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いよいよ始まった日銀の国債引き受けー世界的株価急騰の背景にあるもの


米国の量的金融緩和の出口のために実行されたのが、今回の黒田日銀による「異次元金融緩和」の正体である。その内実はつまるところ、①長期金利上昇を抑えるための長期国債の買い入れ規模を年間60兆ー70兆円から80兆円に増加③株価指数連動上場投資信託などの買い上げ幅の3倍に増加③年金積立金管理運用独立行政法人(年金資産は140兆円規模)による株式投資比率の引き上げーなどで、長期金利上昇を抑制するとともに、株価の上昇を狙う。また、日経平均は円安・ドル高に連動しているから、日経平均の急上昇にもつながる。日銀が、物価安定という最大の目的を放っぽりだし、危険なマネーゲームに本格的に乗り出すわけだ。そして、その狙いは再消費税率の引き上げ(際限なき引き上げにつながる)である。しかし、その結果は庶民を塗炭の苦しみに導くハイパー・スタグフレーションである。

今回の日経平均急騰の前、マスコミの一部で安倍晋三政権が4兆円規模の今年度補正予算を編成する意向であることを伝えていた。低所得者向けの給付金や円安による原燃料高に苦しむ中小企業救済など景気の下支えのためだが、これは要するに、消費税大増税を重要な柱とするアベノミクス(アベクロノミクス)の失敗を認めたことだ。日経は消費税増税の影響は軽微と言い続けてきたが、これは経済紙としては落第。

ということで、消費税の再増税はやりにくくなってきたが、財務省は省益至上主義のため、何としてもまた消費税率を引き上げたい。そのためには、「日経平均の急騰」を演出し、経済情勢が好転してきたと見せかければてっとり早い。そこで、米国の連邦準備制度理事会(FRB)が量的金融緩和を打ち止めし、為替相場が大きくドル高・円安に触れてきたのを好機として、量的金融緩和の強化を演出した。長期国債の買い入れ額などを増加させるとともに、円安バブルを引き起こしたわけだ。

これによって、日経平均は急騰したが、これは経済情勢の好転とは何の関係もない。一般国民や内需型の中小企業は行き過ぎた円安による原燃料高、輸入工業製品・農産品などの価格の上昇を受けた悪い物価高によって、塗炭の苦しみに苛まれている。かつ、日銀の異常な「金融政策」は、直接・間接の国債の日銀引き受けにまで暗転し、ハイパー・インフレの芽を大きく育てつつある。

この点について、ダイアモンド・オンラインの「山田厚史の「世界かわら版」」は鋭い経済情勢の現状分析を行っている。以下に、引用させていただく。

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≪ 金融緩和の蟻地獄にはまった日銀  円安・株高「宴の後」に迫る危機

世は妖怪ブーム。ハロウィーンの日、黒田日銀の「追加緩和」という妖怪が飛び出した。市場はビックリ。円相場は1ドル=113円を抜け、東証ダウは一時1万7000円を突破。NY,ロンドン、東京とマネーの熱狂が地球を回った。

妖怪は倒れそうなアベノミクスを抱き起そうというのだ。今よりきつい劇薬を飲ませ「国債をすさまじく買うぞ」「株や不動産も買い上げるぞ」と宣言した。こんなことをいつまでやるつもりなのか。株高も円安も、日本経済の回復にはつながらないことはこの一年の実績が語っている。

◆政権に中央銀行がひざまずく

妖怪は「もっとやればそのうち効くさ」とうそぶくが、劇薬は覚せい剤のような副作用がある。大量投与は日本経済の健康とモラルを破壊する。真っ先に問われるのが日銀のモラルではないか。「通貨価値を護る」という使命に目をつむり自国通貨の下落を煽り立てる。「マネタイゼーション」と呼ばれる事実上の国債の日銀引き受けがより強まる。「これだけはしてはいけない」と言われてきた非常識政策の総動員。忍び寄る最悪の事態を意識しつつ、政権の延命に中央銀行がひざまずく姿を、この際しっかり見ておこう。

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黒田日銀総裁が明らかにした追加緩和は、マネタリーベースと呼ばれる銀行への資金供給を、これまでの年間60~70兆円から80兆円に拡大する。 50兆円を目標にしていた長期国債の買い入れを30兆円増やし80兆円にする。株価指数に連動する上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J‐ RIET)の買い上げを3倍に増やす。

金額が大きすぎてピンとこない人も多いだろう。公正な価格形成が行われるべき市場に日銀がお札を刷って猛然と介入する。年間80兆円のカネを民間に吐き出し国債の値段を上げ(長期金利を下げる)、東証株価を上げ、不動産価格も上げようというのである。

長期金利や株価は、日銀の仕事ではなかった。景気回復・デフレ脱却のためなら手段は選ばない。効き目がないならもっとやる、というのが今回の追加緩和だ。無理矢理でも、見せかけでも、株価が上がり長期金利が下がれば国内の投資は活発になる、という筋書きを突き進む。

これは蟻地獄ではないのか。日銀が買うことで債券や株の市場価格が維持される。日銀マネーに依存した上げ底の価格が形成され、買いが止まれば国債も株も値下がりする。日銀は、ひたすら足を動かし、這い上がろうとするアリのように市場にカネをつぎ込む。足が止まれば餌食になる。

◆バブルで空いた穴をバブルで埋める

蟻地獄はアメリカで現実になった。米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、リーマンショックでペシャンコになった景気を立て直すた め、2008年から国債やMBS(住宅債券)などを市場から買い上げて資金を放出した。「金融の量的緩和」である。波状的に3度行い、つぎ込んだ資金は4 兆8000ドル、日本のGDPをしのぐすさまじい額になった。

おかげでNYダウは史上最高を更新し景気が好転したかのように見えるが、その陰で「不健康・不道徳」が問題になっている。

国際通貨基金(IMF)はこのほど発表した国際金融報告書で、米国には当局の監視が及ばない投資ファンドやシャドーバンキングが多数あることを指摘し「金融市場を揺るがしかねない脅威になっている」と警告した。

FRBが吐き出した4兆ドルは、ウォール街の株式や債券だけでなく中南米、アフリカ、東欧など新興国の株式市場まで潤した。

2012年9月から始まった第3波の量的緩和(QE3)は、2013年12月まで月間850億ドルの資金を放出した。

「バブルで空いた穴をバブルで埋める」という政策といわれる。リーマンショックで深手を負ったのは銀行や証券会社。経営破たんや金融機能のマヒが心配され、潤沢な資金を流し込むことで危機を回避した。

だが、カネは正しい使い方をされるとは限らない。自動車の好調な売り上げを支えているのはサブプライム自動車ローンといわれる。緩和マネーが返済の危ぶまれる所得層に流れ、次の事故が心配されている。怪しげな投資ファンドや「影の銀行」が跋扈し、またしても金融危機の引き金になりかねない事態を招いているのだ。

危ないことは永遠に続かない。模索されたのが「出口」だった。金融がおかしくなる前にマネーの蛇口を締める。FRBは緩和マネーを2014年1月から月100億ドルずつ減らし、10月末に量的緩和を終了した。新たなカネヅルができたからである。

黒田日銀の金融緩和である。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和も始まる。米国が蟻地獄から抜けるのは「お後の用意ができた」からである。


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