高知県知事選挙の総括-野党共闘は失敗

与野党一騎打ちになった県知事選挙として注目された高知県知事選挙は、野党統一候補の松本顕治氏(35)=立憲民主党高知県連、国民民主党高知県連、共産党、社民党推薦=と、元総務省総括審議官の浜田省司氏(56)=自民党、公明党推薦=の一騎打ちになったが、浜田氏が逃げ切った。同県選挙管理委員会によると、投票率は47.67%と前回より1.75%上昇したが横ばいの範囲内。このため、得票数は浜田氏173,758表に対し松本氏は111,397票と62,361票の大差になった。

高知県知事選挙で一騎打ちになった候補者(選挙前)は下図の二人。なお、土佐で知られる高知県はサイト管理者の出身地であり、幼稚園から高校まで過ごした故郷である。

まず、高知県選挙管理委員会がアップしている結果を挙げる。まず、市町別の投票率と県全体の投票率から。画像をクリックすると拡大してはっきり見えます。

投票率が50%に満たず、選挙を放棄している。次に、候補者別の得票数。

大票田の高知市では前回知事選挙よりも2.5ポイント高い。須崎市ではかなり下がったが、他の市、町では上昇している。有権者の関心が前回よりも高まったことになりそうだが、選挙終盤での松本氏の追い上げが報道されたことから、選挙の投票率の上昇は、野党推薦候補に有利に作用した可能性がある。

地元の高知新聞は「県民の県知事選挙に対する関心は低い」などと「報道」して投票率が低くなるよう誘導したが、今のところ、断定はできないが嘘であった可能性を否めない。

投票率が低く、与党系候補の浜田氏の得票数が多いということは、浜田氏に利する。高々60%が自公推薦候補に投票しているから、全県民の30%程度の支持で県知事が誕生したわけだ。植草一秀氏の「25%」の理論が今回も当てはまった。

恐らく、松本氏の得票数は高知県の日本共産党支持層がほとんどで、立憲、国民の支持層の得票はあまりなかったのではないか、と推察される。マスゴミの世論調査を完全に信頼することはできないが、時事通信社の11月の世論調査によると、立憲は5.8%から3.1%に急落、国民は0.6%から0.2%へと議員数が2人(参議院議員)しかいないれいわの0.6%より低い。

日本共産党の志位和夫委員長は「次につながる財産」と言っているが、そうではない。立憲、国民は選挙で日本共産党の支持層を取り込むために同党を支持しているだけ、というのが現状だ。野党協議で政策協定よりも候補者調整を優先させるのはその表れだが、それ以上に深刻な点が、日本の経済社会を崩壊させる日米FTAを両党が自公に協力して衆議院で11月19日に可決、成立させたことだ。

条約は予算と同じく衆議院の議決が優越するから、30日も経てば国会で自然成立したことになる。今回は物品貿易、デジタル関連の取り決めだが、トランプ大統領は来年の秋の米大統領選挙に勝つため、農業、医療、保険、政府調達、投資家対国家紛争処理条項(Investor-State Disupute Settlement=ISDS条項)など20に及ぶとも言われる分野でTPP以上の協定を日本側に飲ませ、日本を食いつぶすつもりだ。それに、立憲、国民は協力したのだ。だから、野党ではなく自公政権の補完勢力である。支持基盤が安倍晋三政権と利害が一致し、税制、エネルギー政策など重要政策は支持する日本労働組合総連合会(連合)、つまり、御用組合の連合なのだから、明らかだ。

れいわの山本太郎代表はこのことに猛烈に反発している。だから、年明け早々が予想されている次期総選挙では、政策連合・平和と共生オールジャパンが唱える政策を柱に、れいわ、日本共産党、社民と立憲、国民の中の真の野党議員を取り込み、早急に政策連合を形成することが急務だ。

また、今回の高知県地支持選挙で菅義偉官房長官が来高し、➀有効求人倍率が地方でも軒並み1を超えている②消費税は社会保障に使う-などと、詭弁と嘘をつき、地元の高知新聞も無批判に報道する。有効求人倍率の1超えは超少子・超高齢化で働き手が少なくなっているのが主因で、結局のところ、賃金が低く、労働条件が悪く、福利厚生制度の恩恵もない正規労働者の増加を招いているだけ。相次いでいる消費税の増税は高所得者と大企業を中心にした所得税と法人税の減税、それに米国の軍事兵器の爆買い、関電疑惑で明らかになった原発マネーなど利権支出の財源になっているだけ。

本来は、社会の木鐸であるべきマスコミが追及・糾弾すべきことだが、今やマスゴミに成り下がっているため、政権の甘い言葉を垂れ流すだけ。しかも、スマートフォンで見られるヤフーやGoogle、マイクロソフトのポータルサイトは無料で「記事」を提供する政府の広報機関に成り下がっているから、日本の情報空間は極度に歪められている。インターネットでも政策連合を支持するサイトの情報共有・相互連携を形成すべきだ。

なお、将来的には日本共産党も資本論や史的唯物論の「古典」から決別すべきだろう。共産主義から共生共栄友愛主義への転換が必要である。この点については別に投稿する。

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