2018年11月13日の内閣府内閣府日本学術会議事務局作成文書、当時の同会議幹部「知らず」と言明

内閣府内閣府日本学術会議事務局が作成したとされる2018年11月13日付の文書について、当時の日本学術会議関係者は「当時の山極寿一会長は在任中、政府から文書を含めこうした解釈を伝えられたことは、一切ありませんでした」語ったという。しんぶん赤旗10月16日版および田村智子参院議員(政策委員長)が16日の記者会見で明らかにした。

この文書は、サイト管理者(筆者)のサイトに保存している(https://www.it-ishin.com/wp-content/uploads/2020/10/naikakufu20181113.pdf)に保存しているが、日本国憲法15条1項を盾に取り、日本学術会議(以下、会議)の会員の実質的任命権を首相に容認したもの。最も重要な部分を下記に引用する。

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3.日学法第 7 条第 2 項に基づく内閣総理大臣の任命権の在り方について
内閣総理大臣による会員の任命は、推薦された者についてなされねばならず、推薦されていない者を任命することはできない。その上で、日学法第 17 条による推薦のとおりに内閣総理大臣が会員を任命すべき義務があるかどうかについて検訳する。
(1) まず、
①日本学術会議が内閣総理大臣の所轄の下の国の行政機関であることから、憲法法第 65 条及び第 72 条の規定の趣旨に照らし、内閣総理大臣は、会員の任命権者として、日本学術会議に人事通じて 一定の監督権を行使することができるものであると考えられること2憲法第 15 条第 1 項の規定に明らかにされているところの公務員の終局的任命権が国民にあるという国民主権の原理からすれば、任命権者たる内閣総理大臣が、 会員の任命について国民及び国会に対して責任を負えるものでなければならないことからすれば、 内閣総理大臣に、 日学法第 17 条による推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えないと考えられる。

②憲法第 15 条第 1 項の規定に明らかにされているところの公務員の終局的任命権が国民にあるという国民主権の原理からすれば、任命権者たる内閣総理大臣が、 会員の任命について国民及び国会に対して責任を負えるものでなければならないことからすれば、 内閣総理大臣に、 日学法第 17 条による推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えないと考えられる。
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日本学術会議法(以下、日学法)は、その第7条1項「 日本学術会議は、二百十人の日本学術会議会員(以下「会員」という。)をもつて、これを組織する」(定数条件)、第2項「 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」、第17条「優れた研究又は業績がある科学者の うちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦する ものとする」(推薦条件)と規定している。

この規定に従って、法改正された1983年の中曽根康弘総理大臣(首相)始め、政府側の法解釈に従って、内閣総理大臣は会議から推薦された人文科学者・社会科学者・自然科学者の名簿を受け取り、会議の会員として形式的な任命をするものと解釈されてきた。上記の文書はこの従来からの解釈を根本から覆すものであるが、論理が破綻していることは本サイトも含め、野党や有識者から指摘されてきた。

ところが、この文書について、しんぶん赤旗では次のように報道している。
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(日本学術会議)関係者によると、当時の山極寿一会長は在任中、政府から文書を含めこうした解釈を伝えられたことは、一切ありませんでした。
(中略)
取材に応じた当時の幹部は「今回、公表されるまで文書を知らず、報道で見て驚いた。当時もしこの文書が会員の間に出ていたら、かなりの問題になっていたと思う。学術会議の会員からすると、あの文書は正式の会議で公認されておらず、共有もされていないので何ら拘束力がない。政府があれを根拠に首相は任命拒否できるというのは全く筋違いだ」と批判します。

同会議事務局は文書を当時の会長らに見せたのかという本紙の質問に、「確認中」と答えています。
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内閣府日本会議事務局の作成文書の作成経緯について記者会見する日本共産党の田村智子参院議員(政策委員長)
内閣府日本会議事務局の作成文書の作成経緯について記者会見する日本共産党の田村智子参院議員(政策委員長)

従来の日学法の解釈の変更について、当時の山極寿一会長はじめ同会長を通して会議の会員に知らせず、黙っていたということは、①文書事態が無効である②内閣府の会議事務局が従来の会員任命に関する法解釈を会長にも知らせず独断で変更するなどということはあり得ないから、この重要事案が10月1日に発覚して以降、「高文書偽造」がなされた疑いが強いーことを意味する。

サイト管理者(筆者)は、内閣府会議事務局が上記の文書を作成したのか、最初からいぶかっていた。仮に「公文書偽造」となれば、刑事犯罪になる重大な事案である。田村参院議員も16日の記者会見(https://www.youtube.com/watch?v=uc9I0TBbAzo)で、内閣府事務局がこの文書を作成した経緯について立憲民主党など他の野党とともに徹底的に追及していくと語っている。

安倍前政権(官房長官は現在の菅首相)の公文書偽造疑惑は日常茶飯事に行われた疑いが濃厚であるから、今回の内閣府事務局作成の文書なるものも、「公文書寄贈」の可能性が濃厚だ。菅政権は警察畑官僚を側近に置いており、菅首相に反対する官僚はもちろん国内の有識者なも含め、国民の基本的人権(信仰・思想・信条・言論・集会・結社の自由)を弾圧する体制づくりを爆進中だ。

菅首相は記者会見(実態はフラーランサーの記者は締め出し、内閣記者会のうち、数社のグループ社を選んで質疑に応答するというもので、正式の記者会見と呼べるものではない。グループ・インタビューでも用意された文書を読み上げるだけだった。敏腕検事の経歴のある郷原信郎弁護士の次のYoutubeインタビュー番組「日本の権力を斬る」の動画(https://www.youtube.com/watch?v=w9_xjY4oP20)も参照されたい。

10月26日には臨時国会が開かれる予定だが、野党は徹底的にこの文書の作成経緯も含めて、破綻した首相のインタビュー・会見での答弁も含め、思想弾圧の疑惑が濃厚な今回の会議任命拒否事案を徹底的に追及する必要がある。



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