米国FRB、量的金融緩和に効き目がないことを悟る(その2)

米国連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が量的金融緩和「政策」の縮小を打ち出したのは、雇用統計(ただし、実態は既に紹介したように分子の完全失業者に対して、分母の就業者+職探しを行なっている働く意思のある失業者が、職探しを諦めて減少したことが大きい)はじめ経済指標に景気の改善を示すものが「散見」され始めたことにある。しかし、その理由は「金融政策」ではなく、オバマ大統領が打ち出した10年間に7872億ドルという財政出動を柱とした各種の景気対策による。

以下は、みずほ総合研究所の作成したオバマ政権のリポートから抜粋したものである。

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要するに、財政主導、金融フォロー(長期金利の上昇を防ぐ)のポリシー・ミックスこそが「景気の改善」という現象を生み出したわけである。これは、日本金融財政研究所所長の菊池英博氏の年来の主張の正しさを裏付けるものである。

ただし、財政出動には財源が要る。しかし、米国の財政赤字(実は社会保障基金=公的年金=の収支黒字を含めたインチキ数字だから、実態はもっとひどい)は国内で賄い切れないほど巨額なので、財政出動に必要な新発国債の引き受けは、日中に頼っているが、中国は腰が引け始めた。だから、バーナンキ議長のやったことは、中央銀行による新発国債の間接的引き受けである。

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こういうことだから、米国には本格的な財政主導、金融フォロー(長期金利の上昇を防ぐ)のポリシー・ミックスを展開する底力はもはやない。せいぜい、忠犬ポチの日本に「国債を買え」と命令するくらいだ。また、米国企業の国際展開により、企業は情報技術(IT)を使って、24時間体制で新興工業諸国(中国、インドなどのIT技術者)の相対的に安価な労働力を利用している。だから、国内の雇用は増えない(経済政策の最上位目標は完全雇用の実現であるが、ほど遠い)。

こういう点からすると、バーナンキ議長の実績は「長期金利の上昇を防ぐとともにバブルを引き起こしながら、経済の改善を支援した」程度にとどまる。ただし、バブルは必ず崩壊するから、ニッチもサッチも行かなくなるのは目に見えている。06月20日のダウ平均も353.87ドル急落した。一方で、長期金利は上昇している。

現在の世界の経済の親亀は米国だから、親亀こければ子亀、孫亀すべてこける。一刻も早く、東アジア共同体を基盤に、戦後のIMF・GATT体制に代わる国際通商・通貨体制を構築しなければならない。なお、黒田東彦日銀総裁、岩田規久男副総裁は即刻辞任し、日銀の青年将校を総裁にすべきである。安倍晋三政権も責任をとって総辞職するか、主権者国民の力によって打倒されなければならない。

※なお、アベクロノミクス=アホノミクスを喧伝した経済学者と言われる浜田宏一、エコノミストと言われる高橋洋一の両氏は、新自由主義の理論的・実践的過ちを認め、もっと勉強されることをお勧めしたい。厚顔無恥のような竹中平蔵氏に対しては言うべき言葉を知らない。

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