れいわと合流新党若手が接近、真正「野党共闘」樹立で政権奪取を

自民党の新総裁の報道ばかりが目立っているが、菅義偉内閣官房長官を新総裁に選出し、安倍亜流政権を立てることは既定のシナリオ。新型コロナ感染者数の拡大状況にもよるが、10月25日を総選挙に持ち込む可能性は極めて高い。安倍政治が、①新自由主義に基づく緊縮財政・量的緩和という根本的に間違った経済政策を採ってきたことで、安倍政権下の実質国内総生産(GDP、減少)と実質賃金(大幅低下)の推移でみた日本経済のパフォーマンスが極端に悪化してきたこと②検察庁を支配し、権力を私物化してきたことーなどから、新政権でもこれは引き継がれる。真正野党は正しい理念・政策をかかげて「野党共闘」体制を確立、反自公政権だが野党不信も根強い「無党派層」の信頼を取り戻すことで、総選挙で政権を奪取しなけれればならない。合流新党若手が「新党への緊急提言」を発表したことで、れいわと合流新党との距離が縮まっており、合理流新党、日本共産党、社民党、れいわが「共闘」する可能性が高まっている。

◎追記:9月3日の新型コロナ新規確認者は、東京都で8月29日以来の200人超えの211人、都基準の重症者は前日比2人減の27人。集中治療室での患者数を重症者に加えていないのは、疑問が残る。20代〜30代の若者の合計数は107人。それ以外の年代の感染者数の割合は49.3%。全体の57%が感染経路不明者。9月1日のPCR検査人数は報道されていない。東京都医師会が新規感染者の現象が緩やかだとしたことから、「感染が拡大していると思われる」と評価し、4段階あるレベルのうち最も深刻な表現を8週連続で維持した。
また、全国では午後20時30分の段階で658人が感染し、 7人が亡くなられた。1日には速報値で1日に、1万4548件のPCR検査が行われたため、推測瞬間陽性率は4.5%。PCR検査人数がまだまだ少ないと思われる。

本論に入る前に、河野太郎防衛相がイージス・アショアを諦める真の狙いであった「敵基地攻撃論」について触れておきたい。この敵基地攻撃論の「敵」というのは、中国のことである。中国は都市封鎖(ロックダウン)まで行って大規模PCR検査を徹底的に行う一方で、突貫工事で医療施設を二棟建設、感染患者を保護・隔離・治療して、ともかくも新型コロナウイルス感染拡大を制圧している。この結果、今年第2・四半期の実質国内総生産は前年同月比3.2%のプラス成長になっている。

年間でもプラス成長になることはほぼ確かで、勢いがつけば、中国経済に必要な年間6%の成長率を実現できるようになるだろう。これに対して、IMF(国際通貨基金)の予測によると、米国は今年は8.0%減少、日本は5.8%減少の見込みだ。

IMFによる世界経済見通し

IMFによる世界経済見通し(https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2020/06/24/WEOUpdateJune2020)

ただし、IMFの予測は「V字型回復」を予測しており、かなり楽観的だ。外務省国際情報局長、イラン駐箚特命全権大使、防衛大学校人文社会科学群学群長などの要職を歴任し現在、東アジア共同体(理事長・鳩山由紀夫元総理)研究所長を務めている孫崎享氏によると、米国がコロナ禍による経済危機から脱出するには3年〜5年かかるという。となると、中国が世界第一の経済大国かつ軍事大国になる時期も早まるだろう。IMFが年初に予想した世界主要国のGDP比較は次の通りだ。

世界主要国のGDP比較

世界主要国のGDP比較

仮に、中国が年率6%の経済成長を続けるとすれば、27.3兆ドルになる。米国の成長率が10年間平均で2%と仮定すると、27.2兆ドル。しかも、①中国はITやAI、自動走行電気自動車、遺伝子工学などの先端科学・技術でトップの米国に迫る勢いがある(もはや、産業スパイによる科学・技術の違法入手は科学・技術発展の第一の手段ではなくなってきている)②新型コロナウイルスの制圧には成功している可能性が高いことから、欧州圏(EU)とは自由に交流できるようになっている③地域経済共同体を形成している東南アジア諸国連合(ASEAN)は、中国を警戒しながらも完全に対決することは控えているーことから、中国包囲網を築くことは用意ではない。


 

こうしたことから、中国が世界最大の経済・軍事大国になるのは、これから先、10年〜15年の間と見て良いだろう。米国のマイケル・ポンペオ長官が7月23日、「共産主義国家中国と自由世界の未来」と題して、中国批判の大演説と従来の「関与政策」の大転換を打ち出した背景には、こうした中国の変貌がある。中国を「マルクス・レーニン主義」国家と規定し、敵意をむき出しにしたわけだ。ただし、東アジア共同体研究所公表のAlternative Viewpoint(AVP)によると、中国が「民主主義国」になったとしても、米国の対中敵視政策は変わらないだろうとしている。

何故なら、米国は自国を超える最強国が出現するのは何としても阻止しなければならないからだ。こうして、米国は、政治・経済・軍事・先端科学技術を総動員して対中敵視政策を行動に移すわけだ。これは、米国の軍産複合体の意思であるので、トランプ大統領、バイデン民主党候補のいずれが11月の大統領選挙に勝とうとも変わりはない。なお、バイデン優位と見られていた米大統領選挙に変化の兆しが現れているようだ。

余談だが、東アジア共同体研究所の次の動画からキャプチャした図を下に掲げる。上図は激戦区の支持率が誤差の範囲、つまり、トランプ氏とバイデン氏のどちらが勝利する(選挙人を総取りする)か不明だというもの。下図は、トランプ氏とバイデン氏のどちらが勝つかの賭けを行った際の、両氏のいずれかに賭けた米国民の割合である。これを見ると、民主党大会をピークにトランプ氏が反転攻勢に出ている。トランプ氏は支持率が40%を割ることはない。つまり、白人でありファンダメンタリズストのキリスト教徒の支持が岩盤になっているものと思われる。

米国大統領選挙

米国大統領選挙

米国大統領線の賭けグラフ

米国大統領線の賭けグラフ

ここにきて、バイデン候補に健康不安説が出てきいることも注目される。孫崎氏によると、バイデン候補がカマラ・ハリス上院議員を副大統領候補に選んだのは失敗だったという。ハリス女史は黒人の大学では最高の大学を卒業しているが、要するに黒人として育てられたということである。この点、「白人」として白人文化の中で育てられたバラク・オバマ元大統領とは決定的に異なる。バイデン候補には黒人の支持者が多い。このため孫崎氏は、エリザベス・ウォーレン氏かバニー・サンダース氏を副大統領候補に選んで、バランスを取るべきだったという。

さて、話を元に戻す。トランプ大統領は軍産複合体に属さない唯一の大統領とされているが、様々な批判を浴びており政権運営上、妥協もやむを得ないところだと言われている。このことが、いくつかの布石の後、マイケル・ポンペオ国務長官の7月23日の発言につながった。その膨大な内容については、別に投稿することにして、ここでは河野防衛相の元々の狙いであった「敵基地攻撃論」について述べる。これについては、東アジア共同体の次の論文(https://www.eaci.or.jp/archives/detail.php?id=142)に詳しい。

2つの需要な箇所を引用させていただきたい。
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米軍が従来の戦略を抜本的に改めようとしているのは、〈西太平洋地域で中国軍に対する優位を失った〉という強い危機感があるためだ。米軍は〈小規模で敵に見つかりにくく、低コストで打撃力を備えた〉部隊を第一列島線内に分散展開する方向で準備を進めている。その際、鍵を握るのは長距離精密誘導ミサイルの配備だ。
(中略)

昨年8月3日、米露間のINF条約(中距離核ミサイル全廃条約)が失効した。その翌日、マーク・エスパー米国防長官は中距離ミサイル――射程500~5500㎞の地上配備・精密誘導型――をアジアに配備するのかと問われ、「配備したい。でも、(核弾頭ではなく)通常弾頭であることは明確にしておこう」と答えた。この射程のミサイルで米国が中国に大幅な後れを取っていることは前号で述べたとおりだ。

エスパー発言は、海兵隊などの戦略提案に「第一列島線内での長距離精密誘導ミサイル配備」が出てくるのとも符合している。実際の配備は、米軍内でテストを行い、同盟国と協議したうえで決まる。2020年代半ばあたりが目標になりそうだ。
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つまり、河野防衛相の敵基地攻撃論は、中国を狙った第一列島線内での第一列島線内での長距離精密誘導ミサイル配備を意味している。恐らく、菅新政権は総選挙に勝利した後、年末にもさまざまな「巧言令色」を使って、在日米軍基地か自衛隊基地に「第一列島線内での長距離精密誘導ミサイル配備」を盛り込んだ「国家安全保障戦略」を閣議決定するつもりなのだろう。安倍晋三首相が首相辞任表明後も安保問題にいろいろ注文をつける発言をしているのもこのためであると見られる。

こうなると、日本は米中両国の間で板挟みになる。米国のニューズウイーク誌の電子版が2020年7月30日22時05分に公開した「アメリカが遂に日本政界の媚中派を名指し批判──二階氏や今井氏など」と題する記事によると、「ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が安倍首相を媚中へと向かわせている政界の周辺人物を大胆に名指し批判した報告書を発表した。安倍政権の媚中政策によほどの危険を覚えたのだろう」という。

習近平国家主席に国賓としての訪日を要請する安倍首相の親書を手渡す自民党の二階俊博幹事長

習近平国家主席に国賓としての訪日を要請する安倍首相の親書を手渡す自民党の二階俊博幹事長

このCSIS(米国政府の国家安全保障外交政策に強い影響を与える)が「媚中派」として名指しした人物は、自民党の二階俊博幹事長や影の総理と言われた経済産業省出身の今井尚哉首相補佐官、IR汚職事件、証人買収容疑で逮捕された秋元司衆議院議員、森まさこ法務大臣らである。二階幹事長は、習近平国家主席を安倍首相の代わりに国賓として招請する親書を届けた(これが日本のコロナ禍対策の遅れの大きな原因になった)が、米国と中国のどちらを取るか、踏み絵を迫られることになる。

今回の自民党総裁線シナリオが、安倍首相、二階幹事長ら「新5人組」によって書かれたものであり、敵基地攻撃論を推し進めているから、従来の対米隷属路線に従わざるを得なかっのだろうが、新政権は中国から報復されるか少なくとも相手にされなくなる。日本の経済界も鄧小平以来の「改革・開放政策」で中国との結びつきが深いから、大きな打撃を被るのは避けられない。

9月1日、記者会見で「新党への緊急提言」を発表した立憲・国民の若手議員

9月1日、記者会見で「新党への緊急提言」を発表した立憲・国民の若手議員

こうした事情を考慮すれば、安倍政治の継続は極めて危険である。だから、総選挙では野党側が理念・政策で結集し、権力を奪取できる「野党共闘体制」を組まなければならない。これに関して、合流組の立憲民主党、国民民主党の若手議員21人が9月1日、「新党への緊急提言」を示した。詳細は次のサイトで提言している。https://shinsedai.net/urgent-recommendations/

主な内容は、①消費税は5%以下に減税②世代を創造する温故知新の人材活用③野党結集。現政権を超える新たな選択肢を創る④「再分配」×「デジタル」×「民主化」=「ウィズコロナの社会像」ーというものだ。

原発ゼロ社会に関しては、「脱炭素社会へのシフトを目指すグリーンリカバリー(環境への投資によるコロナ禍からの復興)を推進します。10年間を復興期間と定めて、集中的に産業・経済・暮らしのグリーン化を目指します。省エネの促進(建物の高断熱化、高効率の電気機器への買換促進など)、自然エネルギー+蓄電池による分散ネットワーク型電力供給システムの構築、自然エネルギーを支える電力系統の整備、電力システムのデジタル化、電力市場の活性化、自動運転・カーシェアリングなどをベースにした交通ネットワークの整備などへの投資を進めます。炭素税の導入を進め、経済全体の脱炭素化を促進します」となっていて、若干不明だ。

ただし、立憲の枝野幸男代表が、日本国憲法違反は許さないという意味での立憲主義と共生主義を基礎理念とした上で、①時限を定めてはいないが「原発ゼロ社会の1日も早い実現」を合流新党の綱領に盛り込むことは譲らなかったとされること②消費税減税に踏み込んだ発言をしていることーなどから、若手議員の提言も「原発ゼロ社会の実現」を目指しているものと推測できる。

これに対して、れいわ新選組の山本太郎代表が即座に、「デキレース的な総裁選の陰に隠れてるけど、野党若手が素晴らしいアプローチ!新党への緊急提言。代表選出ないのかな?やっちゃえ、若手!がんばれ、中谷一馬代表!」とツイートした。代表の中谷一馬衆院議員(神奈川7区から比例復活で当選、立憲青年局長を務める)と山本氏は親交があるようだ。枝野代表が、自ら立憲主義者になれば、仲が悪かった立憲執行部と山本代表率いるれいわとが共闘できる道が開ける。

そうすれば、合流新党と日本共産党、社民党、れいわとの共闘体制が構築される。理念・政策はほぼ一致してきているから、小異はさておき大道につくことも可能だ。基本的には、①大規模PCR検査、抗体検査によるコロナ禍対策の抜本転換②緊縮財政から積極財政へ③消費税減税から廃止を含む不公平税制の抜本改革と適切な所得分配政策④原発再稼働は認めず、原発立地自治体の財源補償・産業構造転換と原発従事者の雇用保証④ノルウェーの平和学者であるヨハン・ガルトゥングが1958年に提唱した意味での「積極的平和外交」を日本国憲法の理念に基づいて発展させるーなどの内容になるべきだ。

なお、玉木新党(国民民主党の分党という形を取るらしい)には①日本維新の会と合流すると思われる前原誠司衆院議員が加わること②電力総連、自動車総連、電機連合などの原発稼働、消費税増税議員が加わると見られる(注:合の神津里季生会長は9月1日午後、この報道を急遽否定したが、合流新党に連合傘下の労組出身の議員が加わるべきではない。新党の規約を変更させる狙いがあると見られる。合流新党が安倍政治に賛同してきた連合の影響力を排除できないようでは未来はない)ーことから、日本維新の会と合流する可能性が強まってきた。山尾志桜里(しおり)衆院議員がこれを阻止できれば良いが、まず、無理だろう。日本維新の会に行けば、野党共闘を妨害する衆院議員としての烙印を押され、政治生命を失くしてしまう。無所属として生き残るか、れいわに入湯するしか道はないだろう。

◎追記:朝日デジタルが2020年9月3日20時00分に公開した「合流新党、約150人が入党届け出 旧民進党と同規模に」と題する記事(https://digital.asahi.com/articles/ASN936HTPN93UTFK017.html)によると、合流新党には「立憲は89人のうち88人、国民は62人のうち40人が参加する見通し。野田佳彦前首相と岡田克也元外相がそれぞれ率いるグループからは計16人、そのほかの無所属議員が数人加わるとみられる」という。15日に結党大会。「一方、国民民主党からは20人強が合流から離脱すると見通し。このうち、玉木雄一郎代表や古川元久代表代行、山尾志桜里衆院議員ら約10人が、国民を引き継ぐ新党を15日に結党する。旧民進党代表だった前原誠司元外相も同党への参加を検討している」という。連合系の国会議員の動向は現時点では定まっていないが、合流新党には参加しない。野田氏や岡田氏など旧民主党系無所属議員が自公補完勢力にならなければ、自公与党対合流新党に日本共産党、社民党に恐らくれいわ新選組を加えた野党共闘勢力の図式が明確になる。

サイト管理者(筆者)は親族から「民主党政権は大失敗して、野党には政権を担える人材もいないから、自公政権の抵抗勢力になるだけで十分ですよ」という。国民の多くがそのように思っているだろう。かつての民主党政権は、①米国の謀略②検察と協力した読売新聞などマスコミの大非難③松下政経塾出身の新自由主義信奉者が数多く存在し、内部分裂したーことから、崩壊した。ただし、国民の多くはこの事実を知らない。立憲・国民の古手議員はこのことを十二分に反省し、斬新な理念・国家像・政策を打ち出して、国民の信用を取り戻さなければならない。

なお、自民党では菅内閣官房長官が新総裁に選出された場合、①菅氏には自らを支えるグループが弱小勢力であり、自民党全体を統括する手腕が未知数②安倍政治を引き継ぐため、コロナ禍による経済危機を含め、負の遺産の処理への対応能力に欠けると見られる③東京オリンピックが中止に追い込まれる機能性が極めて高い④任期は長くとも来年秋までで、71歳と高齢のため、「危機管理内閣」のリーダーとして思惑どおりに進めることが出来るか、極めて疑問である。場合によっては、新型コロナウイルス感染拡大に明確な収束の兆しが見えてこなければ、年内の解散は見送り、敵基地攻撃論を柱とした「新型安全保障政策論」の閣議決定に専念する可能性もある。