世界で最も重要な経済指標は米国の長期金利(指標となる10年物長期国債金利、表面利率2.75%、2023年11月償還)だが、その米長期金利2013年10月23日の2.50%を直近の底に、ジワジワと上昇し始めている。
つれて、日本の長期金利も昨年末で0.7%を突破している。背景には「米国経済の景気拡大が加速しつつある」との見方から、ベン・バーナンキ連邦準備制度理事会議長が恐る恐るQE3の縮小(1カ月の証券購入額を850億ドルから750億ドルに減少)を発表したことがある。しかし、これまでの「量的金融緩和政策」なるもので、全米各地にある連邦準備銀行が米国債を始めとする大量の証券を購入し、実態としては「不良債権」が山積みになっている公算が大きい。サイト管理者は、FRBのQE3からの出口戦略が奏功するかどうかへの疑心暗鬼、さらに、FRBが大量の「不良債権」を抱えているとの見方から、米国の金融システムそのものに対する疑問が次第に出てきていることが、長期金利上昇の真の原因であると考える。
しかも、2014年2月7日に連邦政府の債務残高の上限が来る見通しであり、オバマ政権と議会共和党の「チキンレース」が蒸し返される公算も大きい。巨額の財政赤字の穴埋めのため、米国政府が「国債」という「紙切れ」の代わりに、世界中から借りている借金の利子を返済できる(国債の利払いを履行できる)かどうかが焦点になる。連れて、日本の長期金利も0.7%を超え、ジワジワ上昇している。長期金利とリスクプレミアムが高まれば株式指数は下落する。
米国の国債は世界トップレベルの格付けが与えられているが、マスゴミが「財政危機」を煽る日本の長期国債の利回りのほうが2%強も低い。頭を冷やして考えると、これもおかしな話だ。ジャネット・イエレン女史のFRB議長就任は2月の初めが予定されている。「インフレハト派(インフレよりも雇用拡大を重視、金融緩和にバイアスがかかる)」とされるイエレン女史の次期FRB議長就任に当たり、何らかの「ご祝儀相場」が繰り広げられる可能性もある。