厚生労働省が大きな集会やスポーツ大会の自粛を求めている中、朝日新聞21日付の声の欄に「医療関係者はオリンピック開催延期提案を」のオピニオンが掲載された。

政府=安倍政権の一組織である厚生労働省が事実上、多人数での集会やスポーツ大会の自粛を禁止している中、朝日新聞の声の欄に東京オリンピックまでの新型コロナ感染の終息は困難だとして「医療関係者は五輪開催延期提案を」とのオピニオンが掲載された。

通常、声の欄には新聞各社の社説や一面下段コラムに掲載される新聞社の社論に近い読者のオピニオン(意見)が掲載される。こうしたオピニオンが掲載されるということは、朝日新聞社も夏に予定されているオリンピックやパラリンピックの開催に危惧を持ち始めたということだろう。

厚労省が大きな大会の自粛を求め始めだしたのに、夏のオリンピック、パラリンピックの開催を度外視するなら、これは矛盾以外の何物でもない。新型コロナウィルスの終息のためには、➀コロナウィルスが自然消滅する②免疫力をつけるための抗体ワクチンを開発する-のいずれかしかないが、前者は奇跡が起きるしかない。問題は後者だが、東京三多摩のある総合病院の内科医師によると、新型コロナウィルスの解析の結果では同ウィルスはワクチンを作りにくい構造をしており、ワクチン開発には少なくともかなりの時間がかかるし、場合によっては出来ない可能性もあることを示唆した。

東京都杉並区和田にある立正佼成会病院。入院患者に新型コロナウィルスで新型肺炎に罹患している方が判明。中国人など外国人の診察来院が多い。

また、同病院の薬剤師によると、医師が新型コロナウィルスにかかった場合、その病院は厚労省の指導により閉鎖(に近い)措置が採られるという。東京都杉並区和田にある立正佼成会病院では2月18日、新型コロナウィルスによる新型肺炎の入院患者が出たことから、甲能直幸院長名で次のような告示が同病院のサイトに出ている。

「当院に入院された患者さんに新型コロナウィルスへの感染が確認されたため、現在、行政機関指導のもと所管保健所と連携を図り対応を進めております。感染拡大防止のため、安全が確認されるまでの間、外来診療を休診とさせていただくこととしました。安全が確認でき次第、外来診療を再開いたします。また、安全が確認されるまでの間は、入院患者さんへの面会も中止させていただきます。併せてご理解いただきますようお願い申し上げます。 休診の間、定時処方や処置が必要な方はご相談ください。また、ご予約の変更は当面お受けできません。診療再開につきましては、ホームページ上でご案内させていただきます」

つまり、外来診療の中止に追い込まれたわけだ。通院患者の対応にはそれなりの処置が採られようが、一刻も早く入院患者・医師・検査技師・看護師・事務職員など全員に対してPCR検査の実施を急ぐべきだ。宮城県仙台市にある日本微生物研究所によると、「PCR法は、増やしたい遺伝子のDNA配列にくっつくことができる短いDNA(プライマー)を用意し、酵素の働きと温度を上げ下げすることで、目的の遺伝子を増やす方法です。増えたDNAを染め出す特殊な装置に入れる事で、増えた遺伝子を目で確認する事ができます。検体の中に増やしたい遺伝子があれば増えて目で確認することができ“陽性”と判定されます。しかし、検体の中に遺伝子がなければ増えないので、目で確認することはできず、 “陰性”と判定されます」というものである。

PCR検査装置製造会社はサイト管理者が調べたところ16社だったが、日本の製造会社はフル稼働を行い、増産に全力を尽くして欲しいと思う。まずは、病院が次のダイヤモンド・プリンセス号になる恐れがもっとも高いため、院内感染阻止のため、PCR検査装置は当然ながら、総合病院を主として全国の病院・開業個人医院から卸すべきだ。そうして、院内感染を完全に防ぐ必要がある。

さて、第二の武漢市になった大型豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号に関してだが、同号は2020年1月20日、横浜港を出発、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、および沖縄に立ち寄り、沖縄で入国審査した後2月3日に横浜港に帰港した。この航行中の1月25日に香港で下船した乗客が1月19日から咳をみとめ、1月30日に発熱し、2月1日に新型コロナウイルス陽性であることが確認された。そのため、日本政府は2月3日横浜港に入港したダイヤモンド・プリンセス号に対し、その乗員乗客の下船を許可しなかった。

この2月1日の時点では、新型コロナウィルスの感染力が極めて強いことが判明していたことから、政府=安倍晋三政権の下にある厚労省は、レッド・ゾーン、グリーン・ゾーンを設け、客室からの移動の禁止の措置をとるとともに、発熱などの乗員・乗船からPCR検査を行うことは当然だが、それ以外の全員の乗客・乗員に対してPCR検査を行うべきであった。そして、陽性の患者は直ちに専門医療機関に移動してもらい、適切な措置を講じ、陰性の乗員・乗客もすぐに帰宅してもらうのではなく、適切な場所に隔離し、経過観察を行った後、帰宅に応じるなどの措置を講ずべきだった。

ところがそうしなかったから、2月19日時点で、各方面からの批判で全員検査を余儀なくされ、検査された3011人のうち陽性が確認されたのは621人にまで急増している。わずか1人の感染者が621人まで膨れ上がったことになる。明らかに、安倍政権のもとで動いている厚労省の「防疫対策」に問題がある。感染率は20.6%と低下はしているが、安倍政権の意向を忖度していることは当然だから、正確な情報かどうかは不明だし、陰性の乗員・乗客をそのまま帰宅させるのも重大な問題だ。米国が搬出した乗客は軍の施設で2週間ほど待機して、経過を観察する。米国は、中国人と中国に滞在したことのある外国人の入国は拒否した。ところが、政府=安倍政権は、自慢の観光客が減る恐れがあったことから、これらの外国人の入国は認めた。ザルから水が漏れるような「水際対策」しか行わなかった。

なお、厚生労働省は大型豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号で新型ウィルスに感染した乗員・乗客のうち日本人を国内感染者数に入れていない。しかし、同豪華船は横浜港に3日入稿する前の2月1日に沖縄県の那覇港に寄港して乗員・乗客が上陸している。この時点で、日本人乗客・乗員は日本に帰国したとみるのが当然である。同省は世界保健機構(WHO)の指示に従い、同船での日本人乗客・乗員の感染者数を日本国内の感染者数に加えていない。しかし、普通に考えれば日本人感染者数に数えるべきである。政府=安倍政権の意向を忖度する日本のメデイアでさえ、1月20日の時点で「この船の中で事務作業をしていた厚労省と内閣官房の2人の感染が確認されたほか、北海道・千葉・神奈川・愛知・福岡・沖縄の1道5件で8人の感染が確認された。国内の感染者数は、合わせて728人となった」(読売新聞社系列の日本テレビ)と報道している。WHOの威光を借りてか結託してかは判らないが、真実を隠蔽しようとしていることは確かである。

東京新聞Webサイトより

こうした深刻な状況の下で政府は20日、現在の景気判断として「景気は、輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と 増した状態が続いているものの、緩やかに回復している」と、楽観的にすぎる景況把握を公表した。もとろん、「新型コロ ナウイルス感染症が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある」との文言も入れ、景気悪化が鮮明になった場合に、新型コロナウィルスのせいにする布石も打っている。正しくは、景気情勢が悪化している中で、財務省に公文書偽造まで行ってもらい助けてもらった弱みを握られ、消費税増税を強行せざるをえなくなったことで、内需の主力になる個人消費の落ち込みを主因に、景気動向指数などの主要指標が軒並み景気の後退を明瞭に示し、昨年第4四半期の国内総生産(GDP)の大幅悪化がこれを決定的なものにした。なお、米中・日韓防疫戦争や新型ウィルス拡散による経済への悪影響はこれに追い打ちをかけるものに過ぎないのである。

新型ウィルス感染拡大防止や新型肺炎対策の充実、景気悪化阻止は、政府=安倍晋三政権の退陣が最良の策である。

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