将来の首相の器としての力量が問われる新立憲・枝野代表ー菅義偉政権誕生

憲法を破壊する暴政を行ってきた安倍晋三政権の政策を受け継ぐ菅義偉新政権が本日誕生する。これに対して8月15日、新立憲民主党の結成大会が開かれ、枝野幸男代表は菅新政権に対抗する政権選択肢を打ち出したが、迫力がない。最大の問題は少なくとも①消費税凍結を含む不公平税制の抜本改革②緊縮財政から積極財政への抜本転換ーが立憲の公約に明記されないなど、経済政策が事実上ないことだ。これでは、新自由主義よる緊縮財政・消費税の強行で国民生活が破壊され、さらにコロナ禍の追い打ちで生存権をも脅かされている国民の野党に対する失望感と与野党に対する政治不信を払拭することはできない。枝野代表の意向とも見られるが、これでは「国民の生存権」を守ることが第一の首相としての器に欠ける。総選挙までに新立憲のベテラン、中堅、若手の議員が上記の線に沿って経済政策を選挙の柱にさせるべきだ。

◎追記:16日の新型コロナ新規感染確認者は、東京都で2日連続100人を上回る163人。東京都基準の重症者は、前日より2人増えて23人。7日移動平均だと1日当たりの感染者数は181.3 人、陽性率は3.5%。全国では午後20時00分の時点で551人、13人が亡くなられた。今月14日には速報値で、1日に1万8654件のPCR検査が行われたため、推測瞬間陽性率は3.0%。
◎追記:菅内閣が発足したが、安倍内閣(安倍政権)の路線を引き継ぐシナリオ通りの日本国憲法破壊・権力私物化内閣であるから、本来なら所信表明演説の後に予算委員会を中心に徹底追及が必要だ。最も、応じることはないだろう。菅首相を叩き上げの首相として絶賛する報道がNHKなどから拡散されているが、出身地の秋田県にイージス・アショアの建設を認め、恩を受けた神奈川県横浜市に未だにカジノを含む統合リゾート(IR)を誘致する(米国のIR業界はコロナ禍で日本に進出する余力などはない)ことに懸命になるなど、平気で恩を仇で返す人物であることを知らなければならない。

安倍政権が強行した集団的自衛権の行使容認(新安保法制)や検察官(東京高検検事長)の定年延長も、憲法や法律の改正が必要であるが、現在の立憲主義は否定し、日本国憲法を破壊するのが同政権および後継の菅新政権の目標だから、自公与党にとっては当然のことである。しかし、これは、対米隷属の下、戦前のファシズム政権に回帰する以上の極めて危険なことである。次の写真は新立憲の団結を訴える枝野氏だが、向かって右側に副代表に就任した小沢一郎衆院議員(新立憲結成の影の立役者)の側近である森ゆう子参院議員がいる。

新立憲民主党の結成大会で党内の団結を訴える枝野幸男代表

新立憲民主党の結成大会で党内の団結を訴える枝野幸男代表

このためには、野党第一党である立憲が、「野党共闘」の音頭を取り、政権を奪取できる業力な「野党統一戦線」を築き、安倍政権・菅新政権に対峙できる明確な政権選択肢を国民の前に示さなければならない。立憲の綱領では、弱肉強食で自己責任・政府無責任の新自由主義に対する批判を前提に、①立憲主義の深化②原発ゼロ社会の1日も早い実現③共生主義ーを掲げているが、前2項はそれなりに評価できる(ただし、①原発建設・運営・電力コストが極めて割高であること②核燃料サイクルが破綻していること③特に地震に弱く、地震大国の日本などにとっては大変危険なことーから、世界の潮流になっている「原発ゼロ社会」については、綱領に時限の明記がないという問題がある)が、共生主義の実現については重大な欠陥がある。

共生主義の実現には、財源が欠かせない。それには、新自由主義に基づく緊縮財政(その象徴が消費税の度重なる強行増税)・構造改革という名の利権政策など経済政策の抜本転換が必要だが、立憲の新綱領には明記がない。これでは、コロナ禍のもと、日本一新の革新的な政策を打ち出している山本太郎代表率いるれいわ新選組との共闘は望めない。枝野代表は、「市民連合が野党との共闘を求めれば応える」と発言したかと思えば、「門戸は開かれている」などと言ってみたりして、市民連合やれいわ次第だと発言している。要するに、れいわの山本代表が真実を訴えるから、山本代表を嫌っているだけのことだ。

総選挙告示前までは明言しない高等戦術なら別だが、本気でそう考えているなら、「国民の生存権」を保証することが第一の責務である首相としての器量がないことになる。取り敢えず、①代表戦で消費税凍結を打ち出した泉健太衆院議員が政調会長に起用されたこと②馬淵澄夫衆院議員ら党のベテラン、中堅、若手議員に消費税凍結を求める者が多いーことから、枝野代表はこれらの声を謙虚に受け止めることが大切だ。日本国憲法の民主主義化を徹底させることが中心になる立憲主義を深化させるというのなら、枝野代表自身が独裁的体質を捨て、立憲主義の権化にならなければならない。

れいわは既に、立憲の衆院議員選出の小選挙区にも立候補者を擁立している。枝野代表が本気にならなければ、総選挙で野党側は分裂選挙ということになるだろう。その結果と責任は、自らが負わなければならない。枝野代表に首相の器がなければ、総選挙は野党乱立ということになる。

衆院議席数は安倍政権の憲法破壊と権力の私物化から大幅増であるのが当然であるのに、立憲は議席数を伸ばせないか、惨敗の可能性もある。その中で野党勢力は、日本一新を担う真正野党と政府の補完勢力に過ぎない似非野党に分解し、似非野党には自公側についてもらうようにしていかなければならない。なお、枝野ー福山哲郎幹事長ー安住淳国体委員長の執行部は引きずり降ろさなければならない。

なお、立憲とは対立する日本維新の会が消費税の8%以下への減税を主張していることや立憲に加わらなかった玉木雄一郎代表(任期2020年末)率いる新・国民民主党は消費税減税や100兆円の財政出動を打ち出している。日本共産党、れいわは消費税廃止が究極の目標である。これらの野党(日本共産党、れいわを除けば、前二者は「政府補完勢力」の似非野党であるが、維新はともかく、国民民主もそうであることは国民の間には十分には浸透していない)が消費税減税を打ち出している以上、消費税減税について何も政策を打ち出さなければ、真正野党の結集は不可能だ。次の図は、朝日デジタルのhttps://digital.asahi.com/articles/photo/AS20200915002024.htmlによる。

立憲民主党を取り巻く各党との関係

立憲民主党を取り巻く各党との関係(https://digital.asahi.com/articles/photo/AS20200915002024.html)

なお、昨日行われた新国民民主党では、原発再稼働を求める電力総連や多額の消費税の還付を受けられる電機連合傘下の労組からのメッセージが多数寄せられており、参加議員も現実的な防衛力強化や「独自の憲法改正の必要性」(山尾志桜里衆院議員)を訴えていた。ただし、Youtubeの動画を視聴したところ、集団的自衛権の容認には反対していたが、新国民が維新と組めば、集団的自衛権を容認するか、立場がなくなるかのいずれかになる。また、民主党(当時)の第一次政権(鳩山幸男首相ー小沢一郎幹事長)を追い出し、同党を内部から破壊させ、しかも、維新との関係が深い前原誠司衆院議員が代表代行になっていることから、「改革中道」とは叫んでいるけれども、実態は政府・与党補完勢力であると思われる。

この図から容易に推察されるように、枝野代表が、①積極財政と消費税凍結を含む不公平税制の抜本改革②原発再稼働の停止と原発ゼロ社会の早期実現③PCR検査、抗体検査の大規模検査(地域による)④格差社会の到来という日本社会分断の抜本的是正(例えば、不公平税制改革による財源を捻出した上での最低賃金の大幅な引き上げ)ーなどの大胆な政策を打ち出し、日本共産党や社民党はもちろん、れいわとも共闘を組まなければならない。国民に対しては、原発ゼロ社会の実現を踏み絵にすべきだろう。恐らく、踏み絵は踏まないだろうから、政府・与党の補完勢力であることが鮮明になる。そうしなければ、維新が政府・与党(菅新政権)の補完勢力であることは反安倍・菅勢力の間に浸透してきているから、野党側は立憲・日本共産党・社民とれいわ、国民が分裂選挙をすることになり、政権奪取は不可能になる。16日の国会の首相指名選挙で国民は枝野氏に票を投じたようだ。

なお、衆院で政権奪取が出来たとしても、参院は自公と維新、それに国民が掌握しているから、参院はことごとく衆院の議決に反対する。その場合は、衆院で日本一新を実現すべき「与党」勢力が3分の2以上の議席を確保しなければならない。それには、徹底して日本一新(真の意味での戦後政治の総決算)のための野党共闘を形成する必要がある。

さらに、日本共産党にはいつもスターリン主義の暗い影がつきまとい、現在の与党側や維新、国民からの反共攻撃にさらされる。そのためには、市場経済体制を柱にした資本主義体制を如何にして社会主義、共産主義体制に変革するか、哲学・歴史観・経済理論の全てにわたって国民に納得していただけるだけの理論を提示しなければならない。少なくとも、時限を区切って、そのことを明示的に国民に知らせなければならない。サイト管理者(筆者)はそれは不可能だと考える。その場合は、綱領と党名を変更すべきである。

また、小選挙区制度を導入しながらも、日本に二大政党制が根付いていないのは、日本を反共の防波堤にして、隷属化させるために日米行政協定(現在は日米地位協定)→旧安保条約→サンフランシスコ講和条約の順に日米協定を結ばせてきた米国が、対日隷属の日本の戦後政治体制を転換させないために、米国の中央情報局(CIA)が工作部隊になって、対米隷属の政治屋、官僚、経営者、大手メディアを中心に、真正野党勢力が結集するのを妨害してきたことにある(植草一秀氏、孫崎享白の論考による。立憲の小沢一郎衆院議員や東アジア共同体の鳩山由紀夫理事長らもその辺りの事情には精通していると思われる)。

かつては、民社党(春日一幸党首「反自民・非共産=半自民・反共産」)がその工作部隊であったが、現在は、日本維新の会はもちろんだが、「改革中道」を叫びながら、日本労働組合総連合会の主要産別労組である電力総連や電機連合の支持を享ける新・国民もそうした勢力であろう。日本国憲法は国民主権・基本的人権の尊重・真の意味での積極的平和外交主義が基本理念になっている。要するに、日本の政治体制は日本国民の政治に対する意識と関わりに依存している。この最大の原点を認識することが、日本一新のために最も重要だ。



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