日本の新聞業界は「社会の木鐸」どころか、歴史的反動勢力の御用新聞(広報紙)に成り下がっている。民主主義の生命線は、国民に真実を伝えるマスコミである。そのために、各省庁に記者クラブ室を設置し、各種の記者会見に出席できるなど、政府から特権を与えられているのであるが、政府サイドないしは支配層の情報リークを遮断されるため、政権批判の立場を打ち出せないでいる。高級官僚を中心とした日本の支配層が、低次元の「軍国主義国家」という暗黒社会への暗転の暴走を開始した理由はここにある。

だから、マスコミの世論調査も新聞各社(特に、首都圏に勢力の基盤を築いている全国紙)の主張通りになるから、国民の声を反映しているかはアテにならない。それでは、日本のマスコミは全くダメかというと、記事が書けない地方紙に記事を配信する通信社である共同通信社と時事通信社に注目が必要である。

サイト管理者がかって所属していたある新聞社は、「紳士協定」とされる記者クラブ非加盟社にも記事を配信する時事通信社の記事を掲載しているが、誤字・脱字は多いし、時には事実誤認もやる。何度も同社編集局に連絡したことを覚えている。それに、政府の政策への批判精神が行間からは全く読み取れなかった。はっきり言ってダメ。これに対して、記者クラブ加盟社にのみ記事を配信する共同通信社は、時事通信社よりも多少マシなようである。ただし、両通信社とも電通に支配されていることに注意が必要だ。

その共同通信社が7月初めに、それなりに納得できる世論調査を行い、加盟各社に配信した。次の記事は、中日新聞系列の東京新聞が掲載した共同の世論調査結果である。

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集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定を受け、共同通信社が1、2両日実施した全国緊急電話世論調査によると、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認への反対は54・4%で半数を超え、賛成は34・6%だった。集団的自衛権をめぐり「行使容認の範囲が広がる恐れはある」との歯止め策への懸念は73・9%に上った。

行使容認を憲法改正ではなく解釈変更で決定した内閣の対応は60・0%が「妥当だったとは思わない」とし、「妥当だったと思う」は31・7%にとどまった。

行使容認によって抑止力が高まるとの首相の説明に対し、「抑止力が高まる」「どちらかといえば抑止力が高まる」との答えは計34・0%。逆に「戦争に巻き込まれる可能性が高まる」「どちらかといえば戦争に巻き込まれる可能性が高まる」との見方が計61・2%と、大幅に上回った。

首相が政府、与党に検討を指示してから約一カ月半で憲法解釈変更が閣議決定されたことに関しては、82・1%が「検討が十分に尽くされていない」と答えた。

安倍内閣の支持率は47・8%で、前回六月から4・3ポイント下落。支持率50%割れは、特定秘密保護法成立直後の昨年十二月調査以来。

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要するに、明確に反対の国民が54.4%で、これに「分からない」国民を加えると、国民の65%が「集団的自衛権行使容認」について、疑心暗鬼の意を表明している。安倍晋三政権が「対米隷属官僚支配貧国(=格差を拡大する新自由主義【掠奪主義】)強兵国家」(注意:戦争を欲しがる軍産複合体=年間60兆円規模の需要を必要とする=が政府を牛耳る一大勢力の一角である米国は、ポスト冷戦の処理を誤り、その戦争を引き起こすための謀略と新自由主義政策の無理がタタって今や、世界最大の借金国である。これが、米国が安倍政権に「財布国家」と「傭兵国家(ただし、カネは払わない)」への一層の転落を強要する背景である。ただし、最終的には債権者が債務国を整理する。だから、米国は最終戦争には勝てない)という矛盾した歴史的に反動的な政権であるという真実をマスコミが伝え、国民が民主主義に目覚めたなら、もっと正しい数字が出ていただろう。

共同が北海道新聞や中日新聞など地方のブロック紙を中心に、全国の地方紙に記事を供給し、日本の言論空間の一つの柱を形成している意義は大きい。ただし、米国の意を呈して動く広告業界最大手の電通に支配されていることには注意が必要である。

戦争によって平和は来ないことは歴史が証明している。安倍晋三首相の「積極的平和主義(外交)」なるものの実態は「戦争によってしか平和は来ない」というまことに歴史を無視した「屁理屈」でしかない。安倍首相は次の国際連合教育科学文化機関(UNESCO)憲章を1万回唱えるべきである。

【ユネスコ憲章】
この憲章の当事国政府は、この国民に代わって次のとおり宣言する。
戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない。
相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信を起こした共通の原因であり、この疑惑と不信の為に、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。
ここに終わりを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代りに、無知と偏見を通じて人種の不平等という教養を広めることによって可能にされた戦争であった。
文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、 かつ、すべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神を持って、果たさなければならない神聖な義務である。
政府の政治的及び経済的取り決めのみに基づく平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって、平和が失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かれなければならない。
これらの理由によって、この憲章の当事国は、すべての人に教育の十分で平和な機会が与えられ、客観的真理が拘束を受けずに研究され、かつ、思想と知識が自由に交換されるべきことを信じて、その国民の間における伝達の方法を用いることに一致し及び決意している。
その結果、当事国は、世界の諸人民の教育、科学及び文化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、かつ、その憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設する。

※なお、教育の根本は高等宗教である。

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