さて、こうした異常なことがあたかも当然のように行われているのは、太平洋戦争の総括、戦後の国際秩序の本質が真に行われていないからである。太平洋戦争の総括については、別の機会に譲りたいが、孫崎享氏の諸著書(「戦後史の正体」、「日米開戦の正体」)が極めて優れた分析を行っておられるので、それを参照することをおすすめしたい。

ここでは、戦後の国際社会についてサイト管理者の見解を示しておきたい。まず第一に、政治・軍事的には国際連合の集団安全保障体制を国際秩序維持の基本とするという考え方である。国連憲章51条に容認されている個別的自衛権および集団的自衛権の行使は、国連の集団安全保障体制に基づく国連憲章違反国への制裁には時間がかかるため、それまでのつなぎとして儲けられた規定に過ぎない。それゆえ、拡大日米同盟によって積極的に世界平和実現に貢献する、などという考えは国連を尊重する限り出てこないのである。

第二に、古典的な自由放任主義によって世界大恐慌が勃発、第二次世界大戦に突入した苦い経験に鑑み、戦後の世界経済の新秩序はブレトンウッズ体制(国際通貨基金=世界銀行=ガット体制)プラスケインズ政策によって築かれた。しかし、①米国が朝鮮戦争、湾岸戦争(両者は国連の集団安全保障体制による)を除く世界各地での戦争に敗北したこと②アメリカン・ケインジアンのケインズ理解が浅薄であったこと③古典的な自由放任主義の上を行く新自由主義政策を採り続け、大幅な経常赤字、巨額の財政赤字、世界最大の借金大国になり事実上、経済が破綻したことーなどによって、同体制は既に機能しなくなっている。

このため、対米隷属派による日米同盟の改悪は、実質的には「日米心中」の結果をもたらす。米国は元来、共産圏が自戒した後、大政を国連に返還して国連の機能強化に尽力すべきであった。また、ビル・クリントン政権時代にケインズ政策を援用して財政赤字を黒字に転換した経験をさらに生かすべきだったが、ロナルド・レーガン大統領以来の新自由主義路線に舞い戻り、ワシントン・コンセンサスなるものをぶちあげ、世界各国の経済を破壊してきた。

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これを是正するのが本来の日本の使命であり、その核となるのが開かれた東アジア共同体である。国連の改革・機能強化に注力するとともに、過去の罪を償う意味でも日韓中友好関係を再構築する(その過程で北朝鮮の解放も可能になる)ことこそ、現行憲法で平和主義を掲げる日本の大使命であろう。米国が自分たちの作成した日本国憲法が、現在の同国に不利になったからと言って「骨抜きにしろ」などという身勝手は到底ゆるされない。

 

 

 

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