米朝首脳会談を「平和の配当」につなげよ

シンガポールで2018年6月12日に行われた米朝首脳会談の共同宣言に①CVID=complete, verifiable, and irreversible dismantlement=②朝鮮戦争の終了宣言③北朝鮮の核廃絶のスケジュールーなど重要な内容が盛り込まれなかった一方、人権弾圧しかしない北朝鮮現体制の存続を保証したことで、マスコミなどによる米朝首脳会談の評価が極めて悪い。トランプ大統領の譲歩のし過ぎだというのである。しかし、これは誤った判断である。

トランプ大統領は、北朝鮮の金正恩総書記を対話のテーブルにつけさせ、朝鮮戦争の終了と北朝鮮の非核化、改革開放政策の醸成→東アジア共同体の形成に向けての第一歩を踏み出したというべきである。1986年10月11日にアイスランドのレイキャビクでレーガン大統領とゴルバチョフ書記長の米ソ首脳会談が行われ、軍縮交渉は決裂したものの、1989年12月3日のブッシュ大統領とゴルバチョフ大統領の間で行われたマルタ会談を経て、1991年にソビエト社会主義共和国(ソ連)が崩壊、実際に東西冷戦が集結するまで長い時間がかかった。同様に、今後の朝鮮半島情勢も長い目で見守るべきである。

トランプ大統領は暴言を履き、米国ファーストと称して保護主義政策を進めるなど、歴代の米合衆国大統領としては型破りな大統領であるが、軍産複合体と新自由主義に基づくグローバリズムに反旗を翻した初めての大統領である。軍産複合体=死の商人にとって最も困ることは、朝鮮半島の軍事的緊張が溶けるということは、最大の利益を得る機会を失うことだから、傘下にある世界中のメディアを使ってトランプ大統領を攻撃する。それに、騙され、翻弄しては行けない。

米国大統領の太鼓持ち(トランプ大統領が米朝首脳会談を注視すると言えば直ちに賛同し、いや再開すると言えば前言を翻してこれまた直ちに賛意を表明する)にしか過ぎず、日本国首相としての何の信念も哲学もなければ、裏では森友・加計疑獄に象徴される利権政治の先頭に立ってきた日本の安倍「首相」はこれまで、「東アジアをめぐる情勢は日増しに厳しさを増している」と言い続け、これを盾に取って、軍備増強、憲法解釈変更強行、戦争法制制定強行(安保法制制定強行)をを推し進め、第二次世界大戦後の国際連合中心の理念に基づいて起草された日本国憲法の精神・理念を無視つつ、極右反動主義の精神に基づいて憲法改悪を強行しようとしている。時代を見る目を持たない、アナクロニズムの利己中心主義者でしかない。安倍政治は「アベノミクス」も含めて完全に破綻している。

北朝鮮が本格的に核放棄を進め、改革開放路線に踏み切れば、400兆円を超える経済復興需要始め、膨大な平和の配当が生まれる。米ソ冷戦集結による平和の配当は、アイゼンハワー大統領(第34代、ウェストポイントにある陸軍士官学校を卒業、軍歴を買われて第二次世界大戦の連合国最軍高司令官になり、同大戦を勝利に導いた後、大統領に当選した)が離任演説で危惧した軍産複合体=新古典派新自由主義に基づくグローバリズム勢力(賤民資本主義と堕した米系多国籍企業)がさらって行ってしまっているが、唯一の原爆被投下国である日本の新政治勢力こそ、これを取り戻すということをしなければならない。

※補遺 アイゼンハワー大統領の離任演説(1961年1月17日)

私たちは、この事業を進めることが緊急に必要であることを認識しています。しかし、私たちは、このことが持つ深刻な将来的影響について理解し損なってはなりません。私たちの労苦、資源、そして日々の糧、これらすべてが関わるのです。私たちの社会の構造そのものも然りです。

我々は、政府の委員会等において、それが意図されたものであろうとなかろうと、軍産複合体による不当な影響力の獲得を排除しなければなりません。誤って与えられた権力の出現がもたらすかも知れない悲劇の可能性は存在し、また存在し続けるでしょう。

この軍産複合体の影響力が、我々の自由や民主主義的プロセスを決して危険にさらすことのないようにせねばなりません。

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