると定めている。かつ、「日本国民統合の象徴」でもあられる。「日本国民分断の象徴」ではない。かつ、憲法第99条には、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とも定められている。週刊文春最新号(7月29日号:https://bunshun.jp/articles/-/47269)は国家元首である天皇陛下の開会式の原案を報道し、「祝う」というIOCの強制に屈せず、「近代オリンピアードを記念する」と述べられることを伝えていた。菅首相はこれに抵抗し、「祝う」という言葉を「使わせよう」と試みたようだが、明仁上皇から受け継がれた科学的かつ合理的な思考をされる天皇陛下は憲法を守り、屈されなかった。「右翼」と呼ばれる人の中には、天皇陛下を政治利用する者が少なくない。
良識ある日本国民や世界のマスコミの常識からすれば、「パンデミック下のオリンピック開催」ということは有り得ない。天皇陛下もそのお考えを持っておられ、「近代オリンピアードを記念する」というお言葉の中には、IOCや日本オリンピック委員会(JOC)を含む各国オリンピック委員会に対して、「オリンピック憲章」に立ち返るよう願いをこめられたものと見られる。なお、米国のディープステート傘下にあるジョー・バイデン大統領がジル・バイデン夫人を開会式に出席させたのは、①天皇陛下を開会式に出席させる②日本を対中軍事網の先鋒にするためのリップ・サービスーだろう。
これに対して、政府=菅政権を代表する菅首相は全く非科学的な思考しかできず、権力闘争にのみたけているという人物だ。「スガーリン」と揶揄される「日本版ヨセフ・スターリン」と言って差し支えない。米紙ウォールストリート・ジャーナルの次のインタビュー記事(https://jp.wsj.com/articles/japanese-leader-yoshihide-suga-says-country-is-safe-for-olympics-11626821267)によく示されている。
菅義偉首相は、新型コロナウイルスの感染流行が続く中で東京五輪の開催を決断したことについて、日本の感染者数は欧米諸国に比べればわずかで、予防対策もより徹底しているとして、正しい判断だとの考えを示した。夏季五輪の開幕式まで3日となった20日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューに応じた。五輪の開催を巡っては、日本と世界の双方にとって危険だとの批判が上がっている。
菅氏は、足元で1日当たり数万人の新規感染者が出ているにもかかわらず、マスクなしの観客が詰めかけた会場でテニスのウィンブルドン選手権やサッカー欧州選手権を実行した英国の事例に言及。その上で「感染者数なども、海外と比べると、一桁以上といってもいいぐらい少ない」とし、「ワクチン(接種)も進んで、感染対策を厳しくやっているので、環境はそろっている、準備はできていると、そういう判断をした」と述べた。
菅氏は、自身に近い関係者を含めた人々から五輪を中止することが最善の判断だと、これまで何度も助言されたと明かした。「やめることは一番簡単なこと、楽なことだ」とした上で、「挑戦するのが政府の役割だ」と語った。(以下、略)
菅首相のこの論理は既に破綻している。第一に、ワクチン接種率が比較的進んでいる英国でも、空港検疫ではPCR検査を行い、徹底した隔離期間を設けるなど「水際対策」をかなり力を入れている。それでも、マスク無しでのテニスのウィンブルドン選手権やサッカー欧州選手権を行うのは無謀だろう。事実、比較的ワクチン接種率の高い英国では現在、デルタ株の市中感染拡大によって新規感染者が急増している。米国でもこのところ、デルタ株の市中感染によって新規感染者が少しずつ増えている(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/)。
その英国に比べれば政府=菅政権下の日本の状況はひどい。まず第一に、「感染対策をきびしくやっている」と発言しているが、空港検疫は感度(陽性か陰性かを確実に判定する精度)が30%から40%しかない抗原検査しか行っていない。来日した東京オリンピック/パラリンピック関係者で新型コロナに感染している者のうち、60%から70%は見逃している状況だ。また、組織委が緊急時には隔離の必要がないとし、その申請のための英文まで大会関係者に示しているから、隔離期間はないに等しい状況である。だから、選手村などで既に選手・スタッフを含む100人以上の新型コロナ感染者が発見されている。
懸念されるのは選手村の食堂(ビュッへ)だ。24時間営業で密閉空間に等しいが、新型コロナへの感染は今や飛沫感染ではなく、より微小で数時間は密閉空間にとどまり続けるエアロゾル=超微粒子=によって起きるということが、世界の感染症専門家の常識になっている(エアロゾル感染=空気感染=)。このビュッヘに大勢の選手たちがマスク無しで食事に訪れていると言われている。プレイ・ブックの制限事項など、監視する者がいないから、あってなき存在だ。加えて、何のために大量のコンドームを配ったのか。オリ/パラ関係者と日本国民を分離するという「バブル方式」は、バブル内部からの感染者続出で、かなりの感染者が出るだろう。昨年春のダイヤモンド・プリンセス号の二の舞になるとの予測さえ出ている。
また、オリ/パラ関係者と日本国民の分離も全く徹底されていない。大会ボランティア、競技に必要な機器類など物品納入業者は常に選手を含むオリ/パラ関係者と接触する。その中でも、外国報道陣のプレスルームの食堂は高価な上に質が悪く、大会のスポンサーであるVISAカードしか使えない。これでは、外国報道記者のコンビニなどへの往来は必然的になる。加えて、外国人記者は組織委から制約されても、報道記者本来の自由な取材活動を行う。こうしたことから、大会関係者と日本国民の接触は避けられない。相互に新規感染し合うというのが真相だ。
非科学的な思考しかできない菅首相の発言の第二の問題は、東京オリンピック/パラリンピックでは、テニスのウィンブルドン選手権やサッカー欧州選手権とは桁違いに外国から来日する大会関係者の人数が多いことだ。これに、既に述べた穴の開いたバケツのような「水際対策=ざる対策」と「バブル方式」の破綻が加わる。
第三に、NHKの報道によると、ワクチンの接種率が不完全な1回目の接種率が35.07%、2回接種した者の割合が23.11%に過ぎない(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/)。集団免疫を獲得するにはまだまだ足りない。それどころか、新型コロナの幹株(みきかぶ)やデルタ株など変異株が新たに変異する機会を与えてしまう。新型コロナウイルスと言っても、れっきとした生物である。ランダムかも知れないが、ワクチン耐性が強く、感染力も強い「東京五輪株」が出現し、世界に拡散する可能性も強い。
第四に、「自身に近い関係者を含めた人々から五輪を中止することが最善の判断だと、これまで何度も助言された」と発言している。関係者とは閣僚や内閣官房参与らだろう。周囲の科学的に思考する閣僚、側近の諌言を受け入れないということは、まさに独裁者としての本領を如何なく発揮している。第五に、オリンピックの開催権はIOCにあり、開催は拒否できないと主権を放棄するような発言を行っていたが、「(菅首相の判断で)やめることは一番簡単なこと、楽なことだ」などと前言と矛盾したことを言っている。
第六に、「挑戦するのが政府の役割だ」と語っているが、一体何に挑戦するのだろうか。ウォールストリート・ジャーナルの記者は突っ込んで質問するべきだった。表面的には「安全・安心」な大会をつつがなく終え、日本国民に感動と希望を与えることだと言うだろうが、既に見てきたようにそのための科学的根拠は全く示されていない。結局のところ、「サーカス」を楽しめば、総選挙で国民は自公連立与党に投票するだろうという楽観的なシナリオしか描いていないのだろう。権力維持のために東京オリンピックを強行開催したと思われる。
菅首相率いる政府=菅政権の取っている政策は「国民の愚民化政策」に他ならない。下図はYoutubeで読書家の清水有高氏が提供している「一月万冊」の動画(https://www.youtube.com/watch?v=91WWf4ksmc8)の一シーンで、IOCに巨額の放映権料を支払う米国NBC放送のサイトだ。電通による広告活動が如何に日本の大手メディアを中心に国民の愚民化に使われているかを研究している博報堂出身の作家・本間龍氏との対談番組である。
菅首相は「新型コロナ感染症のパンデミックのまっただ中で、日本の国民にオリンピックを売り込むことは(権力)闘争であり続けてきた」と語っている。菅首相にとって東京オリンピックは権力闘争を勝ち抜くための単なる「商品」でしかないのである。また、NBCを含む米国の大手メディアも結局は、ディープステート(闇の国家:軍産複合体と米系多国籍企業群)の傘下にある。米国社会も分断が続き、かつ、深まっているのだ。なお、ディープステートが支配する米国も「老大国」になりつつある。午後17時の「太陽」であることを理解することが必要だ。
しかし、東京都など首都圏を中心としたコロナ新規感染者は、「Factor X」をすり抜けると言われるデルタ株の市中感染で急激に増加している。これに伴い、中等以上のコロナ感染患者が増え、東京都を中心に医療ひっ迫・医療崩壊が起こるだろう。死亡者も増加する。その責任は一体、誰が取るのか。そもそも、延期費用も含めた東京オリンピック/パラリンピックの総費用は3兆円を超すと言われている。その費用は国民が血税で支払うことになる。
第七に、菅首相が頼りにしている新型コロナワクチン(mRNA型ワクチン)の副作用にも警戒が必要だ。政治経済評論家の植草一秀氏が強く警告し続けている。例えば、メールマガジン第2988号「4連休後に一段激増する新規陽性者数」では次のように警告している。
ファイザー社製ワクチンは7月11日までの3615万人接種で接種後急死者が663人。モデルナ社製ワクチンは7月11日までの145万人接種で接種後急死者が4
名である。2018-19年シーズンの季節性インフルエンザワクチンの場合、推定接種人数5251万人に対して接種後急死者数は3名である。新型コロナワクチン接種後急死者数は異常と思われる高水準。
このように、mRNA型ワクチンは短期的にも問題があるが、関節リウマチのような病気を引き起こすなど中長期的な副作用も懸念されている(参考:https://www.youtube.com/watch?v=WEM2xoyz900、https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/#senile)。それに、mRNA型ワクチンは新型コロナへの感染を防ぐのではなく、発症を防ぐことが主目的であるから、集団免疫の獲得が可能かどうか、疑問とせざるを得ないところがある(https://www.youtube.com/watch?v=yfoeo2eg9U8&list=PLtvuS8Y1umY9sfiqMlek4Bg2D_e2naby3)。
新型コロナ用のワクチン開発については、世界に先駆けて遺伝子レベルの癌治療法を開発して「ノーベル医学・生理学賞候補」と評価され、癌研究会癌研究所生化学部長、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長・教授、国立がん研究センター研究所長、内閣官房参与、シカゴ大学医学部内科・外科教授、日本学術会議会員などを歴任された中村祐輔東大・シカゴ大学名誉教授が「ペプチド型ワクチン(https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2020/0730/index.html、https://www.oncotherapy.co.jp/company/mission)」の開発を政府=安倍政権に提唱したが、政府は内容が理解できず開発補助金を支援しなかった(https://www.youtube.com/watch?v=VZIeMddmJII)。厚生労働省の医系技官で構成される「感染症利権ムラ」が暗躍する政府の先端医療技術知識水準は極めて低いのである。
本来なら、コロナパンデミックに陥った時期から、東京オリンピック/パラリンピックは中止し、Go To トラベルトラベル予算も合わせて延期費用、開催費用は全額コロナ禍対策に充てるべきだった。諸悪の根源は安倍晋三前首相だ。安倍首相=当時=は9月末で任期が終了する自民党総裁での再選のため、1年のみの延期にした。あの森喜朗前組織委会長でさえ、2年間の延期を主張していたという。
デルタ株の市中感染(デルタ株より問題が多い南米で猛威をふるっているラムダ株も「水際対策」をすり抜けて日本に上陸する)による新たなコロナ禍と東京オリンピックの強行開催で、首都圏を中心とした日本の経済社会は今後、大混乱に陥る。次期衆院選では自民党が議席を大幅に減らし、日本維新の会が躍進するといった選挙予測も出ているが、維新は弱肉強食の新自由主義の立場に立っており、自公連立政権の補完勢力だ。政治権力を国民の手に取り戻すことはできない。なお、植草氏によると、ディプステートが日本に米国流の二大政党制を作らせようとしているとの指摘もある。しかし、米国では共和党も民主党もディープステートの傘下にあり(トランプ前大統領はそうではない)、真の二大政党制ではない。日本でこうした「二大政党」が「誕生」しても仕方がない。
自公連立与党を保管する日本維新の会と、日本共産党を排除している日本労働組合総連合会(連合)傘下の国民民主党を除く真正野党は、弱肉強食の新自由主義と決別した共生主義の理念と骨太の政策で一致し、シャドウキャビネット(影の内閣)の公表を含む強力な共闘耐性を構築して、国民の政治に対する意識(国民主権回復の最後の意識)を喚起し、総選挙での投票率を10%程度引き上げることが決定的に必要だ。それができれば政権交代は可能だ。しかし、立憲民主党の枝野幸男代表にその気がなければ、来年2021年の参院選で国会でのねじれ現象を現出することもなく、権力を国民に取り戻すための政権奪還は困難になり、菅政権もしくは自公連立政権が存続することになる。その場合は、名実ともに日本に独裁政権が誕生することになる。