れいわ新選組の次期総選挙公認候補発表の波紋(追加補強)

れいわ新選組が17日、次期衆院選の第1次公認13人のうち、首都圏で出馬予定の7人を発表したことが波紋を広げている。フジ・サンケイグループなど政府の御用メディアは「野党の分裂」と騒いでいるが、分裂選挙になるのは自公両党と、いまだ自公の指示で動いている連合の支配下にある事実上第二自公に成り下がった立憲民主党と国民民主党である。

れいわ新選組は次期総選挙で首都圏で出馬予定の7人を発表した。残りの候補者は各地域で順次発表、次期衆院選で100~131人の公認候補を擁立する方針だ。公認候補の総数は全国からの寄付金で決まる。全国で11ある比例代表ブロックごとに擁立目標を掲げる。山本太郎代表は記者会見で「野党の中で一定の影響力を握るため2ケタに議席を乗せたい」と語った。

山本代表はいわゆる立憲、国民との野党共闘、選挙区調整は否定しないが、野党共闘の大原則はあくまでも政策での一致が前提。最低限、消費税減税(当面は税率5%への引き下げ)で合意できなければ、表面的な野党共闘は実現しない。

マスコミもこの点を煽る。しかし、立憲と国民は自公両党の御用組合である日本労働組合総連合会(連合)の支配下にある。連合はまだ「税と社会保障の一体的改革」の呪文を唱えており、国民の望んでいる消費税減税とは逆の方向を向いている。また、最低賃金の1500円への引き上げのほか、2011年3.11のフクシマ第一原発事故から9年も経つのに「原子力緊急事態宣言」がまだ解除されていない(1年間での国民一人あたりの放射線被ばく許容量を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げたまま)中での原発稼働即時停止は当然だが、電力総連の力が極めて強いことから、これには大反対である。だから、立憲と国民両党はれいわ新選組の政策を受け入れることはない。要するに、国会の予算委員会などで政府=安倍政権を追及しているが、同政権の刑事犯罪疑惑だけであり、本来の野党としての仕事はしていない。

国会とは、国民の生命と暮らし、財産を守り、経済社会を豊かにするための政策を論議するところだ。政府=安倍政権が7年もアベノミクスを続けたため、日本の経済社会は疲弊の限りだ。一国の経済のパフォーマンスを示す最重要指標の実質経済成長率は、第二次安倍政権時代は1.3%に過ぎず、かつての民主党政権時代の平均1.8%よりも低い。一人あたりの国内総生産(GDP)は世界ランキングで26位まで劇的に低落している。また、大企業を中心に企業の2018年度の内部留保は金融業・保険業を除く全産業ベースで、前年度比3.7%増の463兆1308億円となった一方で、国民の実質賃金水準は5%も低下、大企業・高所得者と庶民の間に大格差社会が出現した。

世界経済のネタ帳によると、実質経済成長率と名目経済成長率(ドルベース換算)の推移は以下の通り。2018年の経済成長率ランキングは米国104位、韓国113位に対して、日本は170位と全く冴えない。アベノミクスの成長戦略が成功したというのは、嘘に過ぎない。ニュースサイト・noteによると、名目経済成長率は米ドルで測った国際比較が重要だが、それも下図のように停滞している。2012年から2015年まで国内通貨ベースではそれなりの成長があったが、それ以降はほとんどゼロ成長だ。中国に抜かれて久しいし、経済現代化を推進するインドにも近く追い越されそうだ。2月26日の予算委員会では、日本維新の会・無所属の会の遠藤敬衆院議員がアベノミクスなるものが成長したと提灯質問を行い、安倍晋三首相も喜々として回答していたが、こんな三文芝居をするようでは、国会も地に堕ちたものだ。

実質経済成長率(実質国内総生産の増加率)
名目国内総生産(GDP)の増加率
名目国内総生産(GDP)の実額(円ベース)の推移

2019暦年はIMFの見通し。第一次速報値では実際はこれより少く556兆441億円。2020暦年は景気後退にコロナウィルス、米中貿易戦争継続などが重なって、実質、名目経済成長率ともマイナス成長に陥る可能性が高いと思われる。日本維新の会の遠藤敬衆院議員が賛美した財政収支状況も大して変わりがない。社会保障費を中心としたプログラム支出の削減によるところが大きい。ただし、中央政府に地方自治体、公的年金など社会保障基金を加えた一般政府レベルでの財政収支はかいぜんしており、総資産から総債務を差し引いた正味資産は2017年末で39兆2748億円であり、日本は全く財政危機の状態にはない。財務省が財政危機を煽るのは、消費税増税を今後も実施していきたいからである。

財務省による一般会計の歳入、歳出の推移

主要国の名目経済成長率のドルベースでの比較図を引用しておく。

ニュースサイト・note(https://note.com/sakagami3003/n/n50a743dcbca8)による

財政政策は行わず、実質的に財政法違反(第五条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない)になってしまっている日銀による国債の市中買上げや市中金融機関が日銀に預ける金利をマイナス金利にするという黒田バズーカ砲を撃っても、カネは市中に回らないから経済活動は萎縮したままで、物価は適切に上がらず、デフレの脱却には失敗した。黒田日銀の完全な破綻だ。

その根本には、1989年4月1日から導入した消費税のたび重なる増税がある。この消費税増税によって国民の購買力はすっかり失われた。また、消費税の増税による税収増は所得税の累進税率の引き下げ、法人3税の減税に使われた。日本の財政が危機であるとか(それなら、国際情勢が険悪な情勢になり、為替相場が円高になった際にいつも「安全資産として円が買われた」と報道されるのは何故か)、社会保障と税の一体的改革などは完全なデタラメである。上に「阿」のつく東大法学部卒業生(OB)で固められた財務省は国益よりも省益の追求に余念がなく、利権を獲得できない社会保障費などプログラム支出を削り、裁量支出を増やそうとする習性がある。

アベノミクスは小泉純一郎政権以来強化された財政政策を完全否定する新自由主義(実際は自由放任主義で今だけ、カネだけ、自分だけの三だけ主義をもたらした)に過ぎず、冷戦後の「グローバリズム時代」の基本政策だったが、リーマン・ショックを引き起こすなど反動経済政策以外の何ものでもない。

真の野党ならアベノミクス=新自由放任主義政策の失敗を追及し、それに変わり得る財政・税制の抜本改革を中心とした共生共栄型の社会民主主義を提示すべきである。ところが、期待された立憲、国民はまったくそうしていない。パフォーマンスを見せているだけだとの識者の見方も強い。

政策論争の次の野党の使命は、与党が組織した政府を監視することである。今はこちらしかやっていない。しかし、政策論争を堂々と行わない野党が政府の不祥事を追及したとしても、パフォーマンスにしか見えない。場合によっては、パフォーマンスの裏で安倍政権に賛成する。亡国の日米FTAを国会で批准させてあげたのだ。れいわ新選組の山本代表はこの裏取引を猛烈に批判している。

国民がマスゴミと揶揄されるマスコミの「報道」しない真実を知れば、立憲も国民も自公と同じに映る。このため、票が割れるのは立憲・国民と自公支持者の間である。単に、野党共闘と称して選挙区・候補者調整にとどまるだけでは、投票率は上がらない。民主党が政権を獲得した2009年8月30日の総選挙での投票率は69.28%だった。基本的に昭和の時代は70%台をキープしていたが、今では50%を少々上回るに過ぎない。国民が国会が議員特権を享受するだけの政治屋で占められている現状から政治に期待を持てず、曲がりなりにも存在していた国民主権を柱とする民主主義を諦め、独裁時代を許容し始めたからだ。

なお、「野党勢力」の調整役としてれいわ新選組と消費税減税の政策合意を行っている日本共産党の志位和夫委員長の名前が上がっているが、果たしてどうするのか。日本共産党は1月の党大会で党綱領を改定し、中国を覇権国家として「共産主義」とは縁もゆかりもない国と規定し直したが、根本問題はカール・マルクスの資本論に従って、ユートピア社会を実現するという「生産手段の社会化」が何を指すのか明確な説明がないことだ。さらに、同委員長は党名も変更しないと断言している。こういう状況では、いわゆるスターリン主義を払拭するのは困難だろう。日本共産党は、マックス・ウェーバー=大塚史学が暗に指摘しているように、共産主義思想の背後にキリスト教があることを認識すべきだろう。志位委員長が固執している史的唯物論はウェーバー=大塚史学が打ち出した辺境革命論で正しく評価出来る。辺境革命論ついては別途、記事を投稿する予定です。

これらのため、れいわ新選組の総選挙候補擁立は最悪の場合でも同党がキャスティングボードを握る政党として飛躍する結果を生み出すことになろう。なお、支持率が大幅に低下した立憲でも国民でも当選回数の少ない衆院議員は焦っていると見られる。なお、千葉八区から立候補する元職の太田和美氏は、いわゆる小沢ガールズのひとりであることも注目に値する。

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