国連安保理、北朝鮮制裁監視パネル任期延長否決ーロシアが拒否権、中国は棄権し、北朝鮮が非米側陣営に(暫定投稿)

核兵器などを開発・実験・実戦配備する北朝鮮を経済制裁するため、2006年から続いていた北朝鮮制裁監視パネルの任期延長決議が3月28日、国連安保理で否決された。五大常任理事国のうち、ロシアが拒否権を行使し、中国が棄権したからだ。日米韓など米側陣営50カ国は5月1日、「北朝鮮の監視継続を」求める共同声明を出したが、既に遅い。非米側陣営は米側陣営よりもはるかに豊富に存在する「資源・エネルギー」を巧みに使う「資源・エネルギー制度」を国際決済システムに用い始めており、米側陣営の国際貿易決済システムであるSWIFT=スイフト=に頼らなくても国際経済システムを維持・発展させることが出来つつあるが、その中に今回、露中の支援で北朝鮮が入った。北朝鮮(金王朝体制)は、内部でクーデターが勃発しない限り、国家としては崩壊させられることなく、存続し続ける。ただし、韓国、北朝鮮の合計人口数は7723万人(2023年)であり、南北統一した方が内需振興で経済は発展し、国際政治上の力も強まる。北朝鮮ではテクノクラートが台頭し、新しい形での南北統一に向けての動きが展開するだろう。

国連による北朝鮮制裁延長秘訣で朝鮮半島統一が劇的に転換

ロイター通信は3月29日午前1時、「国連安保理、北朝鮮制裁監視パネル任期延長否決 ロシアが拒否権」と題する記事を世界に配信した(https://jp.reuters.com/world/ukraine/MJRRIAZ75NJZVMS6PVHTJ7XZP4-2024-03-28/)。

国連安全保障理事会は28日、対北朝鮮制裁を監視する専門家パネルの任期を延長する決議案を否決した。13カ国が賛成したものの、ロシアが拒否権を行使した。中国は棄権した。
現在の任期は4月30日に期限切れとなる。専門家パネルは過去15年間、国連による北朝鮮制裁の履行を監視し、年2回、状況を安保理に報告するほか、履行の改善に向けた行動を提言してきた(が、この対北経済制裁はなくなる)。

この結果、2006年から続いてきた北朝鮮制裁監視パネルはさる4月30日に機能を停止した。これに危機意識を感じた米側陣営は、監視パネル機能停止直後の5月1日、北朝鮮を監視し続ける必要性を訴えた50カ国の「共同声明」を発表した(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB021IK0S4A500C2000000/)が、実質的な意義はなくなる。

国連安全保障理事会で約15年にわたり対北朝鮮制裁の実施状況を監視してきた「専門家パネル」の任期が終了し、日米韓を含む約50カ国は1日、監視を続ける必要性を訴えた共同声明を発表した。ニューヨークの国連本部で、日韓の国連大使らと並んだ米国のトーマスグリーンフィールド国連大使が声明を読み上げ、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させるには制裁の順守が必要だと訴えた。ロシアが任期延長を認めなかったと批判した。

安保理議長国のモザンビークによると、22日に非公開で北朝鮮制裁に関する会合を開催する。

しかし、米側陣営が「専門家パネル」の設置を求めても、米側陣営内にとどまり、国連に再び「専門家パネル」が設置されることはない。五大常任理事国であるロシアが拒否権を行使するからで、中国も棄権してロシア、北朝鮮に協力するからだ。ロシアはウクライナ戦争でSWIFT(スイフト)=Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication は、銀行間の国際金融取引に係る事務処理の機械化、合理化および自動処理化を推進するため、参加銀行間の国際金融取引に関するメッセージをコンピューターと通信回線を利用して伝送するネットワークシステム=事実上の国際決済システム=)から締め出され、米側陣営から徹底的な経済制裁を受けた。

しかし、ロシア連邦国家統計局は2月7日、2023年の実質GDP成長率を3.6%(速報値)と発表した。徹底的な経済制裁にもかかわらず、経済成長率は高い。対象的に米側陣営の宗主国である米国の2023年第四半期は経済成長率が予想を大きく下回る反面、インフレ率は高進した。

米側陣営は資源・エネルギーの大半を非米側陣営に握られているうえ、極度の財政赤字の中でウクライナなどの軍事支援のため、最終的にドル紙幣の増刷によって露中など非米側陣営との戦時経済体制を構築しなければならない。過剰流動性のマグマが蓄積する中、コストプッシュ・インフレも収まらず、金融・資本市場は次第に脆弱化する。つまるところ、ドル紙幣に価値はなくなってくる。ドルに価値がなくなってくれば、その最大の天敵である金地金の相場は一線(これまでは、1トロイオンス=2000ドル)を超えて上昇する。

三菱マテリアルの金価格推移(https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/)によると、国際決済銀行や米連邦準備制度理事会・米連邦準備銀行はウクライナや中東の不安定性が増して金地金が一直線に高騰するのを座視していないようだが、それでも、1トロイオンス=2300ドルよりは下がっていない。そうした事態が生じたとしても、ウクライナや中東の情勢、それに北朝鮮への国連の監視パネル機能が喪失したことなどで表向きの国際情勢の緊張度は増してくるだろう(というよりも、米側陣営の国際金融危機が表面化してくるだけのことだが)。なお、余談だが、ドルの価値はもう黄昏(たそがれ)時期をとうに過ぎている。そのドルに対して、1970年代初頭よりも現在の円相場は弱まっており、介入したの、しないのの議論がなされている訳だから、日本の経済は話にならない。

日本は世界最大の米国債保有国だから、保有米国債を売却すれば一挙に円高を現出できるとの意見もあるが、大量の米国債を売却し、ドル売り・円買い介入を行えば、ドルが実際のところ、危機的状況にあることが表面化して、日本の経済にも重大な影響が及ぶ。現在の世界は、取り敢えずペーパーマネー(有価証券を含む)しかなく、高齢化による人口減少に全く打開の道が見えない米側陣営と、OPEC+を擁して資源・エネルギーを大量に保有し、さらには中国やインドなどの人口構造が比較的健全で内需の振興が期待できる非米側陣営に分けられ、それぞれ独自の決済システムを持つ二つの陣営に分けられる。

サイト管理者(筆者)としては、両陣営が対立したままの姿は正常な姿とは思われないが、日本や韓国としては対米従属国ないし対米隷属国であることを止め、国際決済システムの構築も含めて、両陣営の仲を取り持つべきだろう。サイト管理者(筆者)の推測では、テロで暗殺された安倍晋三元首相は、その方向を目指していたのではないかと思われる。もっとも、内政面では低所得者に負担の大きい消費税を大増税するなど、新自由主義路線の道に迷い込んでしまい、経済は最悪の状態になっている。日本経済を破綻させたことの責任は問わなければならないが、戦後の日本現代史を意味のないものとして否定することはできない。欧米文明がアタナシウス派キリスト教に基づいて生み出した基本的人権の尊重を土台にした民主主義的価値観は洋の東西を問わない普遍的原理だと思われるからだ。だから、日本も建前としては受け入れた。

話を、国連安保理が北朝鮮制裁監視パネル任期延長否決した件について戻す。国際情勢解説者の田中宇氏が、5月2日に公開した「非米側の防人になった北朝鮮」(https://tanakanews.com/240501nkorea.htm、無料記事)によると、①もともと国連による対北制裁は抜け穴が大きかった②プーチンロシア大統領と習近平中国国家主席が協力して、北朝鮮を非米側陣営に導いており、北朝鮮としては国家存亡の危機を免れる結果になった③プーチン大統領の提言で、日本の岸田文雄首相に訪朝と緊張緩和の機会を与えようとした④北朝鮮はもともと、戦後の米国の軍産複合体が朝鮮半島に緊張状態を作り出すために、米国が当時のソ連に与えたーという。これは、事実だろう。

非米側の諸国は、ウクライナ開戦前から北を制裁しない傾向だった。国連決議に沿って北への制裁を実施した国は、国連に報告することになっているが、世界の国々の3割は一度も報告を送っておらず、最初から北制裁に事実上参加していない。北は、これらの国々と貿易し続けており、制裁は前から抜け穴だらけだった。米国側は、北を核兵器や弾道ミサイルを開発して米国側を攻撃する危険な国だと非難してきたが、非米側は「米国側が北を敵視して政権転覆を試みているのだから、北が防衛のために兵器開発を加速するのは正当防衛であり当然だ。米国側が悪い」と思って北制裁に参加したがらない。これまで米国が圧倒的に強く、北に味方する国は一蓮托生で制裁されかねないので、非米側は声高に米批判せず、目立たないように北制裁不参加を続けてきた。北朝鮮とロシア

北の最大の貿易相手は圧倒的に中国だ。中国は、目立たないように制裁違反の貿易を北と続け、北の政権を延命させてきた。中国は今回、安保理決議を棄権した。
隠然な中国と対照的に、ロシアはウクライナ開戦後、大っぴらに北との関係を強めた。ロシアは、ウクライナの戦場で使う武器弾薬の一部を北朝鮮から輸入し、見返りに北に小麦粉や兵器開発の技術や部品などを輸出してきた。プーチンは金正恩にリムジンを寄贈した。これらはいずれも国連制裁違反だ。米国側の諸国は、ロシアが戦争遂行に必要な北との関係強化策として国連の北制裁の体制を潰す身勝手をやっていると非難している。Putin Gifts Kim Jong Un A Luxury Russian Limo

だが非米側から見ると、ウクライナ戦争自体、ロシアにとって「準国内」で露系住民が多く住むウクライナを米国が2014年にマイダン革命で政権転覆してロシア敵視・露系住民殺しの傀儡国に転換し、8年がかりでロシアを戦争に引っ張り込んだ。米国は、ロシアを潰すためにウクライナ戦争を起こした挙げ句に負けている。
非米側から見ると、北朝鮮もロシアも米国から潰されそうになったので正当防衛として武装反撃している。その点で北とロシアは共闘できるし、非米側はやんわりと朝露を支持している。ロシアと北朝鮮の接近

ロシアは、ウクライナ戦争で米国側の金融システム(米覇権体制、ドル米国債システム)から追放されたことを利用して、中国BRICSなど非米側全体を巻き込んで、米覇権体制の外側に、米ドルも米金融システムも使わない多極型の新たな非米経済システムを構築し始めた。ロシアが旗振り役、中国が黒幕だ。この多極型システムは、金地金や人民元、ルーブル、ルピーなど非米諸国の通貨(間もなくCBDC化)を利用するもので、物々交換やバーター貿易に毛の生えた程度から始まり、未解決な問題も多いが、何とか機能して拡大し続けている。
非米側は世界が埋蔵する資源類の大半を持っており、資源貿易の多くが非米システムを経由する。非米側の取り柄は現物の資源類であり、米国側の取り柄は債券などペーパーマネー(金融商品、紙切れ)だ。資源の非米側が金融の米国側に勝つBRICS共通通貨の遅延

こうした状況の下では、米国主導の南北統一(注:もともと、米国には南北統一を促進するつもりはなかった。重要な地域には緊張状態を作り出しておくといとうのが、同国の根本的な外交戦略だからだ)は不可能になったと見るべきだ。

日本や韓国は、対米隷属国であることを止めて(日米安保条約や米韓相互防衛条約を止めて)、米側陣営と非米側陣営の仲立ちをする必要がある。折しも、岸田政権は次期総選挙で政権交代を余儀なくされるかも知れない。これを挽回するためには、「地球俯瞰外交」を展開し、対米従属外構政策からそれなりに脱しようとした安倍晋三元首相のテロ射殺事件の真相を明らかにする必要があるが、岸田首相自身が安倍テロ殺人事件の真相を隠しているため、不可能に近い(注:安倍元首相を殺害した銃弾は行方不明である)。

また、韓国は4月10日行われた総選挙でリベラル政党の「共に民主党(DPK」は単独で過半数の175議席を獲得、複数の小規模政党と合わせた野党勢力は192議席となった。その一方で、与党「国民の力」(PPP)は108議席にとどまり、惨敗を喫した。3年の任期が残る尹錫烈(ユン・ソンニョル)大統領は、内政では何もできず、専権事項の外交政策だけ展開できるが、抜本的な事態打開策を韓国民に提示しなければ、無理な話だ。

いずれにしても、経済が興隆すると見られる非米側陣営に入った北朝鮮が国家としての盤石な基盤を獲得したため、朝鮮半島の統一(注:何らかの形での南北統一は民族の彼岸だろう)は新たな道を考えなくてはならない。マス・メディアは国際情勢の真相を伝えないが(余談だがこれに関連して、2024年7月7日に投開票される東京都知事選挙を前にして、再度浮上した小池百合子東京都知事の学歴詐称問題=カイロ大学卒業というのはウソ=もほとんど報道しない)、積極的な平和外交を謳った憲法記念日の5月3日をきっかけに、主権者の日本国民はマス・メディアの「報道」している内容(注:新悪の枢軸)が、操作されていることに気づくべきであり、決して軽信してはならない。

北朝鮮、韓流ドラマ弾圧限界か

北朝鮮が韓流ドラマの弾圧に限界を感じ、「自首」すれば許すということにしたとのYoutubeも流れている。


サイト管理者(筆者)は、北朝鮮で経済特区の構想が持ち上がっていた時代に、豆満江の流れる北部の羅津・先鋒(現在は新先)に行ったことがあるが、この時代はテクノクラートが台頭できなかった。しかし、非米側陣営に入り、中露から経済・科学・技術の支援を受けることで、テクノクラートを育成するようになる可能性もある。ただし、そのためには市場経済を導入しなければならない。権威主義国家(一党独裁制)と言われる中露でも市場経済は導入している。

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