京都市長選、同市民が守旧派と革新派を見分ける眼が必要

事実上、立憲、国民の「野党」が現職市長・門川大作候補を推薦、弁護士の福山和人候補を日本共産党と令和新選組が推薦した京都市長選挙が1月19日告示されてから、折り返し点を越えた。投開票の2月2日まであとわずかである。本選挙の本質は、いわゆる「野党共闘」の欺瞞性を明らかにし、日本の政党を既得権益を墨守する守旧派と国民の生活が第一・共生社会の実現を目指す革新派との戦いである。京都市民の心眼と投票率の大幅上昇に強く期待したい。

今月20日に開会になった国会では、桜を見る会を始めカジノを含む統合型リゾート(IR)事業での自民党計国会議員の贈収賄、元法務大臣河井克行、河井案里夫妻の公職選挙法疑惑などのスキャンダルで揺れているが、安倍晋三首相は国会でこれらの疑惑に対して、官僚の作文を読む「Reader」でしかなく、要するに逃げ回っている。

しかし、これらのスキャンダル攻勢よりももっと重要な点は、現政権の政策理念と政策体系、つまり、グローバリズムという名の新自由放任主義とそれにもとづく安保法制という名の戦争法制や対米隷属政策、大企業優遇政策、中間層没落を招いた格差大拡大政策などを徹底的に批判、追及し、代案を提示することである。

冷戦終結後の森喜郎政権以降、小泉純一郎政権、安倍晋三政権と新自由放任主義の間違った政策を採用し続けたため、平成時代以降の日本の経済社会は低迷を続けている。2000年と2018年を比較すると、日本の一人当たりの国内総生産(GDP)は3万8,534ドルだったものが3万9,306ドルになっただけで、ほとんど成長がない。日米英独仏(かつてのG5)の五大大国のうち、日本以外は一人あたりのGDPが倍増している。

なお、安倍首相が敵対視する韓国の世界ランキングは2000年の35位が2018年には第31位に上昇したが、一人当たりGDPは1万1,947ドルから3万1,346ドルにほぼ3倍増となった。日本だけが成長できず、いまや日本の一人当たりGDPは韓国より若干すくないだけである。このまま行けば、並び追い抜かれるだろう。技術的理論にも、特許件数や学術論文の引用数では中国に軽く追い抜かれてしまっている。

これらの現象は、日本が平成時代に新自由放任主義の政策を取り続けた結果として出現したものである。スキャンダル以上に深刻な問題である。さらに問題なのは、これらのまちがった政策について追及せず、スキャンダルだけを追う「野党」と称する立憲民主党、国民民主党の存在である。両党の支持基盤は未だに政府側の御用組合であり、大企業側に立つ連合であるから、消費税増税にはまともに反対しない。国民民主に至っては「税と社会保障の一体改革」、つまり消費税のさらなる増税に容認あるいは賛成ですらある。格差社会是正のための最低賃金の大幅引き上げについては、両党ともまともに取り上げない。地震大国のせいで起こったフクシマ第一原発地域の住民を棄民化され、放射能汚染許容量も非常事態の20ミリシーベルトに引き上げられるなど、問題だらけの原発の稼働即停止もまともに主張できない。

現政権の新自由放任主義政策に理解能力がない、あるいは、追及能力がないことの証左として、今回の京都府知事線では立憲、民主が自公の押す現職市長・門川大作候補を推薦するというおろかな選択をした。地方自治体の選挙には、中央からの支配から脱却するという狙いもある。この点からも、立憲、国民は、中央との太いパイプを売り物にする門川候補を応援するのは間違っているとしか言いようがない。

これに対して、日本共産党と令和新選組は政策レベルでの確かな野党の共闘を求めている。平成時代の悲惨さを考慮すれば、政策レベルでの大転換が必要であり、両党の推薦する弁護士の福山和人候補を応援するべきである。政府の筆頭御用新聞になっている読売新聞が26日、「公明党と、自民、立憲民主、国民民主、社民の各党京都府連が推薦する現職の門川大作氏(69)が先行し、共産党とれいわ新選組が推薦する弁護士の福山和人氏(58)、地域政党・京都党前代表で前市議の村山祥栄氏(41)の2新人が追う展開となっている」との情勢分析なるものを報じた。

これは、京都市民の投票意欲を削ぎ、投票率低下を狙う安倍政権の意向がそのまま表れたものと見て良い。livedoorニュースによると、「地元紙の(期日前投票での)出口調査によると、立憲支持者の6割が共産党系の候補に流れた。理由は相乗り批判だった」という。心ある京都市民は今回の選挙で、これまでの「野党共闘」の欺瞞性を見抜き、心ある一票を投じて国民主権・地方自治の理念を実現するため、投票所に足を運んでいただきたい。

なお、本選挙の結果によって衆議院の解散・総選挙が2019年補正予算成立後かオリンピック、パラリンピック終了後かに決まるだろう。

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