ギリシャ危機の真相ーワシントン・コンセス=新自由主義の押付けが原因

ギリシャで今月5日に行われたことで、圧倒的多数の国民が国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)の押し付けてきた緊縮財政に「ノー」を叩きつけたことで、国際金融市場が不安定になってきている。これは、米国傘下のIMFが、緊縮財政を柱とするワシントン・コンセンサス=新自由主義に基づく債務返済政策を押し付けてきたことにある。

ギリシャ危機克服の柱は、景気回復・経済再建により経済成長を促し、税収の確保によって債務返済の財源を捻出する以外にない。ところが、その肝心の経済成長が名目・実質ともにできていない。経済のスパイラル的縮小が起こっているのである。便利な「世界経済のネタ帳」によると、ギリシャの名目、実質の経済成長は次の通りである。

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この経済縮小に伴い、税収もはかばかしくない。

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米国のゴールドマン・サックス(別名カバメンタル・サックス)が協力したと言われる粉飾決算がバレた2010年前から、歳入が落ち込んでいる。これは主として、IMFが求める緊縮政策の押し付け強行(その急先鋒は賄賂も指摘されているフランスのラガルド専務理事)によるもので、その柱は付加価値税の増税や年金の削減などの大衆イジメで、税金は担税力のある高所得者(富裕層への徴税強化、累進課税性の強化)や企業(法人税の増税)に対して強化するという応能原則から著しく逸脱している。併せて、歳出の推移も下記に記す。

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さらに問題は、ギリシャは独自の金融政策(ドラクマという自国通貨があったが、EU加盟のためユーロに一般化され、自国通貨を割安に誘導し、輸出を拡大することと豊富な観光資源を利用して観光収入など貿易外収支を好転させることなどで外貨獲得を拡大するという、金融政策を発動できないことがある。このため、IMFとEUの「ギリシャ支援策」は実際には、ワシントン・コンセンサス=新自由主義による徹底した「庶民イジメ」になってしまった。

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財政収支は好転しているが、2014年、2015年はIMFの勝手な推計によるもので、実際にはどうなるかは不透明だ。もっとも、国民が塗炭の苦しみの中にある(経済縮小=経済衰退)中で財政赤字が好転してきたと言っても、数字の話で国民の生活実感とはかけ離れている。

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モラル・ハザードの問題はあるが、ここは米国の息がかかったIMFではなく、EUが解決の主役にならねばならない。EUはもともと、第一次、第二次大戦の戦禍を二度と引き起こさないため、欧州を「共同体」化することから始まった。共同体の原理は「共生共栄友愛主義」である。この原理に沿った救済策(例えば、チプラス首相が提示している法人税の課税強化、累進課税の強化に加え逆輸出税=輸出すると税金が還付され、輸出企業は輸出価格を抑えることができる=などの検討も試みて良い)。併せて、貸し手責任を問い、借り換え債を発行する中で債務の減免を実施することも必要だ。

冷酷なワシントン・コンセンサスを強行すれば、PIGS(ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)問題が再燃し、EUは空中分解するだろう。その打撃は計り知れない。

 

 

 

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