加藤勝信厚生労働大臣率いる厚労省は3月2日、御用学者が中心だが新型コロナウイルス対策専門社会議にも諮問せず、安倍晋三首相が突如発表した幼稚園・保育園・小中高校の休校命令に関して、幼稚園の園児と小学校児童のいる保護者の休業措置として概要、日額8330円を上限に賃金の全額を受け取れるよう企業に助成金を支給する措置を発表した。休業補償は、小学生までを基本とし、対象期間は2月27日~3月31日までとするという。休業補償措置の適用対象者から、同措置を最も必要とする保育園児の保護者世帯を外したことは大問題だ。サイト管理者が試算したところ、単純計算で8600億円程度の財源が必要になるが、予備費2700億円程度ではまかないきれない。雇用調整助成金として支給し、雇用保険料の積立金(1兆2000億円程度)から賄うしかない。また、一斉休業命令が感染防止対策に役立つかも不明だ。一方で、厚労省は加藤大臣の指揮の下、実際にはPCRなどの検査を受けさせない感染拡大防止を抑制する措置を講じている。東京オリンピック、パラリンピックを開催するために感染者数を少く見せかけるための措置だが、倒錯しており無理筋であることは明らかだ。
その後の調べで、保育園の園児の保護者には休業補償が出ず、単に保育費用の減額にとどまることが判明しました。保育園を管轄する厚生労働省の全国の市町村への通達によると、「子ども・子育て支援法施行規則(平成26 年内閣府令第44 号)第58 条に、第4号「災害その他緊急やむを得ない場合として内閣総理大臣が定める場合に該当し、保育の提供がなされない日数が一月当たり五日を超えること」という規定を新たに設け、日割り計算を行う事由を追加しました(本年 2 月 27 日公布、同月 25 日以降適用)。これを踏まえ、市町村の判断により5日を超えて閉園等している場合については、以下の計算式で利用者負担額について日割り計算をお願いいたします」となっている。要するに、共働き世帯が最も多く、休業補償を切実に必要とする保育園児の保護者世帯には保護者の休業補償が出ないことになっている。
このため、下記の部分を訂正させていただきます。
サイト管理者が調べたところによると、ゼロ歳児から預かる厚労省管轄の保育園児は超少子化の現在でも、210万人程度。また、文部科学省管轄の幼稚園児の児童数と小学校児童の児童数の合計は640万人程度と合計で850万人程度。超少子化で、一世帯当たりの園児・児童の数は大きく見積もっても1.5人だから、休業補償を必要とする対象世帯数はおおよそ430万世帯。これに、休業補償に伴う財政の負担を少く計上するため(以上追加)全ての世帯が主として父親の片働き世帯と仮定し、休業補償費用を少なくするため、計算を概算として簡略化するため(追加)勤務日以外は収入のない非正規労働者として扱い、休業補償期間の2月27日~3月31日のうちの勤務日を25日と見て、8330円☓25日とすると20万7500円と20万円程度になる。そうすると、幼稚園児・小学校児童の休業に伴う措置はおよそ、570万世帯☓20万円430万世帯☓20万円で1兆1400億円8600億円程度になる勘定だ。少く見積もってもである。2019年度予算の予備費は2700億円程度でありとても足りないが、失業手当や雇用調整助成金の原資になっている雇用保険料の積立金1兆44000億円程度を使わざるを得ない。
その場合は、新型コロナウィルス防止で企業の経営が悪化した場合に必要とされる、雇用保険料積立金の本来の使途である雇用調整助成金や失業手当が不足してくることが当然、予想される。
既に衆議院で可決され成立が自動的に決まっている2020年度予算には新型コロナ対策が含まれていない。政府=安倍政権はどういうマジック(魔術)を使うのか。恐らく、政府にとっての抜け道が用意されているのだろう。また、全国一律の一斉休校にして新型コロナウイルス感染防止対策に本当に役に立つのか。御用学者・医療専門家からなるとは言え、諮問もすることなく全国一律の突然の休校命令を出して費用対効果に見合うのか大いに疑問である。財政が厳しい自治体にさらなる負担を負わせることにもなる。
また、学校に休校命令に関する補償措置を出すというのなら、学校に給食を提供している企業には大打撃になるほか(追加)、大きなイベント・大会の突然中止に伴う出演者の出演料や(追加)やキャンセル料の補償装置をしないというのでは、不公平極まりない。朝日デジタルによると、国内で豪華客船のクルーズ船を運航するルミナスクルーズ(神戸市)は2日、神戸地裁に民事再生法の適用を申請し、保全・監督命令を受けた。負債総額は約12億4300万円。もともと経営難にあったというが、新型コロナウイルスの感染拡大でキャンセルが相次いだことが響いたとのことだ。事実上、船内に閉じ込められることになるため、潜在的な陽性患者が居た場合、ダイヤモンド・プリンセス号のような悲惨な結果になる。今後はこうした事態が続出してくることが十二分に予想される。
既に投稿したように、世界保健機関(WHO)は2月29日、感染が広がる新型コロナウイルスについて、世界的な危険性の評価を四段階の感染拡大のレベルについて三番目の「高い」から最高度の四番目に相当する「非常に高い」に引き上げ、感染の拡大に歯止めがかからない状況を防ぐために、各国に一層の対策を強く求めた。パンデミック(世界的大流行)には至らないとはしているが、適切な措置が行わなければエピデミック(特定の地域で大流行)からパンデミックに至る恐れなしと出来ない。
その中でも、東京オリンピック、パラリンピックを抱えた日本は特異だ。新型コロナウイルス汚染拡大は主として、検査を行えば陽性と判定され、同ウイルスに感染していることが分かるが、自覚症状のない患者が自由行動を取らざるを得ないため、こうした潜在的な陽性患者が新型コロナウイルス拡大の主要な源泉になっている。こうした潜在的陽性患者に公共交通機関や各種の大会、イベントで濃厚接触した国民で、持病を持った高齢者を中心に感染すると重篤な新型肺炎に罹患し、慌てて緊急入院を余儀なくされ、最悪の場合には死亡に至る。
こうした現状を踏まえれば、有効なワクチンの開発が短期間では困難であり抗HIV薬などが症状の軽い段階では有効であることが明らかになってきた現状、定評のあるPBR検査やスイスの製薬会社ロシュ・ホールディングが開発したIT技術を駆使した検査システムをフル活用し、潜在的陽性患者をできるだけ早期に発見、適切な隔離と処置・医療を行うというのが対策の根本である。
ところが、日本ではPBR検査を事実上拒否しており、ロシュの開発した検査ツールの導入にも消極的だ。日本では加藤勝信厚生相の指揮の下、次のような手順で検査が抑制されている。まず、➀風邪の症状や37.5度の発熱が4日以上続いており、解熱剤を必要とする症状の段階(高齢者は2日間)②強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)-にある患者であれば初めて、都道府県に設置されている「帰国者・接触者相談センター」(保健所)に相談できるし、しなければならない。
その上で、医師の診察が必要となれば、相談センターが「帰国者・接触者外来」(830程度と推定されているが、公表されていない)を紹介し、「帰国者・接触者外来」の医師が、PCR検査が必要であると判断するとPCR検査が実施される。要するに、検査をすれば陽性と判定される可能性が高い患者のみ、検査を受けられるのである。そして、陽性と判定された患者は、その接触追跡調査が行われるが、現在では追跡調査も難しくなっている。こんな状況だから、韓国では1日当たり1万件ペースで検査を実施しているが、日本ではPCR検査を1日当たり900件しか実施していない。
植草一秀氏のメールマガジン「第2566号・国民生命最優先なら五輪関連除外」は不当によると、加藤勝信厚労相は2月17日に1日あたり3800件を超える検査が可能になったことを明言した。しかし、2月26日の衆院予算委員会で加藤勝信厚労相は「2月28日から24日の7日間の検査実績は合計で6300件、平均すると、1日900件」しかなかったと答弁した。これが野党の追及するところになり、「どこにネック(障害)があるのか今調べている」「少なくとも3800を超える能力があるわけでありますから、それをしっかり活用していく」としか答弁しておらず、厚労省として野党に追及されるまでもなく自ら調査すべきことをしていないことを公言した。
感染防止策の基本は、自覚症状のない陽性の患者を早期に発見し、適切な措置を行うことだ。そのためには、全国の主要病院・医院にPCR検査を施したうえで、「帰国者・接触者相談センター」という検査阻止センターを廃止し医師の判断で、患者に対し全国に900存在すると指摘される検査施設で検査できるようにするとともに、中国では現にそうしているが、検査体制のスイスのロシュが商用開発(実用化が可能であることを意味する)した検査システムを大量に導入するなど、大幅拡充・強化が早急に必要である。
それには、膨大な予算措置を伴う。本来は新型コロナウイルス感染予防措置を柱にした2019年度第二次補正予算案を編成し、2020年度は暫定予算編成で当座をしのぎ、その間に2019年末に編成した2020年度予算案は組み換えることが必要だった。新型ウイルスが人命はもちろん、経済社会に甚大な影響を及ぼしつつある現状、特別立法を行ってでも大規模な財政措置を講じるべきである。
なお、朝日デジタルによると安倍首相はインフルエンザ等措置法を改正して、緊急宣言を出し、住民の外出自粛(事実上の禁止)や休校も延長される見込みだ。違憲立法である緊急事態法の準適用になる恐れがある。これについては、別に記事を投稿します。
※末筆になりますが、本投稿記事がサイト管理者の調査不足で読みづらくなったことを深くお詫びします。