中村祐輔ノーベル賞候補、尾身分科会長の「五輪」発言を批判ーエース級の優秀な人材で日本版CDCを

政府感染症対策本部分科会の尾身茂会長(独立行政法人地域医療推進機構理事長)の東京オリンピック/パラリンピックをめぐる発言に、「政府の諮問にお墨付きを与えるだけの『分科会』」に過ぎなかったのではなかったかとして、尾身会長の「変異」を評価する声も出ているが、遺伝子レベルのがん治療のパイオニア的存在で、ノーベル医学・生理学賞候補にノミネートされている中村祐輔ノーベル医学・生理学賞候補が尾身発言を厳しく批判している。

2021年6月5日時点でのコロナ感染状況

2021年6月5日土曜日のコロナ感染状況
複数のメディアによると6月5日土曜日の東京都の新型コロナウイルスの感染者数は前週土曜日比103人減の436人、死亡者は8人、東京都基準の重症患者は62人になった。7日移動平均では440.3人になり、前週比77.1%になった。東京都が参考として発表した4日の検査件数は4735件で、4日までの3日間の平均は7079.3件。
全国では午後23時59分の段階で、新規感染者数2652人、死亡者数56人、重症者数1157人が確認されている。大阪府は174人が新規感染、8人が死亡された。北海道は新規感染者数、死亡者数それぞれ276人、16人。

東京都医師会の尾﨑治夫会長が小池百合子都知事にアドバイスするように、7日移動平均での1日の新規感染者数が6月20日までに100人程度まで減少するか否かが一つの焦点になる。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

ノーベル賞候補者中村祐輔東大名誉教授、尾身茂会長批判

中村祐輔東大名誉教授・シカゴ大学名誉教授は、癌研究会癌研究所生化学部長、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長・教授、理化学研究所ゲノム医科学研究センター長、国立がん研究センター研究所長、内閣官房参与、シカゴ大学医学部内科・外科教授を経て、2018年から内閣府戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) プログラムディレクター。日本学術会議会員(2005-2012年)、日本癌学会誌『Cancer Science』編集長、日本人類遺伝学会理事長、日本がん分子標的治療学会理事長、日本癌学会理事などを歴任。日本のがん治療に遺伝子レベルの治療方法を導入し、ヒトゲノム解析の世界的な権威であり、「個別精密医療」の道を切り開いたパイオニアとして、ノーベル医学・生理学賞候補にノミネートされているる。

中村東大名誉教授については、2020年12月2日に「ノーベル賞級と評価される中村祐輔さんの研究って? がん医療に貢献」と題する投稿記事で次のように紹介されている(https://mainichi.jp/articles/20201202/k00/00m/040/050000c)。

個人の遺伝子の特徴に合わせて病気を治療・予防する「個別化医療」の概念を提唱した中村祐輔・東京大名誉教授(67)の研究が、米国の情報会社から「ノーベル賞級」だと評価を受けた。どんな研究を手がけたのか、その歩みと業績をたどった。

中村さんは、論文引用数などから選出され、後にノーベル賞受賞者を輩出している「クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞」を9月に受賞した。病気の原因遺伝子の発見に欠かせないマーカー(目印)を開発。近年急速に進む、個々のがん患者の遺伝子の違いに応じた治療(個別化医療)の先駆けになったと評価された。1996年には、この治療を「オーダーメード医療」として提唱している。(以下略)

本サイトでしばしば引用させていただいており、現代の「緒方洪庵」と称されるNPO法人・医療ガバナンス研究所の上昌広理事長・医師も日刊ゲンダイで次のように中村東大名誉教授を高く評価されている(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/287154)。

新型コロナウイルス(以下コロナ)の変異株対策が喫緊の課題だ。政府も対策に余念がない。ただ、私は政府のやり方ではうまくいかないと考えている。それは厚労省や国立感染症研究所(感染研)に近い感染症と公衆衛生の専門家が主導するからだ(注:厚生労働省の医系技官による「感染症利権ムラ」のこと。この「感染症利権ムラ」は保健所長に天下る保健所のキャパシティに限りがあるため、不当な理由をつけてはPCR検査を徹底的に抑制し、「検査と保護・隔離・治療」が鉄則であるパンデミック対策とは完全に逆行し、コロナ禍対策から国民感保険制度を破壊してきた)。

どうすべきか。オールジャパン体制を構築すべきだ。感染症にこだわらず、幅広い分野の有為な専門家の力を借りなければならない。例えば、がんの専門家だ。変異株対策の成否はゲノム解析能力にかかっているが、これはがん研究者に一日の長がある。mRNAワクチンの開発に成功した米モデルナ、独ビオンテックは、がんワクチンを開発するバイオベンチャーだったことは示唆に富む。両社は、がん研究で開発した技術をmRNAワクチン開発に応用した。

日本にはゲノム研究で世界をリードする組織がある。その一つが、筆者がかつて在籍した東京大学医科学研究所(医科研)だ。前身は伝染病研究所(伝研)で、陸軍・内務省と協力しワクチンを製造していた。戦後GHQにより、国立予防衛生研究所(現在の感染研)と医科研に分割される。

医科研が感染症からがん研究にウエートを移したのは1980年代だ。リードしたのは豊島久真男氏である。69年に世界で初めてトリ肉腫ウイルスからがん遺伝子を発見したウイルス研究者だ。80年に大阪大学から医科研に移籍し、87~90年に所長を務めた。この頃から2000年代前半までが医科研の黄金時代だ。私が驚くのは、当時の医科研の幹部たちが、自らの狭い専門領域に固執せず、有為な人材をリクルートしていたことだ。94年にがん研究会生化学部長だった中村祐輔氏を招聘し、翌年ヒトゲノム解析センター長に任命する。91年に金久實・京都大学化学研究所教授、96年に宮野悟・九州大学理学部付属基礎情報研究施設教授を招聘する。いずれも専門は情報工学だ。医学系研究所に数学者を招聘するなど、前代未聞だ。

その後、彼らは大活躍する。金久・中村氏は米メディアが推すノーベル賞候補だし、中村氏が立ち上げたオンコセラピー・サイエンス社はがんワクチン開発領域で世界の最先端を走るバイオベンチャーだ。変異株対策に彼らの力を借りればいい。(以下略)

その世界でもトップレベルのヒトゲノム解析とゲノム解析によるがん治療研究者の第一人者であるその中村祐輔東大名誉教授が自身のブログ(http://yusukenakamura.hatenablog.com/)で、政府感染症対策本部分科会の尾身茂会長の今週に入ってからの、あたかも東京オリンピック/パラリンピック強行開催を批判するかのような一連の発言を厳しく批判している。まずは、6月3日付の「感染症(利権)ムラには国際的基準のコロナ対策を実施する「義務」はなかったのか?」。

分科会の尾身茂氏が「オリンピックの開催は普通はない」、「そもそも五輪をこういう状況の中で何のためにやるのか、目的が明確ではない」、「できるだけ規模を小さくして、管理体制を強化するのが大会を主催する人の義務だ」と発言したことが、まるで正義の味方のような話題となっている。

ノーベル賞候補・中村俊輔東大名誉教授
ノーベル賞候補・中村俊輔東大名誉教授

 

しかし、私はこの発言を聞いて、強い違和感と怒りを覚えた。「そもそも、無症状感染者を野放しにする対策を継続してきた理由は何なのか?」「ワクチンの接種をもっと強く主張してこなかったのは誰なのか?」「もっと強い措置を提言してこなかったのは誰なのか?」沖縄では保育園でクラスターが発生しているが、「イギリス株(コロナα株)が子供でもかかりやすいとわかってから、それに対する十分な対策を講じてきたのか?」これまでの自らの非科学的コロナ対策を反省もせずに、今頃、オリンピックを開催する理由はどこにあるのかと問うのは信じがたい。自らの責任放棄に等しい言葉だと思う。

昨年、オリンピックを延期すると決めた後、「オリンピックを開催するために、どのような感染症対策を実行すべきなのか」を考えるのが、分科会の責任・義務ではなかったのか?「オリンピックを、コロナ感染を乗り越えた証として開催するための感染症対策を提言する義務は誰に担わされていたのか?」。そして、イギリス株やインド株(アルファ株やデルタ株)の水際対策は十分だったのか?

昨日(6月2日)は、まるで他人事のように、何のために開催するのかと問い、そして、開催する場合、感染拡大を防ぐ義務を国、都、組織委員会に押し付ける。あの発言はあらかじめ、自分たちの責任回避をするためにしたのではないのかと思う。手に負えなくなってしまった状況を生み出したことを忘れ、オリンピックを強行しようとしている人たちに責任を丸投げすることが正当化されるのだろうか?「検査と隔離」という国際的基準を逸脱してきた理由を説明する義務を果たしたうえで、オリンピックを開催する人たちの義務に言及して欲しいものだ。

要するに、尾身発言は分科会(前身は自称「専門家会議」)の根本的過ち・失敗を隠蔽した。コロナウイルスは飛沫で感染するのではなく、空気感染するものだから、濃厚接触者なるものを追跡するクラスター対策などは無意味で、徹底したPCR検査を行うというのが世界標準の対策であるのに、PCR検査を急速な技術革新を続けている現状も無視し、徹底的に抑制し続けてきた。しかも、専門家会議・分科会のメンバーであり、「クラスター対策」なるものの発案者である東北大学の押谷仁教授は同対策が無意味であることを昨年の早い段階から把握し、尾身会長に伝えていたのに、専門家会議・分科会は「見て見ぬふり」を続けた。併せて、オリ/パラが世界的なGo To トラベル策になった場合の責任を回避し、政府=菅政権に押し付けるためのアリバイ作りに過ぎなかったというわけだ。

次に中村祐輔東大名誉教授の6月4日付のブログ投稿記事。

今回の分科会長の発言は、オリンピックを励みに頑張ってきたアスリートの気持ちを傷つけるものだ。彼らは日の丸を誇りに頑張ってきたのだ。国民の多くは過去のオリンピックで日の丸が掲げられた場面に勇気づけられた思い出があるはずだ。多くがオリンピックの意義はわかっている。ただ、コロナ感染が収まらない中でオリンピックを迎えることに不安を覚えているのだ。否定的なのはオリンピックそのものの意義ではなく、この状況下で開催されることに対してだ。

常識的に考えて、分科会の責任の一つに「無事にオリンピックを迎えるために、どんな対策を取るのか」があったはずだ。今頃、責任を政府に押し付けるのではなく、オリンピックを開催するために何が必要なのかを提言し、それを政府が聞き入れないのであれば、辞表を胸に体を張ってでも提言すべきことを提言するべきだったのではないのか?「感染症対策の専門家」として、オリンピックという目標に対して、感染対策の強化を求めるべきではなかったのか?PCR不必要論は彼らが決めたことなので、方針を変えられなかったのだろうが、それは自業自得だ。現状を客観的に見れば、オリンピックを開催することによって、国内、国外にコロナ感染が広がり、日本という国の誇りが傷つけられるリスクは非常に高い。しかし、こんな日本にした責任は彼らにはないのか?

分科会の責任は、オリンピックの意義を問うことではない。政府と分科会には共同責任があるのだから、ここに至っても政府がオリンピックを開催すると決めたなら、どのようにして感染拡大を最低限にするのか、もしもの時に、何をすべきなのかを提言すべきなのだ。責任を取る覚悟がなく、これまで対策を提言してきたのか?他人事ではなく、自らどのように感染を封じ込めるのかを提言し、それでうまくいかなかったら、責任を取る覚悟を持って欲しいものだ。(以下略)

日本の不幸は、政権維持に汲々としている政府=安倍政権、菅政権と予算の分捕りと天下り先の確保を最優先する「感染症利権ムラ」が、国難とも言うべき「コロナ禍」の自称「対策」の前面に立ってきたことだ。この状況では、国民の生命や生業は二の次になる。政府=菅政権の「ご都合主義」(朝日新聞6月5日付3面「専門家の意見、政権ご都合主義」:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14928902.html?iref=pc_ss_date_article)もひどいが、アリバイ作りに勤しむ「分科会」も卑怯としか言いようがない。

状況に応じて、専門家を尊重したり突き放したり――。政府の「ご都合主義」にも映る対応には、「身内」からも批判が上がる。閣僚の一人は「ダブルスタンダードが過ぎる。意見ははねつけられ責任だけ押しつけられても、専門家も困る」。若手参院議員は「専門家には影響力がある。国民は同調するだろう」と、「専門家軽視」の姿勢を危ぶむ。

世界保健機関(WHO)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は、5月24日に開幕した世界保健機関(WHO)年次総会で、世界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との「戦争状態にある」と述べた(https://www.afpbb.com/articles/-/3348277)。日本は太平洋戦争のため、1940年開催予定であった東京オリンピックを返上した。米国のニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、英国のタイムズ紙など世界の超有力な言論期間は、オリ/パラの中止を主張している。日本も朝日新聞が菅首相にオリ/パラ中止を求めた。オリ/パラ開催中止の条件は整っている。本来なら中村東大名誉教授の指摘するように、尾身会長率いる分科会も「腹をくくって」政府に対し、「中止勧告」をすべきところだ。

新型コロナウイルスは「飛沫感染」するものではなく、「空気感染」するもので、「無症状感染者」が非常に多いことから、➀急速の検査システムの技術革新を踏まえた大規模PCR検査検査、健康保険(社保、国保など)によるPCR検査②検査陽性者の保護・隔離・治療のための医療体制の確立③新型コロナウィルスの特徴であるスパイクたんぱく質は変異が激しいことから、最先端のゲノム解析をリアルタイムで行うための最新鋭のゲノム解析体制の確立ーが不可欠である。こうした体制を確立することは日本の現在の最先端の医療システムをもってすれば可能だろう。

この世界標準のパンデミック対策をあえて行わなかったのが、政府と「分科会」(前身は専門家会議)である。しかし、それでは世界各国から支持を得ることはではないので、東京オリンピック/パラリンピック強行開催に当たり、オリンピック選手団に対しては国内対策との違いの理由を説明することもなく、PCR検査体制を導入すると言い、バブル対策を導入する。コロナ対策がダブル・スタンダードになってしまったことは明らかだ(https://www.youtube.com/watch?v=FZU_4AKJ1tg)。さらには、すべてのオリンピック関係者において、行動帰省に「原則」としてという言葉が置かれており、「抜け道」が用意されて厳密性は担保されていない。

 

「感染症利権ムラ」のコロナ対策ダブルスタンダード
「感染症利権ムラ」のコロナ対策ダブルスタンダード

 

さて、今後の展望だが、その前にこれまでのコロナの波の様相を踏まえておく必要がある。新型コロナは風邪コロナの一種であるから、➀夏場(おおむね5月から7月)にかけて小流行(今年は5月前半が夏場のピークだったようだ)し、冬場にかけて大流行するという季節要因②変異株が海外から流入し、人流拡大とともに全国に市中感染する変異株要因ーのニ種類の「流行」のタイプがある。季節要因と変異株要因が重なれば、コロナの波は大きくなる。

変異株の二つの起源
変異株の二つの起源

 

コロナの季節性要因と変異株要因
コロナの季節性要因と変異株要因

 

さて、今後については、東大先端研がん代謝・プロジェクトチームリーダーの児玉龍彦東大名誉教授は概ね、次のように展望している。基本的には、政府=菅政権が信用できなくてもmRNA型ワクチンは接種したほうが良いとの提言であり、地域(基礎自治体)主体の住民の自由意志に基づく効率的なワクチン接種で住民がコロナ免疫を獲得し、地域・国全体が集団免疫を獲得することが重要だとしている。

コロナとワクチンの見通し

【児玉東大名誉教授の見通しについて】
ただし、児玉東大名誉教授の見通しには前提があって、➀増殖性の強い治療抵抗性のある変異株が出現し、猛威をふるわないこと②ワクチン接種が進み、集団免疫(日本の人口の60%ないし70%が獲得免疫力を持つ状態)を獲得することーである。ただし、児玉東大名誉教授も、➀増殖しやすく治療抵抗性の強い変異株の出現②ワクチンの抗体依存性免疫増強(Antibody-Dependent Enhancement:ADE)ーについては、懸念している。ADEとは、次のような獲得免疫がかえってヒトのからだに有害になる減少のことだ(https://www.nobuokakai.ecnet.jp/nakagawa222.pdf)。

ワクチンや過去の感染によって獲得した抗体がワクチンの対象となったウイルスに感染した時、もしくは過去のウイルスに似たようなウイルスに感染したときに、その抗体が生体にとって悪い作用を及ぼし、感染・炎症が重篤化してしまい、重症化をひきおこす現象のことです。ワクチンは、病原体の曝露を受ける前に、獲得免疫を成立させておくことが目的ですが、この獲得免疫が生体に有害な作用を及ぼすため、テレビなどでは悪玉抗体などとも呼ばれています。

しかし、菅首相が東京オリンピック/パラリンピックをどうしても開催するという「強い意向」を崩していないから、オリ/パラは強行開催される可能性が濃厚だ。その場合、新たな感染力と治療抵抗性の強い変異株流行が避けられない可能性がある。それに伴い、ADE作用についても警戒する必要がある。

重ねて述べざるを得ないが、東京オリンピック/パラリンピックはその絶好の場だ。「一大感染イベント」になり、新たな波が始まって冬の季節要因に続く可能性がある。また、ワクチン接種が加速化してきたとは言え、秋には集団免疫を獲得できるというのは楽観的ではないのかという感がするのはサイト管理者(筆者)だけであろうか。厚労省の後押しで、闇のワクチン接種が始まっているようだが、集団免疫の獲得には役立たないだろう。既に投稿させていただいたが、次のシナリオも考えておく必要があるだろう。

【医療ガバナンス研究所の上昌広理事長・医師の先行き見通し】

医療ガバナンス研究所の上昌広理事長・医師によると、取り敢えず5月上旬に新規感染者数がピークをつけ、その後は減少傾向を続けているのはやはり、夏場の小流行がピークをつけたという季節的要因によるものだという。しかし、今後はインドで発見された二重変異株(E484Q型とL452R型の二重の変異)が日本人を含むアジア人が保有している型(白血球抗原:HLA-A24)の白血球の免疫力(アジア人が新型コロナウイルス感染症=Covid-19=による被害を比較的軽微に食い止められた要因として「Factor X」の存在が指摘されているが、その正体と指摘され始めている)をすり抜けて、欧米諸国のように新規感染者数が急増していく可能性があると見ている。

朝日新聞社出身のジャーナリストの佐藤章氏が上理事長・医師に取材して、読書家の清水有高氏が運営しているYoutubeの「一月万冊」の番組で明らかにした(https://www.youtube.com/watch?v=xm9DIDzIGoo)。つまり、今後は政府の水際対策の失敗により変異株が英国型からインド型に置き換わり、季節的要因から新規感染者数が減少している現在の状態から変異株要因で新規感染者数が再拡大し、再拡大時期が東京オリンピック/パラリンピック開催時期と重なる可能性が濃厚だという。その場合、インド型の二重株に加えて「日本五輪型」変異株が出現する可能性もある。

なお、新型コロナの感染は「感染症利権ムラ」の自称専門家が指摘してきたように「飛沫感染」ではなく、「エアロゾル感染(空気感染)」で起こるというのが世界の定説・常識になっており、大規模PCR検査による保護・隔離・治療が決定的に重要だったと指摘している。この場合は、保健所職員が濃厚接触者をたどる「クラスター対策」は有効ではなくなる。番組では、「感染症利権ムラ」の自称専門家(特に、「クラスター対策」の発案者である東北大学大学院 医学系研究科 の押谷仁教授)はこれに早くから気づいていたが、「感染症利権ムラ」構成員の天下り先の保健所など「感染症利権ムラ」の解体につながるので、軌道を修正できなかったという。

実際、兵庫県神戸市(https://digital.asahi.com/articles/ASP616H9HP61PIHB01J.html?iref=pc_ss_date_article、ただし、市役所の発表をそのまま垂れ流しただけの記事)と東京都で新たな変異株が発見されており、その感染力と重症化力は未知数だ。中村東大名誉教授は次のように指摘している。

PS: C36株が見つかったという。日本のニュースを見ても何のことかわからなかった。そこで、ネットを調べたところ(SARS-CoV-2 variants of concern as of 3 June 2021 (europa.eu))、スパイクタンパク質に、インド株=デルタ株の特徴の一つであるL452Rに加え、D614GとQ677Hが存在するものが、C36+L452Rとリストアップされていた。D614Gはイギリス株(アルファ株)、南アフリカ株(ベータ株)、ブラジル株(ガンマ株)、インド株(デルタ株)にも共通である。Q677HはC36に特異的で、スパイクタンパク質の677番目にあるグルタミン(Q)がヒスチジン(H)に変わっていることを意味する。2020年12月にエジプトで初めて見つかっている。イギリス株は2020年9月に報告され、インド株は2020年12月だ。

中村東大名誉教授がブログに追伸したのは、東京都で新たに発見された変異株と思われる(https://mainichi.jp/articles/20210604/k00/00m/040/244000c)。RNAワクチンそのものにも重要な問題があることが政治経済評論家の植草一秀氏を通して指摘されている。抗体産生のプロセスが消滅せず、リューマチなどの病気が発症してしまうリスクがあることだ。ADEの一種と見られる。この問題点については、新潟大学医学部の岡田正彦名誉教授が指摘しておられる(https://www.youtube.com/watch?v=WEM2xoyz900&t=5s)。

これらのことを踏まえるとやはり、政府感染症本部分科会など「感染症利権ムラ」は解体して、中村東大名誉教授や東大医科研ヒトゲノム解析センターの井元清哉(いもと・せいや)所長・教授、上理事長・医師、児玉東大名誉教授など「感染症利権ムラ」の弊害を熟知するとともに、科学的・医学的立場を絶対に崩さない日本のトップレベルの医科学研究者からなる日本版疾病予防センター(CDC=Centers for Disease Control and Prevention=)の組織化が急務だ。

なお、政府=菅政権にそんな意思はない。また、小池百合子東京都知事の態度も、パブリック・ビュー(PV:オリ/パラ声援のために都内有名公園などに設置する映像システムを中心とした大規模観戦地帯)の設置一時中止を代々木公園に限定したままで、「小早川百合子の乱」に動く気配は今のところ、乏しい。ただし、東京オリンピック/パラリンピック開催の準備は極めて不十分だし、「バブル方式」(選手団と日本国民の接触を遮断する方式)と言いながら、選手団の行動規約はすべて「原則」つきで、「例外」を前提としている。要するに、何でもありになる。これでは、「バブル方式」の破綻は目に見えている。

また、ブラック・ボランティアに対するコロナ対策・猛暑対策はなく、6月2日のオリ/パラ組織委の発表で判明したボランティアも1万人辞退の追随がさらに加速する可能性も濃厚で、残ったボランティアがオリ/パラ選手団と日本国民を媒介する道も残されたままだ。ワクチン接種の動きもあるが、厚労省の正式見解は、ワクチンは新型コロナ感染症(Covid-19)の発症を抑えるには効果があるが、感染そのものを防止できるかについては不明ということを見逃してはいけない(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000680224.pdfの2頁目、「ただし、ワクチンで感染が防げるかどうかは、この段階では分からない(ワクチンの効果により発症しないが、感染してウイルスを持っている、という可能性も)」)。

緊急事態宣言が解除される6月20日までには国内観客数は決まっていようが、水際対策のない海外からの8万人規模の来日と国内からの動員を考慮すれば、「世界的なGo To トラベル」が推進されるだろう。だから、6月25日告示、7月5日投開票で総選挙の先行指標であり、国政選挙レベル並みの東京都議会選挙でオリ/パラ中止の立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組が躍進し、最高顧問の小池都知事に見放された都民ファースト(「オリ/パラについてはあらゆる選択肢を視野に入れる」)が惨敗、自公両党+東京維新の会(「オリ/パラは争点化しないが、開催不可能であれば再延期する」、注:再延期は有り得ない)が野党に転落すれば、政府=菅政権に一定程度の影響を与える可能性はなくはない。

このため、主権者国民が国民主権を活かしきることが不可欠だ。併せて、朝日新聞出身のジャーナリスト・佐藤氏が指摘するように、政府=菅政権、分科会には医科学的根拠のあるコロナ禍対策はなかったし、これからもない。林真琴検事総長率いる検察庁は、医科学的な根拠に基づくコロナ禍対策の不在(もともと存在しない)を気にすることなく、安倍晋三前首相の不正を捜査・逮捕・立件する不退転の決意が必要だ。さもなくば、法治国家としての日本は崩壊する。

この点、林検事総長がNHKのインタビューで「司法取引」の成果について語ったことは、歴史的に検察庁に不祥事が続いてきたことから同庁に過度の期待をすることに問題はもちろんあるが、一定程度示唆に富むものがある。安倍・麻生太郎・甘利明+菅首相連合軍に包囲された二階俊博幹事長(不正資金の使用には関与していないと見られる)が「窮鼠、猫を噛む」で、司法取引に応じる可能性もわずかながら残されている。日本の検察庁も米国から真に独立して欲しいものである(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210601/k10013061231000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001)。

日産自動車ゴーン元会長の摘発などで使われた「司法取引」が日本に導入されて1日で3年になります。

林真琴検事総長(Wikipedia)より
林真琴検事総長(Wikipedia)より

これに合わせて検察トップの林眞琴検事総長がNHKの単独インタビューに応じ「組織的な犯罪の首謀者の関与の解明で期待された有効性があった。今後も、慎重かつ着実に制度を定着させたい」と述べました。「司法取引」は、容疑者などが共犯者や他人の捜査に協力すれば、見返りに起訴が見送られるなどする制度です。(以下略)

懸念される穀物・エネルギー価格上昇

2021年世界主要国の実質経済成長率
2021年世界主要国の実質経済成長率
懸念される穀物・エネルギー価格上昇
懸念される穀物・エネルギー価格上昇

 

なお、金子勝立教大学特任教授が指摘しているが、ワクチン接種が先行している欧米諸国ではコロナによる「都市封鎖(ロックダウン)」が解除されて、経済活動が正常化しつつある。これに従って、インフレ率が上昇に転じている。輸入インフレが日本全体の物価上昇率を押し上げる要因になり、「不況下の物価上昇(スタグフレーション)」という最悪の経済情勢になりかねない。現代貨幣理論(MMT)をさらに突っ込んで理解し、補強・応用する必要がある。


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