日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

会員の皆さん 都知事選へのご支援はおつかれさまでした。結果は残念なことに終わり、皆さんの努力は報われませんでしたが、以下に私の思いを述べますので、参考にして下さい。

〇 東京都知事選挙の結果をどう考えるか!
2月7日(金)午後8時から中野サンプラザで、『東京が日本を変える会』が主催する、「細川元首相を支援する政談演説会」に出席して、友人の自動車で柏市の自宅に着いたのが午後11時過ぎだった。雪が積もり始めていた。8日の選挙最終日と9日の投票日の天候が気にかかった。

心配したとおり、8日の首都圏は45年ぶりの大雪となり9日の東京の道路状況は最悪となる。加えて、ロシアのソチ・冬季オリンピックの開会と重なり、都知事選の投票率は最悪の46・1%となった。

ほとんどのテレビが大雪とソチ・オリンピックに集中するなかで、NHKは投票終了時間の午後8時過ぎると同時に、桝添候補の当選確実と報道した。不安は的中したが失望はしなかった。細川元首相が敗北の記者会見を行った直後、成田憲彦氏(細川首相時代の秘書官)から電話があった。

「細川さんから伝えてくれとのことだが、敗北は残念だがいろんな成果があった。過去20年、佐川問題が疑惑化され背後霊のようになっていた。都知事選で真実が証明され背後霊がとれ、これまでの言動の正当性を明らかにできた。家族ともども喜んでいる。脱原発の活動に火をともす役割は果たせた。これからも仲間を増やし、結集して、都民・国民に訴えたことを実現していく。よろしく」とのことであった。

(佐川問題の顛末)
平成時代となって、わが国が民主主義社会に成熟できない理由に、質の悪い政治勢力がマスメディアを利用して、真実を曲げ、スキャンダルをでっち上げて疑惑とし、改革を実現しようとする政治指導者を政治的に葬るということが頻発した。

代表的な例は、細川さんが首相時代に自民党と共産党がでっち上げた「佐川問題」だ。それと、政権交代で首相への道が見えていた小沢一郎民主党代表の「西松・陸山会問題」だ。平成6年4月の細川首相の退陣は「佐川問題」で、細川首相の説明が真実だとわかっていながら、自民党・共産党両党が、倒閣のため異常な追求を行った。それだけでなく、細川連立政権の一画にいた社会党左派と新党さきがけが、自民党に裏で同調し、政権維持の自信を失ったのが理由である。

私が細川元首相陣営に協力したのは、「佐川問題」を自民党が再びスキャンダルとしてでっち上げて、選挙妨害を始めたのがきっかけである。これを巨大メディアを利用して、日頃から手がけているコメンテーターが一斉に疑惑を指摘したやり方は、日本の政治文化の汚点である。本来は批判すべき立場の有識者がこれでは、公正な社会は運営できない。幸い真実を求める人たちの協力により、明確な証拠で細川元首相の「佐川問題終了宣言」を発信できた。それにしても、自民党・共産党といい、巨大メディアといい、このままではわが国の民主主義への道は遠い。

(脱原発を国民運動の課題とする基盤が完成!)
それにしても細川・小泉両元首相の「原発ゼロ」への熱意は普通ではなかった。都知事選挙の結果に関係なく脱原発の票は46%の投票率の中で4割は超えている。桝添氏の票のなかにも「原発ゼロ」が入っており、棄権者のなかにもいる。原発問題を争点にしないよう政府自民党と電力関係業界と多数のマスメディアが必死になってもこれである。これからの政治は「原発問題を争点にしないことが、争点になる」という流れとなろう。

この都知事選でわかったことは、細川さんも宇都宮さんもエネルギー問題の本質を理解せずに「原発ゼロ」を主張していたことだ。宇都宮さんは説明を上手に逃げていた。細川さんは矢面に立たざるを得ない。自民党から「空念仏」と批判され、それが口コミで拡散した。それでもかけ声だけで「原発ゼロ票」がこれだけ集まることに注目したい。

真実を正確に国民に伝えれば、必ず「原発ゼロ」は実現できる。そのためには、原発をゼロにして安定したエネルギーの供給ができる基本方針。そして何より福島原発事故をどう終息させるか。放射能の恐怖から世界の人びとをどう安心させるか。こういったことを細川さんは概略でよいから語るべきであった。

私は、2月7日の政談演説会で「細川さんも小泉さんも、政府が福島原発事故解決をやる気がないこと、基準の16万倍ものストロンチウムを今日も出していて、首都圏に住む人びとの健康は危険と隣り合わせだ。東京都知事が解決しなくて誰がやるんだ。そのことをもっと厳しくいうべきだ」と、注文をつけたが時遅しであった。

原発をゼロにして代替のよりクリーンなエネルギーを整備して、高価な天然ガスを輸入して貿易赤字を増やすことにストップをかける計画はいつでも作成できる。さらに、放射能を低減化して汚染水や廃炉対策、核のゴミの無害化に結びつく新技術の基礎研究はできているのだ。政府、原子力村、業界など原発再稼働組がその開発研究を拒否しているのが現実である。

その理由は「もんじゅ」をはじめ原発が不要となれば、再利用を前提に電力会社が資産計上しているプルトニウムなど核のゴミが廃棄物となるからだ。それは総額約15兆円の負債となる。となれば電力会社は揃って債務超過になり株価は一斉に暴落する。電力会社の株をもっている企業・団体はどうなるか、説明は無用だろう。これが原発資本主義の現実である。

彼らはどんなことがあっても、「原発ゼロ」の事態をつくらないために、手段を選ばず暗躍しているのだ。しかし、原発を製造してきた有名企業のトップ経営者は、人間の生命健康を犠牲にし、文明の破壊につながる原発の限界を知っていて新しい技術を開発しているのだ。

問題は政府官僚、そして原子力村の自己保身学者たちが、既得権と権威に拘っていることにある。もっとも悪質なのは、原発行政を推進してきた巨大メディア群だ。一部に正常なメディアもあるが、「原発ゼロ」に反対している新聞やテレビは、巨額の電力株や社債を持っているのだ。自分の利益を保持するため、国民の生命・健康はどうなってもよいというのが21世紀の日本の「社会の木鐸」なのだ。国民はこの事実をよく知るべきだ。

(「原発ゼロ」の実現は新文明の幕開けだ!)
私はどういう因縁か、衆議院事務局に勤めて以来、戦後の日本のエネルギー革命に出くわしてきた。石炭→石油、石油→原発、原発→??。エネルギー革命とはもっとも厳しい経済基盤の変化である。過去も現在も戦争の原因の多くはエネルギーをめぐるものである。

エネルギーをめぐって人間は狂気となる。これが宿命と思いたくはない。原子力による核兵器と原発は、コインの裏表としてとして存在するものだ。原発があるかぎり核兵器はなくならない。原発をゼロにすることは、核兵器をゼロにすることでもある。福島原発事故は「原発をゼロにしろ」という人類への天命である。

2月10日(月)に、私の新著『戦後政治の叡智』(イースト新書)が発売された。この終章「いま解決すべき喫緊の課題」として、最後の項は「福島原発事故を解決し、東京五輪をあらたな文明の出発点へ」であった。
事前に見本を届けた企業家から「福島原発事故問題の記述がなければ、政治の本としてよくできているが・・・・」と、誉められたのか、けなされたのかわからないが、感想があった。

私は、「福島原発事故問題のためにこの新書を書いたのだ」と反論した。ここにはナノテクノロジーを活用した「低エネルギー核反応」(低温核融合)による放射能低減技術を紹介しておいた。4日後、この企業家から電話があり「東北大出身の半導体研究者と会った時、放射能対策が話題となり、この本を見せたところ、〝福島原発関係のところのコピーが欲しい。この放射能低減技術はあり得ることだ〟との話だった。意外なところで役にたった」と喜んでくれた。

真実を求めようとする人間は、どんな世の中にもいるものだ。原発をゼロにすることで、確実に文明のパラダイム(基本的枠組)を変えることができるのだ。そのために、まずは金と票で飼われている、与野党にわたる政治家どもの退治から始めねばならない。

 

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