日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

○「3・11原発事故」の解決を阻止するのは誰か!「3・11」東日本大震災から3年が過ぎた。官僚統制が拡大強化し、震災復興は足踏みどころか混乱を重ねている。福島原発事故に至っては、事故災害は収束どころか見方によっては増大している。さまざまな問題があるが、原発問題に限定して論じておきたい。

(「ナノ純銀による放射能低減システム研究会」の中間報告に対する反応)
今年の2月、私は『戦後政治の叡智』(イースト新書)を刊行した。その終章を「いま解決すべき喫緊の課題」とし、「福島原発問題を解決し、東京五輪を新たな文明の出発点へ」というテーマでこれまでの経過を執筆した。この新書は、私が78年間を生きてきたことを証明するためのもので、お世話になった方々100名に事前に贈ったものであった。

多くの人びとから手紙や電話、そしてファックスで意見や感想が送られてきた。その中で「放射能低減技術」について、企業経営者や技術関係者からの意見が多数あった。まずは代表的なものを紹介しておこう。

1)某大学ベンチャー企業のF社長 ある大企業の半導体研究者に見せたところ、「あり得ることだ。コピーを欲しい」とのことに驚いた。
2)某半導体関係企業経営者K氏 ナノ技術の発展で新しい事象が現れている。メカニズムがわからなくても無害で再現性が確認できれば活用すべきだ。応援するよ。
3)某電機メーカー元技術担当取締役M氏 この研究が成功すれば、人類にとって最大級の研究成果となる。昔の錬金術の比ではない。世界中の研究所が必死になって追試を行っている段階であろうと思うが、いま必要なことは研究の進展ごとに、先ずは特許出願を済ませたうえで、全世界の研究機関と情報を交換して進めることが必要だと思う。
4)科学ジャーナリストA氏 LENR(低エネルギー核反応)について、改めてどんな状況か調べてみます。ご懸念のように経産省やJAEA(日本原研)などが真剣に考えていないのではと推測します。どういう状況か、できるだけのことをやってみます。
5)元朝日新聞科学部有名記者I氏 阿部・岩崎両博士の提案は、もっと広く多くの研究者によって、検証していくべき問題だと思われます。今すぐ小生の側で何かやることがあるのか、ないか、考えてみます。何かご要望があればご連絡ください。すでに公表されている両氏の論文を送っていただけるとありがたいです。

放射能汚染問題で悩みを持つ地方自治体の首長から、激励の手紙などが寄せられたり、関心があるとの反応が多数あったが省略する。驚いたのは批判的反応はまったくなく、先端技術に関係した人たちには、ほとんど抵抗感がないことがわかった。

残念なことは、一般のマスメディアからまったく反応がないことである。意図的に働きかけをしていないこともあるが、原発・放射能問題が風化していく原因はここにある。

(コンビニに売っていた量子物理学の本)
一般のマスメディアの記者がLENRやナノ技術による放射能低減化に、どうして関心を持たないのか。彼らの受けた教育と、眼に見えるものしか理解できない思考環境にあるのかと思いながら、2月下旬、自宅近くの「ファミリーマート」に入ると、本棚に『相対性理論と量子論』という図解本が500円で売っていた。PHP研究所の刊行で、東大教授の佐藤勝彦氏が監修しており、素朴な質問に佐藤教授が答える形式の本である。

早速購入して読んでみると、実にわかりやすい。量子論の特長やナノ技術の効用についても解説しており、「ナノ純銀による放射能低減技術」を説明するのに役立つと確信した。参考のためにポイントになる部分を要約して紹介しておく。

Q量子論とはどんな理論なのか、簡単に教えてください?。
A「ミクロの世界の不思議なルールを解説した理論」です。相対性理論も、時間の進み方が遅くなったり空間が曲がったりという、自然の不思議な真理を明らかにしました。同じように、ミクロの世界において私たちの常識はまったく通用しないことがわかったんです。

Qミクロの世界とは、どのくらいの小さな世界のことですか?。
Aおよそ1㎜の1千万分の1より小さい世界です。物質を構成している原子よりもさらに小さな世界です。

Qミクロの世界では、私たちの常識が通用しないんですか?。
A普段目にしている物質はマクロの世界の物質です。これには私たちの常識が通用します。ミクロの物質、具体的には電子などの素粒子と呼ばれる物質は、奇妙で常識外れの性質を持っていることが量子論によって明らかになったんです。

Q量子論はなじめない印象があるんですが?。
A現代物理学は、20世紀に生まれた二つの理論によって支えられています。相対性理論と量子論です。相対性理論が有名なのに対して、量子論はさほど知られていません。でも量子論は、ある意味で相対性理論よりも革命的な理論であり、同時に実用性に富んだ理論なんです。実際、私たちの身の回りには量子論から生まれたものがあふれているんです。

Q例えばどんなものですか?。
A現在の私たちの生活は、パソコンや携帯電話などハイテク機器なしには成り立ちません。これらの心臓であるLSIなどの半導体部品の原理は量子論で成り立っています。それから近年話題になっているナノテクノロジーは量子論を応用したミクロの世界の最新技術なんですよ。

Qナノテクノロジーというものは、どういう技術ですか?。
Aナノテクノロジーの「ナノ」は、ナノメートルのことで、1ナノメートルは10億分の1メートル、これは原子1個の大きさよりもはるかに小さなサイズです。こうした原子レベルで物質の構造を変えたりすることで、優れた特性を持つ新物質をつくりだす技術がナノテクノロジーです。これは量子論を用いた究極の技術なんです。

この本を読むと明確である。量子論の効用とナノ技術が「原子レベルで物質の構造を変えたりすることで、優れた特性を持つ新物質を作り出す」と説明しているのだ。ナノ純銀の活用で放射性物質の核変換が行えることを示唆したものだ。岩崎・阿部両博士は、その実証実験と検証実験を何回も繰り返し成功した。後は、「第三者による追試」で再現性を確認することである。これが確認されれば放射能低減技術が汚染水対策や、核のゴミの無害化、さらに廃炉対策として活用されることが期待できるのだ。

ところが岩崎・阿部両博士の誠実な研究にもかかわらず、関係学会も政府研究機関も、大学研究機関も企業も一様に無関心を装っている。彼らは、「コンビニ」で売っている『量子論』の本程度の情報は知っているはずだ。何が原因で無関心なのか、その原因が我が国の政治・経済・社会などを覆う黒い霧の正体である。

(原発依存政策を続けるなら日本は滅びる!)
3月11日(火)、憲政記念館で開かれた『第3回東日本大震災「祈りの日」式典』に参加した。元福島県知事で、知事時代に国の原子力政策を厳しく批判、権力が仕組んだといわれる冤罪事件で知事を辞職した佐藤栄佐久氏の講演を聴いた。要旨を紹介しておく。「3・1」による原発事故後、福島県では浜通りにしかいなかった猪や猪豚などが、中通りの山岳部に移動し野獣化するなど、生物の生態系が壊れてきた。人間も例外ではない。双葉郡で300あった集落がバラバラになり、37656戸の家族が23800戸に減り、人間の基本である家族が消えつつある。

福島に原発を建てる時、政府は「科学技術の勝利だ」と宣伝した。私は科学技術には有用なものと有害なものがある。原発は有害だと反対したがこの悲劇である。昨年脱原発を国是としたドイツのある財団が来日したとき、彼らは一斉に「日本で70%の国民が脱原発の意見なのに、原発推進の政党が選挙に勝利した。どういう理由かわからない。不思議な国だ」と話していた。

原発問題は福島や日本だけの問題だけではない。世界中の人々、否、地球上の生物すべての問題である。人間の倫理の問題であり、文明のあり方の問題である。

佐藤栄佐久元福島県知事の話は、政治に関わった人間の魂の叫びであった。私も新書で「福島第一原発事故の問題は、日本人のみならず現代文明に『天命』がつきつけた、人類の存続に関わる重大な命題である」と論じた。『天命』は想像を絶する悲劇をもって「原発を止めよ」と警告したのである。

と同時に、『天命』は過去のそれらがそうであったように、その解決策を示唆している。それは、事故現場近くの熊川のホタルの放射能への反応から、研究が始まった放射能低減技術である。『天命』の示唆ともいえる、その効果の実証・検証実験を追試する要望を無視し続けるのは、政府や与野党、そして関係学会、関係企業、電力会社の株を持つ巨大メディアらの自己利益依存主義にある。

これからの50年に、大震災が日本列島を連続して襲う可能性がある状況の中で、科学技術の限界を知るべきだ。原発政策を続けるなら、確実に日本は滅びる。
(了)