景気の悪化示す2019年1-3月期GDP、景気動向指数も

内閣府が20日発表した2019年第一四半期(1-3月期)の実質国内総生産(GDP)増加率速報値は、大方のマイナス成長予想を覆して、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では2.1%増となった。しかし、内容をよく見ると、景気悪化を示すものでしかない。

前もって注意しておきたいが、GDP統計は内閣府が発表した統計値であるが、内閣府は財務省の下請け機関に過ぎないから、財務省など政府の諸官庁の統計値不正改ざんは当たり前の時代になってきたから、今回のGDP統計も鵜呑みにすることは出来ない。

ただし、今のところは内閣府発表の数字しか景気の現状を議論できるデータはないから、これをもとに記事を投稿せざるを得ない。それでも、GDP前期比増加率を寄与度別に分解してみると、景気が悪化していることが如実に見て取れる。

この寄与度への要因分解を見ると、経済成長の柱にならなければならない個人表人設備投資の寄与度はそれぞれマイナス0.1%ポイント、マイナス0.3%ポイントとかなり弱まってきている。輸出もマイナス2.4%ポイントと非常に弱い。米国のトランプ政権の「米国1st(最優先)」政策に原因がある大規模保護政策の発動(中国の対米輸出製品の半分=金額ベース=への関税率25%への引き上げ、日本の自動車など対米輸出製品に対する数量制限など)で今後、世界の貿易は縮小不均衡のスパイラルを続けるから、輸出にはますます期待できなくなる。

問題なのは、輸入が前期比4.6%も落ち込み、それがGDP伸び率への寄与度を3.0%ポイントも引き上げたことだ。輸入は、GDPの減少項目だから、輸入が減ればGDPは押し上げられ、寄与度としてはプラスになってしまう。しかし、輸入がこれほど減るというのは、経済成長の二大主力エンジンである個人消費、設備投資を柱とする内需が極めて弱くなっていることを示す。

こうした輸入の落ち込みによる実質GDPの増加というのは、景気悪化の初期段階にはよくある現象で、今後も内需が一層落ち込み、その反動で実質GDPが増えたり、あまり減らなかったりして見かけ上、GDP成長率が増加したり、減少幅が少なくなるというこという現象には要注意である。

なお、公共投資は前期比1.5%増だが、寄与度はマイナス1.4ポイントも減少している。精査する必要がある。

昨日20日は為替レートがいくぶん、円安に触れたが、GDP統計を悲観的に見ていることの証左であろう。世界の貿易・経済は悪化傾向が鮮明化し、これにもともと内需そっちのけの経済「運営(とは言い難い)」をしている安倍晋三政権のことであるから今後、世界経済の荒波に翻弄されるようになるだろう。

政治・経済・社会政策の大転換をしないと、「日本丸」は沈没する。現状を憂える日本国民が著増することを祈る。

※追記
内閣府は13日に発表した3月の景気動向指数で、一致指数が前月比0.9ポイント低下の99.6と2カ月ぶりに低下したことを明らかにした。一致指数の水準としては2016年9月以来2年6カ月ぶりの低さ。一致指数を構成する9指標で、速報値からデータが利用可能な7指標のうち5指標がマイナスに寄与した。特に、米国が始めた世界的な貿易戦争の影響で、鉱工業生産指数が落ち込んだことが響いている。

安倍晋三政権は森友事件などで財務省の庇護を受けたが、そのお返しに10月からの消費税増税を強行し、衆参ダブル選挙を行わないとの見通しも出ている。しかし、そうすれば景気は既に後退局面に陥っていると見られ、強行すれば米国が始めた世界貿易戦争(世界的な保護主義の横行)で経済成長を妨げる外需とともに内需も景気の腰を折ることは確実。消費税増税阻止で野党がまとまることは消費税減税で一致するよりは政治的には優しい。参院選単独なら、自公維は敗退するだろう。

 

 

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