安倍晋三首相は11月21日にも衆議院を解散し、12月師走の総選挙になる。結果は、自公で過半数を維持し、安倍政権は新自由主義=新自由放任主義=弱肉強食主義=掠奪主義をフル回転させる公算が大きい。国民が自公政権に痛めつけられているのに、「生体反応を失った」(亀井静香衆院議員)からである。その結果、新自由主義という「悪魔」が猛威を振るい、日本は奈落の底に突き落とされるだろう。ただし、世界に資金を供給している日本の没落は、米国を派遣国家としたブレトンウッズ体制を根本から揺るがす。世界は終末を迎えよう。

日本国首相としての立場に「敬意」を表して、記者会見冒頭部分を掲載する。ただし、矛盾に満ち満ちており、一国の首相の解散宣言とは思えないほどの内容である。
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総裁記者会見
安倍晋三内閣総理大臣 消費増税延期・衆議院解散に関する記者会見
平成26年11月18日(火)19時10分
冒頭発言

本年4月より、8%の消費税を、国民の皆様にご負担頂いております。5%から8%へ、3%の引き上げを決断したあのときから、10%への更なる引き上げを、来年予定通り、10月に行うべきかどうか、私は、ずっと考えてまいりました。消費税の引き上げは、わが国の世界に誇るべき、社会保障制度を次世代に引き渡し、そして、子育て支援を充実させていくために必要です。だからこそ、民主党政権時代、私たちは野党ではありましたが、税制改革法案に賛成いたしました。

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しかし、消費税を引き上げることによって、景気が腰折れしてしまえば、国民生活に大きな負担をかけることになります。そして、その結果、税率を上げても、税収が増えないということになっては、元も子もありません。経済は、生き物です。昨日、7月、8月、9月のGDP速報が発表されました。残念ながら、成長軌道には戻っていません。

消費税を引き上げるべきかどうか、40名を超える有識者の皆さんからご意見を伺いました。そして、私の経済政策のブレーンの皆さんから、ご意見をうかがい、何度も議論を重ねてまいりました。そうしたことを総合的に勘案し、デフレから脱却し、経済を成長させる「アベノミクス」の成功を確かなものとするため、本日、私は、消費税10%への引き上げを、法定通り、来年10月には行わず、18か月延期すべきである、との結論に至りました。

しかし、ここで皆様に申し上げておきたいことは、「三本の矢」の経済政策は、確実に、成果を挙げつつあります。経済政策において、最も重要な指標。それは、いかなる国においても、雇用であり、賃金であります。政権発足以来、雇用は100万人以上増えました。今や、有効求人倍率は、22年ぶりの高水準です。この春、平均2%以上、給料がアップしました。過去15年間で最高です。

企業の収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、そして、消費が拡大していく。そして、景気が回復していくという「経済の好循環」が、まさに生まれようとしています。ですから私は、何よりも、個人消費の動向を注視してまいりました。昨日発表された7月から9月のGDP速報によれば、個人消費は、4月から6月に続き、1年前と比べ、2%以上減少しました。現時点では、3%分の消費税率引き上げが、個人消費を押し下げる「大きな重石」となっています。

本年4月の消費税率3%引き上げに続き、来年10月から2%引き上げることは、個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなると判断いたしました。9月から政労使会議を再開しました。昨年、この会議を初めて開催し、政府が成長戦略を力強く実施する中にあって、経済界も、賃上げへと踏み込んでくれました。

ものづくりを復活させ、中小企業を元気にし、女性が働きやすい環境を創る。成長戦略をさらに、力強く実施することで、来年の春、再来年の春、そして、そのまた翌年の春、所得が着実に上がっていく状況を創り上げてまいります。国民全体の所得をしっかりと押し上げ、地方経済にも景気回復の効果を十分に波及させていく。そうすれば、消費税率引き上げに向けた環境を整えることができると考えます。そのためにも、個人消費のテコ入れと、地方経済を底上げする、力強い経済対策を実施します。次期通常国会に必要となる補正予算を提出してまいります。

財政再建についてお話しいたします。

社会保障・税一体改革法では、経済状況を見て、消費税引き上げの是非を判断する、とされています。今回は、この「景気判断条項」に基づいて、延期の判断をいたしました。しかし、財政再建の旗を降ろすことは、決して、ありません

国際社会において、わが国への信頼を確保しなければなりません。そして、社会保障を次世代に引き渡していく、責任を果たしてまいります。安倍内閣のこうした立場は、一切、揺らぐことはありません。来年10月の引き上げを18か月延期し、そして18か月後、さらに延期するのではないか、といった声があります。再び延期することは、ない。ここで、皆さんにはっきりと、そう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく、確実に実施いたします。3年間、「三本の矢」をさらに前に進めることにより、必ずや、その経済状況を作り出すことができる。私は、そう決意しています。

2020年度の財政健全化目標についても、しっかりと堅持してまいります。来年の夏までに、その達成に向けた、具体的な計画を策定いたします。「経済再生」と「財政再建」。この二つを同時に実現していく。そのための結論が、本日の決断であります。ただいま申し上げた内容を実現するために、来年度予算の編成にあたるとともに、関連法案の準備を進め、来年の通常国会に提出いたします。

このように、国民生活にとって、そして国民経済にとって、重い、重い決断をする以上、すみやかに、国民に信を問うべきである、そう決心いたしました。今週21日に、衆議院を解散いたします。

消費税の引き上げを18か月延期すべきであるということ。そして、平成29年4月には、確実に10%へ消費税を引き上げるということについて。そして、私たちが進めてきた経済政策、成長戦略を、さらに前に進めていくべきかどうかについて、国民の皆様の判断を仰ぎたいと思います。

なぜ、今週の解散か。説明いたします。国民の皆様の判断を仰いだうえで、来年度予算に遅滞をもたらさない、ギリギリのタイミングであると考えたからであります。現在、衆議院において、私たち連立与党、自民党、公明党は、多くの議席を頂いております。本当にありがたいことであります。「選挙をしても、議席を減らすだけだ。何を考えているんだ」という声があることも、承知をしています。戦いとなれば、厳しい選挙となることは、もとより覚悟の上であります。

しかし、税制は、国民生活に密接に関わっています。「代表なくして課税なし」。アメリカ独立戦争の大義です。国民生活に大きな影響を与える税制において、重大な決断をした以上、また、私たちが進めている経済政策に賛否両論あります。そして抵抗もある、その成長戦略を、国民の皆様とともに進めていくためには、どうしても、国民の皆様の声を聞かなければならない、と判断いたしました。

「信なくば、立たず」。国民の信頼と協力なくして、政治は成り立ちません。今、「アベノミクスに対して、失敗した、うまくいっていない」というご批判があります。しかし、では、どうすれば良いのか。具体的なアイディアは、残念ながら、私は一度も聞いたことがありません。批判のための批判を繰り返し、立ち止まっている余裕は、今の日本にはないんです。

私たちが進めている経済政策が間違っているのか。正しいのか。本当に他に選択肢があるのかどうか。この選挙戦の論戦を通じて、明らかにしてまいります。そして国民の皆様の声をうかがいたいと思います。思い返せば、政権が発足した当初、大胆な金融緩和政策に対しては、反対論ばかりでありました。法人税減税を含む成長戦略にも、様々なご批判をいただきました。しかし、「強い経済を取り戻せ。」

それこそが、2年前の総選挙。私たちに与えられた使命であり、国民の声であると、そう信じ、政策を、前へ、前へと、進めてまいりました。岩盤規制にも、挑戦してまいりました。あれから2年。雇用は改善し、賃金は上がり始めています。ようやく動き始めた「経済の好循環」。この流れを止めてはなりません。15年間苦しんできたデフレから、脱却するそのチャンスを、皆さん、ようやく掴んだんです。

このチャンスを手放すわけにはいかない。あの暗い、混迷した時代に、再び戻る訳にはいきません。デフレから脱却し、経済を成長させ、国民生活を豊かにするためには、たとえ困難な道であろうとも、この道しかありません。景気回復、この道しかないんです。

国民の皆様のご理解を頂き、私は、しっかりと、この道を前に進んでいく決意であります。

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 全く支離滅裂な冒頭発言である。「経済は生き物」と言っておきながら、消費税再増税法案の景気条項を削除し、平成29年4月には必ず再増税を行うという。これだけで、話にならない。要するに、経済社会のセーフティネットは破壊するというのが、アベノミクスの本領なのである。また、企業の収益が増え、賃金が上昇したとか、雇用が増えたとか言うが、家計の実質最終消費支出は前年比でどんどん落ち込んでいる。超金融緩和による円安・輸入インフレで物価が上がっているのに、消費税大増税で日本経済が撃墜され、給与・賃金そして給与・賃金から必要経費を差し引いた所得は増えないからである。要するに、デフレ不況がもっとタチの悪いスタグフレーションに突入しているのである。

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