東京五輪関係者が感染していたラムダ株の市中感染に重大な警戒が必要(補強:横浜市長選)

既に投稿させていただいたが、政府=菅義偉政権(厚生労働省)は、強行開催した東京オリンピック大会関係者の空港検疫でペルー滞在歴のある30代の女性が、致死率の高いラムダ株に感染していたことを隠していた。これに関連して、東京新聞8月21日付2面記事によると「機内の濃厚接触者」の追跡調査も不十分のようだ。今や、新型コロナウイルスの感染は飛沫より微小なエアロゾルでの感染(エアロゾル感染=空気感染)が主流になっており、「濃厚接触者」という言葉事態が意味をなさない。加えて、空港検疫は精度が低い抗原検査だ。空港検疫をすりぬけたラムダ株が日本の市中で感染し始めている可能性も考慮して置かなければならない。コロナ全陽性検体の遺伝子構造解析が必要なところだが、国立感染研の解析能力は低い。東京大学医科学研究所など高度な遺伝子構造解析能力を持った国内の研究解析機関の力を借りる必要がある。そのためにはやはり、「政権交代」と「日本版疾病予防センター=Centers for Disease Control and Prevention(CDC)=」の組織化が欠かせない。

8月21日コロナ感染状況(追記予定)

複数のメディアによると21日土曜日の東京都での新型コロナ新規感染者数は前週土曜日に比べて20人少ないが、初の4日連続5000人台の5074人だった。東京都基準の重症者は前日から3人減って270人だが、死亡者は6人であり、死亡によって重症者が少なくなった可能性がある。また、東京都基準ではなく、厚労省基準ではその8倍程度の2000人は超えている可能性がある。さらに、PCR検査を抑制しているため、実際はもっと多いと見られる(政府新型コロナ感染症対策本部分科会・尾身茂会長=https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000225982.html=)。

全国では午後23時59分18時40分の時点で新規感染者数は3日連続2万5000人超えの2万5492人、重症者1888人、死亡者34人となっている。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

 

また、「自宅療養」と称して「自宅放置」しているため、一家全員がデルタ株に感染し、死亡する悲劇が相次いでおり、家庭と職場・学校(幼稚園・保育園含む)との間で相互感染が拡大していると見られる。東京都のモニタリング会議によると、最大の新型コロナ感染源は「同居(自宅)」だ。その割合は最新の統計データであればあるほど上昇している。このため、本来なら8月末にピークアウトするという季節的要因がかなり効きにくくなっていると見られる(参考:https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/014/570/59kai/20210820_04.pdf)。

東京都モニタリング会議8月20日
東京都モニタリング会議8月20日

臨時国会を早急に開き、国立病院機構や地域医療推進機構、労働者健康安全機構傘下の公的病院を原則、コロナ専門病院に転換することを始めとして医療体制の抜本的再編を行い、感染症法対策の基本中の基本原則である「徹底検査と保護・隔離・治療」を中核とした真正のコロナ対策を行う時に来ている。基本的には、隔離・保護・補償を大前提とした「都市封鎖」(ロックダウン)に踏み切る必要がある。なお、ラムダ株の市中感染が始まっている可能性が濃厚だから、立憲民主党が日本共産党との総選挙対策協議に応じ、政権を国民の手に取り戻して、「真正のコロナ対策」に抜本転換しない限り、新型コロナ感染が大流行する冬場には未曾有の危機が訪れることを覚悟しなければならない。

東京オリンピック大会関係者のラムダ株感染の追跡が不明

厚労省が東京オリンピック大会関係者の空港検疫でペルー滞在歴のある30代の女性が致死率の高いラムダ株に感染していたことを隠していたことは本サイトで既に投稿させていただいた。

東京新聞はその後について次のように報じている(https://www.tokyo-np.co.jp/article/125755)。

南米で多数の死者を出した新型コロナウイルスの変異株「ラムダ株」が初めて、五輪関係者によって国内に持ち込まれた。厚生労働省はラムダ株の脅威の低さを理由に公表せず、機内でラムダ株陽性者の近くにいた濃厚接触の可能性がある人の追跡も十分でなかった。上陸から1カ月、ラムダ株が水際で留まったのか、市中に出たのか、確認は難しい。

東京新聞8月21日付2面掲載
東京新聞8月21日付2面掲載

新型コロナ変異株は脅威の高い順に「懸念すべき株(VOC)」「注目すべき株(VOI)」に指定される。世界保健機関(WHO)はラムダ株をVOIに指定するが、国立感染症研究所はどちらにも指定していない。理由について、脇田隆字所長は「南米で多くの割合を占めるが世界的には減少傾向。デルタ株を上回る感染性があるとは考えておらず、輸入されるリスクは非常に限定的」と説明した。(中略)

ラムダ株への市民の関心は高い。WHOによると、ラムダ株は2020年、ペルーで見つかった。ペルー、チリ、エクアドルを中心に拡大し、ペルーの死者は約20万人に上る。人口100万人あたりでは、約6000人で世界最多。2位ハンガリーの2倍で断然多い。アルファ株がまん延した英国は約2000人、デルタ株のインドは約300人、日本は約120人で、ペルーの深刻さが際立つ。(中略)

濃厚接触の可能性があったのは、陽性者の列と前後2列ずつの全座席で、大型旅客機に搭乗していた場合、約50人が候補となる。だが、厚労省は今回の候補者数を公表していない。居住地も非公表とし、五輪関係者を含む「全員に発熱などの症状はなかった」としている。

東京新聞8月21日付2面掲載
東京新聞8月21日付2面掲載

医療ガバナンス研究所の上昌広理事長(兼臨床医師)は「ラムダ株を発表しなかった姿勢は論外だ。五輪中に感染拡大しており、出したくなかったのでは」と憤る。濃厚接触者から市中にラムダ株が広がった可能性は残るが、現在のPCR検査ではラムダ株の確認はできず、発見は容易でない。「アルファ株もデルタ株もそうやって広がった。厚労省の責任は重い。水際対策が難しいなら、英国のように徹底的な検査態勢を取るしかないのに、日本は検査数を絞り水際もスカスカ。あの株が(季節敵要因で新型コロナウイルス=SARS-CoV-2=が大流行する)日本の冬に来たら致命的になりかねない」

今や、新型コロナウイルスの感染は飛沫より微小なエアロゾルでの感染(エアロゾル感染=空気感染)が主流になっており、「濃厚接触者」という言葉事態が意味をなさない。ラムダ株に感染した女性同じ飛行機に登場していた乗客・乗務員全員の追跡調査が必要だ。加えて、空港検疫は精度が低い抗原検査だ。空港検疫をすりぬけたラムダ株が日本の市中で感染し始めている可能性も考慮して置かなければならない。「空振り」でも「楽観論」だけを信じて無為無策を決め込むのはこれまでと同じように、いや、ラムダ株の場合はそれ以上に危険だ。

全陽性検体の遺伝子構造解析が必要なところだが、国立感染研の解析能力は低い。実際、東京新聞によれば20日に空港検疫で陽性判定してから、ラムダ株と断定するのに少なくとも3日かかっている。日立製のスーパーコンピューターを使ってコロナウイルスの遺伝子構造よりもはるかに複雑なヒト・ゲノム(ヒトの遺伝子構造)解析を行っている東京大学医科学研究所など、高度な遺伝子構造解析能力を持った国内の研究解析機関の力を借りる必要がある。

というよりは、コロナ対策の「事務方」を一掃する必要がある。それというのも、日本の「コロナ対策」が効を奏するどころか、逆に「感染拡大を加速」させているのは、厚労省医系技官(トップは福島靖正医務技官と正林督章保健局長=事務次官相当、政府コロナ感染症対策本部専門家会議・現分科会=事務局長代理)の「感染症利権ムラ」だからだ。彼らで固められた政府のコロナ感染症対策本部分科会や厚労省のアドバイザリボードらは、PCR検査の抑制やコロナ感染者の原則自宅療養を打ち出すなど、感染症対策の基本である「徹底的検査と隔離・保護・治療」と「医療体制の強化」から完全に逸脱した「似非対策」を行ってきた。結果は火を見るより明らかだ。

政府=菅政権は基本的に「感染症利権ムラ」と結託している。政府=菅政権が「緊急事態宣言解除要件」を変更しようとしているのも、「感染症利権ムラ」との癒着を疑わざるを得ないところだ。問題になっている緊急事態宣言解除要件」変更についても、地域医療機能推進機構の尾身茂理事長が会長を務める政府コロナ感染症対策本部分科会が菅政権の意向を忖度して、「お墨付き」を与えるのではないか。

日本共産党の志位和夫委員長は8月19日、田村智子政策委員長を西村康稔経済再生担当相に遣わし、西村担当相を通じてコロナから命を守るための緊急提案を菅首相に提示した。コロナ禍対策の基本原則に沿ったもので当面、この提案を「コロナ対策」の原則にすべきだ。長くなるが、引用させていただきたい(https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/08/post-879.html)。ただし、志位委員長も国立病院機構や地域医療推進機構、労働者健康安全機構傘下の公的病院を原則、コロナ専門病院に転換できることについては触れておらず、「感染症利権ムラ」の問題点については全く触れていない。やはり、抜本的なコロナ禍対策は「政権交代」でしか行えない。感染症学・医学・科学のみに従う強力な日本版疾病予防センター=CDC=を組織化するべきだ。

コロナから命を守るための緊急提案

日本共産党幹部会委員長 志位和夫


 全国各地で、新型コロナの新規感染者数が急増し、感染爆発、医療崩壊が深刻になっている。いま政府に求められているのは、命を守ることを最優先にした対応である。3点にしぼって緊急提案を行う。

1、症状におうじて必要な医療をすべての患者に提供する

政府が、8月3日、重症患者と重症化リスクの高い患者以外は「原則自宅療養」という重大な方針転換を行ったことは、コロナ患者を事実上「自宅に放置」する無責任きわまるものであり、断じて認められない。政府は、大きな批判に直面して、「中等症は原則入院」との「説明」を行ったが、「原則自宅療養」という方針を撤回していない。

こうしたもと、全療養者に占める入院患者の割合は10%、宿泊療養患者の割合は5%にすぎず(東京都)、圧倒的多数の患者が「自宅療養」を余儀なくされ、手遅れで亡くなったり、重症化したりする方が後をたたない。こうした事態は、政治が招いた重大な人災そのものである。

「原則自宅療養」の方針を公式に撤回し、症状におうじて必要な医療をすべての患者に提供することを大原則にすえることを強く求める。
そのために、限られた医療資源を最も効率的に活用することを考慮して、政府が責任をもって、医療機能を強化した宿泊療養施設や、臨時の医療施設などを、大規模に増設・確保することを求める。あわせて、入院病床をさらに確保すること、在宅患者への往診や訪問看護など在宅医療を支える体制を抜本的に強化することを求める。
政府が責任をもって医師・看護師を確保する。すべての医療機関を対象に減収補填(ほてん)と財政支援にふみきり、安心してコロナ診療にあたれるようにする。コロナ治療の最前線で日夜献身している医療従事者をはじめ、宿泊療養施設や臨時の医療施設、訪問診療に携わる医療従事者も含めて、すべての医療従事者に対する待遇の抜本的改善をはかる。

2、感染伝播の鎖を断つために大規模検査を実行する

感染伝播(でんぱ)の鎖を断つための検査を「いつでも、誰でも、何度でも」の立場で、従来の枠にとらわれず大胆かつ大規模に行う。とくに――、
感染拡大が顕著になっている事業所、学校、保育園、学童クラブ等に対する大規模検査を、政府が主導して実行する。
行政検査を抜本的に拡充するとともに、事業所、学校、保育園、学童クラブ等が行う集団検査を国が思い切った補助を行って推進する。

3、パラリンピックを中止し、命を守る対策に力を集中する

東京五輪の開催を強行したことが、国民への誤ったメッセージとなり、感染爆発を招いたことは明らかである。
五輪開催への反省にたって、パラリンピックの中止をただちに決断し、命を守る対策に全力を集中することを強く求める。
感染爆発のもとで、子どもたちをパラリンピックの観戦に動員するなど論外であり、ただちに中止すべきである。

なお、ラムダ株に感染した東京オリンピック大会関係者がラムダ株の市中感染のきっかけになったとすれば、東京オリンピックの強行開催が「人流抑制」を妨げたという間接的効果だけではなく、直接的に日本でのコロナ禍を拡大したということになる。

明日22日・日曜日投開票の横浜市長選挙について

国政に影響を与えと言われる横浜市長選挙が明日22日、投開票される。菅首相が全面的に支援する全国家公安委員長の小此木八郎候補の苦戦が伝えられている。例えば、「SPA!」は次のように伝えている(https://news.yahoo.co.jp/articles/47a6c7ab4e862edc023d2bf6de3f73ea637c343f)。

8月22日投開票の横浜市長選挙で、菅義偉首相が全面支援をする小此木八郎・前国家公安委員長がまさかの大苦戦を強いられている。

自民党の横浜市議36名中30名と県議全員、さらに公明党議員も支援に回るという「自公推薦」に近い盤石の態勢にもかかわらず、立憲民主党推薦の山中竹春・元横浜市立大学教授(共産・社民支援)と現職の林文子市長を引き離せないどころか、期日前投票で山中氏に逆転を許したという情報も流れ始めた。全面支援がプラスになるどころか、小此木氏の票を減らすマイナス要因になっているようにさえ見える(中略)。

小此木氏の苦戦は林(文子)市長の善戦の裏返しでもある。15日付の『読売新聞』は「山中氏、小此木氏、林氏横一線」と横浜市長選の情勢を紹介したが、自民党は自主投票ながら36名の市議のうち30名(83%)が小此木氏を支援、残り6名(17%)が林氏支援なのだから、単純計算すれば4倍以上の大差がつくはずだが、実際は両候補が拮抗。自公支持層(保守層)はほぼ真っ二つに割れた結果、基礎票で劣る野党支援の山中氏が一気に追いついて抜き去るとの傾向が読み取れる。(以下、略)

ただし、小此木候補が敗退しても、次期総選挙で当落戦上以下にあると不安を感じている現職自民党所属衆院議員の大反乱が起きない限り、菅首相(内閣)の退陣にはならないだろう。既に、菅首相は二階俊博幹事長とともに自民党総裁選を制していると見られるからだ。

これに関連して(菅首相が総選挙に自信を持っているのは)、立憲民主党の枝野幸男代表ら執行部が日本共産党との総選挙に向けた協議に応じないことがある(https://www.youtube.com/watch?v=RdUoELAzWbohttps://www.jiji.com/jc/article?k=2021081900887&g=pol)。あの国民民主党の玉木雄一郎代表でさえ、「日本共産党は左翼全体主義政党だ」との趣旨の発言を撤回したのにである。背景に、自公連立政権の政策を支持する大企業の産別労組(御用組合)が掌握する連合の分断工作がある。それを支援しているのが、米国ディープステート(闇の国家:軍産複合体と多国籍金融資本・企業)の傘下にあるCIAだ。

千載一遇の政権奪還の時が来ているのに、立憲民主党には全く国民の支持が集まっていない。枝野代表ら執行部がよほどの「○○」としか言いようがないが、「確信犯的」にディープステートの配下に入ろうとしているのなら、日本国民に対する背信行為だ。立民執行部を尊重した最良の「うがった見方」をすれば、総選挙選開始と同時に水面下で進めていた共産党など真正野党との理念・共通政策・連合政権構想を国民の前に公表する「奇襲戦法」に出るのかもしれないということだ。ただし、それでも総選挙の期間中に国民の間に十分浸透するのは難しい。

共産党の志位和夫委員長は19日の記者会見で、次期衆院選に向けた立憲民主党との協議(4月27日に党首会談で協議開始について合意)がいまだ始まっていないことについて「もうリミットは来ている。可及的速やかに話し合いを始めないといけない」と強調した。志位和夫委員長は19日の記者会見で、次期衆院選での立憲民主党との選挙協力をめぐり、共通政策や接戦区での候補者一本化に関する協議の早急な開始を求めた。「リミットは来ている。可及的速やかに話し合いを始めることを求めたい」と述べた。

立憲民主党と日本共産党の間で、総選挙での立候補者が競合する小選挙区は70区にのぼるという。これでは、自公連立与党と日本維新の会には太刀打ちできるはずがない。



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