「もはやデフレの時代ではない」というのは「今やスタグフレーションの時代」の意【加筆】

安倍晋三政権が「最早デフレの時代ではない」をキャッチフレーズにし始めたが、なんの事はない、デフレからスタグフーションへと深刻化したということである。円安政策により輸入物価が上昇、これが国内に波及して卸売物価、消費者物価の上昇につながっている。追い打ちをかけているのが、消費税の大増税。しかし、賃金は下がり続けている。面白い図を見つけた。

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これは、賃金は下がり続けているのに、円安政策と消費税率の引き上げで消費者物価、卸売物価は上がる。完全なスタグフレーションだ。これは、本サイトで指摘し続けてきたところだ。

「デフレでない」とか言うのなら、黒岩日銀は要するに、円札を刷って市中の国債を買う異次元金融緩和政策=量的金融緩和政策(国債の間接的な日銀引受け)をやめれば良いが、できないだろう。行き着くところは、ハイパー・スタグフレションだ。なお、混合診療の異常な拡大は人の生命もカネ次第という事態を招き、社会的共通資本(政府が国民の期待に答えて充実すべき社会資本、医療、年金、教育制度、環境)を破壊するものでしかない。安倍政権の「第三の矢」は「毒矢」である。

以下、「政府の機関紙」とも言われる産経新聞、「政府の主張を世界に、世界の動きを曲げて伝える」通信社と言われる時事通信社の記事を引用する。取り敢えず、消費税増税後の日本経済が撃墜されていることを伝えざるを得なくなっている。

◎4月の国際収支は3カ月連続で経常黒字 76%減で過去最少に、貿易赤字続く
URL http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140609/fnc14060909540003-n1.htm
引用:
2014.6.9 09:54
 財務省が9日発表した4月の国際収支(速報)によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は前年度比76・1%減の1874億円となった。3カ月連続の黒字となったが、4月としては比較可能な昭和60年度以降で過去最少の黒字幅だった。
:引用終了

◎4月の実質賃金3・1%下落 消費税増税の影響、ベア反映まだ
URL http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140603/biz14060322100030-n1.htm
引用:
 厚生労働省が3日発表した4月の毎月勤労統計調査(速報)によると、1人当たりの現金給与総額に物価変動の影響を加味した実質賃金指数は、前年同月比で3・1%下落した。平成21年12月(4・3%減)以来のマイナス幅だった。
:引用終了

◎4月の小売売上高、過去14年間で最大の減少-消費税増税響く
URL http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N6BB1P6JTSEW01.html
引用:
 5月29日(ブルームバーグ):4月の小売売上高は少なくとも過去14年間で最大の減少となった。1997年以来の消費税率引き上げが響いた。経済産業省が29日発表した4月の小売売上高 は前月比13.7%減。ブルームバーグ・ニュースによる予想中央値は11.7%減だった。
:引用終了

◎4月実質消費支出、前年比4.6%減 東日本大震災以来の減少幅 
URL http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL300FX_Q4A530C1000000/
引用:
総務省が30日発表した4月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり30万2141円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月に比べ4.6%減少した。4月の消費増税に伴う駆け込み需要の反動減で、東日本大震災が起きた2011年3月(8.2%減)以来、3年1カ月ぶりの落ち込み幅だった。減少は2カ月ぶり。
:引用終了

◎4月の百貨店売上高、12%マイナス 宝飾品は4割減も
URL http://economic.jp/?p=35139
引用:
日本百貨店協会が発表した4月の百貨店売上高は4172億円あまりで、前年同月比-12%となった。消費増税前の駆け込み需要の反動で、6ヶ月ぶりのマイナス。ただ97年の消費税引き上げ時と比べると、その差は小さい。前回は3月の駆け込み需要が+23%、4月以降の反動減が-14%だったが、今回は駆け込み需要が25.4%と前回を2.4ポイント上回る一方、4月の減少幅は前回から2ポイント縮小するなど、底堅さもある。
:引用終了

◎4月スーパー売上高5・4%減 消費増税、天候も影響
URL http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-225729-storytopic-4.html
引用:
日本チェーンストア協会が21日発表した4月の全国スーパー売上高は、消費税増税前の駆け込み需要の反動減に加え、天候不順も影響し、既存店ベースで前年同月比5・4%減となった。前年を下回ったのは3カ月ぶり。下落率は前回増税時の1997年4月(4・6%減)より大きかった。
:引用終了

◎4月マンション発売39%減 首都圏、駆け込みの反動
URL http://www.sakigake.jp/p/news/seikei.jsp?nid=2014051901002036
引用:
 不動産経済研究所が19日に発表した4月の首都圏(1都3県)のマンション発売戸数は、前年同月比39・6%減の2473戸となり、3カ月連続で前年実績を下回った。消費税増税による駆け込み需要の反動が響き、大きく減少した。
 リーマン・ショックの影響を受けた2009年3月(46・2%減)以来の大幅な落ち込み。前回の消費税増税時の1997年4月(41・0%減)に匹敵する水準となった。
:引用終了

◎4月ビール類出荷21%減=消費増税の駆け込み反動
URL http://www.jiji.com/jc/zc?k=201405/2014051400357
引用:
ビール大手各社が14日発表した4月のビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)出荷量は、3月に消費税率引き上げ前の駆け込み需要が膨らんだ反動で、前年同月比21.0%減の2944万ケース(1ケース=大瓶20本換算)に落ち込んだ。減少幅は1992年の統計開始以来過去最大で、前回の消費税増税時の97年4月(6.5%減)を大幅に上回った。
:引用終了

この国は、政治、経済、外交・軍事すべての歯車が狂ってきた。

Otsuka max_weber

 

 なお今後、日本が生き残る道は、

  1. 政治的には、共産党と社民党という時代遅れのオールド左翼が「科学的社会主義」とい名の非科学的なマルクス・レーニン主義と決別し、欧州で一定の政治勢力を勝ち得ている社会民主主義を日本に創造的に適用することで、自民党の補完勢力となっている現状を打破すること。
  2. 民主党の悪徳分子が早く脱党し、基本的人権の尊重・国民主権・平和主義・国際協調主義を徹底化する革新勢力VSこれらを阻止し、弱肉強食と戦争を好む反動勢力の構図に政界を再編すること。
  3. 経済的には新自由主義という現代の「悪魔の思想」を徹底的に批判し、克服すること。
  4. 明治維新の傑物・ジョン・万次郎が米国で学んだユニテリアン思想(三位一体論の揚棄と万人救済を基調とする)を創造的に発展させた共生共栄友愛主義に基づいた政治勢力を結集すること。
  5. 新自由主義によって崩壊し、世界最大の借金国家になっている米国とその家来である英国(アングロ・サクソン国家)が中露に勝てるわけがない。従って、安倍政権の下、米国の「財布国家」、「傭兵」がカネをもらえない「傭兵国家」となる日本が米国と共に没落するのは必至だ。これを避けるためには、安倍政権とその補完勢力を打倒し、救国政権を樹立すると共に、東アジア共同体を創造する以外にない。なお、これは反米を意味しない。米国を救うことを念頭に置く必要がある。

である。

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