政府・都、感染症法に基づき医療機関に病床確保要請ー医療体制の抜本整備・再編にほど遠く(追記:解散パラ閉幕直後か)

政府=菅義偉政権と東京都は23日、改正感染症法に基づいて初めて都内の医療機関に対してコロナ病床確保を要請することにした。しかし、医療機関(病院)に対する病床数確保のための国庫負担が曖昧なほか、「医療体制の抜本的再編・強化」という視点なしの医療機関(病院)への要請は、かえって病院の経営悪化、医療崩壊の加速化につながる。

衆院解散、パラリンピック閉会直後の9月6日、総選挙は10月10日か

朝日新聞出身のフリー・ジャーナリストによると、横浜市長選挙で菅首相が自身で小此木八郎氏を支援すればするほどかえって劣勢に陥り、結果として大敗したことから、自らの支持率が極端に低下していることを改めて自覚したことから不測の事態が起こり得ることも考慮。「奇襲戦法」に出る以外にないとしてパラリンピック終了後の9月6日に衆院を解散、12日の緊急事態宣言後の13日にも総選挙を公示する決意を固めたという(https://www.youtube.com/watch?v=5ofOX02zqGI)。

自民党内の当落線上以下の現職議員の大反対を被る恐れはあるが、「奇襲」をかければ菅首相は政権を維持できる可能性はある。真正野党側としては下記などにも示しているように「自宅放置=自宅遺棄」を止めさせ、医療体制の抜本的再編・強化策を中心とした「抜本的コロナ対策」を打ち出す以外に道はない。

朝日新聞出身のフリー・ジャーナリストの佐藤章氏による
朝日新聞出身のフリー・ジャーナリストの佐藤章氏による

8月23日月曜日のコロナ感染状況

複数のメディアによると、23日月曜日の東京都の新規コロナ感染者数(週中、月曜日が最小)は前週の月曜日(16日)より515人減って2447人だった。死亡者数は5人、東京都基準の重症者数は272人(厚生労働省基準ではその8倍程度で2000人は超えているものと見られる)。なお、22日までの3日間の平均検査件数(保健所を通した行政検査)は9370.3件しかなかった。民間検査件数を含めるともっと多いが、その実数は保健所を通した行政検査と自費による民間検査を合計した実際の検査件数から算出する陽性率は不明。
朝日デジタル(https://digital.asahi.com/articles/DA3S15018131.html?iref=pc_ss_date_article)によると、厚生労働省は先月(7月)、一部の民間検査会社から提供された自費検査の件数を公表し始めた。22日公表のデータによると、14日までの1カ月間で計約171万件。この間の行政検査は約255万件だ。だが、厚労省などの行政機関が発表する陽性率の計算には、基本的に自費検査の件数を含めていないという。全国では午後18時59分18時00分の時点で、新規感染者数1万6841人、死亡者数32人、重症者数1898人になっている。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

厚労省と東京都による改正感染症法に基づいた病床確保要請は逆効果

複数のメディアが伝えたが、朝日デジタルは次のように伝えている(https://digital.asahi.com/articles/ASP8R52GDP8RULBJ00V.html)。

田村憲久厚生労働相と東京都の小池百合子知事は23日、厚労省で会談し、改正感染症法16条に基づいて都内の医療関係者に病床確保を要請することで一致した。都内の医療は極めて逼迫(ひっぱく)しており、政府は初めて16条に基づく要請に踏み切る。これまで都道府県が主に取り組んできた病床確保について、国が働きかける動きだ。

朝日デジタルによる
朝日デジタルによる

要請は都内のすべての病院や診療所、医療従事者に対するもので、最大限の入院患者の受け入れや人材派遣などを求める。小池知事は「デルタ株の猛威に総力戦で臨む必要がある」と語った。(以下、略)

改正感染症法は第16条2項で次のように定めている(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410AC0000000114)。

(協力の要請等)
第十六条の二 厚生労働大臣及び都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、感染症の患者の病状、数その他感染症の発生及びまん延の状況並びに病原体等の検査の状況を勘案して、当該感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な措置を定め、医師、医療機関その他の医療関係者又は病原体等の検査その他の感染症に関する検査を行う民間事業者その他の感染症試験研究等機関に対し、当該措置の実施に対する必要な協力を求めることができる。
2 厚生労働大臣及び都道府県知事は、前項の規定による協力の求めを行った場合において、当該協力を求められた者が、正当な理由がなく当該協力の求めに応じなかったときは、同項に定める措置の実施に協力するよう勧告することができる。
3 厚生労働大臣及び都道府県知事は、前項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者が、正当な理由がなくその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。

ただし、この条項に基づいて東京都の医療機関にコロナ病床の確保を求めるだけでは、Covid-19に対する医療体制の抜本的再編・整備につながらない。本サイトでしばしば述べてきたように中等症以上のコロナ感染患者を受け入れるためには、規模の大きい病院をコロナ専門病院にする必要がある。その第一は、厚生労働大臣がコロナ専門病院にすることを要請できる法的根拠のある国立病院機構や地域医療機能推進機構、傘下の病院だ。第二は、東京都の傘下にある都立病院(都立広尾病院は既にコロナ専門病院に特化)だ。第三は、昨年からのコロナ禍の時期に病院としては多額の補助金を受け取っている国公私立大学付属病院や国家戦略特別区に設けられた国際医療福祉大学傘下の病院だ。

Covid-19患者の受け入れには多額の費用がかかる。病院の規模を無視して国庫による費用負担が不明確なまま病床確保を要請するのはあまりにも現実を無視した決定だと言わざるを得ない。また、自宅療養中または入院待ち患者は東京都だけで4万人近くに上る(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)。仮に病床数を多少確保できたとしても、「焼け石に水」でしかない。感染症に対する対策の基本原則は「徹底した検査と隔離・保護・治療」だ。そのためには、療養施設の確保が不可欠だ。

政府=菅政権は原則「自宅療養」という「方針」を完全撤回し、医師・看護師による治療ができる療養施設の確保に務めなければならない。例えば、東京オリンピック/パラリンピック選手村の療養施設としての利用や都内のホテル、旅館、東京都内のエンターテインメント施設などの借り上げ、療養施設としての利用のほか、「コロナ災害時」であることを考慮し、自衛隊による大規模「療養施設」の設営などが必要だ。

こうした医療体制の抜本的再編・強化こそが必要であり不可欠だ。この医療体制の抜本的再編・強化という視点を抜きにして、病院の規模や国庫による費用負担が不明確なまま「コロナ患者用病床」の確保を強制的に命令するだけでは、かえって「医療崩壊」につながってしまう。横浜市長線で菅首相が全面的に支援したが、かえって小此木八郎氏が大敗することになったことへの「思いつき」とも言えるその場しのぎの暫定的対応だろうが、「無為無策」の域を出ない。


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