バラク・オバマ大統領は議会(特に下院)がシリア侵攻に賛成しなくても、独断で侵攻する決意のようだ。中東の大国シリア侵攻は、中東情勢に巨大な影響を与え、世界経済を揺るがす可能性がある。
オバマ大統領は、9月4日、訪問中のスウェーデン・ストックホルムで、議会が対シリア攻撃を承認しなかった場合でも攻撃に踏み切るのかとの質問に対し、次のように答えたと報じられた。
「私は最高司令官として米国の安全保障のために行動する権利と責任を有している。大統領と議会が結束すれば、我々の対応はより強固なものになるだろう。」
要するに、議会(特に下院)の反対で「より強固なもの」にならなくても、シリア侵攻を行う決意を述べたものと解釈できる。しかし、中東の大国・シリアに侵攻すれば、原油価格の高騰など世界経済に重大な悪影響を与える。特に、円安政策をとっている日本に打撃は大きい。そもそも、イラク政府が化学兵器を使用したか否かは明確でない。次のロイター通信の記事を参考にされたい。
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[サンクトペテルブルク(ロシア) 5日 ロイター] – ロシアのサンクトペテルブルクで5日開幕した20カ国・地域(G20)首脳会合では、対シリア軍事行動への不支持を表明する動きが広がり、国連安保理の承認を得られなくても軍事介入に踏み切る構えを見せているオバマ米大統領への圧力が強まっている。
ロシアと中国、両国を含む新興5カ国(BRICS)のほか欧州連合(EU)もこの日、相次いで安保理の承認なしでシリアへ軍事介入する危険性を訴えた。
中国財政省の朱光耀次官は「軍事行動は世界経済に悪影響を及ぼし、特に原油価格に対しては上昇要因になる」と指摘。
BRICS首脳は、シリア10+ 件に対する軍事介入が実施されれば世界経済が阻害される恐れがあるとの懸念を表明した。
EU首脳は、シリア10+ 件での8月21日の化学兵器使用を「忌まわしい」行為と非難する一方、「軍事的な解決はあり得ない」とし、米国主導の軍事介入への支持を表明しなかった。
ただオバマ大統領が軍事行動を取り止める公算は小さい。大統領は安倍晋三首相との首脳会談の前に、シリアによる化学兵器使用は「悲劇であるばかりでなく、国際法違反であり対処しなければならない」と主張した。
オバマ大統領の側近は、大統領が夕食会の場で軍事介入への支持を取り付けるため、自身の考えを説明するとしていた。
ベン・ローズ米大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)は「シリアへの対応に関し、アサド政権に責任を負わせることに何カ月間も抵抗してきたロシアの立場を考えると、G20すべての国・地域から支持を得られるとは考えていない」と述べ、コンセンサスを得ることは困難との認識を示した。
これまでのことろ、オバマ大統領に全面的な支持を表明しているのはフランスのみにとどまっている。
ファビウス仏外相はG20出席のためロシアへ発つ前に「アサド大統領に罰が下されなければ、交渉はないと確信している」と述べた。
アサド政権の最大の支援国であるロシアは、シリア反政府派が化学兵器による攻撃を行った可能性があると主張。国連安保理の承認なしに軍事介入することは国際法に違反するとしており、普段はシリア問題でロシアと意見が対立している国々からも、安保理の承認なしで軍事行動に踏み切ることへの不支持が広がっている。
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こうなると、G20崩壊である。なお、ロシアのプーチン大統領はシリアには小規模な核兵器があり、誤爆すると重大な事態を招くと警告している。