疑惑のデパート・安倍晋三内閣が黒川弘務東京高検検事長の定年延長を法解釈変更正式決定なしに独断で決定した疑惑が強まり、安倍政権は窮地に追い込まれている。政権の命取りになる公算が大きい。

安倍晋三政権は疑惑のデパートだ。内閣府特命担当大臣(経済政策担当)を務めた甘利明衆院議員の不正資金受領問題、文科相など要職を歴任した下村博文衆院議員の政治資金規正法違反容疑、準強姦罪で逮捕寸前の御用ジャーナリスト山口敬之氏に対する逮捕状執行妨害のほか、➀国有財産を激安で森友学園に払い下げて、それを隠すために財務省理財局を中心に公文書を多数偽造した事案(国家=国民に対する背任行為罪、公文書偽造罪の疑い)②長年獣医学部の新設を認めなかった文部科学省が突如、「総理のご意向」により国家戦略特別区域に指定された愛媛今治市で、岡山理科大学による獣医学部の新設を認めた加計学園疑惑(事実上の贈収賄罪の疑い)③疑惑の「桜を見る会前夜祭」と「桜を見る会」(公職選挙法違反、政治資金法違反の疑い)-など、枚挙にいとまがない。

なお、経済政策も最悪。度重なる消費税増税で経済も税収も成長がストップし、社会は中間層が没落、莫大な内部留保と富裕層に逆所得移転が行われ、社会は大格差社会が出現。黒田バズーカ砲で、日銀がほとんど無制限に市中国債を買い上げたため、日銀の試算・負債状況は相当に悪化している。これに加わったのが、下記の三権分立制度・民主主義制度の完全崩壊と独裁国家出現の恐れだ。

話をもとに戻すと、しかし、これらの疑惑が東京地検特捜部を中心に検察庁で取り上げられ、犯罪として起訴されることもなく今日に至っている。これは、東大法学部卒業後、法務省に入省、法務省大臣官房長や、法務事務次官を経て、東京高等検察庁検事長になった黒川弘務氏が握りつぶしてきたからだとの見方が強い。東大法学部については、サイト管理者の同学部出身者が「あれは、法学部の上に阿がついている」と自嘲げに言っていたのを思い出す。

本来、国家公務員法の定年の特例として検事総長以外の検察官は定年の満62歳であり、人事院もそう説明してきた。立憲民主党の山尾志桜里氏が2月10日の衆院予算委で、人事院による1981年見解の存在を指摘したことで明らかになった。法解釈を合法的に変更しない限り、黒川氏は2月8日に満62歳になるから同日付で定年になるはずだった。ところが、安倍内閣は1月30日の閣議で黒川東京高検検事長の定年を延長することを決定した。黒川東京高検検事長を検事総長にして、検察庁を完全支配するためである。三権分立が不徹底な日本国憲法により、最高裁判所長官および判事は事実上、内閣総理大臣が任命することになっているから、この措置で検察・司法は完全に内閣総理大臣(首相)が掌握することになる。

これは、三権分立制度の下ではもっとも下級の機関に過ぎない行政府が最上位の機関になることを意味する。しかし、人事院の松尾恵美子給与局長は安倍内閣の意向を忖度し、2月19日の衆院予算委員会で、それまで答弁してきた検察官には国家公務員法の定年延長規定が適用されないとしてきた政府見解を突如修正、一転して引き継いだのは法務省から相談を受けるまでと変更し事実上、黒川弘務検事長の定年延長、検事総長への就任を容認したのである。法律の解釈は行政機関が行うが、解釈の変更は勝手にはできない。内閣による法解釈の変更が時の内閣の都合に基づいて恣意的に行われるようになれば、法治国家ではなくなるからだ。

東京高等検察庁

このため、いわゆる「野党」ですら猛反発し、衆院予算委に検察官の定年退職の解釈の変更に関する資料を提出するよう要求してきた。しかし、人事院、内閣法制局、法務省のいずれも解釈変更の経緯について、正式でまともな資料を提出できずにいる。多少長くなるが、東京新聞サイトの記事を下記に引用する。なお、安倍晋三政権の意向を忖度するマスメディアの中では、朝日新聞、東京新聞はある程度評価に値する。

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黒川弘務東京高検検事長の定年延長を巡り、政府が「後付け」で国家公務員法の解釈を変更した疑いが強まった。現状では閣議決定前に法解釈を変えた証拠を示せていないからだ。森雅子法相らの説明はすでに破綻状態に追い込まれ、今度は解釈変更を明らかにした安倍晋三首相の答弁の信頼性が揺らいだ。 (清水俊介、大野暢子)

立憲民主党の安住淳国対委員長は二十一日、政府が閣議決定前に解釈を変えたと証明する日付入りの文書を示すよう引き続き求める考えを記者団に強調。政府が応じなければ「後から取って付けた法律違反ということになる」と述べ、黒川氏の定年延長は違法と批判を強める考えを示した。

政府が二十日と二十一日にかけて衆院予算委員会の理事会に提出した文書は、法務省、内閣法制局、人事院がそれぞれ作成。法務省と人事院の文書は二十日に提出したが、文書作成日が記されていないと野党に批判され、「1月22日」「1月24日」と追記して二十一日に再提出した。一月三十一日の閣議決定前に法解釈を変えたと主張するためだ。

だが、文書には解釈を見直したと理解できる記載はない。検察官は国家公務員法の定年延長制の適用外とした一九八一年の政府見解に触れず、変更すべき旧解釈を示していない。法務省が定年延長は八五年から検察官に適用可能だったとの見解を示し、内閣法制局、人事院が順に了承したことを記しているだけだ。

この見解に基づき、政府は定年延長の閣議決定から二週間、法解釈変更に触れなかった。対応を変えるきっかけは、立憲民主党の山尾志桜里氏が二月十日の衆院予算委で八一年見解の存在を指摘したことだ。定年延長は検察官に「適用不可」「適用可能」という相反する政府見解が併存する事態になった。

これを受け、首相は十三日の衆院本会議で、法解釈の変更に言及。その後、政府の説明は首相答弁とつじつまを合わせるために迷走した。法務省と人事院は二十一日の予算委理事会で、提出した文書は正式な決裁を経ていないと説明。二十一日夜には、法務省が「口頭による決裁を経た」と発表した。森法相は前日の審議で「決裁を取っている」と明言しており、野党は整合性を追及する構えだ。
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これに関して、朝日新聞系列のテレビ朝日も22日同じく、「野党は安倍政権が検察官の定年延長を可能とするため、法律の解釈を変えたその決定プロセスを明らかにするよう求めていました。20日に法務省は経緯を示しているとする内部文書を国会に提出しました。森(雅子)大臣は法務省内の『決裁を取っている』とし、正式な文書であることを強調していました。しかし、法務省は21日になって『口頭で決裁した』文書であると明らかにしました」と報道した。「よっしゃ、分かった」と口頭で決済するなど、証拠も残らないし、文書に記録しておくことが法治国家では当たり前の常識だろう。森雅子法相は東北大学法学部卒業後、弁護士になり2007年、第21回参議院議員選挙に自民党公認で福島県選挙区から立候補し、初当選した参院議員である。自分の答弁が矛盾していることは当の本人が熟知していよう。

野党に日本の独裁国家への転落を恐れる危機意識があるなら、いわゆる野党は出席を拒否するから、今週火曜日からの衆院予算委員会は空転するか、自公両党だけの単独審議になる。もっとも、与党の単独審議強行では、日本国憲法で「第四十一条【国会の地位、立法権】国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」とされた国会は、国会としては機能しなくなる。

こうした最中、大型豪華客船・ダイヤモンド・プリンセス号から新型コロナウィルスに対するPCR検査で陰性として下船した栃木県在住の60代の女性が高熱が出るなどの症状が出たため再検査したところ、実は陽性であることが判明した。まだ、COVID-19という新型コロナウィルス感染症(新型肺炎)を起こす同ウィルスの日本国内感染拡大は初期段階にあるが、アウトブレイク(自然消滅)するかエピデミック(局地的流行)で収まるか、パンデミック(世界的流行)になるのか、予測はつかない。

黒川弘務高検検事長の定年延長問題(民主主義の崩壊と独裁国家の出現をもたらす)と新型コロナウィルスの感染拡大防止は分けて対応する必要がある。安倍政権が、新型コロナウィルス感染拡大防止のために本問題を利用してはならない。ただし、疑惑のデパートと化し、それでも存続させている人物が黒川高検検事長との見方が強いことから、その保証はない。

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